モンブランへご来店の皆様、こんばんは。
東京も、夜には涼しさを感じるようになってきました。
誰が言い出したのか知りませんが、秋は読書の季節ということになっていますね。
ペーパーレス化などと言いながらも、毎日のように新刊本が発売され、ちょっと旬を過ぎた本はもう店頭にはなくてアマゾンでしか買えなくなってしまう”本の洪水”時代です。
けれども、そんな中でもずっと読み継がれてきて、これからも若い人たちの誰かがきっと読み続けてくれるであろう、素晴らしいスタンダードがたくさんあります。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」も、たぶんその一つでしょう。
写真は、私が持っている新潮文庫です。
これは札幌の書店のカバーがかけられています。
ページはものすごく黄ばんでいます。(^^;
カバーに書かれた文字は、父のもの。
これは上京する時、父の蔵書をもらってきたのです。
父は、作家などではありませんが、ずっとものを書く仕事をしていたので
字が”そういう仕事の人”の字ですね。
達筆というより、書く速さで勝負というか・・・。
奥付を見ると、私が10歳の時に買ったようです。
ということは、父はそれなりのおじさんだったわけで、
自分で読むためではなくて、私や妹に読ませようと思って買ったのでしょうね。
たぶん父が買ってすぐに、私はこの本を読んだと思います。
昔の文庫本ですから活字がちっちゃいのですが、この童話集はとても面白くて、父の本棚から取ってほんとうに何回も読みました。
中1の学校祭のクラス劇で、子供ながらにがんばって私がこの物語を脚本にして、皆で演じてもらったこともあります。
その時もこの本を使いました。
私も自分の脚本の端役で出演しました。
確か、準優勝だったかな。
いつの間にか父に譲ってもらっていて、それからはずっと私の本棚にあり続けています。
たまに古本の匂いをかぎながら茶色いページを読み返す、大事な財産本の一つです。
調べてみると現在は「新編 銀河鉄道の夜」となっていて、カバーの銀河鉄道のイラストは変わらないのですが、中に収められている他の作品が入れ替わったり、巻末の解説が変わったりしているそうですね。
きっと字も大きくなっているのでしょう。
少年たちが「どこまでもいっしょに行こう」と、ケンタウル祭の夜に銀河鉄道で旅をする、不思議なお話・・・。
しゅんけいはまだ読んだことがないと思いますが、いつか彼らが読むならば、
父に譲り受けたこの本で、銀河の初旅行をしてもらえたらと思います。