その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

モネ展 @国立西洋美術館

2014-01-30 23:05:03 | 美術展(2012.8~)


 国立西洋美術館で開催中のモネ展に行きました。

 国立西洋美術館とポーラ美術館の共同企画で、両館が所蔵するモネの作品を「絵画空間の構成という観点から、他の作家の作品との比較を通して、風景に注がれたモネの「眼」の軌跡を辿る」(国立西洋美術館HPより)というものです。比較としては、セザンヌ、ゴッホ、スーラ、ピサロと言った同時代の印象派や印象派に近かった画家たちの絵が展示されていました。

 印象派の絵は、難しいことを考えるより、あるがままにぼんやりと鑑賞するのが好きなので、キュレータの方には申し訳ないですが、あまり企画意図とかは気にせずに館内をぶらつきました。金曜日の夜間開館時間帯は人もさほど多くないので、ゆっくりとマイペースで美術館に浸るのには最高の時空間です。私のささやかな贅沢のひと時です。


≪この程度の混み具合です≫

 国立西洋美術館の常設展や松方コレクションは見たことあるのですが、ポーラ美術館は行ったことがありません。今回の展示作品のかなりがポーラ美術館所蔵のものでしたので、そのコレクションの豊富さには驚かされました。

 特に、晩年の作品として有名な「睡蓮」の絵は、2枚が展示されてましたが、そのうちのポーラ美術館蔵の作品(上記添付の上段の絵)に魅かれました。遠くから見ると、水面に光が反射した描写がまるで、現実の池と睡蓮がそこにあるようです。近づくと、その輝きがスーッと消えていきます。生き物ですね。

 贅沢をいえば、美術館は夜間開館の際は、もう少し閉館時間を延ばしてもらえないでしょうか?8時ではちょっと早すぎます。急いで退社しても到着は7時直前、あと1時間、せめて30分でも延ばしてもらえると、もっとゆっくりできるのですが・・・。まあ、ロンドン出羽守にはなりたくないのですが、テートモダンやロイヤルアカデミーは金曜日夜10時まで開館してくれてましたので・・・。ご検討宜しくお願いします。

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この人ほんとにイタリア人? ルイージ指揮/N響1月定期Aプロ

2014-01-27 22:19:12 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 もう既に、多くのツィート、ブログで触れられているので、これ以上言うこともないのですが、ルイージさん指揮N響のオルフ「カトゥリ・カルミナ」と「カルミナ・ブラーナ」、素晴らしい公演でした。ルイージさんの棒の元、合唱、独唱、オケが一体となって、構成美と壮大さを併せ持つこの音楽の醍醐味を味あわせてくれました。終演後、熱狂的な拍手に包まれたのも納得です。

 今回、私の一番のサプライズはルイージさんでした。2011年3月にロイヤルオペラでこの人が振った「アイーダ」を聴いているはずなのですが、あまり記憶に残ってませんでした。公演前に「イタリア人」、「(派手な)メトロポリタン歌劇場の首席指揮者」という経歴を拝見し、濃い~顔立ちの、いかにものイタリア人指揮者(ムーティとか、シャイーみたいな人)をイメージしていたのですが、全く違いました。

 学者さんのような容貌で、かつ端正で折り目正しい身のこなしは全然私が勝手に思っているイタリア人っぽくない。指揮ぶりは、情熱的ではあるけども、決して情を押し通すわけではなく、理と情が絶妙のバランスで同居している。「カルミナ・ブナーラ」は大編成のオケと合唱、そして独唱と全部で200名前後の人がステージに居ると思うんですが、強い統率力で、素晴らしい集中力と表現をパフォーマー達から引き出していました。

 日頃、あまり評判が宜しくないN響会員の皆様も、ルイージさんの棒に引き付けられるように、集中力一杯で聴いていいるのが分かります。ほぼ満席となったNHKホールが水を打った静けさのような張り詰めた空気の中で、音楽が奏でられて、いつもとは全然違うNHKホールでした。

 もちろんルイージさん以外にも素晴らしいところ一杯ありました。独唱陣よりも存在感・貢献度で際立っていた合唱団、ソプラノのエルトマンさんの清楚で美しい声と佇まい、主役ではなくともしっかりと舞台を締めるN響の演奏などなど。熱く、痺れ、胸が一杯になる演奏会でした。

 間違いなく、今回の演奏会は長く記憶に残るものになりそうです。



第1774回 定期公演 Aプログラム
2014年1月26日(日) 開場 2:00pm 開演 3:00pm

NHKホール

オルフ/カトゥリ・カルミナ*
オルフ/カルミナ・ブラーナ**


指揮:ファビオ・ルイージ

ソプラノ:モイツァ・エルトマン
テノール*:ヘルベルト・リッパート
テノール**:ティモシー・オリヴァー
バリトン**:マルクス・マルクヴァルト

合唱:東京混声合唱団
合唱**:東京藝術大学合唱団
児童合唱**:東京少年少女合唱隊


No.1774 Subscription (Program A)
Sunday, January 26, 2014 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)

NHK Hall

Orff / Catulli carmina, cantata *
Orff / Carmina burana, cantata **


Fabio Luisi, conductor
Mojca Erdmann, soprano
Herbert Lippert, tenor *
Timothy Oliver, tenor **
Markus Marquardt, baritone **

Tokyo Philharmonic Chorus, chorus
Tokyo Geidai Choir, chorus
The Little Singers of Tokyo, children chorus
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ケイト・ショートランド監督、 「さよなら、アドルフ」

2014-01-25 00:11:00 | 映画


 第二次世界大戦終了直後のドイツで、ナチス高官だった両親と離れ離れになった4人の兄弟姉妹たち。ハンブルグに住む祖母を訪ねるシュトゥットガルトから厳しい旅の中で、主人公のローレはナチスの真実を知り、旅の途中で出会ったユダヤ人青年トーマスへの交錯した思いと葛藤し、成長していく。原題は主人公の名前「ローレ」だが、本作のサブテーマでもある「ヒットラーとの決別」という点を捉えて「さよなら、アドルフ」と邦題を付けたのは、なかなかセンスが良い。

 これまでナチスを巡る映画はいくつか見てきたものの、ナチスの子どもの視点で第3帝国とその戦後を描いた映画は初めてで新鮮だった。ナチスの価値観を教育された子どもたちが、どう真実と向き合い、自分の中で消化していくのか。決して、本作に答えがあるわけではないが、大人とは違った難しさがあることは良く分かる。

 また、日本の戦後についての映像や記録は散々見ているが、同じ敗戦国であったドイツの終戦直後を舞台にした映画も初めてで興味深かった。多くの大人たちは依然ヒットラーの絶対的正しさを信じていたようだし、ドイツ戦後処理の前工程となった連合国の分割統治の雰囲気も分かった。

 だが、何よりも本作の軸は主人公ローレを演じたサスキア・ローゼンタールの好演だろう。思春期の少女が旅の苦難、年長者として兄弟をリードしなくてはならない責任、ユダヤ人青年への思いの変異などが、自然体の演技の中でしっかりと主張されていた。可愛いティーンエイジャーが少女から大人の世界に踏み入れていく変化を上手く演じていた。

 映像・音楽の美しさも印象的だ。ドイツ敗戦という国の状況の厳しさと好対照なぐらい美しいドイツの森や池といった自然。戦争やナチスの残虐性、現実感とは、全く別世界のようである。クラシック調のサントラも映像の雰囲気とぴったりあっていた。

 テーマは重く、エンディングもやや意表を突く形で終わる(私はてっきり祖母の家に辿り着いてハッピーエンドかと思っていた)。だから、決して観て爽快感が味わえる映画ではないが、戦争と個人の関係をリアルに考えさせる、価値ある映画である。同じ第2次大戦を捉えたフィクッションではあるが、「永遠の0」より本作の方が、感情に流されることなく戦争について考えさせる点においてわたし好みであった。



スタッフ
監督: ケイト・ショートランド
製作: カーステン・シュテータール, リズ・ワッツ, パウル・ウェルシュ, ベニー・ドレクセ
原作: レイチェル・シーファー
脚本: ケイト・ショートランド, ロビン・ムケルジー
撮影: アダム・アーカポー
編集: ベロニカ・ジェネット
音楽: マックス・リヒター

キャスト
サスキア・ローゼンタール: ローレ
カイ・マリーナ: トーマス
ネレ・トゥレープス: リーゼル
ウルシーナ・ラルディ: ローレの母
ハンス=ヨッヘン・バーグナー: ローレの父
ミーカ・ザイデル: ユルゲン
アンドレ・フリート: ギュンター
エーファ=マリア・ハーゲン: ローレの祖母

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ジェームズ・アイヴォリー監督 映画『日の名残り』

2014-01-22 23:27:24 | 映画


 冬休みに読んだ「日の名残り」を早速DVD鑑賞してみた。

 原作は心理描写、場面描写が優れていて、読んでいて映像が目に浮かぶようだったのだが、映画はそのイメージを全く損なうことなく映像化がされているのに驚いた。お屋敷の部屋、庭園、そしてそこに住む人、働く人々、原作が忠実に映像化されている。

 原作は主人公であるイギリスの歴史的マナーハウスの執事スティーブン氏の仕事と恋の両方の物語に読めたが、映画ではスティーブンスと女中頭ミス・ケントンの成就しない恋に中心に置かれている。

 原作では描ききれない映画ならではのプラスαもあった。ミス・ケントンにより近づくことができたことである。原作はスティーブンスの視点で書かれているので、ミス・ケントンについてはスティーブンスの目から見たミス・ケントンしか分からない。その点、映画はスティーブンス氏中心ではあるものの、より客観的に二人の関係性が描かれるので、ミス・ケントンのスティーブンスへの思い、いらだち、迷いがより理解できる。

 そして何よりも、スティーブンス氏を演じるアンソニー・ホプキンスとミス・ケントン役のエマ・トンプソンの演技が素晴らしい。ホプキンスは抑制された仕草、表情の中で、主人公の品格ある執事を見事に演じる。実力派俳優の本領発揮だ。トンプソンも良かった。誇りある女中頭だけども、恋心を抱く男性には思いが交わらず、別の男性から求婚される女性としての複雑な内面を表現する。二人の演技は深く胸に残る味わい深いものになっている。

 本作を未読、未見の方は、是非、原作と映画の両方の鑑賞を強くお勧めしたい。順番としては、原作→映画の方がより映画の理解が深まり、良いかと思う。



スタッフ
製作総指揮 - ポール・ブラッドリー
製作 - ジョン・キャリー、イスマイル・マーチャント、マイク・ニコルズ
製作補 - ドナルド・ローゼンフェルド
監督 - ジェームズ・アイヴォリー
原作 - カズオ・イシグロ
脚色 - ルース・プロワー・ジャブヴァーラ、ハロルド・ピンター(クレジット無し)
撮影 - トニー・ピアース=ロバーツ
音楽 - リチャード・ロビンズ
提供 - コロンビア映画

キャスト
ジェームズ・スティーヴンス - アンソニー・ホプキンス
ミス・ケントン - エマ・トンプソン
ダーリントン卿 - ジェームズ・フォックス
ルイス - クリストファー・リーヴ
ウィリアム・スティーヴンス(スティーヴンスの父親) - ピーター・ヴォーガン
カーディナル(ダーリントン卿が名付け親になった青年) - ヒュー・グラント
スペンサー - パトリック・ゴッドフリー
デュボン・ディブリー - マイケル・ロンズデール

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強風との格闘 @サンスポ千葉マリンマラソン

2014-01-19 18:47:23 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 2014年の走りはじめ。サンスポ千葉マリンマラソンのハーフマラソンの部に参加しました。

 スタート1時間程前に会場に到着しましたが、強い風と寒さに閉口。受け付けを済ませた後、スタジアムの通路を吹き抜ける風に凍えながら着替えるものの、ゼッケンも手がかじかんでピンがうまく付けられなかったりで、準備が完了したのはスタート10分前。準備運動も十分できないままスタートラインに並びました。出走者が10000人を超えるレースですので、スタートエリアは壮観です。


≪寒さと風を除いては素晴らしい晴天≫

 高橋尚子さんと小出義男監督の激励を受けながらスタートしたレースは、前半は完全に追い風でとっても走りやすい。気持ち良く走れました。先週末に購入した新しいシューズも軽くて、弾むような感じです。


≪朝日を受けながら、ランナー達は幕張から稲毛、千葉方面に向かいます≫

 10キロを過ぎると今度は真っ向からの逆風。風を避けようと集団の中に入ってみたりしましたが、あまり効果がないようでした。嬉しかったのは、稲毛海浜公園の入り口で、声援してくれていた高橋尚子さんとハイタッチ。元気を貰いました。公園内では地元の子供たちによる太鼓パフォーマンスもあったりで、終盤を迎え単調になりがちなレースを盛り上げてくれます。


≪太鼓パフォーマンス≫

 一番の難所はゴール2キロちょっと前にある美浜大橋。何も遮るものが無い中で、海からの強風が直撃。アーチ型の橋の登りでは、前に進むどころか、後ろに下がってしまいそうな感じ。東京湾を挟んで東京・川崎方面や富士山が見渡せるのは絶景でしたが、ここはつらかった。


≪荒れた東京湾の向こうに京浜工業地帯と富士山がうっすら見えます≫

 ゴールは千葉マリンスタジアム(今の名称はQVCマリンフィールドらしい)。フィールドの人工芝を踏みながらのゴール気分は最高です。


≪スタジアム前でQちゃんがランナーを応援。2度目のハイタッチのチャンスは逃してしまった≫


≪QVCマリンフィールドの人工芝は思ったより深くてふわふわでした≫

 記録は1時間53分台前半と久々の55分切りで上出来です。殆どアップダウンのないコースが良かったのだと思いますが、今年一年のスタートとしてはベストなレースとなりました。

 この大会はコースも広くて走りやすいし、運営もしっかりしているので、来年も是非参加したいと思います。スタッフの皆様もお疲れさまでした。ありがとうございました。

 2014年1月19日
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與那覇 潤 『日本人はなぜ存在するか』 知のトレッキング叢書

2014-01-18 08:41:50 | 


 冬休み中の読書2冊目。友人から紹介されて読んだ本。

 様々な社会科学のアプローチを使って、日本史、日本人、日本文化を読み解くなかなか面白い本である。著者による大学教養課程の授業をネタにしているためか、非常に分かりやすく書かれているが、内容は濃い。

 「再帰性」をベースに、我々が考えている日本史、日本人、日本文化といったものが、どのような認識のもとに形作られているのかを明らかにしてくれる。「日本の歴史や文化を考えるというのは、最初から「実在」するものとしてのそれらを過去に探しにゆくことではなく、逆にそれらが存在するかのように人々に思わせてきた、再帰的な営みの軌跡をただること」(p33)というのが筆者の基本スタンスである。

 私自身、いろんな歴史本や文化論をつまみ読みしているものの、再帰性をベースに心理学、社会学、民俗学、地域研究、カルチャルスタディーズ、比較文学、思想史、倫理学など活用した分析は初めてだったので、新たな視座が得られて大変勉強になった。取り上げられるトピックスも、日本人、「3丁目の夕日」の昭和30年代、選挙権(戦前には植民地出身者の朝鮮人、台湾人にも選挙権があった)、ウルトラマン、「民族」、ジャパニメーションなどなど、幅広い。

 再帰性で何もかも説明しようとするところには違和感を感じないわけではない。再帰性が歴史や文化を考えることに影響を与えることを理解しつつも、事実はやはり存在するわけだから、事実と再帰性を意識しながら、歴史を考えることが大切なのだと思う。

 教養が少しは身に着いた気にさせてくれる一冊である。

 (★★★☆☆)




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山崎貴 監督/ 映画 『永遠の0』: いろんな意味で「良く」できた「フィクション」

2014-01-15 00:01:27 | 映画


 ヒット上映中の映画『永遠の0』を見に行きました。2年前に原作を読んで、なかなか良かったので、あの原作がどう映像化されるかを楽しみにしていました。

 2時間20分余りの上映時間は少々長いですが、原作の良さをしっかりと引き出した佳作で、興行成績が良いのも納得しました。特に、俳優陣が熱演です。主人公を演じた岡田くんを初め、各俳優陣が持ち味をしっかり出していて好感が持てました。ジャニーズの岡田くんには正直あまり期待してなかっただけに、落ち着いた内省的な演技には大拍手です。今年のNHK大河ドラマの主役を張るだけはありますね。

 最近、原作者百田氏の保守的発言をしばしば目にする機会があり、本作が懐古的なゼロ戦や戦争美化映画になっているのではと危惧していたのですが、それは杞憂でした。現実の戦争の前線はもっと血なまぐさい、殺伐としたものではないかと思うので、映像がちょっと美し過ぎるのではとは思いましたが、本作は戦争を美化するようなところは無く、戦争に参加せざる得なかった一日本人兵士の家族や仲間への愛、それらと自己の信条との葛藤が描かれており、十分に感情移入できる内容です。

 この映画を見ているとどうしても昨今の靖国参拝議論を考えてしまいます。この映画に登場する戦争に駆り出された人達、それも特攻隊という非人道的かつ非合理的な作戦に命を投げださざるえなかった兵士たちと、この戦争を指導し、作戦を立てた指導者層が、同様に祀られるのは、やっぱりおかしいのではないかと一般感覚としては感じざる得ません。日本人はこの戦争の「敗戦」責任を、自分たちで総括ができてないと改めて考える次第です。

 非常に良い原作、映画であると思うのですが、ストーリーがあまりにも上手く出来すぎているところは、あまのじゃくな私としては少々鼻白むところはあります。主人公にしても、軍隊や戦闘の中であそこまでの言動が本当に可能だったのかと言ったリアリティについても一歩引いてしまいます。まあ、フィクションなのだからと割り切るべきなのでしょうが・・・



≪スタッフ/キャスト≫
監督 山崎貴
原作 百田尚樹
音楽 佐藤直紀
脚本 山崎貴 、林民夫

岡田准一(宮部久蔵)
三浦春馬(佐伯健太郎)
井上真央(松乃)
濱田岳(井崎)
新井浩文(景浦)
染谷将太(大石)
三浦貴大(武田)
上田竜也(小山)
吹石一恵(佐伯慶子)
田中泯(景浦(現代))
山本學(武田(現代))
風吹ジュン(清子)
平幹二朗(長谷川(現代))
橋爪功(井崎(現代))
夏八木勲(賢一郎)

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N響 1月C定期/ ヴェデルニコフ指揮 ・・・年明けにぴったりのプログラム

2014-01-11 20:29:12 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 2014年コンサート初めです。昨年の秋に始まったN響2013/2014シーズン、N響は9月から12月まで相当聴き応えのある演奏を連発してくれたので、今年も大いに期待です。一方で、昨年の年明け定期演奏会で、ジンマンさん指揮のマーラー7番が相当イケてなかった覚えがある(こちら→)ので、今日は大丈夫か、ちょっぴり不安も。


≪NHKホール前。冬晴れの昼下がりです≫

 その心配は全くの杞憂でした。新年早々から充実した演奏会でした。ロシアの指揮者アレクサンドル・ヴェデルニコフさんは私は初めてですが、ロシア人らしい非常に大柄な体格から、スケールの大きな音楽を聴かせてくれました。

 今日はロシア・プログラムです。私が聴いたことがある唯一の曲は2曲目のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。今日は韓国系アメリカ人ジェニファー・コーさんの独奏です。ワインレッドの映えるドレスで現れたコーさんのヴァイオリン演奏は堅実なもので、感傷的すぎず、かと言って機能的すぎるというわけでもない微妙なバランスに立った演奏に聴こえました。ただ、ちょっと私とは何故か波長が合わず、今ひとつ捉えどころがない感じ。オケとのコンビネーションももう一つしっくり合ってなかったような気がしました。それでも、演奏後はブラボーの嵐でしたので、これは私の正月ボケのせいでしょう。途中、ちょっとウトウトもしちゃったし。

 私としては、このヴァイオリン協奏曲を挟んだ2曲の演奏がお気に入りでした。グラズノフの演奏会用ワルツ第一番は、年の初めを飾るに相応しい、晴やかな小品。そして、「眠りの森の美女」もバレエ音楽らしく、華やかだったり、ウキウキしたり、爽快だったりで、舞台のバレエが目に浮かんでくるようです。ステージ一杯に広がったN響の演奏も、金管の音が良く響き、木管の音色も美しい。かつ全体のアンサンブルもN響っぽく良くまとまってました。ヴェデルニコフさんの全体を大きくまとめていくという風の指揮とN響の組合せが良いのでしょう。

 肩に力が入らず、親しみやすい音楽で、しかも爽快感付き。やっぱり、年明けはマーラーとかよりも、こういうプログラムで、明るくリラックスしてスタートさせるのが良いね。きっと、団員の皆さんもそう思われたのではないでしょうか。


≪コーさんのアンコール曲≫



NHK交響楽団
第1772回 定期公演 Cプログラム
2014年1月11日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm

NHKホール

グラズノフ/演奏会用ワルツ 第1番 作品47
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
チャイコフスキー/バレエ音楽「眠りの森の美女」作品66(抜粋)

指揮:アレクサンドル・ヴェデルニコフ
ヴァイオリン:ジェニファー・コー


No.1772 Subscription (Program C)
Saturday, January 11, 2014 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)

NHK Hall

Glazunov / “Valse de concert” No.1 op.47
Tchaikovsky / Violin Concerto D major op.35
Tchaikovsky / “The Sleeping Beauty”, ballet op.66 (excerpts)

Alexander Vedernikov, conductor
Jennifer Koh, violin
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カズオ イシグロ 『日の名残り』  (ハヤカワepi文庫)

2014-01-10 00:49:56 | 


 冬休みに読んだ一冊。

 イギリスの伝統あるマナーハウスに務める執事を主人公とした大人の仕事と恋の物語。平易な文章のなかに、味わい深い心理描写、環境描写が織り込まれており、深く胸に残る一冊だった。

 イギリス人らしい(と私が勝手に思っている)良心的職業意識、対人感情の細やかさや配慮、そしてその発露の仕方が、さりげなく描かれており、古き良きイギリス人の魂を覗き読むような感覚になる。イギリスでもブッカー賞という権威ある賞を取ったということなので、イギリス人の胸にも深く刺さるものがあるのだろう。

 読みながらイギリスの田園風景、マナーハウスの様子が頭の中で映像となって浮かんでくる文章力は素晴らしい。訳が上手いというのもあるのだろうが、原文で味わってみたいと思わせる文体やリズムがある。アンソニー・ホプキンスが主演して映画化もされているようだが、こちらの方も見てみたい。

 普段、ビジネス書を中心にノン・フィクションを手に取ることが多く、小説に触れる時間はなかなか取れないのだが、小説の面白さ、楽しさを十二分に感じさせてくれる一冊で、本って良いなあとしみじみとした読後感が残った。

★★★★★

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旧作との比較さえしなければ・・・ 映画 「ルートヴィヒ」

2014-01-07 21:06:25 | 映画


 「狂王」の異名で知られる第4代バイエルン国王(在位:1864年 - 1886年)ルートヴィヒの若き日から死までを描いた映画「ルートヴィヒ」を見に行きました。映画「ルートヴィヒ」といえば、名匠ヴィスコンティ監督の作品『ルードウィヒ/神々の黄昏』が有名ですが、それがどうリメイク(?)されるのか興味がありましたし、「ドイツ映画界がワーグナー生誕200周年に贈る、珠玉の歴史超大作」というキャッチ・コピーにも魅かれました。

 しかしながら、上映時間の2時間20分、それなりに楽しむことはできましたが、期待には届きませんでした。まず、キャストに違和感ありです。若き日のルートヴィヒ役、婚約者ゾフィ役、オーストリア皇后エリザベテート、いずれも、何か違う。ルートヴィヒは「ヨーロッパ一の美貌を謳れた」程ではないし、ゾフィは村の女の子的、エリザベテートも美貌で鳴らしたはずなのですが・・・というわけで、私的にはちょっとBoo。ドイツではどういう評価だったのか知りたいところです。

 あと、ルートヴィヒへの切り込みもどうでしょうか?平和、芸術、美といった理想の世界と戦争、政治、権力といった現実の世界の狭間に立つ主人公の悩みは描かれていたものの、継ぎはぎ的で中途半端な感じが否めませんでしたし、ワーグナーとの関係も個人的にはもう少し描写が欲しかった。

 ヴィスコンティの作品を見たのは1回きり、それも確か10年以上前なので、「見た。長かった。疲れた。」というところ以外の実際の内容についてはほとんど覚えてないのですが、それでもあの映画を見たときの重厚感や心理的描写の迫力が、今回の作品には足りないなあと思ってしまったのでした。

 それでも、ノイシュヴァンシュタイン城やリンダーホーフ城などの映像は美しいですし、バックに流れる「ローエングリーン」の音楽には背筋がぞくぞくさせる魅力があります。旧作との比較ということさえ行わなければ、見どころの多い映画ではありますが、旧作を見て好きだった人になればなるほど、本作にはちょっと物足りなさが残りそうです。

※1月17日まで 東京では有楽町スバル座のみ上映(この映画館、レトロな雰囲気満載でおもろいです)


監督 マリー・ノエル 、ピーター・ゼアー
音楽 ブリュノ・クーレ
脚本 マリー・ノエル 、ピーター・ゼアー

ザビン・タンブレア(ルートヴィヒ2世)
ゼバスチャン・シッパー(ルートヴィヒ2世/老後)
ハンナー・ヘルツシュプルンク(オーストリア皇后エリザベート)
エトガー・ゼルゲ(リヒャルト・ワーグナー)
トム・シリング(オットー)
ポーラ・ビール(ゾフィ)
フリードリヒ・ミュッケ(リヒャルト・ホルヒニ)
ユストゥス・フォン・ドナーニー(ヨハン・ルッツ)
ザムエル・フィンツィ(-)
ウーヴェ・オクセンクネヒト(-)
アウグスト・シュメールツァー(-)

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お伊勢参りに行ってきた B級ぐるめ篇

2014-01-05 07:31:42 | 旅行 日本
 旅行の楽しみの半分を占める食事。今回もいろいろ頂きました。


≪往路の新幹線の中での朝食に、お伊勢参りをする江戸時代の旅人弁当をイメージした駅弁「参りましょう」。中身の写真を撮るのを忘れましたが、伊勢ひじきを炊き込んだおにぎり、黒米おにぎり、青菜おにぎりに、鶏肉のあおさ揚げや、伊勢茶を練り込んださつま揚げなどが入っており、結構イケます。≫


≪伊勢といえばまずは伊勢うどん。独特のネバネバ太麺と濃いタレの組合せは、ご当地ならではです。お伊勢出身の同僚に教えてもらった名店「福野屋」さんで(伊勢市駅から歩いて7分ほど)。自家製麺です。≫


≪外宮参りの後に立ち寄った茶店にて一休み。伊勢と言えば「赤福」。寒い宮内で冷えた体にしるこが浸みます≫



≪2日目の昼食。内宮さんを参った後に、おはらい町通りのこれまた老舗すし久の手こね寿司。醤油に漬けたカツオが酢飯の上に載っています。カツオも美味しいですが、私は酢飯がとっても気に入りました≫


≪すし久のお店前。江戸時代の料理屋や旅籠を思わせる作りです。店内も広いです。間口に観光客が鈴なりになって待っていましたが、お店の奥行きがとてつもなく深いので、10分ほど待っただけで入れました≫


≪おかげ横丁にて食後のスナック。地元で採れた貝をおじさんが顔を真っ赤にして焼いてくれます≫


≪伊勢神宮御料酒の白鷹にて。半合から呑むことができます。さっぱりした中にお米の香りがふんわりと≫


≪帰路の新幹線。名古屋駅の高島屋のデパ地下で。名古屋と言えば、山ちゃん≫


≪山ちゃん以外の手羽先もトライ。こっちの方が肉がしっかりしていて断然美味し≫


≪〆は天むすで≫


 あ~、食った、食った。お腹一杯。

 2013年12月28-29日

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お伊勢参りに行ってきた

2014-01-03 20:37:20 | 旅行 日本
 新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。

 カレンダーの巡りで、今回は長い年末年始のお休みとなったので、年末に1泊2日でお伊勢参りに行ってきました。伊勢神宮は行ったことが無かった上に、遷宮の年となった昨年はいろんなメディアで伊勢神宮についての紹介を目にしましたので、一度是非訪れてみたいと思っていました。

 カメラが不調で碌な写真が残っていなかったのですが、何枚かましなものを記録としてアップします。

 神宮参拝の順路はまず外宮からというのがお決まりのようなので、私もそれに倣い、当地に到着した初日の午後は外宮を訪問しました。外宮がお祭り申し上げる豊受大御神(とようけのおおみかみ)は食物・穀物を司る神で、衣食住、ひろく産業の守護神としてあがめられているとのことです(伊勢神宮のHPより)。


≪外宮の参道≫


≪古い正宮≫

 当日は曇り空に時折陽が差す天気だったのですが、敷地内の高い木々の隙間から覗く空と雲の不思議な色合いが、神社内の厳粛な雰囲気に更に神秘性を加えている感がありました。

 翌日は内宮巡り。内宮では、皇室の御祖神であり、日本で最も貴く、国家の最高神とされている天照大御神(あまてらすおおみかみ) をお祀りしています。

 10時半過ぎに到着した時には既に人が一杯。HPには「五十鈴川の清流にかかる宇治橋を渡ると参道は深い森につつまれ、静かで神々しい空気を感じることができるでしょう。」と書いてあるのですが、人があまりにも多く、「静かで神々しい空気」にはちょっと遠い感じがしたのは否めません。

 それでもやはり、日本の神様の総本山であり聖地。独特の厳粛で神聖な雰囲気に浸れます。


≪新年が近いせいか、奉納されたお酒≫


≪正宮を臨む≫

 敷地内には「別宮」と呼ばれる分家の神様たちを祀ってるお宮もいくつかありますので、一つ一つ巡っていると1時間半はかかります。そして、お参りの後はおはらい町/おかげ横町と呼ばれる参道筋を散策。


≪ピンボケの良く分からない写真ですが、こんな感じです≫


≪有名な「赤福本店」。すごい行列でした≫

 1泊2日で余裕を見たスケジューリングのはずだったのですが、結局、外宮と内宮を訪れるに留まり、伊勢神宮関連の博物館や他の神社、名所まではとても見て回る余裕がありませんでした。季節や時間帯等によっても受ける印象はかなり違うとも思うので、またいつか違ったタイミングで訪れてみたいと思います。あと、食べ物系のネタは次回にご紹介します。


≪何十年ぶりに乗った近鉄ビスターカーで名古屋へ≫

 2013年12月28‐29日
コメント (2)
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