その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

平田オリザ 『演技と演出』 講談社現代新書

2014-08-30 15:27:19 | 


 先月読んだ同著者による『演劇入門』の対となる本。前著が戯曲を書くプロセスを追体験することを通じて演劇について紹介したのに対して、本書は本書は筆者が行うワークショップの流れに沿って演技や演出についての筆者の考えが解説される。

 平田氏の著作はこれで3冊目だが、平易な言葉を使って論理的かつ具体的に演劇について説明する力にはいつも感服させられる。このブログで、筆者の考えを簡単にまとめてしまうより、未読の方は是非、本書の読んでいただき、筆者の考えの流れのようなものを感じとって頂いた方が良いと思う(逆に、簡単にまとめるのも至難の技)。演出という仕事の奥深さを感じることができる。

 また、「イメージを共有する」「コンテキストを擦り合わせる」といった演出家の仕事や演劇が、我々の日常におけるコミュニケーションそのものでもあることにも気付かされる。

 最終章である六章の「演出とは何か」では、近代演劇の創始者と言われ演劇の内面性を重視したスタニスラフスキと、対極的とも言える「観客が常に冷静に物語を観察し、社会への批判能力を高めるようにいう「叙事演劇」」を主導したベルトルト・ブレヒトの二人の演出家を比較し、筆者の演出論が展開される。より深い演劇論、演出論への興味を興味をかきたてる内容だった。

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特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」 @東京国立博物館

2014-08-28 21:44:48 | 美術展(2012.8~)


 この8月に現地に行ったばかりですが、お盆時に東京国立博物館で開催中の國立故宮博物院展に行ってきました。故宮博物館の名品が日本に来ると知ったときは、小躍りしましたし、特に、目玉中の目玉「翠玉白菜」までもが来日するというのはちょっと信じられない思いで一杯でした。もっとも、白菜は2週間限定公開ということで、私が訪れた時にはすでに公開終了していましたが、公開中は3時間待ちは当たり前という人気ぶりだったようです。私が訪れた日は、見学待ちのようなことはありませんでしたが、お盆ということもあってか混み合ってました。


《翠玉白菜》

 「翠玉白菜」はなくとも、各時代の名品を並べた特別展は大変充実したものでした。台北では英語ガイドについていきましたが、この日は日本語のオーディオガイドを借りました。当たり前ですが、日本語の方がしっかり理解できます。ここに展示されているのは、膨大なコレクションの中でもごくごく一部なのでしょうが、これらの品々が日中戦争や中国内戦の火を逃れて、北京・紫禁城から南京や四川省を経て、台湾に渡ったというのは、至宝に対する中国人の情熱と至宝の強い政治的価値の二面を強く感じます。

 私は、書や絵を中心に鑑賞しました。書における、一つ一つの文字の美しさと全体の均整には惚れ惚れします。中国の水墨画は見方が良く分からないままいつもぼんやり見ているのですが、独特の世界は、大勢の見学者で一杯の博物館内の喧騒を忘れてしまうほどの静けさに満ち溢れています。

 内瓶を回転させると、典雅な金彩が施された外瓶の窓から魚が泳ぐ愛らしい文様がのぞく仕組み」(HPより)になっている「藍地描金粉彩游魚文回転瓶」は、1週間前にも同じもの(?)を台北の故宮で見たのですが、同じものが複数個あるのでしょうか?


《藍地描金粉彩游魚文回転瓶》

 何だかんだで、2時間たっぷりかけての鑑賞となりました。東京では9月15日までの開催ですので、未見の方はお早めに。

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青年団若手自主企画 vol.61 田上企画 《ヒューマンエラー》 作・演出:田上 豊 @こまばアゴラ劇場

2014-08-25 07:15:48 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 6月に続いてこまばアゴラ劇場に演劇を見に行きました。青年団による若手自主企画で、田上豊さんの作品を上演します。

 HPの紹介文を抜粋すると・・・
「劇団田上パルで活躍する田上豊が、青年団演出部として行う初の公演。
建築現場でおこった、あるとんでもない事件を通して、社会の構造をシニカルに炙り出す。
<働く人>は、魅力的で面白い。人が働く現場には、たくさんのドラマが介在する。
そこに焦点を当てて、切実さを孕んで生きる人たちを、丁寧に描ききります。
若手注目の演出家、田上豊が、実力派俳優と真正面から対峙し、新たな境地を目指す。」

 この紹介を読んで社会派ドラマと思って出かけたのですが、笑いっぱなしの80分でした。「あるとんでもない事件」って、う○こに関することなんですが、この下ネタを巡って、スマートかつ笑い一杯の作品になっていたのが印象的です。

 現場作業員の男性3名と現場監督を含め二役を演じた村井まどかさんの熱演が凄かったですね。最前列での観劇になりましたが、目の前で目まぐるしく変わる場に体当たりでぶつかっている俳優さん達のエネルギーに圧倒されました。大拍手です。

 さて、次は何を見に行こうかな?



2014年8月24日


2014年8月20日[水] - 8月24日[日]

青年団若手自主企画 vol.61 田上企画
ヒューマンエラー
作・演出:田上 豊

出演
天明留理子 川隅奈保子 村井まどか 佐藤 誠 石松太一(以上、青年団) 田山幹雄(無隣館)

スタッフ
舞台監督:宮田公一
照明:井坂 浩
舞台美術:濱崎賢二
音響:阿久津未歩
宣伝美術:根子敬生(CIVIL TOKYO)
制作:青年団若手自主企画田上企画

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台北観光(最終回): あれこれ雑記

2014-08-23 08:50:42 | 日記 (2012.8~)
 2年連続の訪台だったのですが、それでもいくつか変化を感じました。

 まずは、市内のMRT(地下鉄)がますます便利になってました。中山駅近くに宿を取ったのですが、昨年は台北のランドマークである超高層ビル台北101(2007年までは世界一高い完成建築物)に行くには、地下鉄を乗り継いでその上15分ぐらい歩く必要があったのですが、信義線というのが延長開通していて、乗り換えなしでビルの地下まで行くことができるようになっていました。また、市内にある超便利な松山空港までもMRTが伸びていて、タクシーを使わずに市内のどこからでもアクセス可能になってます。松山空港は、東京言えば羽田どころか品川に空港があるようなものですから、タクシーでも東京のワンメーター値段で市内中心部に出られるのですが、更に便利になった感じです。

 あと、ロンドンやパリで見かけた無料(2時間)の公共自転車に多くの人が乗っているのを目にしました。車、オートバイがあふれる台北の街に自転車は少々危険ではないかと思ったのですが、主要道路には自転車専用道路が側道にしっかり用意されていて、安全かつシステマティックに利用できるようになっています。昔、台北で育った友人が「私は自転車に乗ったことがない。台北は危なくて自転車になんか乗れないから・・・」と語っていたのがウソのようです。台北はコンパクトにまとまった都会なので、自転車を駆使すれば、相当機動力のある観光ができるはずです(ただ、今回のような真夏に自転車を乗り回すのは相当根性がいりますが)。

 地下鉄の整備や自転車の普及のせいもあるのでしょうか、10年前に初めて訪れた時、台北と言えば交差点に3重、4重になって信号待ちするオートバイとその爆音が印象的だったのですが、そのオートバイがずいぶん減った気がします。確かに交差点前にオートバイは並んでいますが、昔のような重なりあってという感じではありませんでした。街中のエンジン音が小さくなって、少し落ち着いてきた印象です。


≪アジア的な通りの風情は変わってませんが、オートバイは減った気が≫

 一方で、変わらないものと言えば夜市。今回は、定番の士林夜市ではなく寧夏夜市という中山駅近くのB級グルメが売りの夜市に足を運びました。規模は士林夜市に比べると小さいですが、賑わいはこちらも負けていません。夜9時前後でもムンムンする夏の夜の蒸し暑さと市場の熱気に、観光客といえどもそれなりの覚悟がないと、負けてしまいます。事前リサーチが十分でなかったので、特に目当てもなく、お店に入りましたが、美味しい牛肉麺を頂きました。やっぱり、夜市は台北一の観光資源ですね。


≪食べ物の露店がひたすら並びます≫

 身近で、都市化への変化を遂げつつ、なお昭和的な雰囲気を残す台湾はお奨めです。


≪今回の一押し「薬膳スープ」≫


≪小龍包は欠かせませんね≫
 
コメント (2)
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台北観光(4): 国立故宮博物院

2014-08-19 21:34:53 | 日記 (2012.8~)
 上野の国立博物館で大規模な故宮博物院展が開催されているところですが、やっぱり台北に来たら足を運びたくなる故宮博物院。2年連続での訪問です。



 定期的に展示物が変わるので、2年連続でも全く飽きません。今回も、博物館主催の英語のガイドツアー(無料です!)に参加しました。2時間近く案内していただきましたが、紹介される品々も前回と殆ど被ってなかったのも印象的でした。オーディオガイドもありますが、いろんな国からの観光客の興味や関心が質問で分かるのも、面白いところがあります。今回は、小学4年生ぐらいのインド系アメリカ人の男の子が質問魔で、それもかなり鋭い質問を連発してくれたので、私の理解も深まりました。

 今回は土曜日に訪問したせいでしょうか?昨年以上の混雑ぶりに驚きました。既に日本から帰還している「翠玉白菜」には数十メートルの行列が出来ています。8割がたは中国本土からの観光客とお見受けしますが、本土から運ばれた至宝の品々を観て、どんな会話をしているのか興味深いものがあります。


≪朝9時半で既にこのロビーの混みよう≫


≪12:00ごろにはオーディオガイドも売り切れ≫

 行き方はガイドブックにはバスでの行き方とかもありますが、私は時間とコストのバランスを考えればタクシーをお勧めします。台北市中心部(中山駅近辺)からでも250台湾ドル(900円ぐらい)です。金曜日とかは夜間開館もしているようなので、訪問時間は選んだ方が良いかもしれません。

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台北観光(3): 湯婆婆の家を訪ねる @九份

2014-08-16 19:49:49 | 日記 (2012.8~)
 台北旅行には定番セットの観光地なので、わざわざここで紹介するお値打ちはないかもしれませんが、それでも印象的であったので、書き留めておきます。

 日本統治時代の台湾の息吹きを残す街として有名な九份を台北からのイブニング・バスツアーを使って訪れました。九份は以前お昼の時間前後に行ったことがありますが、夜の雰囲気を味わってみたかったのです。午後5時に台北市内を出発したバスは、1時間弱程で到着します。夕方6時ではまだ周囲は明るいですが、夕陽に照らされる海の美しい風景が楽しめます。



 早速、一番の観光スポットである石段の通りを散策。原宿の竹下通り以上の混み具合に、暑さも加わり、かなりゲンナリモードではありましたが、独特のレトロな雰囲気を持つ街並みです。下の写真の右手の建物は、ジブリの宮崎駿のアニメ「千と千尋の神隠し」に登場する湯婆婆の家のモデルとの噂で、沢山の日本人観光客が写真撮影にいそしんでました(まあ、私もその一人であったわけですが・・・)。



 街自体は400メートル四方ぐらいのこじんまりしたところですが、お店を冷やかしながらのそぞろ歩きが楽しいです。周囲も段々と暗くなって、照明が眩しく輝く様が非日常的です。




≪自分の名前など好きな文字を花文字にして書いてくれる≫

 7時も過ぎると周囲はすっかり暗くなって、赤ちょうちんに照らされた石階段の道は幻想的でした。




≪一番右手が「顔なし」≫
 
 2時間程の滞在で、ツアーは台北に向かいますので、お店に入って飲食をするにはちょっと厳しいですが、ブラブラして小物の買い物をするには丁度良い時間です。通り沿いのお店は7時ぐらいから閉め始めるところもありますので、お目当てのお店や気に入ったお店がある場合は、後回しにせず、即断即決で行ったほうがよさそうです。

 ツアーは8時に九份を立ち、9時には台北市内に戻りました。夜の九份は昼間のそれを大きく趣が異なります。なので、一度はこの宵どきの時間帯の訪問をお勧めします。

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台北観光 (2): 台湾のお盆

2014-08-14 09:10:36 | 日記 (2012.8~)
 台北市内を歩いていて今までは見たことが無かった光景を目にしました。通りと言う通りにお供え物らしき品々が置かれ、お線香が焚かれ、更に火が付いた一斗缶に紙を入れて燃やしているのです。中には、お坊さんらしき人がお経を上げているようなところもありました。


≪いろんなお供え物が並びます≫


≪お坊さんと一緒に読経します≫

 旅行中に再会した台湾人の友人に「あれは何なのか?」と尋ねたところ、丁度日本で言うお盆の時期だったらしく、「先祖の霊が帰ってくるので、供養をしているんだ」とのこと。「中元節」と言うらしいです。日本の「お中元」もここから来ているのでしょうか?今年(2014年)は8月10日がその日に当たるそうです。ネットで調べたら、仏教と言うよりも道教から来ている習わしとのことでした。

 偶然にも、その8月10日に台北でも有名な寺院である龍山寺を訪れたのですが、前回訪れた時とは違った賑やかな龍山寺でした。ここでも、参拝客がめいめいにお供え物をささげます。そして、堂内では、お坊さん達が音楽付きでお経を読みます。参拝客も持参したお経を読みあげます。


≪お堂に向かってお供え物が捧げられます≫


≪お堂に向かってお祈りする人達≫


≪蝋燭の灯りも趣を感じます≫


≪お供えの品々≫


≪道教のお経なのでしょうか?≫

 ちょっと、台湾の人々の生活を垣間見た気がしました。

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台北観光 (1): Taipei Eye(台北戯棚)で京劇を見る

2014-08-12 15:15:44 | 日記 (2012.8~)
 夏休みを使って台北を訪れました。東京以上に暑いですが、日本から近くて、食事がおいしくて、親日的な国である台湾は、手軽な海外旅行先としてお勧めです。

 今回は3度目の訪台なので、観光というよりものんびりリラックスモードの滞在ですが、初めて京劇なるものを見に行きましたのでご紹介します。中山公路にあるTaipei Eye(台北戯棚)という劇場で、観光客向けに週に3-4回公演が行われています。観光客向けということで、さほど大きな期待はしていなかったのですが、これが期待以上に楽しめました。

 夜の8時半の開演で、8時に開場となりますが、なるべく開場時間に合わせて行かれる事をお勧めします。公演前に役者さんのお化粧するプロセスや琵琶の開演前演奏があったりして楽しめます。会場は、300名余りの収容スペースがある、中ホールです。

 この日の演目は、「白蛇伝」と言う、人間の女性に姿を変えた妖怪「白蛇」と人間の男性が恋に落ちるお話です。舞台袖に琵琶や横笛、パーカーッション等の演奏者が位置取り演奏します。台詞はもちろん中国語ですが、中国語、英語、日本語、ハングルの字幕が出るので、内容は容易にわかります。


〈舞台模様。フラッシュを焚かなければ、撮影もOKです〉

 前半は、妖怪「白蛇」と人間「許仙」の出会いから恋に落ちる過程が淡々と演じられます。優美ではあるものの動きが少ないので、多少忍耐が要りますが、後半になってがらっとペースが変わります。神様と妖怪の戦いが繰り広げられ、見事な殺陣やオリンピックの床運動顔負けのアクロバット・パフォーマンスが次々と繰り広げられ、目が離せません。美しく、色彩豊かな衣装や役者が見栄を切るところなどは、歌舞伎との共通性も伺われ、楽しめました。


〈カーテンコール〉

 夏休みシーズンということもあって、ホールは日本人、中国人、韓国人などのアジア人観光客でほぼ満員でしたが、大きな拍手の中で幕を閉じました。終演後は、フロアで役者さんたちとの記念撮影もでき、観光客を楽しませることに徹底しています。今回の公演がどれだけ観光向けに作られたものであるのか、現代の台湾人がどのような演劇を楽しんでいるのかまでは、全く知るところではありませんでしたが、公演は非常に楽しめましたし、また違う演目も見てみたいと思います。

 夜市だけでない、台北の夜の楽しみを、是非一度お試しください。

 ※ホームページはこちら→
 
20:30-21:30 京劇テーマショー
白蛇伝(白蛇の恋の物語) -金山寺

主演:台北新劇団

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都響 「作曲家の肖像」シリーズVol.98《ビゼー》/  指揮マルク・ミンコフスキ

2014-08-03 22:26:20 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 私にとっては、8月の唯一のコンサートです。7月も演奏会に出かけたのは一度きりだったせいか、この日は開演までの時間配分とか持ちモノとか、何かとボケていて、開演時間ぎりぎりに大汗をかいての入場となりました。習慣の力は大きい。

 今日は大好きなビゼー祭りであり、かつ久しぶりのミンコフスキさんともあって、心待ちにしていたコンサートです。

 一曲目は、全く初めて聴く交響曲《ローマ》。冒頭のホルンの四重奏から美しかった。曲自体も耳に馴染みやすい音楽で、都響のアンサンブルの良さが引き立ちました。ただ、私は、汗の引きとともに、ちょっと効きすぎ位のホールのエアコンが心地よく、熱帯夜での睡眠不足も響いて、途中睡魔が襲ってきて集中力を欠いてしまい残念。

 休憩後は、《アルルの女》組曲第1番と第2番を連続で。この曲はCD持ってますが、生で全曲聴くのはあまり記憶にありません。冒頭の前奏曲「三人の王の行列」の切れの良い演奏から、ぐぐっと引き込まれました。好きな第2組曲のメヌエットも聴けたし、最後のファンランドールの盛り上げでは、ホール一杯にオーケストラの音が響き渡り、気分爽快。暑さを吹き飛ばしてくれる納涼演奏でした。

 アルルの女を聴きながら、「う~ん、カルメンも聴きたいなあ」と思っていたのですが、アルルの女が終わった時点で15時30分。拍手しながら「今日はずいぶん早く終わるんだなあ。新宿で買い物でもして帰るか」と考えていたところ、何と予期せぬアンコール。それも、カルメンの前奏曲。もう、歓喜感激でした。さすがミンコフスキさん、わかってる。そして、カルメンの拍手に応えて更に≪アルルの女≫第2組曲のファンランドールを再び。これは楽員さんにもサプライズだったようで、ステージ上であわててました。大盛り上がりで、終演となりました。いや~、ほんと楽しい演奏会で、ミンコフスキさん、楽団員さん、そして聴衆の皆さんの暖かい一体感が感じられた、良い空間・時間でした。

 それにしても、ミンコフスキさんってこんなお茶目な方とは知らなかった。ロンドン在住時に、ルーヴル宮音楽隊、ネザーランド(オランダ?)オペラで聴く機会がありましたが、今日のような、はしゃいだ感じの終演後の楽団員への労いや拍手への応え方は無かったような。都響との公演は今回はこれ一回きりのようですが、夏休み中とはいえ何とももったいないですね。以前聴いたのは、ヘンデルのオペラ『アルチーナ』とグノーの『ロミオとジュリエット』だったのですが、いずれも記憶に残るすばらしい公演だっただけに、今回がこれきりなら、是非次回の来日を期待したいです。


「作曲家の肖像」シリーズVol.98《ビゼー》
日時:2014年8月3日(日)14:00開演(13:20開場)
場所:東京芸術劇場コンサートホール
出演者
指揮/マルク・ミンコフスキ

曲目
〈ビゼー〉
交響曲《ローマ》
《アルルの女》組曲第1番*
《アルルの女》組曲第2番*

"Portrait of Composers" Series Vol.98 <Bizet>
Date: Sun. 3. August 2014, 14:00 (13:20)
Hall: Tokyo Metropolitan Theatre seat
Artists
Marc MINKOWSKI, Conductor

Program
<Bizet>
Symphony "Roma"
"L'arl�・sienne", Suite No.1
"L'arl�・sienne", Suite No.2
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田中孝明 『グローバルプロフェッショナルの基礎知識』 日経BP社

2014-08-01 23:51:31 | 


 仕事上の必要性から読みました。

 思いのほか良い本でした(かなりの上から目線は自認してます)。グローバルな経営管理について幅広く網羅的にカバーされています。概説書であるため、切り込みの深さには不満が残るところもありますが、入門書としては必要な知識をしっかりと抑えており、好著だと思いました。著者が東芝の中国総代表(執行役常務)を務めた経験もある方でもあり、理論と実践のバランスが良く取れています。

 海外ビジネス従事者の入門書として、職場の若手にも奨めたいとおもいます。


目次
第1章:グローバルプロフェッショナルの条件
第2章:グローバル化の経営課題
第3章:海外子会社の経営管理
第4章:海外子会社の組織管理
第5章:海外子会社の人的資源管理
第6章:リーダーシップの発揮
第7章:異文化適応とコミュニケーション
第8章:企業統治
第9章:海外進出とM&A
第10章:経営の現地化
第11章:母国本社と海外子会社の課題

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