その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

この人ほんとにイタリア人? ルイージ指揮/N響1月定期Aプロ

2014-01-27 22:19:12 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 もう既に、多くのツィート、ブログで触れられているので、これ以上言うこともないのですが、ルイージさん指揮N響のオルフ「カトゥリ・カルミナ」と「カルミナ・ブラーナ」、素晴らしい公演でした。ルイージさんの棒の元、合唱、独唱、オケが一体となって、構成美と壮大さを併せ持つこの音楽の醍醐味を味あわせてくれました。終演後、熱狂的な拍手に包まれたのも納得です。

 今回、私の一番のサプライズはルイージさんでした。2011年3月にロイヤルオペラでこの人が振った「アイーダ」を聴いているはずなのですが、あまり記憶に残ってませんでした。公演前に「イタリア人」、「(派手な)メトロポリタン歌劇場の首席指揮者」という経歴を拝見し、濃い~顔立ちの、いかにものイタリア人指揮者(ムーティとか、シャイーみたいな人)をイメージしていたのですが、全く違いました。

 学者さんのような容貌で、かつ端正で折り目正しい身のこなしは全然私が勝手に思っているイタリア人っぽくない。指揮ぶりは、情熱的ではあるけども、決して情を押し通すわけではなく、理と情が絶妙のバランスで同居している。「カルミナ・ブナーラ」は大編成のオケと合唱、そして独唱と全部で200名前後の人がステージに居ると思うんですが、強い統率力で、素晴らしい集中力と表現をパフォーマー達から引き出していました。

 日頃、あまり評判が宜しくないN響会員の皆様も、ルイージさんの棒に引き付けられるように、集中力一杯で聴いていいるのが分かります。ほぼ満席となったNHKホールが水を打った静けさのような張り詰めた空気の中で、音楽が奏でられて、いつもとは全然違うNHKホールでした。

 もちろんルイージさん以外にも素晴らしいところ一杯ありました。独唱陣よりも存在感・貢献度で際立っていた合唱団、ソプラノのエルトマンさんの清楚で美しい声と佇まい、主役ではなくともしっかりと舞台を締めるN響の演奏などなど。熱く、痺れ、胸が一杯になる演奏会でした。

 間違いなく、今回の演奏会は長く記憶に残るものになりそうです。



第1774回 定期公演 Aプログラム
2014年1月26日(日) 開場 2:00pm 開演 3:00pm

NHKホール

オルフ/カトゥリ・カルミナ*
オルフ/カルミナ・ブラーナ**


指揮:ファビオ・ルイージ

ソプラノ:モイツァ・エルトマン
テノール*:ヘルベルト・リッパート
テノール**:ティモシー・オリヴァー
バリトン**:マルクス・マルクヴァルト

合唱:東京混声合唱団
合唱**:東京藝術大学合唱団
児童合唱**:東京少年少女合唱隊


No.1774 Subscription (Program A)
Sunday, January 26, 2014 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)

NHK Hall

Orff / Catulli carmina, cantata *
Orff / Carmina burana, cantata **


Fabio Luisi, conductor
Mojca Erdmann, soprano
Herbert Lippert, tenor *
Timothy Oliver, tenor **
Markus Marquardt, baritone **

Tokyo Philharmonic Chorus, chorus
Tokyo Geidai Choir, chorus
The Little Singers of Tokyo, children chorus
コメント (2)
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