Weblog喫茶 モンブラン

日常のあれこれをのんびり綴っています

これぞ血沸き肉躍る!「キングダム」

2015-11-29 19:22:51 | 秘密の本棚

前の記事のコメント欄で、
いつもコメントをくれるフィナンシェちゃんが

「私もなにかドーパミン噴出できる好きなもの欲しいなぁ!」

と言っていたので、これをご紹介しますよ!
まだご存知ない皆様にもおすすめです!

「キングダム」というマンガです。
ものすごくおもしろいです。

中国の春秋戦国時代の壮大な戦乱の話。
画像は、初めの方のエピソードの一コマです。

主人公は、このページに出てくる、「天下の大将軍」を目指す少年・信と、
ここには出ていませんが、秦の少年王・政のふたりです。

この二人の成長もわくわくですが、たくさんの登場人物たちも実に魅力的。
大将軍たちの数々の名シーン、名ゼリフにしびれます。

少年マンガOKならぜひツタヤでどうぞ!
戦国の話だから、山のように人が斬られたりして死にますが。(^^;
現在39巻まであったかな?まだ続いてます。

血沸き肉躍りますよー!\(^▽^)/


世界一美しい本を作る男

2013-09-27 21:57:06 | 秘密の本棚


この間の休日に、ぱぴりおと渋谷に出かけたのは、この映画を観るためでした。

著名な作家、写真家、デザイナーたちが愛するドイツの小さな出版社、シュタイデル。
その経営者、ゲルハルト・シュタイデルのドキュメンタリー映画です。

世界中を旅してクライアントと会い、こだわりの本作りをする毎日。
彼の作る本は、作品と言ってもいいでしょう。

ほんとうに面白かったので、映画の中で実際に作っていた本をAmazonで買いました。



iPhoneでドバイを撮った写真集です。

うちに一冊、シュタイデルの本がある…。

なんだかとても、嬉しいですよー。
(^◇^)

自分の強みって何かな?:「さあ、才能に目覚めよう」

2009-06-18 23:21:46 | 秘密の本棚

あんまり自分に自信のない私。そんな方って他にもおられることでしょう。
自分の隠れた強み、長所って知りたいですよね。

しばらく前に「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」という本を買いました。

200万人へのアンケートから作成した「ストレングス・ファインダー」というWebアンケートに答えると、人間の持つ34個の資質=「強み」の中から、自分が持っている「強み」の上位5つを教えてくれるというものです。


私の「強み」は以下の5つでした。

【着想】

【コミュニケーション】

【共感性】

【戦略性】

【社交性】


コミュニケーション関係の強みが3つも入っています。
意外と、他人とうまく関われるタイプってことなんでしょうかね?
面白いですねぇ。

ぱぴりおは以下の5つでした。

【最上志向】

【未来志向】

【着想】

【成長促進】

【目標志向】


うわ~、鬼軍曹って感じ・・・当たってるかも・・・。




愛と悲しみに共感:内田百「ノラや」

2009-03-21 23:58:10 | 秘密の本棚

3月は何かと忙しい方も多いでしょうね。
私もこのところちょっと更新間隔が開き気味です。

来週は、しゅんけいの卒業式。
おかーさんも久しぶりにスーツを準備しましたよ。入るかどうか、ドキドキでした。

今日の新聞に、内田百(うちだひゃっけん)の記事が載っていて、ぱぴりおとその話をしていたら、ぱぴりおは「ノラや」を読んだことがないと言ったので、本棚を探して学生の頃に買った、ページの黄ばんだ本を発掘しました。

猫のエッセイがお好きなら、この本をご存知の方も多いと思います。
夏目漱石の門下生だった内田百。
「阿房列車」シリーズなどが有名ですが、年を取ってから飼い始めたノラ猫上がりの「ノラ」に注いだ愛情は、まさに溺愛レベル。

そのノラが三月二十七日の午後から、ふっつりといなくなってしまいます。(ちょうど今頃ですね。)

百先生はひどく落胆し、ノラを探し帰りを待つ日々を延々と日記につづったのが「ノラや」、「ノラやノラや」などの随筆になっているのですが、その嘆きぶりは読んでいて気の毒になるほどです。

けれども飼い猫を探し、見つからなかった経験のある方なら、皆その深い悲しみに共感することでしょう。
私は子供の頃そういう思いをしたので、この本を読むとところどころで泣いてしまいます。

ぱぴりおにもそんな経験があります。
彼はこの本を読んでも泣かないかもしれませんが、きっと「わかるなぁ」と思ってくれるでしょう。


その猫の話は、いつかここに書こうと思っています。





生き続けるということ:「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」

2008-07-05 23:53:01 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。

同じ一冊の本でも、人生の中の違う時期に読むと、伝わってくるものが明らかに違っていることに気づくことがあります。

若いときにしかピンとこない本、年を重ねてから読んだ方がしみじみ納得できる本・・・タイプはいろいろですが、今日ご紹介するこの本は、私にとっては「一度死にかけてから再び、出会えた本」と言えるでしょう。

アメリカの偉大な自転車プロ選手、ランス・アームストロングの「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」です。

有名な自転車レース「ツール・ド・フランス」で7連覇を達成したランス。
しかし彼は、この偉業を達成する前のことですが、既に自転車選手として上り調子で名声を築いていたわずか25歳の時に、深刻な睾丸腫瘍に侵されていることを知らされます。

腫瘍は既に、肺と脳に転移し、生存率は20%以下。
彼は手術を受け、つらい化学療法に耐え、ついに2年後に自転車競技に復帰。
そして、あの「ツール」で7連覇を成し遂げるのです。
治療によって不妊になるため、治療前に精子バンクに預けておいた最後の精子で、人工授精で妻との間に子供をもうけることもできました。
そして彼は今、競技を引退しています。

私がこの本を最初に読んだのは、病気にかかる前でした。
あまり詳しくはありませんでしたが、山道を駆け抜ける自転車競技が好きだったので、アームストロングの名前は知っていたので読んでみた、という感じでした。

そして自分が病気になり死にかけて、何とかゆっくりとこの世に戻ることができ、赤ちゃんからやり直すようにして這い上がり、退院してようやくまた、人並みに本が読めるようになった頃、本棚にあったこの黄色いカバーの本をもう一度手に取りました。

ランスと私とでは、もともと偉大さが全然違いますし、闘病の内容も、その間の意識の有無も違います(私は重症な時、ずっと意識がなかったのです)。
けれども病後にこの本を読むと、同じ「生還」した人間として、彼の思いや言葉が、以前読んだ時よりも何倍もリアルに、自分に語りかけられているように感じました。

彼がツールでの初優勝インタビューで言った言葉が心に残ります。

「僕が言いたいことはただ一つ。もし人生で二度目のチャンスを与えられたら、徹底的にやり抜くことです」

彼はこうも書いています。

「僕たちはみんな病気になったことがあるし、病気から逃れられる人はいない。だから僕のツールでの勝利は、一種の象徴なのだ。癌を乗り越えることができるだけでなく、そのあとでもっとより良い実を結ぶことができるという証拠なのだ。おそらく、友人のフィル・ナイトが言ったように、僕は『希望』なのだ。」

「希望」を持ち続けていれば、病気のあとでも、もっとより良い実を結ぶことができる・・・。

病後の回復が今ひとつで、落ち込み気味だった私に、この言葉はまるで、ランスが肩を叩いてくれたように響き、私は涙しました。

ランスは、マイヨ・ジョーヌ(ツールの各ステージの優勝者が着る伝統の黄色のジャージ)のために自転車に戻ったのではないのですね。
もっと大切なことを成し遂げるために、挑戦したのだと思います。

私もまた、二度目のチャンスを与えてもらった人間です。
彼のように、2年でみごと復活・・・というわけにはいきませんでしたが、いつかは「より良い実」を結んで、支えてくれた家族を幸せにできるように、希望を持って生きていきたいですね。




ぱぴりおと「100万回生きたねこ」

2008-06-03 23:55:34 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。

今のところ飼ってはいませんが、私もかなりの猫好きです。
犬も好きなんですが、一度も飼ったことがないのでよくわからず、実家では結局猫との日々を送ってきました。

この絵本は猫好きな方なら、きっと皆が知っているでしょうね。
佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」。
猫が主人公の絵本はほんとうにたくさんありますが、私としてはこれがイチオシです。
昔からとても大好きな絵本です。

しかし・・・。
私はこの本を蔵書にしていません。

理由は、何を隠そう、

「読んだら100%泣くから。

その昔学生だった頃、札幌の本屋で初めて立ち読みして、涙と鼻水でものすごいことになってしまいました。
以来、何度も買おうと思いましたが、目をうるうるさせてレジに持っていくのがハズカシく、ついに今まで買えないままだったのです。

この週末に、ぱぴりおとお茶を飲みに行ったお店に、この絵本が置いてありました。

ぱぴりおはこの本を「ヴィシアが泣く本だ」と知ってはいましたが、読んだことがありませんでした。

私が「泣くよ?」と止めたのですが、手にとって読み出したぱぴりお軍曹。

無言のまま、ゆっくりページをめくっていき、
あの、毎回涙がこぼれる最後のページを読むと、
軍曹殿、やっぱりちょっと目がうるうるして、口が「への字」であります・・・。

さすがに絵本を読んで落涙するのはぐっとこらえた軍曹殿でしたが、同じ感動をわかちあえたようでよかったです。
私が実際に死にかけたことがあるので、ぱぴりおも主人公の猫の気持ちを、一層リアルに思うところがあったのかもしれません。

この本は、大人になって年をとってから読むと、また味わい深いですよね。
しゅんけいには見せてあげたことがないんですが、いつかこの本を読んで、じんわり涙してくれたらな・・・と思います。




After you, Arthur.

2008-03-19 23:53:19 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。

私はSFが好きで、昔は結構読み漁っていました。
お金のない頃で、買えるのは文庫本ばかり。
ハヤカワ文庫SFシリーズには大変お世話になりました。

好きな作家は多いですが、中でも好きだったのが、アーサー・C・クラークです。
今日、彼の訃報を聞いて、とりあえずすぐ発掘できるだけの本を集めてみました。
先日の記事で、「2001年宇宙の旅」のペーパーバックを載せたばかりだったのですが、こんなにすぐにまた彼にまつわる記事を書くことになるとは・・・。

クラークの魅力というと、いわゆるかっちりとした「ハードSF」の世界の構成力がまずあげられるでしょうか。
科学的な考証を重んじたからか、「近未来」の宇宙開発などを描いた作品が多いですね。
それゆえに、「そのうち、ほんとうにこうなるかもしれない・・・」とワクワクさせるものがありました。

その一方で『幼年期の終わり』など、人類の滅亡や新たな進化をテーマとした、非常にスケールの大きい話も書いています。

彼は人生の後半をスリランカに移住して、作家活動の傍ら好きなダイビングをして暮らし、晩年は車椅子生活だったそうです。

宇宙と人類の行方をずっと想像し続けていた彼は、スペースシャトルが飛び、ようやく宇宙ステーションを作り始めた21世紀初頭を、「もう少し生きて、見届けたい」という思いで過ごしていたのかもしれません。

もし、彼が生きていて、私が幸運にも宇宙に行けることになったとしたら、私は喜んで、彼に順番を譲るだろうと思います。

"After you, Arthur."

彼の魂が、星々の間を自由に駆け巡っていますように。




ものづくり、宇宙へ

2008-03-12 23:27:06 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。

日本人宇宙飛行士、土井隆雄さん他、全部で7名の宇宙飛行士を乗せたスペースシャトル「エンデバー」の打ち上げが成功しました。
真夜中にまばゆい炎に包まれて発射されるシャトルの勇姿は、ロマンをかきたてると言いましょうか、何度見てもじーんときます。

土井さんたちは現在、地球を巡る軌道上にいます。
空のかなた、宇宙空間を人間が今飛んでいて、青い地球を見ているかと思うとワクワクしますね。

私は小学生の頃、宇宙飛行士になりたかったので、夢をかなえられた人たちがほんとうにうらやましいです。
多額のお金を出せば、宇宙旅行が楽しめる時代になりましたが、(それでもいいから行ってみたいけれど)それはスケールの大きな観光旅行のようなもの。
「宇宙飛行士」という言葉には、宇宙で「仕事をする」という誇りが含まれているような気がします。

今回のエンデバーの飛行では、日本初の有人宇宙施設「きぼう」の最初の部品を、国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶというのが大きな仕事です。
土井さんはロボットアームを使って「きぼう」の組み立てをするそうです。

アポロ11号が月に着陸して40年近く経ち、21世紀に入ってついに人間は、宇宙で”ものづくり”を始めました。
子供の頃の私が予想していたよりもスローペースですが、それでも着実に、宇宙への夢は実現しつつあるのですね。

思い浮かぶのは、映画「2001年宇宙の旅」の初めの方に出てくる宇宙ステーションです。

ワルツ「美しく青きドナウ」の流れる中、ゆっくりと回転しながら地球上の軌道をスムーズに滑っていく、円形の優美な姿。

映画の冒頭で原始の”ヒトザル”が空高く放り投げた骨=最初の道具は、一瞬でシャトルに変わり、宇宙ステーションを目指しましたが、現実の2008年は、まさにその「一瞬」の中の1コマを、実際に描いているところなのだと思います。

写真は、私がずいぶん前に買った「2001年宇宙の旅」のペーパーバックです。
一緒に写っているのは、お台場の日本科学未来館で、しゅんけいがおみやげに買ってきた、アメリカ・フィッシャー社の「宇宙ペン」。
無重力の宇宙でもスラスラ書けるというボールペンです。
地球上でも書き味抜群。ボールペンの書き出しでインクが出ないのが嫌いな、ぱぴりお軍曹の大のお気に入りです。

私は行けずに終わってしまうかもしれませんが、しゅんけい工房はもしかしたら、宇宙にものづくりをしに行って、青い地球を眺めることがあるかもしれません。
その時にはおみやげに、星くずをもらいたいですね。



ところで、昨日でブログ開設3周年を迎えました。
ここまで続けられたのも、皆様の温かいコメントのおかげです。
ほんとうにありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いします。(^^)




猫写真集の傑作、「ERNIE: A Photographer's Memoir」

2007-12-03 23:31:26 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。

猫好きなら、思わずにこにこしながら見てしまう、猫の写真集。
本屋さんにはたくさんありますよねー。
今の時期だと、子猫のカレンダーなども大定番という感じです。

今日は私の一番のお気に入りの、猫の写真集をご紹介しましょう。

ブックマークに入れさせていただいている、chickpeaさんの素敵なブログ「北へ行く猫」のページ左側の下のほう、「ライフログ」のトップでも以前から紹介されているものです。

アメリカの写真家、Tony Mendoza氏が、飼い猫「アーニー」を撮り続けた1985年出版のモノクロ写真集、
「ERNIE: A Photographer's Memoir」。
たった64ページの、薄い小さめなペーパーバックです。
この本は15年以上前に銀座の洋書屋で偶然見つけて買いました。
大切に持っていますが、もうだいぶ黄ばんできましたね。

chickpeaさんの方で紹介されているのは、2001年に出たハードカバー版で、80ページなので中の構成が少し違うようです。

奥に一緒に写っているのは、1989年出版の、アーニーのポストカードブック。
写真集からの抜粋のほか、手前の本には入っていないアーニーの写真も使われています。

この写真集の最大の魅力は・・・そうですね、「決して猫を可愛く撮ろうとなんか思っていない」ってところでしょうか。

トニーさんちでダンボールをかじり、靴下に爪を引っ掛け、
手に噛み付き、穴から片目をのぞかせたり、ものすごい顔で威嚇したり、
スーツケースにはまりこみ、殺した小鳥を見せて自慢したり・・・。

ニューヨークでワシ、のびのび好きに生きとるよー、というアーニーの日々が、ほんとうに等身大に切り取られて本になったっていう感じなんですね。
カメラを全く気にしないアーニーの奔放ぶりに、思わずニヤニヤしてしまいます。

この写真集を買ってから、私は猫を飼ってはいないのですが、もしまた猫と暮らすようになったら、こんな写真を撮りたいなーとずっと思っています。




びりっかすの子ねこ

2007-11-22 17:57:23 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。

今この瞬間にも、世界中で新しく生まれ続けているたくさんの本。
日本語の本だって、一生かかっても全部は読みきれません。
私が一度も読むことのないまま終わってしまう本のほうが、何千倍もあることでしょう。

過ぎ去ってしまった子供時代や、それなりに苦悩していたティーンエイジャーの頃、出会えればよかっただろうについにめぐり会えなかった本も、そりゃーたくさんあるはず。

でも、時々ひょっこりと、本の神様が膨大なコレクションの中から、私に贈り物をくれることがあります。

それは神田の大きな書店をうろついている時だったり、たまに寄った古本屋だったり。
この本もずいぶん前に、そんな古本屋の店先のワゴンの中で、砂ぼこりをかぶっていた贈り物でした。

マインダート・ディヤング作「びりっかすの子ねこ」。
オランダで生まれ、8歳でアメリカに移住して、作家になった人です。

犬屋さんの納屋の奥、犬たちが入ったおりだらけのなかで、6ぴきのきょうだいのあとから7番目の最後に生まれた、びりっかすの子ねこ。
にいさんたちに押されて、おかあさんのおちちももらえずに、いつもはらぺこ、ふるえています。

ある日、親子の行列についていこうとして、びりっかすの子ねこは、としよりいぬのおりの中に落っこちてしまい、それがきっかけで、目も見えず耳も聞こえない、鼻もろくにきかないとしよりいぬと、心を通わせ一緒に暮らすようになりました。

ところが、ある日ふとしたことで子ねこは外に閉め出されてしまいます。
戻れないことを知った子ねこは、意を決して暗闇の中へ旅立ちます。
そして一晩の間に、七軒の家でさまざまな経験をして、最後には意外な形でしあわせをつかむのです。

子ねこの足で行けるだけの、わずか家七軒の小さな世界。
けれども、そこには実にさまざまな人々が住んでいます。
きっと現実の世界の比喩なんでしょうね。
つらい思いもしたけれど、世界の端っこにしあわせは待っていてくれました。

ジム・マクマラン氏の素朴な挿絵と、中村妙子氏の、まるで歌のようなリズムの良いすぐれた日本語訳は、こどもに読んであげるのにぴったりです。

私が病気になる前、まだ小さかったしゅんけいに、この本を読んであげたことを思い出しました。
毎日少しずつ読んであげていたのですが、いつも「もっと読んで」とねだられました。

びりっかすだって、きっとしあわせは、どこかで待っている。
心が素直に温まる、ずっと大切にしたい本です。




しゅんしゅん感激、奄美のウミウシ写真集

2007-11-10 23:52:52 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。

しゅんけい工房のしゅんしゅん親方は、クラゲやヒトデ、タコや深海の生物など、ちょっと変わった形や色彩の生き物が大好きです。

かなりお気に入りなのは「ウミウシ」。
本物を海で見たことはないそうですが、テレビなどで紹介されると目を輝かせて見ています。
魚以外の水棲生物を集めた「水の生き物」の図鑑もお気に入り。
動物や昆虫図鑑よりよく見ていると思います。

先日本屋で偶然に、そんなしゅんしゅんのために出版されたかのような写真集を見つけて、値段も手ごろだったのでおみやげに買って帰りました。

奄美大島の海に住むたくさんのウミウシの中から、101種類の写真が載っていて、ちょっとした図鑑代わりにも使えます。

驚くのはその色彩の豊かさ。
まるで神様が、生き物の配色の実験をするために作ったかのように、多種多様な色と柄があふれています。
ポップアートのような大胆な原色の組み合わせが多く、テキスタイルデザインの原案になりそうな柄もいっぱいです。

ウミウシって、私も本物を見たことないのですが、結構小さい生き物なんですね。
中には8cmほどのもいますが、ほとんどは実寸2cm以下ぐらいです。
そんなにちっちゃいのに、こんなに色とりどりというのはどうしてなんでしょう。

サプライズでしゅんしゅんにプレゼントすると、「うわぁ~♪」と大喜びで、「すげぇ~」とページをめくっていました。

こんなにカラフルな動物は、そうそういないんじゃないでしょうか。
奄美大島でダイビング、いつかやってみたくなりましたねー。

セレンディピティのルーツ本はこれだ!

2007-09-28 22:50:31 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。

「セレンディピティ」(serendipity) という言葉がありますね。
ぴったりあてはまる日本語の単語がないのですが、定義すると

「偶然と才気によって、探してもいなかったものを発見すること」です。
2002年のノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんが、受賞につながる発見をした時のエピソードがまさに「セレンディピティ」だったことから、一気にメジャーな言葉になりました。

”間違えて”作ってしまったサンプルを「ま、せっかくだから」と使って実験したところ、今まで測定できなかった高分子量のタンパク質の質量分析ができる方法を発見したというわけです。

世間に知られてまだ日の浅い感のある「セレンディピティ」という言葉ですが、実は18世紀の昔にイギリス人文筆家、ウォルポール伯爵が作った造語です。
意外と概念の歴史は古いんですね。

伯爵がこの言葉を作るきっかけになった本が、今日ご紹介する
「セレンディップの三人の王子たち」です。

これは5世紀ごろのペルシャのおとぎ話なんですね。
”セレンディップ”というのは、今のスリランカ。
この表紙、エキゾチックで素敵ですねぇ・・・。

セレンディップの偉大な王の三人の息子は、大変賢く人間的にも優れた兄弟でしたが、王は息子たちをさらに成長させようと、身分を隠して他国を旅してくるように命じます。

そして旅に出た王子たちは、権勢を誇っていたササン朝ペルシャ、ベーラム皇帝の国に入ります。

そこで、いろいろな出来事に巻き込まれるのですが、王子たちはその聡明さで、探していたわけではなかった事柄や真実を発見し、難問を解決するのです。

この物語はいろいろなおとぎ話が寄せ集まってできているので、三王子が直接活躍する話は、最初の3分の1くらいなのですが、ここが一番面白いですね。
ウォルポール伯爵が夢中になったのもわかる気がします。

「セレンディピティ」というと、単に幸運だっただけだとか、人より根気があっただけだというニュアンスで語られることも多いですけれども、この本を読むと一番大切な要素は「才気」なんだな、と思います。

同じ現象が目の前で起こっていたとしても、そこから「発見」ができるかどうかは、そこに出くわした人の才気しだいなんですね。

田中さんの発見も、ただ宝くじに当たったように運が良かったのではなく、どんなデータもきちんと判断できる、確かな研究者の才気あふれる目があったからこそだと思います。

この本は児童書なので、しゅんけいにもぴったりです。
でも、大人が読んでもとても考えさせられる本ですよ。
研究者じゃない人でも、セレンディピティを身につけて人生でいい発見をしたいものですねー。

どこまでもいっしょに行く本:宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

2007-08-31 23:53:34 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。
東京も、夜には涼しさを感じるようになってきました。

誰が言い出したのか知りませんが、秋は読書の季節ということになっていますね。

ペーパーレス化などと言いながらも、毎日のように新刊本が発売され、ちょっと旬を過ぎた本はもう店頭にはなくてアマゾンでしか買えなくなってしまう”本の洪水”時代です。

けれども、そんな中でもずっと読み継がれてきて、これからも若い人たちの誰かがきっと読み続けてくれるであろう、素晴らしいスタンダードがたくさんあります。

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」も、たぶんその一つでしょう。

写真は、私が持っている新潮文庫です。
これは札幌の書店のカバーがかけられています。
ページはものすごく黄ばんでいます。(^^;

カバーに書かれた文字は、父のもの。
これは上京する時、父の蔵書をもらってきたのです。

父は、作家などではありませんが、ずっとものを書く仕事をしていたので
字が”そういう仕事の人”の字ですね。
達筆というより、書く速さで勝負というか・・・。

奥付を見ると、私が10歳の時に買ったようです。
ということは、父はそれなりのおじさんだったわけで、
自分で読むためではなくて、私や妹に読ませようと思って買ったのでしょうね。

たぶん父が買ってすぐに、私はこの本を読んだと思います。
昔の文庫本ですから活字がちっちゃいのですが、この童話集はとても面白くて、父の本棚から取ってほんとうに何回も読みました。

中1の学校祭のクラス劇で、子供ながらにがんばって私がこの物語を脚本にして、皆で演じてもらったこともあります。
その時もこの本を使いました。
私も自分の脚本の端役で出演しました。
確か、準優勝だったかな。

いつの間にか父に譲ってもらっていて、それからはずっと私の本棚にあり続けています。
たまに古本の匂いをかぎながら茶色いページを読み返す、大事な財産本の一つです。

調べてみると現在は「新編 銀河鉄道の夜」となっていて、カバーの銀河鉄道のイラストは変わらないのですが、中に収められている他の作品が入れ替わったり、巻末の解説が変わったりしているそうですね。
きっと字も大きくなっているのでしょう。

少年たちが「どこまでもいっしょに行こう」と、ケンタウル祭の夜に銀河鉄道で旅をする、不思議なお話・・・。

しゅんけいはまだ読んだことがないと思いますが、いつか彼らが読むならば、
父に譲り受けたこの本で、銀河の初旅行をしてもらえたらと思います。

絵本売り場に気をつけろ!

2007-08-18 23:50:20 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。
絵本というのは、いいものですよね。
子供の頃の思い出の絵本、皆さんの心にも残っていることと思います。

私は昔から、時間があるときなど、絵本売り場をうろつくのが好きです。
(もう大きくなりましたが)子供たちの絵本を選ぶというよりは、自分の好きな絵本を見つけるための方が多かったですね。

高校生の頃でしたか、友人と本屋で待ち合わせをしていました。
ケータイなどない当時のことですから、相手が待ち合わせに遅れると、連絡もなく延々待つしかありません。

暇をつぶそうと思い、絵本売り場に向かって、何気なく手に取ったのが、
あの「100万回生きたねこ」。
佐野洋子さんの名作絵本ですね。

知らずに読んで、本屋でそのまま涙だーだー・・・。

以来、私の好きな絵本ベスト3には必ず入っているのですが、読むと必ず!100%!!今でも泣いてしまうので、未だに買えていません。
レジに持ってく時には既に泣いてそうなので。(^^;;

そんな、絵本にはたやすく涙腺を刺激されてしまう私ですが、好きな絵本ベスト3にやっぱりずっと入るだろう一冊がこれです。

サム・マクブラットニィ(文)、アニタ・ジェラーム(絵)のお話、

「どんなに きみがすきだか あててごらん」です。

これは買いましたが、やっぱり泣いちゃうので家でも人前では読めません。
かわいそうな話ではないんですよ。
とってもほのぼのしたいい話なんです。



チビウサギとデカウサギが、お互いにどのくらい相手のことを好きか、比べっこする話です。

チビウサギのひたむきさ、デカウサギの大きな包み込むような愛。

どっちの立場になって読んでも、じんわりと涙が。
そしてラストには、本当に心が温かくなって、
「誰かを愛するって、いいことだな・・・」と思えるんです。

いい絵本ってお話に余計な飾りがないから、メッセージがまっすぐ入ってくるので、心の素直なところからあっさり涙が出るんですよね。

ぱぴりおは、「絵本を読んで泣いたことはない」と言っていますが、この絵本を一人で読んだら、きっとひそかにうるうるしちゃうんじゃないかなー。

夏は漂流の季節

2007-08-12 22:18:39 | 秘密の本棚

モンブランへご来店の皆様、こんばんは。
毎日厳しい暑さが続く東京です。
昨日、鬼軍曹と共に焼肉遠征に赴いたにもかかわらず、今日も微熱があって静養を余儀なくされた私でした。

水曜日以来ずっとなので、そろそろぱぴりおも心配しています。
今夜は軍曹殿に、風邪薬内服の上早期就床を厳命されておりますので、ブログも慌てて書いております。

さて、季節によって読みたくなる本ってあるのではないかと思います。
秋はやっぱり恋愛小説が売れるそうですね。

私の場合、夏になると読みたくなるのが、いわゆる「漂流文学」。
(海での)漂流という設定を持つ小説ですね。
設定上、小説の中での季節が真夏のことが多いのも、夏に読みたくなる理由の一つかもしれません。

小学校の時読んだ人も多いでしょう、
「ロビンソン・クルーソー」や「十五少年漂流記」。
主人公が無人島に流れ着く話ですね。
不朽の名作「老人と海」も、漂流文学のひとつに分類してもいいかと思います。

漂流文学というのは、とても限定されたシチュエーションなので、サバイバルが主なエピソードとなります。

私が個人的に、漂流文学の最高傑作と思っているのが、
イギリス人ノーベル賞作家・ゴールディングの「蝿の王」。



もう古典の域に入っていますが、「十五少年漂流記」さながらに無人島に流れ着いた少年達が、けれども「十五…」のようにきれいごとの冒険には決してならず、人間のダーク・サイドが徐々にむきだしになり、攻撃心に支配され、悲劇的に崩壊していくさまを冷徹に描いています。
はるか昔の話になりますが、読んだときにはかなり衝撃を受けましたね。

それ以来、長らくめぼしい漂流文学には出会っていなかったのですが、病気をしてなんとか復活し、ようやくまた本が読める気力が湧いてきた2005年の夏に出会ったのが、トップ画像のヤン・マーテル「パイの物語」です。

あんまり話すとネタバレになってしまうのでちょっとだけですが、カバーのイラストに、大洋の真ん中でボートの中に横たわる、褐色の肌の16歳のインド人少年「パイ」と、ベンガルトラ(!)が描かれていますね。
こういう大胆な設定での漂流記なんです。

なぜ、大きなトラと一緒に漂流??
パイ君は食べられてしまわないの?
気になるところですよね。
もちろん、トラがよくなついていたとか、そんな甘いもんじゃありません。
きっちり猛獣です。

救命ボートの上でのエピソードがおそらく90%を占めるこの物語ですが、ちっとも飽きさせないのは素晴らしい筆力です。
久しぶりに読み応え満点の漂流文学を読んだ心地でしたよ。
またこういう本が読めるようになって嬉しかったですね。

映画化決定!なんて帯に書いてありますが、その後どうなったんでしょうねぇ。
結構グロテスクなシーンもあるのですが、どう映像化されるか、実現したら嬉しい話だなと思います。