その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ウィリアム・シェイクスピア/著 福田恆存/訳 『リア王』(新潮文庫)

2011-01-31 22:16:32 | 
週末にシェイクスピアの4大悲劇の一つ『リア王』を読む。

「老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固め、三人のうちでもっとも孝心のあついものに最大の恩恵を与えることにした。二人の姉は巧みな甘言で父王を喜ばせるが、末娘コーディーリアの真実率直な言葉にリアは激怒し、コーディーリアを勘当の身として二人の姉にすべての権力、財産を譲ってしまう。老王リアの悲劇はこのとき始まった。」 (新潮文庫ホームページより)

人間の財産欲、名誉欲、猜疑心が、張り詰めた緊張感とともに描かれる。
この戯曲には、希望はなく、描かれるのは絶望だけである。
シェークスピアの悲劇は、まさに曇り空のイングランド、スコットランドの城跡のように、とことん暗い作品がおおいが、読後、これほど重く、複雑な気分になるのは、この作品がピカイチであると思う。

いろいろ読み解きたくなる本だが、時間がないのと、ますます気分が沈みそうなので、止める。個人的には、リア王に仕える「道化」が何者なのか気になった。あの機転、切り返しは、只者ではない。
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バルセロナのレストラン mandarina restaurant

2011-01-30 23:43:27 | レストラン・パブ (in 欧州)
深夜に到着して、翌日の夕方には帰るタッチバック出張で、先週、出かけたバルセロナで、唯一スペインを感じた機会だったのが、このレストランのランチ。自分の記録用も兼ねてご紹介します。

バルセロナの新しめのショッピング兼ビジネス街である新市街エリアにあります。カタルーニャ料理を出してくれます。タパスではなく、前菜とメインを一皿づつ頼む方式です。

前菜に、魚介を小さく刻んだものをクリームで和えてクレープで包んだ料理、メインにカタルーニャ風ビーフステーキを頼みました。どうやったらこういう味付けになるのか?と不思議なくらい口の中一杯に豊かな味が広がります。どれも私が行ったことのあるロンドンのスペイン料理屋では出てきそうにない美味。

仕事は胃の痛む内容だったが、唯一、食事に救われました。料理というのはいかに偉大であることか。

※レストランのホームページ(おしゃれなつくりです)

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The King's Speech

2011-01-29 23:28:00 | 映画
現在、アカデミー賞に12部門ノミネートされているイギリスの独立系映画「The King's Speech」を見にいきました。当地ロンドンでは、アカデミー賞確実!的な期待感が一杯です。

現エリザベス女王のお父さんであるGeroge6世が主人公。子供の時からの極度のドモリを、奥さんが探してきた非正規のスピーチ・セラピストと矯正の努力をし、ドイツとの開戦の詔(?)を発表するという物語。実話に基づいた話だそうです。

評判どおり、とっても良質のイギリス映画でした。スポ根とも言えるほど、努力、愛、友情、成長の物語です。

ジョージ6世を演じたColin Firth、スピーチセラピストLionel Logueを演じたGeoffrey Rush の2人の落ち着いた成熟の演技が素晴らしい。 また、ジョージ6世の夫人であるエリザベスを演じたHelena Bonham Carterが独特の存在感を放っていました。王室というイギリス社会の頂点の家族の妻であり母なのですが、非常に人間的な人物に描かれていて(あまりにも庶民的で少々びっくり)、王室という堅苦しくなりがちな映画の舞台設定の雰囲気を和らげていました。

そして、いつもながら、イギリス映画における庭園、風景、宮殿の居室等の映像は美しいです。一度パーティーでお招きを受けたロンドンの豪華絢爛ホールがロケに使われているなど、見覚えのある場所がいくつもあり、とっても親近感も湧きました。

ハリウッド映画の対極をなすともいえる、お金をかけずに、地味ながらも、人物の心情や美しい風景を描写するイギリス映画の良さが最大限活かされている映画だと思います。

お奨めです。

Directed by Tom Hooper
Produced by Iain Canning
Emile Sherman
Gareth Unwin
Geoffrey Rush
Written by David Seidler

Starring
Colin Firth
Geoffrey Rush
Helena Bonham Carter

Music by Alexandre Desplat
Cinematography Danny Cohen
Editing by Tariq Anwar
Studio See-Saw Films
Bedlam Productions
Distributed by The Weinstein Company (USA)
Momentum Pictures (UK)
Release date(s) 10 December 2010 (2010-12-10) (United States)
7 January 2011 (2011-01-07) (United Kingdom)
Running time 118 minutes
Country United Kingdom
Language English
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ドゥダメル指揮/ ロスアンジェルス・フィルハーモニック/ マーラー交響曲第9番

2011-01-28 22:59:25 | コンサート (in 欧州)
ロスアンジェルス・フィルハーモニックのロンドン公演に行って来た。

指揮は同楽団の音楽監督を勤め、今世界で最も注目の若手カリスマ指揮者といっても良いグスターボ・ドゥダメル。1981年1月26日生まれということらしいので、まだ30歳になったばっかり。すげえ〜。

今日のプログラムはマーラーの交響曲第9番の一本勝負。

バービカンホールの舞台一杯に広がる大オーケストラが、第1楽章からスケール感一杯の音楽を奏でてくれた。ただ金曜日の演奏会ということで、いつもどおり自分の集中力が欠け、聴いているような、聴いていないような宙に浮いた感じ。第2楽章以降は復活し、一生懸命聴いた。第2楽章はリズミカルな旋律が楽しい。でもやっぱり、マーラーの第9は第4楽章が圧巻。主題が形を変えて繰り返され、進むに従って薄くなり、最後は消えて行く。マーラーは最後の小節に「死に絶えるように」と書き込んだそうだが、その通りだ。最後の音が消えて、ドゥダメルの腕が降りるまで1分近くあったのではなかろうか。マーラーの9番を聞くのはこれが3回目だが、こんなに長いセ静寂の時間が続いたのは初めてのような気がする。

ドゥダメルの指揮姿はエネルギッシュで気持ちがいい。暗譜で全身で楽員に向かっていく感じが、若さがあっていい。オーケストラはどの楽器も良くなっていて、迫力満点だった。マーラーということもあり、金管が大活躍。

ただ・・・、正直、自分の中に、深く胸に残るような感動は起こらなかった。何故だかは良くわからない。私がこういうのも何だが、音楽は美しいのだが、なんか精神的に後に残らないのである。さっぱりしていて、不思議な気分だった。初めて聴いたのはチョン・ミョンフン指揮のN響だったと思うが、その時は第4楽章の感動から抜け出すのに数時間かかったほどだったのに。あまりにも若くて活きのいいドゥダメルの指揮とマーラーの暗い9番のイメージが合わないといったビジュアル的なものなのかもしれない。やっぱり、マーラーの9番は、ミョンフンが目を閉じて静かに指揮したり、ハイティンク大先生とかが難しそうな顔をして、指揮棒の先一つでオケを操るみたいなほうが合うのかな?などと後で勝手なことを考えた。

しかし、終演後の拍手はすごいものだった。カーテンコールでは、ドゥダメルは常にオーケストラを立てて、自分が中心に立つようなことがない。謙虚な人なのかもしれない。

Los Angeles Philharmonic / Dudamel
28 January 2011 / 19:30
Barbican Hall

Mahler Symphony No 9

Los Angeles Philharmonic
Gustavo Dudamel conductor
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Susan Bloch & Philip Whiteley "The Global You"

2011-01-28 00:11:49 | 

グローバル化するビジネス、職場の環境変化に対して、どうやって自分自身をグローバル化させるのか? そのノウハウを紹介する本です。経験豊かなエクゼクティブコーチング米国人と英国人の経済記者による著作で、国際ビジネスマンへのインタビューやアンケート調査を元に導かれたものです。

本屋で見かけて「こりゃあ、俺に読めと言っているような本だな」と思って、即、購入しました。英語が恐ろしく分かりやすく書かれているので、スイスイ読めました。英語の本がみんなこれほど読みやすければいいのに...

ただ内容は正直、期待ほどではありませんでした。10のアドバイスが夫々の章で語られるのですが、その章立ては・・・

1. Think global.
2. Learn to work in a multi-cultural context.
3. Travel whenever you can - for fun or for work.
4. Learn a language.
5. Learn to learn out of the classroom.
6. Go virtual while staying real.
7. Treat multi-cultural teamwork as a core skill.
8. Build your personal network.
9. Raise your global profile.
10. Manage your time across time zones.

一瞥して分かるように、「なんだ当たり前のことじゃないか〜」と言う中身と言えば中身なのです。なので、私が思ったのは、英米のビジネスマンにとっては、我々日本人以上にグローバル化 (脱欧米化?) というのは大変なことなのかもしれないということでした。違いはあるにせよ基本的な歴史や世界観を共有している欧米市場の中でのビジネスと、本書の事例としていくつか紹介されているアジアや中東諸国とのビジネスに欧米人が入っていくというのは、日本人が欧州市場に入ってて仕事をする以上の難易度があるのでしょう。

一方で、いくつかの新しい発見もありました。

例えば、7章ではグローバルなマインドセットとは何か、場所の離れた地点同士のテレビ会議や電話会議を如何に効果的に進めるかといった具体的なアドバイスが記述されています。

また、9章では、Facebook、Twitter、LinkdIn、Blogなどのソーシャルメディアをどう活用するのかとか、オンライン上での自分の経歴の書き方例などが書いてあって、なるほどと思わせます。

私はソーシャルメディア好きですが、オンとオフを使い分けた形で使っています(というかビジネス目的の利用はしていない)。プロフェッショナル(職業上)とプライベートの境目がどんどんあいまいになってきている社会で、こうしたメディアを最大限活用するには、もう少し活用方法も考え直したほうがいいのかもしれません。

このブログも実名かつ英語で書こうかしら。そしたら、誰も読んでくれなくなるだろうなあ〜。

とりあえず、久しぶりに英語の本を一冊読み通して、いい気分です。
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とある職場の風景 360度フィードバック

2011-01-26 23:41:28 | ロンドン日記 (日常)
昨年実施された360度フィードバック調査の結果レポートが帰ってきました。

上司、部下、同僚等から自分のマネジメント行動について、全部で12の評価軸について全部で100項目の質問で7段階の評価を行ってもらい、自分の強み、弱みを把握し、今後のマネジメント行動に活かすというものです。

昨年は初めての体験だったので、おっかなびっくりでしたが、2回目の今回も今回で「昨年よりスコアが下がっていたらどうしようと」、違う心配がありました。

(昨年の模様)
 ※360度フィードバック 外国人部下からの評価
 ※360度フィードバック

結果を見てホッ。昨年より、ポイントが10%ちょっとあがっていました。評価軸ではEmpowering、Energizing、Feedbackといった軸は改善ポイントが高く、逆にGlobal MindとかResilience to Stressという項目ではポイントが悪化。これから、質問ごとの点数を見て、胸に手を当てて、振り返らなければいけません。

嬉しかったのは、一番気になる外国人部下からのスコアも良くなっていて、日本人同僚のスコアとほぼ同じ。去年は外国人部下と日本人同僚のスコアに随分差があったので、これは正直嬉しいです。

そして、いつも一番気になる、個別の自由コメント欄。遠慮のない彼らからのコメントには幾つも、「ドッキ」とする気づきがあります。

例えば、

(向上すべき行動)
・意思決定にはもっと皆を巻き込んで欲しい
・打合せをもっと効率的に運営して欲しい
・もっと自分の考えや方針を強く言ったほうがいい
・・・・

(やめるべき行動)
・もっと明確に方針を打ち出すべき
・細かい点まで気にしない。マイクロマネジメントを止める
・評価のときだけでなく、もっと常日頃からフィードバックが欲しい

ホント、言いたいこと言われます。ここで、(俺のどこがマイクロマネジメントなんだ!!!)などと、カチンとこないで、大人の反省をしなくてはいけません。でも、「ミーティングに遅れるな」などとフィードバックを受けた去年よりはいいかも。

そして、とても嬉しい言葉のプレゼントも頂きました。

(継続すべき行動)
・忙しいときでも話を良く聞いてくれ、正直なフィードバックをくれる。
・あらゆる人とコミュニケーションをとる姿勢がある
・サポートが必要なときは、積極的に支援してくれる
・・・

しっかり、レポートを読みこんで、自分のためにも、そして、フィードバックをくれた人たちのためにも、少しでもやりがいがあり、自分たちのキャリアアップにつながる職場となるよう前進したいです。
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ロンドン チャイニーズレストラン Empress of Sichuan

2011-01-25 21:33:53 | レストラン・パブ (in 欧州)
同窓会の集まりででかけた四川料理のレストラン。ロンドンの中華街にあります。

ロンドンの中華料理は美味しいですが、どちらかと言うと香港系、広東系の人がやっているお店が多いです。激辛大好きな私にとって初めての四川料理レストランでした。

お味のほうは期待に応える激辛でした。胡椒、山椒、唐辛子が効いた料理がバンバン出てきます。なんか唐辛子のスープの中に浸してある鶏肉とか、蝦の料理もありました。会話に夢中で出てきた料理の名前を確認できなかったのが悔やまれます。味もいけます。

あとワインの種類がとっても豊富です。赤ワインと辛くてちょっと油気のある四川料理はなかなか合いますね。

サービスのお姉さんたちも愛想が良く、比較的無愛想な人が多い中華料理店とは思えない好感度(偏見かも・・・)。おススメです。

※お店のHPはこちら→
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冬枯れのセントオーバンスを走る

2011-01-24 22:43:12 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 ロンドンから20マイル強ほど北にあるST.ALBANS(セントオーバンス)という町で行われた10マイルレースに参加しました。今年の初レースです。

 セントオーバンはローマ人が作った町として、今でもローマの壁が残ったりしている歴史的な街です。街の中心には1077年建造の大聖堂が建っており、ハイストリートもお洒落で、とても素敵な街です。

 天気は、雨こそ降りませんでしたが、イングランドの典型的なすっきりしない曇り空。気温も上がらず、寒い中でのレースになりました。参加者は800名ちょっとで、中規模クラスのレースです。

 コースは街の外れからスタートし、街を取り囲む、これまた典型的なイングランドの牧草地帯を8の字を描くように周回します。

 コースはとても走りやすいものでしたが、難儀したのは細かいアップダウン。水を一杯に含んだ画用紙の皺のように、緩やかだけど細かい小さなアップダウンが続きます。緩やかな上りの道で、いかに体勢を保持し、スピードを落とさないように走るかに気を付けました。

 記録は手元の時計で1時間24分、10キロを越えるレースは昨年10月のフルマラソン以来ですので、まずまずだと思います。

 今日は先日買ったジョギングシューズのデビュー戦でもありました。まだ練習でも一回履いただけですが、違和感なくスムーズに走ることができました。

 4月のパリマラソンにエントリー済みですので、これから3ヶ月弱をかけて、調整を続けます。

※夕方から用事があったのでレース後はすぐに帰りましたが、セントオーバンは是非一度、観光で訪れてみようと思っています。

※スタート前の様子、寒い、寒い・・・・


※牧草地帯の小さなアップダウンを走る
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ロンドン・フィルハーモニー/ フォーレ「レクイエム」ほか 

2011-01-23 16:14:33 | コンサート (in 欧州)
フォーレのレクイエムは昔から一度生で聴きたいと思っていたけど、なかなか機会に恵まれなかった。しかも指揮は、幣ブログに良くコメントを頂くつるびねったさん(ブログはこちら→)がオススメする若手指揮者の注目株のネゼ=セガンさん。

一曲目はフランスの作曲家セザール・フランクの交響曲。しょっぱなから大曲。初めて聴く曲だが、思いの外、聴きやすい曲だった。大編成のオーケスオトラからむつがれる音楽が、雄大でロマンチック。弦と管のバランスも素晴らしく、とっても良い演奏だった。ネゼ=セガンさんはとっても小柄で、名前は忘れたが日本のお笑いタレントを格好良くした感じ。冒頭からエネルギー全開で、情熱的に振る。好感度大。フランクは有名なので名前はもちろん知っているが、あまり積極的に聴いたことのない作曲家なので、今日の演奏を聴いて、もう少し知りたくなった。

レクイエムは期待通りの美しく、厳かな曲だった。独唱者は全然事前チェックしていなかったのだが、二人とも知っている人だった上に、ソプラノは、ロイヤルオペラでコジ・ファン・トゥッテでのフィオルディリージ役をやった美人ソプラノSally Matthews(こちら→)。予期せぬおまけまでついた。

だがやっぱりこの曲の主役はコーラス。ロンドンフィルハーモックコーラスは、時に繊細で、山の岩あいをこぼれ落ちる川の源流のような清らかな歌声を聴かせてくれ、そして時には、山から降り、いくつかの源流の流れが合わさった清流のように大きくかつ勢いをもった歌声を聞かせてくれた。そしてコーラスを弦のアンサンブル、管が支える。レクイエムらしいオルガンの音も神秘的だ。

とっても満ち足りた気分で会場をあとにする。今度はこのレクイエムを教会で聴いてみたいと思う。また違った音楽が聴けそうな気がする。

※携帯アップロード


Royal Festival Hall

London Philharmonic Orchestra
Resident at Southbank Centre
Saturday 22 January 2011

Cesar Franck: Symphony in D minor
Interval
Gabriel Faure: Requiem

Yannick Nézet-Séguin conductor
Sally Matthews soprano
Gerald Finley baritone
London Philharmonic Choir
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個人的体験 欧州で感じる中国の台頭

2011-01-22 18:23:22 | ロンドン日記 (日常)
GDPが日本を抜いて世界2位になった中国。先週のFincial Timesは"CHINA SHAPES THE WORLD"という特集を組んでいて、連日、中国経済の変化、世界経済に与えるプラス、マイナスのインパクトについて、大きな紙面を割いています。日系企業が米国のユニバーサルスタジオやロックフェラーセンターを買っていた一方で、中国では天安門事件があったりしたバブル期に就職した自分には、20年ちょっとの年月が経ったとはいえ、まさに隔世の間があります。

とっても、卑近な例なのですが、こちらでもいろんな場面で中国の存在感を感じます。今回はそのいくつかを、ご紹介します。

(1)ロイヤルオペラハウスの時計
 先日、初めて気がついたのですが、ロイヤルオペラハウスのボックスオフィスには壁掛け時計が3つかけてあり、3つの世界都市の時刻を知らせてくれます。その3つとは、どこだと思いますか?ロンドン、ニュー・ヨーク、そしてなんと北京の時刻でした。ロイヤルオペラハウスの観客で、中国人が日本人より多いとはとても思えないので、私としてはこれは衝撃的でした。今は少なくても、今後の大市場になるに違いないと踏んで、今から中国人向けのマーケティングの一つとして、時計を使っていると思ったのです。「中国人のお客様はROHにとってとっても大事なお客様です」と時計は言ってました。

(2)欧州の旅行地にて
 イギリスの観光地には、積極的にもの売りを仕掛けてくる個人みやげ物屋さんはいないのですが、スペイン(バルセロナのサクラダ・ファミリア前とか)、フランス(パリのエッフェル塔とか)の超有名観光地には、歩いているとスカーフや彫像などなどを道端で売りつけてくる人たちがいます。「コンニチハ」「シェンエン(1000円)!!!」とか言って、話しかけてくる人たちです。話しかけられれば、いちいち断るのもうっとうしいし、結構まとわりつかれるケースも多いので、ホントこの手の人たちは好きではありません。
 最近は、観光地も様子が変わりました。殆どといって良いほど最初の言葉は「ニーハオ」です。初めてそう言われたときは、私は驚いて、思わず立ち止まってしまいました。そして、彼に「(キッパリ!)中国人じゃありません」。
 今や、「ニーハオ」が当たり前です。そして、私は彼らの横を通るつど、(日本語で話しかけてくれよ〜。コンニチハ)とつぶやくのです。寂しい・・・・・・

(3)この東洋人は何人?
 昔は、観光地で東洋人を見かけても、「この人が日本人、中国人、韓国人か?」は一目で峻別できました。男の悲しさ?か、特に女性については、一目瞭然でした。(日本人とは)服装が違う、化粧が違う、髪形が違う、歩き方が違う・・・・ってな、感じで。
 最近はナショナルギャラリー、大英博物館、ロンドン塔、タワーブリッジなどの代表的ロンドン観光地を訪れても、正直、区別はとても難しいです。まだ、おば様がたはわかりますが、若い女性は全くといって良いほど区別がつきません。てっきり、日本人だと思ったのに、隣の友達と話し始めたら中国語だったとか、一緒にいるお母さんらしき人を見たら、(中国のかただったんですね・・・)とわかったり。
 独断と偏見ですが、間違いなく「中国の女性は、経済成長とともに綺麗になった」。

 もちろん、欧州で見かける中国人のかたは、13億人(でしたっけ?)のごくごく一部の偏向したサンプルなので、一般化はできません。ただ、欧州にいても、中国や中国人の存在感がましているのを日々感じます。
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とある職場の風景 パートナー会社の2011Kick Off Event

2011-01-21 22:42:54 | ロンドン日記 (日常)
パートナー関係にある英国の会社の2011年KickOffMeetingに行って来ました。基本的には従業員向けのものなのですが、運命共同体に近い会社として、私の勤める会社にも数名分ご招待頂いたものです。

ロンドン郊外にある米系有名ホテルの大ホールを借り切っての1日がかりのイベントです。200名強の社員がほぼ集まっている様子で、会場は熱い熱気に包まれたものでした。内容は、社長から始まって、各事業部門や組織長のヘッドが、2011年の事業戦略、目標数字などを正面の大スクリーンに映して、30-40分プレゼンテーションします。

どのプレゼンターも、手馴れた、上手なプレゼンテーションで驚きました。以前、良くテレビで放映されたマイクロソフトのビル・ゲイツさんやアップル社のスティーブ・ジョブさんのプレゼンほどのカリスマはないものの、そのミニチュア版とも言えます。

このプレゼンの旨さは何なのか?幾つか気付いたことは・・・

①シンプルなメッセージを何回も繰り返して言う
 年始の施政方針なのですが、メッセージはどの人も極めてシンプルで、分かりやすいです。私のリスニング力でほぼ完全に聞き取れましたので、その分かりやすさはなかなかないものです。何故、分かるかというと、「今年のうちのValueは・・・・・を更に推し進めること」「・・・・・・で他社と徹底的に差異化する」というように、シンプルなメッセージを、手を変え、品を変え、話すのです。「何回同じこと言ってんだよ〜」と聞こえなくもないのですが、それを如何に同じことと聞こえないように、同じ事を伝えると言う、高度な技と思いました。

 とかく、我々は、充実したコンテンツを話さねば、と思うのですが、むしろメッセージは少なく、シンプルに、刷り込むように訴えるのが大切なようです。

②やっぱり、動きが大切
 皆さん、自分の動きを計算してますね。ずーっと、同じところに立っていると、変化が無く、飽きられます。かといって、あんまりうろうろしていると、落ち着きがないように見える。そのバランスが難しいのですが、今日の発表者の方はお見事でした。

③夢、希望、ビジョンも語る
  2011年のKickOffなのですが、単年のことだけを語っていても、更なる先が見えません。この会社、この事業がどんな将来(Vision)を描いていて、今、我々は何処にいるのか?ここを上手く過ぎれば、何が待っているのか?逆に、上手くできなかったらどうなってしまうのか?そういった話をとても上手く、皆さんはなされていました。私が社員だったら間違いなく、「よ〜し、この会社で頑張ろう」と思ってしまう内容です。

④聴衆を巻き込む
 2011年の事業戦略、アクションプランが軸なのですが、2010年の成績優秀者や功労者の表彰やねぎらいが、旨く埋め込まれていました。聴いている人がその時は主役になれますので、会場が盛り上がりますね。

まあ、こういったことは、良く「プレゼンテーションの技法」といったような本には書いてありますし、私も昔、会社で研修も受けました。でも、日本人って、照れもあるのか、なかなか役者になりきれない時が多い気がします。まあ、正直、外人が英語でやっていると、格好良く見えてしまうというコンプレックスもあるのかもしれません。ただ、参加していた社員の方も、高い集中力で聞かれていたのが分かったので、客観的に見ても、十分に成功のプレゼンテーションであり、社内イベントだったのだと思います。

あと、蛇足ですが、気付いたのは、偉い人ほどプレゼンが上手いです。これは、偉いから話す機会が増えてプレゼンが上手くなくのか、それとも話しの上手い人が偉くなるのか?どっち、なんでしょうか〜。なんか、直感的には後者のような気がしましたが・・・

非常に刺激になった1日でございました。
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PC壊れる

2011-01-20 22:23:35 | ロンドン日記 (日常)
一昨日から個人用PCが壊れてしまった。電源を入れてもWindowsが起動しなくなってしまったのだ。何も悪いことしてないのに・・・

もう一台携帯用のミニPCが部屋にはあるが、ちょっと長文の文章を書いたり、写真をアップロードするのは難しい。なので、当面、とってもPoorな記事が続くと思いますが、ご容赦ください。

でも、直るのかなあ〜???
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ロンドン 鮨レストラン Sushi-say

2011-01-19 23:00:40 | レストラン・パブ (in 欧州)
同僚たちと出かけたお寿司屋さん。場所はロンドンの北西部、地下鉄ジュビリーラインのWillesden Green下車、歩いて2分。

ここはどこかと思うほど、日本のすし屋さんそのものです。味はもちろんのこと、マスターも、店員さんも、雰囲気も日本。違うのは、お客さんの90%が日本人以外だったことだけ。

5名で出かけたので、いろいろ頼みました。刺身の盛り合わせ、天ぷらの盛り合わせ、豚の角煮、ギョーザ、シューマイ、もずく酢、にぎり鮨、そして八海山もボトルで。みんな、旨かった〜。とっても混んでたし、いつもそうらしいのでご注意を。

もっと近くにあって、お金があれば、毎日来るのに・・・・

※TimeOutでのご紹介はこちら→
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おニュー

2011-01-17 23:04:49 | ロンドン日記 (日常)
 この冬、セール時期を捉えて新しいランニング・シューズを購入しました。

 昨年の今頃、実は、最新かつ上等のランニングシューズを買っています(こちら→)。そして、その靴には、昨年10月のアムステルダムマラソンで一生の目標にしていた4時間切りを実現してくれるなど、素晴らしい経験をさせてもらいました。が、正直、使いはじめ当初からソールの硬さにどうしても違和感がありました。慣れの問題かと思って履き続けてきたものの、やっぱりその違和感は拭いきれないので、靴には申し訳ないと思いつつ、別のシューズにチャレンジしてみることにしたのです。

 昨年買ったのと同じ店に行って、相談してみました。そうしたら、店員さんが「最近購入したランニングマシンで走ってみて」といいます。コンピュータが私の走りを分析し、私の走り方にあった最適の靴をリコメンドしてくれるというのです。

 半信半疑のまま、試しに走ってみました(スポーツクラブのように、ベルトコンベアの上で脚を動かすだけですが・・・)。1分程走った後、セールスのお兄さんと分析に入ります。ビデオに私の脚が録画されていて、走り方の癖が一目瞭然。

 お兄さんいわく、「去年ご購入された靴は、あなたの走り向きではありませんね。あの靴は、最新技術を取り入れて、土踏まずのところを特殊強化してあって、着地後に脚が内捻する人とかにはぴったり合います。あなたの走りは、進行方向に真っすぐ着地し、真っすぐ蹴りあげている。この走りの人には、あの靴は内側が堅すぎて、ソールが硬く感じられるでしょう。・・・・」

 (ふむふむ、そうだったのか・・・。なんと分かりやすい説明)

 そこにお兄さんが畳込んで、「あなたに合うのはこの靴です!!!」とお薦め商品が目の前に。

 「これかあ・・・。この靴が俺に合うのか!!!」

 この理と現実にかなった説明に、私はすっかり参ってしまい、次に発した言葉は  

 「これください」。

 まあ、値段も安くはありませんでしたが、去年買った靴よりはずっとお手頃でした。


 そして、昨日、靴おろしRUN。結果は、自分に最適であることを確認。ムラムラとモチベーションが高まる自分がそこにおりました。フォレスト・ガンプのように、ずうーっと走ってみたい!!!




※昨日の朝、走ったハイドパーク、ケンジントンガーデンズ。いつもとは、ちょっと違うアングルで撮ってみました。
   
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イヴァン・フィッシャー指揮、ブダペスト祝祭管弦楽団 (Budapest Festival Orchestra)

2011-01-16 22:54:31 | コンサート (in 欧州)
 ブタペスト祝祭管弦楽団のロンドン公演に出かけた。12月にブタペストを訪れたばかりなので、不思議に親近感を感じる。今日はハンガリーの大統領(と聞えたが気がしたが?)を初めとするVIPもロイヤルボックスに鑑賞に来ていた。

 一曲目はハイドンの交響曲第92番。美しい室内楽的な調べ。うっとり聞き入る。余りの響きのよさに危うく気を失い(眠り)かけたがなんとか踏み止まった。弦のアンサンブルの美しさが特に印象的だった。

 リストのピアノ協奏曲は更に、素晴らしかった。冒頭からの重厚なオーケストラとピアノの響きが、ハイドンの余韻を打ち払うかのように始まってハッとした。スティーヴン・ハフ(Stephen Hough) のピアノは時に優しく、時に激しく、それでいて全体を一本の線が通っているような均整さを感じる演奏。弾く姿が背筋が伸びて、姿勢が良く、乱れなく安定しているのが印象的。オーケストラやフィッシャーとのぴったり息があっていて、リストの音楽の美しさを堪能させてくれた。 それにしても、まあよくもあんなに早く指が動くものだと感心。

 休憩後はベートーベンの交響曲第6番「田園」。舞台を観て、あれれ・・?と思う。楽器配置が変わっていて、オーボエ、クラリネット、フルートらの木管の第一奏者達が弦に交じって第一列に陣取る。いつも舞台奥に居る人達がいきなり、最前線に出ているので、本人たちもなんとなく落ち着かなそう。そして第二奏者の人は弦楽器団のなかに紛れて座っている。そして指揮者の前には譜面台ではなく、一本の木が置いてある。(この木の意味合いは最後まで分からなかった・・・)

 演奏は、これは素晴らしいものだった。「田園」は日本でも何度か実演を聴いているが、心の底から揺さぶられた演奏だった。最前線で木管が歌い、響く。鳥が鳴き、風に誘われるのがわかる。弦楽器のアンサンブルも素晴らしい。音がふくよかで、奥行きがある。

 フィッシャーは、全体にスローペースに運びつつ、一つ一つの音作りに凄く気を遣っているのがわかる。ただディテールに拘るだけでなく、全体のバランス、ハーモニーが素晴らしい。調和、均整、寛容、包容、柔、自然、詩という言葉が頭に浮かんでくる。何かに暖かく包まれている感じで、先週の日曜日に暖かな日差しを背中に浴びて歩いたセブンシスターズでの田園ウオーキングを思い出させた。第5楽章になって終盤が近づくと、「もう終わってしまうのか。終わらないでくれ~」と願うほどだった。こんな演奏を聞くと、本当にクラシック音楽を聞くことを趣味に持てて幸せだと心から思う。

 すごい拍手に応えてアンコールを2曲やってくれた。いずれもブラームスのハンガリー舞曲の21番(?)とストラウスのポルカ(?)。特にポルカは、楽員さんたちまでのコーラスも入り、それに応えて聴衆からの手拍子がつく楽しい締めだった。

 新年早々、素晴らしい演奏会だった。打ちのめされるというような衝撃的な感動とは異なる、心豊かにしみじみと音楽の余韻に浸らせてくれる、そんな音楽会だった。

※スティーヴン・ハフ(Stephen Hough)


※謎の舞台中央の「木」


※前列にクラリネットやオーボエが座っていました



Royal Festival Hall

Budapest Festival Orchestra
Sunday 16 January 2011

Joseph Haydn: Symphony No.92 (Oxford)
Franz Liszt: Piano Concerto No.1 in E flat
Interval
Ludwig van Beethoven: Symphony No.6 (Pastoral)

Iván Fischer conductor
Stephen Hough piano

コメント (8)
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