気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2008-11-04 00:24:11 | 朝日歌壇
十六年病みて穏やかなりし夫われをそだててみほとけとなる
(大分市 岩永知子)

水槽に金魚一匹浮くあした秋のいのちはしづまざりけり
(川越市 小野長辰)

献体番号いつも添えあり医学部より暑中見舞が音もなく来る
(尼崎市 平澤省吾)

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一首目。十六年もの長い間、だんなさまの看病をして亡くされた作者が、その夫にそだてられたという謙虚さに感動した。一首の中に人生のストーリーが過不足なく納まっている。
二首目。秋が来て涼しくなって、死んでしまった金魚が浮いていることを「秋のいのちはしづまざりけり」と詠ったところに叙情がある。
三首目。家族のどなたかが亡くなられたときに、医学部に献体され、その後、律儀に暑中見舞が来るのだろう。結句の「音もなく来る」がひんやりとした表現で、効いている。

秋という言葉を入れると、短歌らしい雰囲気が出る。結社誌の次号の締め切りが迫って来ているので、歌を整理中。このところ「秋」を使い過ぎているかもしれない。

題詠ブログが終わってしまった。今回も無事完走できて、本当によかった。
さて、あとこのブログにどんな記事をアップするか、ちょっとは工夫しなければいけないと思う。う~ん。考え中…。