気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

鴨脚樹

2008-11-28 01:56:21 | きょうの一首
死ぬひとと死なないひととゐるやうな気がする鴨脚樹(いちやう)並木ゆくとき
(魚村晋太郎 花柄)

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ああ確かにそうだと思わせる納得の一首。何の根拠もないが、死にそうにない人がいる。
でも、若林のぶさんも、宇野千代さんも亡くなった。死にそうにない人もいずれ亡くなってしまう。
夜半、降り出した雨で、黄葉したイチョウも散っているだろう。
イチョウは、銀杏、公孫樹などいくつかの書き方があるが、鴨の脚の樹というのも、葉の形からなるほどと思わせる表記。

日曜も働く夫、泳ぐ妻いちやうの黄金(こがね)はひと色ならず
(近藤かすみ 吟詠辞典)