筆者は、米国のセールス・フォース・ドットコム社で採用されていた、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスという形での営業の分業体制を「The Model」と呼び日本に輸入した当事者だ。本書は、その各営業プロセスの解説を初め、具体的導入の仕方やマネジメント上の注意点、組織・人事・育成面での考慮ポイントなどが説明される。
先日、紹介した『営業力強化の教科書』と対になると言って良い本である。『強化書』はタイトルどおり、教科書として営業プロセスの考え方やそのフレームワークが解説されたが、本書はそれを実際に米国で経験し、日本で展開した筆者の体験談に基づいている。なので、単なるフレームワーク解説に止まらない、筆者ならではの経験に基づいたノウハウが語られる。2冊を合わせて読むことで、「ザ・モデル」の考え方は理解が一層深みを増すこと間違いない。
パプライン情報のチェックポイント、フォーキャストミーティングで確認すべきこと、筆者が営業のマネジメントとして365日欠かさない習慣など、その日から活用できるようなアドバイスが散りばめられており、読んでいて感激しっぱなしだった。むしろ、自分の営業マネジメントの甘さぶりに気づかされ、恥ずかしいくらいである。
ライバル企業の関係者には読んでほしくない一冊である。