Weblog喫茶 モンブラン

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やりたいことを全力でやってみる、ということ:マイケル・ボルトン「シークレット・パッション」

2007-03-21 23:56:28 | ♪音楽好き

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。

昨年のトリノ・オリンピックといえば、荒川静香さんの金メダルが一番印象に残りましたね。
彼女がフリー演技で華麗なる「イナバウアー」を披露した時に使った曲は、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」の代表曲「誰も寝てはならぬ」でした。
オペラなぞ一度も見たことのない私でも知っている有名な曲です。

実に多くのアーティストが演奏したり歌ったりしている曲ですが、荒川さんが使ったのは、シンガポール出身のバイオリニスト、ヴァネッサ・メイの演奏したバージョンだそうですね。

この曲はオペラ曲なので、本来は歌詞もありオペラ歌手が歌う曲です。
「三大テノール」の一人、ルチアーノ・パヴァロッティの歌で(CDですが)聴いたことがありますが、それはそれは朗々たるアリア。
「トゥーランドット」は中国を舞台にした姫と王子の恋愛劇なので、旋律もエキゾチックでロマンにあふれていていいですねー。

さて、今日ご紹介するCDは、アメリカ人シンガーのマイケル・ボルトンが、大胆にもオペラのアリア(独唱曲)に挑戦した作品「シークレット・パッション(my secret passion)」です。

マイケル・ボルトンというと、昔はハードロックだ、メタルだと汗臭くがんばっていて、長髪のごついアメリカ人~という感じでした。
しかしその後は、恵まれた歌唱力を生かし、ブルーアイド・ソウルや「男が女を愛する時」のカバーなどの大ヒットを出して、若者よりは大人向けの歌手として地位を確立しましたね。

平井堅のアルバムで「歌バカ」というのがありましたが、ボルトンも相当な「歌バカ」。
よりよいヴォーカルを突き詰めていっちゃうタイプの人です。
そんな彼が、パヴァロッティに招かれてあるコンサートで共演し、超一流オペラ歌手の生の歌のすごさに衝撃を受け、オペラ・アリアの虜になってしまったのだそうです。

そこで、元々の歌唱力を生かして自分のコンサートでちょこちょことアリアを歌ってみつつ、クラシックの発声法や呼吸法を猛勉強しました。
ついには1996年に、三大テノールのもう一人、プラシド・ドミンゴと共演を果たしたのです。

そんな彼が1998年に発表した、念願のアリアだけのアルバムが、この「シークレット・パッション」です。
この中には「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」も入っています。

ずっとクラシックの王道を歩んできたパヴァロッティと比べると、声を「楽器」に例えるならば、楽器の”材質”そのものが違う感じはしますが、少しハスキーなボルトンのアリアは、まさに「熱唱」という言葉がふさわしい感じ。

アリアに惚れこみ、長い修行の末に、それを自分が納得行くレベルで歌えるようになったことが、嬉しくてたまらないという喜びが伝わってきます。

彼の「誰も寝てはならぬ」を聴くと、歌の素晴らしさもさることながら、
やりたいことを全力でやってみて、それをなし遂げるということは、人生にこんなにもパワーを与えてくれるものなんだな・・・と、感動しますね。

「my secret passion」というアルバムタイトルが、彼の情熱と意志の強さをストレートに表していると思います。