全く初めてみるオペラです。ドヴォルザークのオペラの傑作と言うことですが、今回の私の楽しみは、ロンドン・フィルハーモニックの首席客演指揮者で、マイ・ブーム中であるヤニック・ネゼ=セガン。彼がロイヤルオペラデビューを飾るということで、心待ちにしていました。
そのセガンですが、期待通りの大熱演でした。大編成のオーケストラをグイグイ引っ張り、哀しいメロディから、愛憎のドロドロ大音響までを、色彩と感情豊かに音を作っていて、素晴らしい指揮ぶりでした。これからも、どんどん出てほしいです。
歌手陣も素晴らしかったです。ルサルカ役のフィンランド人のソプラノ カミラ・ニュルンド(Camilla Nylund)はとっても綺麗な人で、人魚ははまり役。やや声が通りにくい印象がありましたが、逆に可憐な歌唱にはぴったりで1幕のアリア「月に寄せる歌~白銀の月よ」は、情感豊かで打たれました。
また、外国プリンセスのペトラ・ラング (Petra Lang)がすごい迫力でした。容姿といい風格といいとてもお姫様と言う感じではありませんが、声量・演技ともに抜群の存在感で、逆にルサルカを引き立てていました。
王子役のブライアン・ヒメル(Bryan Hymel)は演技は大根役者っぽいですが、テノールは甘く美しいです。
巷では、プロダクションを巡って結構盛り上がっているようです。2008年のザルツブルグ音楽祭でお目見えしたプロダクションなのですが、今回は新聞でも5つ星から1つ星まで見事に評価は割れています。ROHのWebでも高評価から低評価までのレビューとリンクを貼り、フェイスブックでも「貴方のコメントを寄せてください」というメッセージがポストされてたりで、話題つくりをあおっている感じです。
私には、演出者の意図・センスは全く見えませんでした。ルサルカが人魚の世界と人間の世界のどちらにもアイデンティティを失ってしまったのを描き分けるという趣旨は分かるのですが、現代風の舞台が、幻想的な音楽や物語とマッチしていないのです。私はこれ以外の舞台を見ていないので比較はできないのですが、無機質なセットと色合いは 美しい音楽にも情念が絡むドロドロの愛憎劇のどちらにもそぐわないのです。正直、目を閉じて、音楽だけ聴いていた方が良いと思ったぐらいです。
しかし、その演出への違和感を差し引いても、演奏と歌唱は素晴らしく、十分にこのオペラの素晴らしさを堪能させてもらいました。
(碌なカーテンコールの写真がないためROHのFBから2枚拝借)
Rusalka
Saturday, March 02 7:30 PM
Credits
Composer: Antonin Dvorák
Directors: Jossi Wieler, Sergio Morabito
Revival Director: Samantha Seymour
Set designs: Barbara Ehnes
Costume designs: Anja Rabes
Lighting design: Olaf Freese
Choreographer: Altea Garrido
Video: Chris Kondek
Performers
Conductor: Yannick Nézet-Séguin
Rusalka: Camilla Nylund
Foreign Princess: Petra Lang
Prince: Bryan Hymel
Ježibaba: Agnes Zwierko
Vodník: Alan Held
Huntsman: Daniel Grice§
Gamekeeper: Gyula Orendt
Kitchen Boy: Ilse Eerens
Wood Nymphs: Anna Devin§, Justina Gringyte§, Madeleine Pierard§
Chorus
Royal Opera Chorus
Orchestra
Orchestra of the Royal Opera House