その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

相変わらずの難コース 火祭りロードレース(ハーフの部) @富士吉田

2017-08-28 07:30:00 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 4年ぶりに火祭りロードレースに出場です。前回(2013年)は雨の中のレースでとっても難儀したんですが、今年は曇り時々晴れの天気で気温もさほど高くなく、この時期のレースとしては絶好のコンディションと言える状態です。


《レース前の準備体操》

 私自身はレース出走が久しぶりなこともあって、レース前からポカの連続でした。まずはレースに出るというのに、腕時計(ストップオッチ)を忘れてきました。スマフォで多少の代替は効くとは言え、ラップタイムは計れないし余りのあほさ加減にかなりショック。加えて、レース必携のブドウ糖の飴も忘れ、一体、今日は何しに来たのかと自己嫌悪で一杯。

 このレース、スタート地点で海抜1000メートルで、更に高低差が350m近くある、超と言っていい難コースです。スタート後の2キロ地点から7.5キロ付近までの5キロちょっとはひたすら上り。途中、登山道も走ります。4年前は登山道部分がもっと多かった気がしましたが、舗装されたのか、コースが変わったのか、舗装道の上りが多く感じました。これはこれで堪えます。今回こそは、歩かず、止まらずで坂道を上り切ろうという決意で臨んだのですが、やっぱり難しかった。体幹が弱いのでしょうね。フォームが崩れ、脚が前に出なくなってしまいます。


《写真だとよくわかりませんが、上りがひたすら続きます》


《富士山の登山道》

 8.5キロぐらいで、最初の折り返しがあり、ここから下り。今度は350mの高度を6キロぐらいかけて下ります。下りだから楽と言えば楽なのですが、これが、結構、あとあと脚に効いてくるんです。


《最初の富士山コーン。8.5キロ地点ぐらい》


《ずーっと下るのも結構大変》


《2つめの富士山コーン。17キロ地点ぐらい。この頃には陽も出て、暑くなってきました》

 このコースの辛いところは、18キロから19キロにかけて、1キロ余りのゆるやかな上りがもう一度あることです。ここは、意地でも走り抜けるぞと決意を新たにし、何とか走りぬきました。最後の2キロはほぼ平坦なのですが、上り下りで頑張った脚がついにギブアップ。両脚のふくらはぎ上部に痙攣、釣りが走り、とても走れる状態ではありません。左足に至っては、今までに経験のない、脛の横部分までが釣ってしまう状態。だましだましで残り2キロなんとか誤魔化しましたが、何とも不完全燃焼感たっぷりのレースとなってしまいました。

 後半の脚の痙攣なんて、ハーフのレースでは他には経験がなく、脚の疲労度はフルマラソン並みのコースです。時計が無いので、正確なタイムは正式記録が来るまでよくわかりませんが、2時間12分ぐらいだと思います。ハーフで2時間台になることは殆どありませんから、いかにこのコースが難コースかがわかります。


《もうすぐゴール》

 ただ、このレースが嬉しいのは、レース後に振舞われる吉田名物のうどん。太麺、超コシのある田舎風うどんで、素朴な味がなんとも美味。レースの疲れが吹っ飛びます。


《ありがとうございます!》

 暑さが去れば本格的にランニング練習を始動させますが、いつかこのコースを歩かずに走りぬきたいものです。

2017年8月27日

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0泊3日 週末弾丸シリコンバレー出張

2017-08-24 07:30:00 | 日記 (2012.8~)
一昔前の昭和サラリーマンの飲み屋の自慢話のようでお恥ずかしい限りだが、一応、記憶に残る出張だったので、記録にとどめることにした。

 先週末に、米国のカルフォルニア州のパロアルト(いわゆるシリコンバレーの一角)に、上司のお供で出張した。こんなスケジュールである。

 19日(土)午後3:40 羽田空港発 直行便でサンフランシスコへ
 19日(土)午前8:50 サンフランシスコ着。入国後、タクシーでパロアルトへ。
 19日(土)午前10:00~5:30 現地のビジネス・パートナーとみっちり打ち合わせ
 19日(土)午後5:30~7:00 ビジネス・ディナー
 19日(土)午後9:20 サンフランシスコ発、ロスアンジェルスへ
 19日(土)午後10:40 ロスアンジェルス着
 20日(日)午前1:20 ロス発、羽田へ
 21日(月)午前4:40 羽田着
 21日(月)午前5:30 某駅近くのサウナで旅の汗を流す
 21日(月)午前8:30 出社

 週末を犠牲にすれば、当地でほぼ丸1日のビジネスができるのである。まあ、あまりやりたくないけど。

 帰りの飛行機で、映画版のビリー・エリオット「リトル・ダンサー」が見れたのは嬉しかった。ミュージカル版よりも映画版は重いので、飛行機の中でボロボロに泣いてしまった。


≪パルアルトの市中心部のユニバーシティ・アベニューの風景 スタンフォード大学のキャンパスまで歩いて5分のところだが、まだバックツースクールのバーゲンは始まっていない様子 19日18:30≫


≪ロス・アンジェルス空港国際ターミナルの電光掲示板:デザインがかかっていて、クール≫
コメント (2)
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中国・日本美術に注目! 「ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション」

2017-08-18 08:00:00 | 美術展(2012.8~)
 暑さを凌ぐには美術館・博物館が一番ということで、上野の東京都美術館に出かけた。上野駅から美術館に着くまでに体が溶けそうになったが、館内に入ると汗がすーっと引いていく。

 ボストン美術館のコレクションを活用した美術展はいろんな切り口で数年おきに開催されている。今回は、「美術館を支えてきた数々のコレクターの物語に光を当てながら、発掘調査隊の成果を含む古代エジプト美術から、歌麿や蕭白らによる日本・中国美術の名品、ボストン市民の愛したモネやファン・ゴッホを含むフランス絵画のほか、現代美術までを選りすぐりの80点でご紹介します。」(東京都美術館HP)という企画である。

 美術展のポスターに、ファン・ゴッホの「ルーラン夫妻」が使われているので、出かける前は西洋画の美術展のイメージが強かったが、 いざ鑑賞してみるとむしろ中国美術、日本美術が印象に残った。

 とりわけ、本展覧会の目玉の一つでもある英一蝶《涅槃図》は必見だ。その描写や色彩の細かさや美しさに目を奪われると同時に、描かれた動物、人間、菩薩、羅漢らの様子がユニークで見入ってしまう。こんな素晴らしい日本の作品が、日本にないのは寂しいものである。


陳容 《九龍図巻》(部分)南宋、1244年(淳祐4年) 46.2cm×958.4cm 一巻、紙本墨画淡彩


英一蝶《涅槃図》江戸時代、1713(正徳3)年江戸時代、286.8cm×168.5cm 一幅、紙本着色


曾我蕭白 《風仙図屏風》江戸時代、1764年(宝暦14年/明和元年)頃 155.8cm×364cm 六曲一隻、紙本墨画

 西洋画では印象派以降の作品が中心。個人的好みである、アメリカ人だがイギリスで活躍したジョン・シンガー・サージェントの作品が2点あったのは、嬉しかった。


ジョン・シンガー・サージェント 《フィスク・ウォレン夫人(グレッチェン・オズグッド)と娘レイチェル》 1903年 152.4cm×102.5cm 油彩、カンヴァス

 全体としては、やや広く浅くという感がある美術展だが、英一蝶《涅槃図》を始め、目玉作品を鑑賞するだけでも訪れる価値があると思う。

≪構成≫
1章 エジプト部門
2章 東洋部門 中国
3章 東洋部門 日本
4章 ヨーロッパ絵画部門
4章 ゴッホの傑作、 ルーラン夫妻
5章 アメリカ絵画部門
6章 版画・素描・写真部門
7章 現代美術部門

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蜷川 幸雄 『演劇ほど面白いものはない 非日常の世界へ (100年インタビュー) 』 (PHP、2012)

2017-08-16 08:00:00 | 


 先日「NINAGAWA・マクベス」を観て、これまで名前をしっているだけなので、もう少しその哲学や生き様を知りたいと思い、手に取った。NHKのBSでの番組「100年インタビュー」の書籍化である。

 対談形式なので簡単に読めるが、氏の半生や考え方が端的に理解できて興味深かった。特に第九章「可能性と願望」には氏の考えがダイレクトに語られている。

「ある日ある時ある場所へ、自分が選んで行かなければ出合えない、唯一の媒体です。実演の魅力といいうか、生身のリアクションを見ながら成立する、最も根源的で、人間的なメディアだと思う。限定された場所でしか共有できない、現在進行形の芸術。それが演劇で、この世に芝居程面白いものはないと言えるでしょう。」

「演劇が一番シンプルな形で動き、演劇的な想像力の世界を、人の手作業によって創っていくという、僕らの方法に固執したい。そこにこそ、演劇の面白さがると思うからです」

「僕自身は、中心的なテーマを失ったと言われる現代において、多層的な舞台で、多数の観客の眼差しに耐えうる多層の物語を、骨太の大きなテーマを願望しながら、それらを組み合わえて創り上げたいと考えているんです」

 すでに他界されている氏であり、新しいものを観ることは叶わないが、機会を見つけては作品を追いかけていきたい。


目次
第1章 少年時代
第2章 演劇との出合い
第3章 新宿小劇場時代
第4章 千の目とナイフ
第5章 商業演劇の世界へ
第6章 新しい演出を求めて
第7章 海外公演の評価
第8章 演劇という魔力に憑かれて
第9章 可能性と希望

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ミュージカル 『ビリー・エリオット』 @赤坂ACTシアター (その2:多少、辛口も含めた感想)

2017-08-11 08:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 今回の「ビリー・エリオット」日本公演について、少し冷静に振り返ってみた。

 まずは、サッチャーイズムが吹き荒れたイギリス80年代中期のイングランド北東部の炭鉱町を描くという、きわめてローカルなドラマ設定を、日本語にして日本人が演じるという、きわまて難易度が高いと思われる日本公演のスタートに漕ぎ着けた、スタッフ、キャストの皆さんのプロフェッショナリズムに基づいた並々ならぬ気合と努力に、(商業公演とはいえ)大いなる賞賛を送りたい。日本で日本人による日本人のための「ビリー・エリオット」が観られるなんて、まるで夢のようだった。

 とりわけ、キャストの熱演が光ってた。私が見たビリー君は、木村拓哉くんという小学5年生。バレエシーンは多少安定感に欠け、息子の舞台を見るようにどきどきハラハラさせられたが、アクロバティックな体操が入ったダンスになると自信一杯の演技だった。現状と将来への不安と未来への挑戦の狭間に立つ少年を立派に演じていた。

 ビリーの親友マイケル役の山口れんくんは、ダンスと歌がすばらしい。正直、あの踊りながらの歌というのは相当負担がかかると思うのだが、れんくんは殆ど息が乱れず歌いきり、はじめは「彼は口パク?」と疑ったほど。ビリーは、マイケルがいてこそ光るところが多分にあるので、十二分な助演ぶりだった。

 大人陣は、特にウイルキソン先生の柚希礼音のダンスと歌が群抜いてた。踊りのキレが尋常でなく、さすが宝塚トップスターというのはすごいんだなと思い知った。歌と踊りは、ロンドンで十分通用する。

 一方で、正直、気にならなかったところが無かったわけではない。やっぱり、言葉の難しさは残った。このミュージカル、北東部の訛りと労働者階級のアクセントがかけ合わさって言葉の強さ、激しさが、相当なのだが、本日本語公演では、九州訛りを用いて雰囲気を出す努力は十分に感じられたものの、言葉の迫力はとても及ばなかった。日本語になっても意外と聞き取りにくい部分も多く、「ソリダリティ」の前半部分や「メリークリスマス・マギー・サッチャー」の歌詞などは、このミュージカルの本質の一部なのだが、あの日本語を聞き取れた聴衆がどれだけいるだろうか。

 また、言葉の故か、文化的・社会的・歴史的背景の相違か、全体的に階級闘争の激しさが、表現し切れていない気がした。とにかく、炭鉱夫たち発せられる炭鉱夫の匂いが弱い。きっと、階級闘争や炭鉱夫というものに対するイギリスと日本の歴史的経験値の差が現れているのだと思う。

 最後に、これはどうしようもないのだが、「ビリー・エリオット」をやる舞台として、赤坂ACTシアターは立派で綺麗過ぎる。今回、ビクトリア・パレス・シアター以外で始めてこの作品を見たが、いつ床が抜け、天井が落ちてきてもおかしくなかったビクトリア・パレス・シアターそのものが、あの炭鉱町をあらわす舞台の一部であったことに気がついた(多分にこじつけ感は自覚)。きっと舞台もロンドンの劇場より広いのか、冒頭の福祉会館(?)のシーンでも、向き合って座っている炭鉱夫関係者の距離感が妙に遠く(これも気のせいかも)、間延びした感じがした。劇場の外がどうしようもなく暑いせいでもあるが、北東部のいてつく寒さも演出不足。多少、ロンドン版とは違っても、ご当地感や季節感を表す工夫があってよい。

 まあ、本当に好きなファンであるが故に、注文も多くなるのだが、いずれにしても日本語版の意義は大きいし、きっとまだこれから公演期間中ビリー君たちはどんどん成長していくだろう。う~ん、行くか行かないかを迷っていた本公演であるが、焦点はあと何回行くかに移ってきてしまっている自分がいる。



2017年8月6日 17:00~

ビリー:木村咲哉
お父さん:吉田鋼太郎
ウィルキンソン先生:柚希礼音
おばあちゃん:根岸季衣
トニー:藤岡正明
オールダ―・ビリー:栗山 廉
マイケル:山口れん
デビー:夏川あさひ
バレエガールズ:チーム アッシントン
トールボーイ:小溝 凪
スモールボーイ:岡野凛音


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ミュージカル 『ビリー・エリオット』 @赤坂TBSACTシアター(その1)

2017-08-09 08:18:17 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 「ビリー・エリオット」の日本語公演がある。一昨年この報せを聞いた時から、ついこの間まで、行くべきか行かないかをずーっと迷っていた。あの世界観、あの歌をどう日本語に乗せるのか?がっかりするにきまっている。安くはないお金を払って、小姑のような小言を呟き、欲求不満に陥るものを見に行くだけではないか。

 先月から公演が始まってものの、あえてネットでの評判をチェックするのも封印していたが、いつも立ち寄るチケット屋に2日後のチケットがお手頃価格で売りに出ているのを見て、思わず衝動買いしてしまった。それでも、開演直前まで当初の懸念は消えず、自問自答を繰り返していた。

 幕が上がるとあの北東イングランドの炭鉱町の世界があった。微妙なディテールの表現の違いこそあれ、ロンドンのビクトリア・パレス・シアターと同じ、あの空間が展開されていた。今となっては、DVDで見たり、CDを聴くことしかできない「ビリー・エリオット」のリアルが東京にあった。やっぱり「生」がいい。

 終幕し、最後はスタンディングオベーションまで見られた劇場には、ロンドンと同様の、キャスト、スタッフへの労いと感謝、そして感動の表現である暖かい拍手に満ち溢れていた。私も観に来て良かったと、心から思った。

 2017年8月6日午後5時開演

(具体的感想は、次回のエントリーで)

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「ピカソとシャガール 愛と平和の讃歌」 @ポーラ美術館

2017-08-04 07:30:00 | 美術展(2012.8~)


 ポーラ美術館開館15周年記念展と銘打った展覧会。まだ15年だったのですね。



 同時代に生きた巨匠の絵画を画家の生い立ちや時代背景と併せて展示してあります。作品の8割がたはポーラ美術館の所蔵品。民間の美術館でこれだけの作品を持ってるって凄いですね。

 通してみると二人の個性の差が浮かび上がります。ピカソは、時代により大きく画風が変われど、絵からほとばしる才能が痛いほど伝わってきます。観る人に緊張感を与えますね。シャガールは一貫してほのぼの、ほっこり。暖かい気持ちに浸れます。

 印象的だった作品は、2つの大きなタペストリー。一つ目は、ピカソの版画をもとにイヴェット・コキール=プランスが制作した「ミノタウロマキア」。「牛頭人身の怪物ミノタウロスを主人公とする物語。人々を襲う怪物の恐怖は、迫りくる第二次世界大戦への不安に重ねられている」(展覧会Webピカソがページより)というものです。タペストリーの前に立つと、放たれる強いエネルギーに圧倒されます。



 もう一つは、シャガールのステンドグラス《平和》(ニューヨークの国連本部の記念講堂に設置)の下絵に基づいたタペストリー。「シャガールの原画によるタペストリーのなかでも最大である本作品には、宗教の違いや国境を越えた、彼の平和への願いが込められている。」(展覧会Webピカソがページより)とのことです。こちらは「ミノタウロマキア」とは逆に、タペストリーの中に自分自身が取り込まれていくような感覚になります。



 箱根の山あいで、素晴らしい美術空間を提供してくれるこの美術館。これからも、興味深い企画を提供してほしいです。


第1章 故郷-バルセロナとヴィテブスク
第2章 旅立ち-前衛芸術の都パリへ
第3章 愛しきものたち-変容する絵画
第4章 戦争-悲劇への抵抗
第5章 南仏のアトリエ-愛と平和の讃歌

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