その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

堤未果 『ルポ 貧困大国アメリカ 2』 (岩波新書)

2011-03-30 23:47:42 | 
前編の勢いで、一気に続編も読んだ。

希望の星であったオバマ氏の大統領就任。しかし、それ以後も事態には一向に改善が見られないアメリカ。本編は、学資ローンに苦しむ学生たち、企業の社会保障の破綻により生活が脅かされる高齢者、医療保険業界と政治の結びつき、民営化される刑務所などの事例をもとに、現代アメリカ社会の影の部分を描く。

前編同様、筆鋒は鋭いがかなり偏ったジャーナリスティックな文調は、個人的には好みではない。例えば、学業やクレジットのローンに苦しむ若者も、後先の見込みも立てずにまずは借りて消費というアメリカ人の生活習慣そのものも大きな問題だと思う。また、企業の社会保障だって、これまでの兎に角自分たちの権益拡大しか励んでこなかった労働組合が、その手厚い社会保障により会社が潰れるという、ある意味自滅と言えば自滅とも言える側面もある。こうした事象を、消費主義をあおる企業、短期利益のために労働組合との目先の妥協しか考えない経営者といった書き方は、アジテーションに近いものを感じる。

しかし、前編と同様の感想だが、今、アメリカで起こっている事実の側面を知るという意味ではとても有益な本である。若かりし頃、人種差別、治安など大いなる問題は抱えつつも文化、生活面で私の憧れの国であったアメリカは、もう姿・形を変えているようで悲しい。4700万人の国民が無保険者とは、ちょっと信じがたい。

事実と意見を十分注意して、論点は何なのかを意識して読む必要がある。数字も、単位が何で、%の分母が何なのかをよくよく気にしながら読みたい。そうすれば、国の役割とは何か?個人が責任を持つと言うことは何なのか?資本主義の光と影?といった問題に、とっても良い視座を与えてくれる。
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堤未果 『ルポ 貧困大国アメリカ』  (岩波新書)

2011-03-29 10:15:51 | 
現代アメリカの影を伝えるルポルタージュ。

安くてカロリーの高いファーストフードに走り肥満化する貧困層、救済施策から取り残されたハリケーンカトリーナ被災者、高い医療費負担で破産する中間層、株式会社化する病院により増加する医療過誤、落ちこぼれゼロ化政策とセットで導入された若者徴兵政策、戦争請負会社が支える戦争などなど、新聞等を通じて断片的に目にするアメリカ社会の一面をいろんなケースで紹介してくれる。そして、筆者はこれらの現象を、「教育」「いのち」「くらし」という政府の主要業務が「民営化」され市場の論理で行われるようになった結果としている。

かなり主観的かつ扇動的な文章なので、分析や主張には読んでいても首を傾げるようなところも多い。起こっている現象の全ての原因を、民営化、競争導入、市場原理に押し込む論法は一方的で、事象の構造的な理解や将来への処方箋につながるものでもない。

ただ、こうしたことを割り引いても、今、アメリカという国で何が起こっているかを理解するには、非常に有益である。そして、これは既に日本でも起こり始めている事象であることも容易に気付く。社会的弱者へのセフティーネットの当て方、政府・政策の役割などについて考えるきっかけになる。

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ソールズベリー大聖堂

2011-03-28 10:58:25 | 旅行 海外
 ロードレース終了後、せっかくなのでソールズベリー大聖堂へ立ち寄ることにしました。2年前にバスツアーで訪れた際は充分に時間が取れなかったし、見所の一マグナカルタ原本が、保管場所のチャプターハウスが既に閉館していて見ることが出来なかったためです。

 ソールズベリーは、規模的にも大きすぎず小さすぎずで、雰囲気も古さと新しさが上手くミックスした、落ち着いた街です。





 欧州に来て以来、いくつもの教会を見てきましたが、この大聖堂の美しさは格別です。


 聖人達の彫り物もすごく精巧です。


 中ももちろんとっても大きいです。ただ、教会内は比較的質素で、ステンドガラス、絵画、歴史的遺物の品々は、ヨークの大聖堂、カンタベリー大聖堂、セントポール寺院などのほうが、いろいろあるような気がします。
 



 前回は入れなかったチャプターハウスへ。この部屋の美しさは格別です。8角形のテント小屋のような造りなのですが、幾何学的な造形の美しさ、白と黄みがかかった壁、窓から差し込む光、大聖堂とは違う別世界に入り込んだ気になります。そして、その部屋の奥に、4本あるマグナカルタの原本が置いてあります。チャプターハウス内は撮影禁止なので、同ホームページからチャプターハウス内の写真とマグナカルタの写真を拝借。

 

 あと、聖堂に隣接したカフェテリアがなかなか面白い造りになっていて、天井がガラス張りになっているので、大聖堂の美しさを味わいながら、お茶や食事が楽しめます。



 大聖堂をあとにして、大聖堂の周りを散策。ナショナルギャラリーの中で私が好きなジョン・コンスタブルの大聖堂を描いた絵が、どこから描かれていたのかを探りに、歩きました。この絵です↓。


 この絵のポストカードでも持ってくれば良かったのですが、急に思いついた自己企画だったので、記憶を頼りにここかなあ、あそこかなあとウロウロ。









 結局、「ここ!」というところは見つからずじまいでしたが、360度どこから見てもこの大聖堂は本当に美しいということが確認でき、益々好きになりました。

 ※ソールズベリー大聖堂のHPはこちら→
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初春のソールズベリー(Salisbury)を走る

2011-03-26 20:34:23 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 2週間ほど前の週末、ロンドンから150キロ程に南西にあるソールズベリーという街まで遠征しました。10マイルのレースに参加のためです。ソールズベリーは大聖堂や近郊にある巨大石遺跡群ストーンヘンジで有名なところです。2年前にロンドンからのバスツアーで大聖堂だけを駆け足で見学したことがあるのですが、1時間ちょっと居ただけなので、もう一度訪れてみたかったところなのです。

 ロンドンから列車で1時間半かかりますが、幸いこのレースは10時30分スタートなので、日曜日の朝一番の8時15分ロンドン・ウオータールー発に乗れば、ギリギリ間に合います。車中、同じレースに参加するという若者が、私が被っていたTOKYOマラソン出場記念帽子をみて、話しかけてくれました。若者特有のクセのある話し方でやたら英語が分かりにくかったですが、「村上春樹が好き」で、「彼のランニングのエッセイも読んだ」と言います。地震のことも、家族に被害は無かったかと心配してくれました。「今日の目標タイムは1時間ぐらい」と言っていましたから、相当本格ランナーです。

 大会は参加者500名弱のこじんまりした大会です。鉄道を挟んで大聖堂とは反対のソールズベリーの北エリアを走ります。


(イングランドの大いなる田舎)


 天気は曇り空でしたが、イングランドの田舎風景を満喫できる素晴らしいコースでした。牧草地の横を穏やかな小川が流れ、所々に茅葺き屋根の家も残されています。静かで、平和で、時間の流れが止まった様な、これぞイングランドの田園地方と言う感じです。走り抜けるのもったいないほどの自分好みの風景で、ずーっと感動のしっぱなしで走っていました。

(景観地区になっているのか、茅葺き屋根の家を結構見かけます)


(コースの横にはこんな小川がゆっくりと流れています。中間地点あたりで川を横切って折り返し。)


(折り返して、街に向かいます。遠くにソールズベリー大聖堂の塔が見えるのですが、分かりますでしょうか?)


 走りとしては前回のハーフマラソン同様マイル8分20秒、10マイルで1時間24分を目指して走りました。コースは多少のアップダウンはありますが、気になるほどではありません。風景の素晴らしさから、走っていても気分がいいので、結局、目標よりも若干早い1時間20分で走れました。

 これまでイギリスで10以上の大会に出場しましたが、コースの良さは間違いなくトップ3に入ります。来年も、是非出たい大会です。

 参加賞はTシャツ。メダルはなし。


 2011年3月13日

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週末ジョギング リージェンツ・パーク

2011-03-24 23:06:09 | ロンドン日記 (日常)
 せっかくPCが復活したので、しばらく写真中心のアップをしたいとおもいます。

 まだまだ被災地の東北地方は寒い日が続いているようですが、ロンドンも三寒四温の毎日です。先週末の土曜日の朝、天気も良かったので、リージェンツ・パークまで走りました。

 道すがらの住宅街の木々も花を付け始めています。


 公園内の小川脇にも。


 前日の夜はとっても寒かったので、気の影になっている部分は霜が降りています。


 これは桜ですよね?



 2011年3月19日
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PC復活!!!

2011-03-22 23:56:55 | ロンドン日記 (日常)
 1月後半にいきなり立ちあがらなくなってしまったPCがついに先週復活。それにしても、何とも苛立つ復活で、パソコン持って修理屋さんを訪れ、現象再現しようとしたら、あっさり立ちあがってしまった。赤面・・・・・・

 この2カ月余り、携帯で日本語の文章を作成し、携帯で写真を撮っては、英語しか使えないシンクライアント頼りに、コメントしたり投稿したり。正直、とっても手間暇かかりました。

 これでやっとデジカメ写真をアップロードできます。

 早速、帰路に2枚撮ってみました。

 セントポール寺院 @10:50




 2011年3月22日

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東日本大震災 @ロンドン (その10の補足)

2011-03-21 23:47:10 | ロンドン日記 (日常)
 ゴメンナサイ。昨日の記事は正確ではありませんでした。

 エコノミスト誌に地震に関連した記事が計4本も出ているとご紹介しましたが、4本どころではありませんでした。雑誌の後半にもいろいろありました。


 経済面に3本も記事が出てました。


"Aftershocks: The Japanese earthequake is the latest price of bad news to unsettle invstors"は、今回の地震が株式市場や為替市場に与える影響を解説


"When nature attacks: Bearers of catastrophe risk are likely to ride this one out"は、この災害が再保険業界に与える影響を解説。

そして、論説記事として、
"Economic focus|The cost of calamity: The econmoic impact of natural disaters is often short-lived. Will this be the case in Japan?"で、災害が経済に与える一般的影響と日本もそれに当てはまるのかという論考です。

 明確な結論は書いてありません。一般的には災害が与える経済へのマイナス影響は心配されれるほどに長くは続かないが、今回の日本の場合は、原発事故の行方、金利も既に0に近い中で政策の選択肢もあまりないこと、製造業も生産余力はあまり残っていないこと、などを考えると、地震で失われたものを回復のはより難しくなる心配もあるとしています。

 被災地の方々、救護活動に当たる人には、こんな経済のことよりも、今日・明日の人命、食べ物の方が気になるところではあると思います。が、これらの報道は、この地震と一連の事故等が、世界的なインパクトを持っていることを示す一例と言えます。世界の多くの人にとっても、他人事ではないのです。
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東日本大震災 @ロンドン (その10) Economist誌の日本特集

2011-03-20 20:14:18 | ロンドン日記 (日常)


 かなり気に食わない表紙です。今週のEconomist誌。

 予想通り、特集記事として巻頭記事(”The fallout: Some natural disasters change history. Japan’s tsunami could be one”)から始まり、3ページちょっとにわたる地震被害とその影響のレポート(”Nature strikes back: Can fragile Japan endure this hydra-headed disaster?”)、そして原発事故の記事が2ページ(“The risks exposed: What the damage to the Fukushima plant portends for Japan- and the world”)、そしてアジア各国がこの惨事をどうとらえているか(“Japan and the uses of adversity: The rest of Asia watches with horror, pity and admiration”)記事が1ページと計4本もの記事が出ています。表紙は気に入りませんが、中身はバランスが取れていて、楽観論でもなければ、悲観論でもありません。

 エコノミスト誌は、太っ腹でかなりの記事がインターネットで見ることができます(こちら→)。印刷版とは違う記事もありますので、あわせて読んでも面白いです(そんなこと、滅多にしませんが・・・)。今回の巻頭記事はそのまま掲載されてますので、リンクを貼っておきます。(こちら→)。

 巻頭記事の主な中身はこんな感じです。日本のメディアでも散々書かれていることかもしれませんが・・・

・この惨事(地震・津波・原発事故)は日本だけでなく世界全体に与える影響が大きい。株式市場は既に反応しているし、これからは停電による成長停滞も予想され、日本の部品を調達して製品を作っているアジア諸国のサプライチェーンには影響がもう出ている。

・特に、原発事故の行方は、各国のエネルギー政策や世界の核関連産業に大きく影響を与える。特に、今後、莫大なエネルギーを必要とする中国にとっては他人事ではない。

・原子力の利用は経済合理性や技術面からもエネルギーの調達の一つにあるべきだが、今回の惨事によって、社会が原発を受け入れることは容易なことではない。

・もちろん、最も影響を受けるのは日本だが、この国は、これまで惨事を偉大な変革に結び付けてきた。今回の件で統治上の秘密主義の失敗も明らかになり、より政治改革を求めることになる可能性がある。日本人はこの機会を、死や悲しみや哀悼の時としてのみ捉えるのではなく、再生の時と捉えることができるように見える。

最後の文をそのまま引用すると、

“It seems just possible that, looking back from a safe distance, Japan’s people will regard this dreadful moment not just as a time of death, grief and mourning, but also as a time of rebirth.”

“It seems just possible"ではなく、我々がrebirthの機会にしなくてはならないと思います。



※今回の地震は自分にとってもあまりにも衝撃的だったので、発生以来10日間連続で、地震関連の私の廻りの様子などを優先的に書いてきました。が、明日以降はもとに戻したいと思っています。もちろん被災者の救出や非難された方の生活、そして今この瞬間も続く救援活動、事故の火消しに立ち向かう人の必死の努力は続いています。なので、引き続きロンドンでできることをしていきたいと思います。
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東日本大震災 @ロンドン (その9) チャリティーガイドツアー

2011-03-19 17:34:21 | ロンドン日記 (日常)
 ブログをよく立ち寄らせて頂いているMikiさん(こちら→)からご案内頂いたチャリティーガイドツアーに参加してきました。このイベントは、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被災者のための募金のため、英国公認日本語ガイド協会(JRTGA)のガイドさんたちによるチャリティガイドウォークです。

 この企画、実は今日が初日。私は、いくつかのプログラムのなかからナショナル・ギャラリーのガイドツアーに参加しました。



 まだ初日のためか、この日10:00過ぎに集まった人はガイドさん入れて6名。写真のシールバッチを付けて、スタート。広いナショナルギャラリーの主要な絵をガイドさんの解説を聴きながら鑑賞します。

 ナショナルギャラリーはもう何度も来てますが、普段は自分のペースで廻るのが好きなので、ガイドさんの案内で廻るのは初めてです。でも、やっぱり、こうやってプロの方にご案内頂くのは、自分が勝手に見ているだけでは気がつかないことや分からないことがわかりとっても勉強になります。

 例えば、オランダ絵画には絵の中に色んなシンボルが隠されているのですが、それを解読して頂いたたり、普段なら見過ごすような細かい描写のところで登場人物の年齢が書き込まれていたりなど、「なるほど」と思うところがいくつもありました。また、画家や絵の大まかな年代は理解しているつもりでいるものの、それを当時の歴史背景等とセットで解説して頂くと、1枚の絵がより立体的に見えてきます。

 途中、我々のバッチを目にした為か、オランダ絵画のコーナーのところでは、初老の警備のおじいさんが話しかけてきました。「皆さんは日本の方ですか?このたびの不幸には本当にお悔み申し上げます。また、すぐ、復興されることを信じています」という趣旨の励ましのメッセージをもらいました。被災地の方、復旧に当たっている方にも是非、届けたいメッセージです。

 ガイドツアーは1時間半ほど。終了後に各自がカンパを出し、それが赤十字を通じて被災者のために使われるようです。

 本ガイドツアーは当分続くようなので、ロンドン在住の方、訪問の方は、参加をご検討されては如何でしょうか?(詳細は、http://www.jrtga.com まで)
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ロンドン フィルハーモニック/ ユロフスキ指揮/ チャイコフスキー交響曲第4番ほか

2011-03-19 00:00:57 | コンサート (in 欧州)
 クリスティアン・テツラフの独奏による素晴らしいヴィオリン協奏曲。こんなに穏やかで、優美で、繊細な演奏は初めてのような気がする。モーツァルトを聴いているような気分だった。途中、あまりの耳障りの良さにうとうとしかけたが、何とか持ちこたえた。オーケストラはしっかりテラリフに沿い合わせるように演奏。独奏としっかり息のあった演奏で、素晴らしいコンビネーションだった。終演後は凄い拍手。スタンディングオベーションも見かけるほど。アンコールもやってくれた。聴いたことのある曲だが名前は知らない。これまた優美な曲で、ベートーベンの後味を全く損なわない。フルーツシャーベットのような、軽いデザートを食した感じで心地よかった。

 休憩後のチャイコフスキー交響曲第4番はうって変わった豪快な曲。金管がガンガンにならす。恥ずかしながら、この曲、有名であることは重々承知だが、CDは持ってないし、実演は初めて。なので、聞き所というのは解らなかったのだが、そんなのは解らなくても、馴染みやすい曲だ。豪快な第1、4楽章もいいが、第2の美しいメロディや、第3楽章のリズミカルな民謡風の音楽も楽しい。ロシアの代表的作曲家チャイコフスキーとロシア人の新進気鋭のユロフスキさんの指揮という組み合わせにも期待していたが、期待に十二分に応えてくれるものだった。金管のパワーと木管のリーダー陣の技も弦の熱演と併せて光る。会場は大拍手だった。

 今夜気になったのは、まあ咳、物音の雑音は相変わらずだが、楽章の間に拍手が入ること。確かに拍手したくなるような熱演ではあったのだが、ちょっと間が狂うので、やめてほしい。


--------------------------

2011-03-18
Julian Anderson: The Crazed Moon
Ludwig van Beethoven: Violin Concerto
Interval
Peter Ilyich Tchaikovsky: Symphony No.4

Vladimir Jurowski conductor
Christian Tetzlaff violin

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東日本大震災 @ロンドン (その8)

2011-03-18 23:04:43 | ロンドン日記 (日常)


 地震発生からまる一週間が経ちました。やっと、THE TIMES紙の表紙が地震関係じゃないものに変わりました(この表紙は(国連保障理事会によるリビア上空の飛行禁止空域設定の決議を祝うリビアのベンガジ市民)。先週の土曜日から始まって、ずーっと一面のカラー写真が「地震」でしたから。毎朝、新聞を買うたびに胸が痛んだことから開放されてちょっとホットする一方で、まだまだ終わっていないのに、こちらでは海外のよそ様の不幸な事故として、関心が薄れないか、心配なところもあります。

 昨日、やっと日本政府は外国人記者向けの記者会見を行ったそうですが、日本の情報隠しは相当叩かれていました。Evening Standard Newsという無料夕刊紙ではありますが、昨夕の見出しには、

 'Everything is a secret. We only learn about things from TV'

 'Japan universally condemned over its responce to the nuclear crisis'

てな感じで、まるで鳥インフルエンザを隠した中国のような書かれ方。Timesとかには、あまりこの手の記事はありませんでしたので、一部だけかもしれません。

 放射能汚染や停電の話は、日本よりも海外の政府やマスコミのほうがリスクを高く見ています。なので、日を追うに従って、欧州のお客様から、日本でのサービス継続性についての質問が増えてきているという感じがします。まだまだ予断は許しません。


 私はやっと長い1週間が終わり、週末に突入します。被災地の人とは比べられないでしょうが、今週はホント長かった。今週末は先日Mikiさんがご紹介してくれた、ロンドンチャリティツアー(こちら→)に参加しようと思います。

 被災者の方、救援の活動の方々には、当然、週末など無いと思います。まだまだ厳しい戦いが続くと思います。ロンドンからでは募金とかエールを送るぐらいしかできませんが、引き続き、頑張ってください。

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東日本大震災 @ロンドン (その7)

2011-03-17 20:33:31 | ロンドン日記 (日常)


 地震発生があってから、世界史にも、日本史にも、自分史にも必ず残るであろうこの大地震の同時代に生きていた一人の会社員として、自分とその廻りのことを少し記録し、かつ現場で頑張っている人にエールを送ろうと思ったのですが、もう7日目に突入してしまいました。

 イギリスにおける地震/津波/原発の報道は今日もまだまだ続きます。メディアとしてのマーケティングもあるとは思うのですが、特に原子力発電所の事故については、欧州各国、原子力発電を活用しているので、人ごとではありません。

 そして、これまで比較的平静だったイギリス政府も、福島原発事故を受けて、「現在、東京在住のイギリス人はその地域を離れることを考えるべき」と言い始めています。

”Due to the evolving situation at the Fukushima nuclear facility and potential disruptions to the supply of goods, transport, communications, power and other infrastructure, British nationals currently in Tokyo and to the north of Tokyo should consider leaving the area."(イギリス外務省ホームページより引用→

 国によっては、退去勧告を出しているフランスを初めとして、もっと極端な方針を打ち出している国もあります。なので、今日は、欧州も含めた世界各国から日本の本部へ働きに行っている非日本人社員たちのケアについて、本部と打合せをしたりもしました。

 日本の本部の人の話ですが、非日本人社員の反応もそれぞれらしく、「何故、日本人が働いているのに帰らなくてはいけないんだ!」と日本人顔負けの義理と人情の人(この人は実はうちから派遣しているイギリス人)も居れば、生まれて初めての地震体験や放射能騒ぎのために「もうとても仕事が手につかない。一旦、帰らせて欲しい」と半泣きの方もいるらしいです。

 さて、日中、所要で外出し、少しロンドン市内を歩いたのですが、JAPAN TSUNAMI募金をやっている人を見かけました。道行くビジネスパーソンたちが結構、募金をしてくれています。私もサイフにあった小銭を全部寄付しちゃいました(さていくらでしょう?)。そして、せっかくなので「日本の皆に紹介したい」と言って、携帯写真を一枚撮らせてもらいました。



 被災地の皆様、救助活動の皆様、原発の消火にあたっている皆様・・・こんな現場から離れたロンドンからも、現地のことを気に掛け、行動を起こしている外国人もたくさん居ます。今日も、一日、頑張ってください!!!
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東日本大震災 @ロンドン (その6)

2011-03-16 21:04:53 | ロンドン日記 (日常)


 イギリス国内の扱いは、もう地震、津波よりも原子力発電所の事故に関心が移っている感じです。朝のBBC放送でもかなりの時間を割いて、状況報告、影響度を報じていました。

 職場のほうは、少しずつ落ち着きを取り戻しつつあります。今日は、影響が出ているお客様の最新状況確認、お客様の問い合わせに対するFAQの修正作業などを行いました。ただ、平常心で仕事せねばと言い聞かせつつも、PCのストリーミング配信やツイッターから刻々と流れてくる、放射線データ、犠牲者の数、被災状況の情報を常時耳にしていると(これは遊んでいるわけではなくて、常に日本の状況を掴む業務の一環です)、なかなかいつも通りというわけには行かないのも事実です。ホント、「まだ水曜日かよ~」と思うほど、今週は長い。本当は、こういう時こそ、面白いジョークでも飛ばして雰囲気を和ませたいのですが、なかなかそこまでのセンスとスキルがありません。

 ロンドンの日系企業社会の中でも、募金の案内や商工会議所が主催する葉加瀬太郎さんのチャリティーコンサートのご案内が来たり、ゴルフの例会の中止連絡が来たりで、何らかの形での支援活動が行われてます。

 応援メッセージも返って、「通信混雑につながるので、控えて」というお願いも、とある知事さんからあったようですが、被災地の皆様、救援活動の皆様、発電所の復旧に当たっている皆様に向かって、一言、「今日も頑張ってください。」と言わせて欲しい。


※数多いツイッターの書き込みで、今日、一番受けたのはこれ。正確な引用ではないですが・・・

「計画停電をめぐって・・・・・・・アメリカでは強盗が発生、フランス人は恋人どうしが愛を語る、中国人はいつものことだから驚かない。そして、日本人は計画停電が計画通りに行われず未実施になったことに激怒!!!」

 こういうセンスが欲しい~。

 
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東日本大震災 @ロンドン (その5)

2011-03-15 23:19:15 | ロンドン日記 (日常)


 原子力発電所事故の関係で、落ち着かない毎日が続きます。いまだ、新聞のトップ記事は、東日本大地震です。

 今日も職場で日本のサービス提供状況の確認し、欧州の諸拠点へ周知し、お客様からの問い合わせの確認を行いました。あと、今日から社員に、災害義捐金の募集を開始し、呼びかけました。やれることを少しずつやるだけです。

 あと、夜は、とあるロンドン在住者の親睦会がありました。時期が時期だけに中止の話しもあったようですが、乾杯や企画は止めて、Fund Raisingという目的で決行することになったということでした。会の冒頭は、乾杯の代わりに1分間の黙祷。あとは、淡々とご歓談です。企業の方が殆どでしたが、やはりいろいろ影響が出ているようで、東北の事務所が被災し、まだ行方不明の社員の方が何人も居るという会社の方もいらっしゃいました。最後に募金活動。私もXXポンド寄付させていただきました。

 今日も被災地の皆様、救助隊の皆さん、頑張ってください。



 ※昨日の記事にみきさんがコメントを寄せていただきました。英国公認日本語ガイド協会(JRTGA)のガイドさんが、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被災者のための募金のため、ロンドンで毎日チャリティーガイドウォークを行うそうです。詳細は、http://www.jrtga.com まで。私も参加を検討したいと思います。
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東日本大震災 @ロンドン (その4)

2011-03-14 23:17:27 | ロンドン日記 (日常)


予想通り、長いけどあっという間の月曜日でした。

朝から、日本の本部と電話や会議で情報収集。そして、欧州内のマネジャーを集めた緊急電話会議。幸い、私どものお客様には致命的なダメージは少なかったので、何とか胸をなでおろしました。東京への出張者も全員帰国したようだし、とりあえず安心。それでも、まだ計画停電が起こると新たな事態が生じる可能性もありますし、会社のPCでNHKのUSTREAM放送を一日流しっぱなしなので、緊張感が抜けません。

日本で被災された方、復興に当たっておられる方は、疲れが出る頃と思います。どうか、時には体をしっかりお休みください。この戦いは長丁場にならざる得ないでしょうから・・・。


※今朝、いつもの職場近くのスターバックスで定番ブラック・コーヒーを注文。そしたら、いつも軽口をたたきあっているアルジェリア人のマスターがわざわざカウンターから出てきて、いきなり自分の肩に手を置きます。そして、「家族は大丈夫だったか?信じられない大災害だ。犠牲者の方には心から哀悼の意を表したい。そして、日本の皆さんの頑張りを心から応援している。日本人はそういう逆境に強いことも知っている。頑張って」、と。ありがたくて、朝から、ジーンと来てしまいました。世界の皆が日本人のことを応援しています。被災地の皆さん、頑張ってください。
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