その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

劇団東演創立60周年記念 『マクベス』 @シアタートラム

2019-03-29 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

 

   劇団東演の公演「マクベス」を観に行った。この劇団は全く初めてだが、創立60周年ということなので随分と歴史ある劇団だ。演出はロシアのV・ベリャコーヴィッチ(故人)という方によるものだが、チラシ等を読むと随分と有名な方のようである。

 舞台は、自称〈マクベス〉ファンの私にとって大満足のパフォーマンスだった。特に、印象的だったのは、演出と役者陣。演出はシンプルなプロダクションなのだけど、舞台の中央に設置した2組4枚の回転扉を上手く使って、空間や時間経過を表していた。照明はブルーとレッドを基調にし、舞台の陰影が良く表れていて迫力あるステージとなっていた。

 役者陣の熱演も大拍手。マクベス夫妻を筆頭に、ダンカン、バンクォーらの男優陣も舞台を引き締めた。特にマクベス夫人を演じた神野三鈴さんの台詞回しの切れの良さは、以前<シンベリン>で見た大竹しのぶさんを思い出した。表情の豊かさも素晴らしい。魔女たちを、筋肉隆々の男優さんたちが、後頭にお面を被り、背中を正面に向けて前後逆に演技するという形式はサプライズだったが、魔女たちの不気味さが良く表れていた。

 台本はシェイクスピアの原作をかなり現代語に即して訳してあり、シェイクスピアの舞台にありがたちな台詞の周りくどさはほとんど感じず、とても自然体。一方で、時間内に納めるためか、カットの場面や順番をいじったところが少なからずあったところは多少に気になった。(例えば、第5幕で夫人が死ぬ場面にマクベスが立ち会っていたり、その後随分時間が経ってからTomorrow Speechが始まったりとか)。

 当日券で駆け込んだのだが、渡されたチケットは前から3列目。シアタートラムも全くの初体験の劇場だが、下北沢の小劇場ほどではないけども収容200名程度の小劇場で、役者さんの唾や汗が飛んできそうな距離だった。芝居の醍醐味を満喫した2時間半だった。


2019年3月24日(日)~4月7日(日)  
シアタートラム 

 スタッフ/キャスト
【作】W・シェークスピア
【翻訳】佐藤史郎
【翻案・演出・美術・衣裳】V・ベリャコーヴィッチ(ロシア人民芸術家)
【演出補】O・レウシン(ロシア人民芸術家)
【照明】鵜飼守
【舞台監督】相川聡
【制作】横川功

【出演】

マクベス:能登剛
マクベス夫人:神野三鈴(オフィスゆっくり)
バンクォー:豊泉由樹緒
フリーアンス(息子):椎名啓介
ダンカン(国王):島英臣(俳優座)
ルコム(息子):木野雄大
アンガス、門番:星野真広
メンティース:小泉隆弘
レノックス:原野寛之
ケイトネス:奥山浩
ロス:蓮池龍三(バオバブ)
兵士、他:内田龍磨(Pカンパニー)
マクダフ:南保大樹
マクダフ婦人:岸並万里子
娘:三森伸子(Wキャスト)、村山かおり(Wキャスト)
刺客:M・インチン(ユーゴザパト劇場)
 藤牧健太郎
 
上村遥
魔女:G・イオバッゼ(ユーゴザパト劇場)
 
A・ナザーロフ(ユーゴザパト劇場)
 
清川翔三
 
藤本稜太(フリー)


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春の雪 @山中湖

2019-03-26 07:30:00 | 旅行 日本

仕事も一段落したので、先週末は山中湖へ。1日目の土曜日は、午後からみぞれ交じりの雨が降り出し、夜には雪に。そのおかげで、快晴となった日曜の朝には、うっすらと雪化粧した美しい山中湖の風景に接することができました。

恒例の早朝・山中湖一周ジョギングの一コマをご紹介します。

走り始めは5:20ぐらい。空が少しずつ明るくなるころです。気温はー4℃。道はところどころカチカチ。

山中湖交流プラザきららの敷地内の湖畔から眺める富士山は、個人的に一番好きなビューです。一瞬の光・色を逃すまいと多くのカメラマンたちが陣取っていました。確か、2月ぐらいまでですと、もっと紅色に山が色づく紅富士が見れると聞いたことがありますが、それでも薄桃色の富士は素晴らしい。


湖畔の木道を走り、丁度6時頃になると、陽が東から顔を出し始めます。こういう日の日の出は厳粛な気持ちにさせてくれます。

そして、平野地区を過ぎて、ママの森の丘を登り、下ります。白く薄化粧した木の枝枝が実に美しい。


そして、再び湖畔に。日もすっかり上り、青空が引き立ちます。こんな濃い青空はなかなか見れない気がします。

こちらは宿をチェックアウトした後、10:30頃の展望台から望む富士山。

山中湖には数えきれないほど来てますが、ここまで美しい風景はあまり記憶にないですね。

(付録) 前夜の雪


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スコット・ギャロウェイ 『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』 東洋経済新報社、2018

2019-03-24 07:30:00 | 

昨年夏に発刊されて以来、書評にも多く取り上げられた話題の一冊。どういう表彰かは知らないが、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019」でも総合第1位を獲得したとのことだ。

著者は複数の会社を起業・経営し、ニューヨーク大学のビジネススクールの教授でもある。本書はGAFAについてのアカデミックな経営戦略やマーケティングの分析というよりも、彼らの歩みや強み、共通の成功因子、GAFA以後の世界で我々が持つべき武器などについてが語られる。如何に私たちの生活や行動がGAFAに影響を受け、支配されているかを知るには最適の一冊である。読み物として良くできていて、読み始めるとページをめくる手が止まらない。

著者は、GAFAは人間の最も基本的な本能を利用して利益を稼いでいるという。アマゾンはより多くのものをできるだけ楽に集めようとする人間の狩猟採集本能に訴え、アップルは人間が神に近づいたと感じさせるとともに、異性の目に魅力的に映るような気にさせる。フェイスブックは人間にとって最も大切なもののひとつである人間関係を築き育む。そしてグーグルは知りたいことを検索で提示し、人間の知識欲を満たしてくれる。

彼らの破壊力・影響力は群を抜いている。アマゾンにより既存の小売店はどんどん消滅している。アップル製品を買うことでちょっと他とは違う自分を感じことができる。そして、フェイスブックで自分たちの嗜好は丸裸にされて、個別の嗜好に合わせた広告、ニュース記事に囲まれる。グーグルは、検索ワードで我々自身が意識しないことまで我々のことを知っている。

既に人間の生活に深く入り込んだGAFAは、私たちをこれからどこに連れて行くのか。本書を読んで薄ら寒さを感じるのは私だけではないだろう。あまりにも大きな力を持つこれらの企業には、競争政策や個人データ保護等の観点から何らかの「規制」が必要と思わざる得ない。

筆者は、GAFAの世界を前提としたこれからの時代は、超優秀な人間には最高だが、平凡な人間には最悪の時代になるという。10章では、そんな時代で成功するための処方箋が書かれている。ここで目指す「成功」は皆にとっての「成功」なのかどうかは疑問が残ったが、一つの指針として参考にはなる。

GAFAによって間違いなく便利になった世の中ではあるが、それが幸せな世の中と言えるのか。将来を考えると、大きな疑問が尽きない一冊だった。

 

 【目次】

1章 GAFA――世界をつくりかえた四騎士
2章 アマゾン――1兆ドルにもっとも近い巨人
3章 アップル――ジョブズという教祖を崇める宗教
4章 フェイスブック――人類の1/4をつなげた怪物
5章 グーグル――全知全能で無慈悲な神
6章 四騎士は「ペテン師」から成り上がった
7章 脳・心・性器をターゲットにする
8章 四騎士が共有する「覇権の8遺伝子」
9章 NEXT GAFA――第五の騎士は誰なのか
10章 GAFA以後の世界を生き残るための「武器」
11章 少数の支配者と多数の農奴が生きる世界


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ハリウッドの香り・・・グスターボ・ドゥダメル指揮 ロス・フィル、ジョン・ウイリアムズ プログラム@NHK音楽祭

2019-03-22 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

 

来日中のドォダメルとロス・フィルの特別公演に足を運んだ。ジョン・ウィリアムズの映画音楽を集めたプログラムというロス・フィルならではのものである。NHKホールは1階のホワイエにウイリアムズとドォダメルの大きな写真を付したパネルが設置されたり、赤色のライトで照らされるなど特別仕様に演出されていた。観衆もいつものN響定期とは異なり老若男女がむらなく揃う多様性に富んで、ホールは明るい雰囲気に包まれていた。

 演目はいずれもウイリアムズ作曲の映画音楽からだが、8割がたは映画も見ているので馴染みの音楽ばかりだ。聴きながら、映画のワンシーン、ワンシーンが瞼に浮かんでくる。大方が8090年代の映画なので、映画のシーンと共にその映画をみた当時の自分が思い起こされ、懐かしい(なんかいつの間にか、思えばここまで来てしまったなあ~との思いもあり)。

 ロス・フィルの演奏は、スケールの大きなウイリアムズの音楽をやみくもに鳴らしまくるわけでなく、豪快ながらも絶妙の節度を保ったハイレベルなものだった。音楽も管と弦を対比させるような構成のものが多いが、そのバランスが素晴らしい。また、金管陣の音の突き抜け方も印象的だった。体力・肺活量の違いか、日本のオケではあそこまで、ビーム光線のように貫き通すような音はなかなか聴けない。

 ロンドン滞在時にドォダメルの指揮は3回ほど接しているが、ウォームハート・クールヘッドとでも言うような、情熱的だが的確にオケをまとめ音楽を創っていく手腕は相変わらず素晴らしいと感心した。最後に聴いたのは2011年なのであれから8年経て、当時よりずっと風格も出てきた感じだが、謙虚で常に団員を立てる姿勢は変わってない。オケとのコミュニケーションをとっても大切にしているように見える。きっと世界中で引っ張りだこなのだと思うが、是非一度、日本のオケを指揮して欲しいものだ。

  アンコール2曲入れて、計2時間30分を大堪能。この指揮者、このオケで、このプログラムを聴ける幸せを一杯噛みしめた。

2019年3月21日(木)17:00~

NHKホール

指揮:グスターボ・ドゥダメル (Gustavo Dudamel)

演奏:ロサンゼルス・フィルハーモニック (Los Angeles Philharmonic)

バイオリン:三浦文彰* (Fumiaki Miura)

ジョン・ウイリアムズ プログラム (John Williams)

オリンピック・ファンファーレとテーマ

『未知との遭遇』から抜粋

『ジョーズ』からサメ狩り/織の用意!

『ハリーポッター』シリーズからヘドウイングのテーマ/不死鳥ホークス/ハリーの不思議な世界 

『シンドラーのリスト』テーマ*

『E.T.』から地上の冒険

「フック」からネバーランドへの旅立ち

『ジェラシック・パーク』テーマ

『インディ・ジョーンズ』シリーズからオートバイとオーケストラのスケルツォ/マリオンのテーマ/レイダース・マーチ

『SAYURI』テーマ

『スター。ウオーズ』シリーズから帝国のマーチ/ヨーダのテーマ/王座の間とフィナーレ


<特別仕様の1階ホワイエ>


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都民芸術フェスティバル 柴田真郁 指揮/日フィル、ベートーヴェン交響曲第6番ほか @東京芸術劇場

2019-03-21 10:21:09 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

都民芸術フェスティバル2回目。今回は宮田大さんのチェロがお目当て。昨年、カエターニ/都響との共演で矢代秋雄のチェロ協奏曲を聴いて、気持ちが入った力強く透明感のある演奏に魅了され、是非また次の機会があればと思っていました。

この日のエルガーのチェロ協奏曲でも、宮田さんのチェロの響きは格別。深みがあり、何とも味わいのある音色です。私自身のコンディションが万全でなかったところがあり、通して集中して聴けなかったのは残念でしたが、エルガーの音楽も優しく耳に馴染みやすく、楽しめました。

後半はベートーヴェンの交響曲第6番「田園」。この日の指揮者の柴田真郁さんは全く初めて(失礼ながら名前も存じ上げませんでした)です。強い自己主張をアピールするというよりも、音楽の良さをそのまま引き出そうとする自然体の指揮ぶりでした。詩情豊かなこの曲は本当に美しいとしみじみと思わせてもらいました。

アンコールはバッハの<G線上のアリア>でした。

 

■日本フィルハーモニー交響楽団~感謝を込めて~

【開催日時】2019年3月19日(火)19:00開演(18:00ロビー開場)

【出演】指揮/柴田真郁 チェロ/宮田 大

【曲目】モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」K.492<序曲>

エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 作品85

ベートーヴェン:交響曲第6番 へ長調 作品68「田園」


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川瀬賢太郎 指揮、東京交響楽団/ リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」ほか @都民芸術フェイスティバル

2019-03-19 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

期末仕事に個別のプロジェクトが重なって、この数週間疲労困憊。N響は3月お休みで、他に演奏会予定も無く、ストレス溜まりまくりでした。そんな中、当日になって都民芸術フェスティバルの企画で東響の演奏会があることを知り、当日券目指して芸劇へ。

プログラムは名曲コンサートの趣ですが、こういうコンディションの時には馴染みの曲のプログラムが逆に嬉しいです。指揮は、TVで何度かお見かけしていますが、実演に接するのは初めての川瀬賢太郎さん。

冒頭のドヴォルザーク<謝肉祭>の後は、仲道郁代さんのソロによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。仲道さんも演奏会チラシでは良くお見かけしますが、実演を聴くのは初めてです。チラシで見る美しさは3階席からは遠すぎて目視確認できなかったのは残念でしたが、貴婦人のような振舞いはオーラが一杯。優しくソフトに包み込むような演奏も優雅で、聴き手をうっとり幸せな気持ちにさせてくれます。逆に、美しくや柔らかな音楽に覆われ、心身ともに弛緩し、気を失うこと数度。最初から最後まで集中して聞けたとは言い難いですが、お蔭さまで仕事の疲れが抜けていきました。

後半のリムスキー=コルサコフ<シェエラザード>は東響の実力が発揮された秀演でこちらも十二分に楽しみました。管陣の個人技、オケ全体の音の厚みが素晴らしく、ホール全体に溶け合う音・音が五感を刺激してくれます。ヴァイオリンソロの水谷さんの音色も変化があって楽しかった。川瀬さんの指揮は、勢いとエネルギー溢れるもので、視覚的にも気持ちいい。壮大な絵巻を楽しみました。<花のワルツ>のアンコールがついたのも凄いおまけで歓喜。

やっぱり生音は生きていくための糧であることを再確認。身体的疲れ、精神的ストレスを大きく軽減させてもらい、我ながら単純すぎる反応ですが、「来週も頑張ろう~」と思い、ホールを後にできました。

蛇足ではありますが、この日は3段階の料金設定の真ん中の席で2800円。この価格で、これだけの高い満足度というのは凄い。このぐらいの価格帯で普段のコンサートも楽しめれば、もっとクラシック音楽のファン層は広がるとは思うのですが、当然興行としての収支もあるわけでそうもいかないでしょう。なので、都民芸術フェスティバルのような企画は多くの人に手軽に芸術を楽しむ機会を提供してくれるとっても貴重な機会だと思いました。


東京交響楽団~愛のささやき~

【開催日時】2019315日(金)19:00開演(18:00ロビー開場)

【出演】指揮/川瀬賢太郎(Kentrao Kawase) ピアノ/仲道郁代 (Ikuyo Nakamichi)

【曲目】

ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」作品92

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4 ト長調 作品58

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」作品35


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あひるなんちゃら <ハルサメ> @下北沢 駅前劇場

2019-03-17 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

 期末仕事でこの数週間ボロボロでしたが、何とかいったんひと段落。下北沢演劇祭は終わってしまいましたが、やっぱり小劇場はいいなあということで、2月に続いてストレス発散に下北沢へ。本日のチョイスは、ローカルFM局で紹介されていた〈あひるなんちゃら〉という劇団による「ハルサメ」という演目です。

 飼い亀〈ハルサメ〉を巡るコメディ。上演時間80分弱の中で、主人公の部屋で固定された状況の中で、いくつかのコントのような会話劇が織り込まれ笑いを誘います。ストーリー自体のリアリティは?なところはありますが、きっとこの劇はストーリーで引っ張るものではないので、あまりこだわらない方が良いでしょう。

 その分、役者さんと脚本(会話)が重要となると思うのですが、主人公の園田裕樹さんと弟役の堀靖明さん、石澤美和さんの組み合わせにが、変な兄弟妹ぶりが発揮されていて楽しかった。それ以外の脇役陣も、夫々キャラが立っていて飽きさせません。上演時間目一杯楽しませてもらいました。

 80分弱の上演でチケット2000円のお手頃価格も嬉しいです。100名程度の小劇場で役者さんの息遣いまでも感じながら観る演劇は、普段足を運ぶ大ホールでのクラシックコンサートやオペラとは全く違った面白さ、楽しさがありますね。

 観劇後は、狭いけどレトロなジャズが流れるコーヒー屋さんで美味しいコーヒーをすすり、演目を振り返りました。いつ来ても、下北はいいなあ~。

 

<セットはこれだけ>

2019316日 15:00

あひるなんちゃら <ハルサメ>

駅前劇場

 

作・演出:関村俊介

出演:

園田裕樹

石澤美和

上松コナン(暮らし)

澤唯(サマカト)

堀靖明

松木美路子

宮本奈津美(味わい堂々)

ワタナベミノリ(ECHOES

根津茂尚(あひるなんちゃら)

野村梨々子(あひるなんちゃら)

<本日、井の頭線の下北沢駅がリニューアル・オープン>


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大澤真幸、橋爪大三郎 『不思議なキリスト教』 (講談社新書、2011)

2019-03-08 07:30:00 | 

 随分前に大学時代の親友から頂いた一冊。8割方読んだ状態で、ずーっと塩漬けにしてしまっていたので、改めて頭から読み返し通読しました。


 キリスト教についてとってもエキサイティングな対談が展開されてます。形としては大澤氏が橋爪氏に問いかける、橋爪氏が答えるという役割分担なのですが、問い手の大澤しも相当な話したがり屋さんと見え、実質、話している分量は2人ともほぼ同じぐらい。物知りと言う意味では相当にハイレベルなお二方が、互いに持論をぶちまける様は知的格闘技のようです。

 先日読んだ、この二人+宮台真司の鼎談『おどろきの中国』は、歴史を語ってもらうには面白いのですが、現代・未来の時事問題の書として読むにはそのリアリティに欲求不満が残りました。が、本書はテーマがテーマだけに、歴史的・社会的な分析中心のアプローチでより納得感があります。

 発せられる質問は、私のようなキリスト教信者ではないものが一般的に不思議に思うような質問(たとえば、「予言者とは何者か?」「奇跡は本当にあったのか?」「イエスは復活することを自分で知っていたか?」などなど)で、とっても興味をそそります。

 一方で、二人の前提を置いた仮定上のトークも多く、推理小説的な推理としては面白くても、情報としては「ほんとかな?」と思うところもありました。また、「イエスは神なのか、人なのか」など一般市民にとってはどうでもいいと言えば、どうでもいいようなことも、かなり熱くなって議論しているので、人によって好き嫌いが分かれるところもあるかもしれません。

 いずれにしても、キリスト教的価値観が西洋文明のベースをなして、社会が発展してきたことが良く理解でき、信仰としてのキリスト教でなく、知識・歴史としてのキリスト教を知りたい人にはお薦めです。

《目次》

第1部 一神教を理解する――起源としてのユダヤ教

第2部 イエス・キリストとは何か

第3部 いかに「西洋」をつくったか


 


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河合 隼雄、松岡 和子『決定版 快読シェイクスピア』 (新潮文庫、2018)

2019-03-03 07:30:00 | 

 先日読んだ『深読みシェイクスピア』の勢いで、それよりも先に発刊されていた(増補前(決定版になる前)の初版本は1999年発刊)本書を手に取った。

 シェイクスピアの翻訳で著名な松岡和子さんとこれまた著名な心理学者河合隼雄氏(故人)のシェイクスピア作品を巡る対談である。松岡さんが翻訳・文学の立場から、河合さんが心理学の立場から作品を読み解き、相互の見立ての交錯が作品の理解度を更に深めるという仕立てになっている。

  シェイクスピアの作品はどれも人間の内面に深く切り込んだ作品であるがゆえに、河合さんの心理学的切り込みは文学とは異なった角度で興味深い。とりわけ「ハムレット」における分裂気質、「リチャード三世」における悪や呪い、「真夏の世の夢」における夢・(無)意識・森など、戯曲を読んだり、舞台を見ているだけでは、読み過ごし、見過ごしてしまう角度や部分に光を当てて、「なるほど、そうなのか・・・」と気づかせてくれる。

  最近、結構真面目に、定年後は文学部で学び始めるのも面白いかもと思い始めている。

【目次】

ロミオとジュリエット
間違いの喜劇
夏の夜の夢
十二夜
ハムレット
リチャード三世
増補 リア王
マクベス
ウィンザーの陽気な女房たち
お気に召すまま)
決定版増補 (タイタス・アンドロニカス)

コメント (2)
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斎藤 昌義『【図解】コレ1枚でわかる最新ITトレンド [増強改訂版]』(技術評論社、2017)

2019-03-01 07:30:00 | 

 

本屋に行けば(最近はAmazonで検索すればかな)、図解付きで簡易にITについて解説した本は簡単に沢山見つかるが、本書はそれらの類の本とは一線を画していると思った。

左ページにチャート(いわゆる図、絵)があり、その解説が右ページに文章として掲載されるという形式は珍しくない。しかし本書は、個々の技術(AI、クラウド、IOTとか)が技術的に解説されるというよりは、その技術の歴史を(簡単に)紐解き、なぜ今、この技術なのか、そしてその世の中的なインパクトは何なのか、そして将来はどうなるのかまでが書いてある。入門書と言えば入門書なのだが、技術について点でなく線で解説したこの入門書は思いのほか奥が深い。

 技術書と思って読むと(まあパラパラめくればすぐわかるのでそんな人はいないだろうが)がっかりすることは間違いないが、新聞、ネットでいろんなIT用語が濫発している中、「ちょっとこんなこと、今更聞けないよな~」と思っているビジネスパーソン(特にオジサン系)やどうも「別にエンジニアになるつもりはないけど、このぐらいわかってないとね」レベルには達したいと思っている文科系の人(営業とか、企画系の人)には超お勧めだ。平易に書いてあるので、すーっと読んでしまうが、私的にはこの本はじっくり読んだほうが身につくと思う。

 難は本書のカラー刷り。黒と薄緑の二色刷りなのだが、薄緑の色合いが、毎年視力が悪化する私には、ホント読みづらい。なんでこんな色刷りにしたのか不思議なぐらい。グリーンということで、筆者の「環境主義者」アピールなのかなとも勘繰るが、これほどリーダーフレンドリーでない色刷りははじめてと言っておきたい。

 でも、内容はお勧めです。

目次 

第0章 ITの最新トレンド ~世の中の常識を大きく変えようとしている現実と未来を概観する
第1章 IoT ~現実世界をデータで捉え、現実世界とITが一体となった社会を実現する
第2章 人工知能とロボット ~人間にしかできなかったことを機械に置き換え、人間にはできなかったことを実現する
第3章 クラウドコンピューティング ~コンピュータの使い方の常識を根本的に変え、適用範囲を拡大する
第4章 モバイルとウェアラブル ~人間とコンピュータの関係を一変させ、新たなビジネスの可能性を拓く
第5章 ITインフラストラクチャと仮想化 ~あらゆるハードウェアをソフトウェアで構築・運用・管理する
第6章 開発と運用 ~ビジネススピードの加速に対応し、ビジネスの成果に貢献する
付録 最新トレンドを理解するためのITの基礎知識


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