その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロイヤルオペラ 『さまよえるオランダ人』

2011-10-31 23:54:48 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 ロイヤルオペラにワーグナーの「さまよえるオランダ人」を見に行く。このプロダクションは2009年春に新演出として一度観ているので、今回が2回目。

 全体としてパンチに欠け、印象の薄いパフォーマンスに感じたのは残念だった。正直、前半、中盤はあやうく退屈しかける程だった。ただラスト30分は迫力満点で締めてくれたので、後味良く終わったのは救い。

 良かったのは、ゼンダ役Anja Kampe(アニャ・カンペ)。この「いつか、さまよえるオランダ人が現れて恋に落ちる」と夢見る若き女性ゼンダというキャラは全く理解不能だが、カンペはそのちょっと行っちゃてる感のあるゼンダをよく演じ、高音も美しく、良かった。

 反面、男性陣はもう一つ魅力に欠けた。決して悪いというわけではない。タイトルロールのEgils Silinsは渋いバスで良い味を出していたのだが、地味で面白みがない。Daland:のStephen Millingも前半は良いかと思ったが、それが最後まで持続しなかった。むしろ、水夫役のJohn Tessier(ジョン・テシェール)の溌剌さとテノールの美しさの方に魅かれた。

 オーケストラの音は良く出ていたのだが、全体的に緊迫感が足りなく感じたのはなぜだろうか?テートの指揮テンポが遅めに感じたからかもしれない。どうもワーグナーのオペラを見るときに生じる投入感が自分の中に起こらなかった。

 しかし、そのテートはカーテンコールで杖をついて舞台に上がっていた。そして、体の半身が思うように動かない様子で、拍手に応えて舞台前方に動くのも大儀そうだった。それを見て、こんな状態でも、2時間半近く休みなくこの大作を振っていたのを知り、心底、感動した。ありがたいことである。

 演出は2年前と同じ印象で、可とも不可とも言えず、特に印象なし。舞台全体が照明を落として、暗いので、出演者の表情が見にくいのには困ったぐらいか。

(舞台全景)


(さまよえるオランダ人 Egils Silins)


(中央がテート、向かってその右がカンペ)



Der fliegende Holländer
Saturday, Ocotber 29 8:00 PM

Credits
Director: Tim Albery
Set designs: Michael Levine
Costume design: Constance Hoffman
Lighting design: David Finn
Movement: Philippe Giraudeau

Performers
Conductor: Jeffrey Tate
The Dutchman: Egils Silins
Senta: Anja Kampe
Daland: Stephen Milling
Steersman: John Tessier
Mary: Clare Shearer
Erik: Endrik Wottrich

Chorus
Royal Opera Chorus

Orchestra
Orchestra of the Royal Opera House


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晩秋のハムステッド

2011-10-30 23:14:57 | ロンドン日記 (日常)
 今日からいよいよ冬時間。これから冬至までは、日がどんどん短くなるロンドンで一番滅入る季節です。

 ただ、今日の日曜日は、一日厚い雲に覆われた日ながらも最高気温が18度と平年よりも5℃も暖かい一日でした。吹き付ける風で紅葉した葉が落ち、木々は随分見通しが良くなってしまって寂しくなったところもありますが、冬に入る前の最後の紅葉の盛りを感じさせるものでした。

今朝、ロンドン北部ハムステッド周辺で走りながら適当に撮ったスナップを紹介します。


(ハムステッドに向かう坂道)
 坂下から


 坂上から


(ハムステッドヒース内です)




 信じられないと思いますが、先週の10月23日日曜日の写真を参考まで1枚。


(ケンウッドハウス前のフィールドです)






(公園の出入り口)


 今週からいよいよ11月です。

 2011年10月30日
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ロンドン 湖南・四川料理レストラン Ba Shan

2011-10-29 18:07:19 | レストラン・パブ (in 欧州)
 とある会合で利用した四川・湖南料理の店です。場所はSOHOですので、ピカデリーサーカスから徒歩5分ぐらい。(写真はレストランReviewのHPから拝借)

 かなり本格的です。つまり、とっても辛い。筋金入りです。唐辛子、山椒など、香辛料たっぷりです。

 麻婆豆腐、回鍋肉、白菜のシチューなどなど、会話が弾んで何を食べたのか忘れてしまいましたが、会話が弾んだのも辛い料理で舌が踊ったからに違いありません。

 ただ、辛いだけでなく味は間違いなし。美味しいです。この日の幹事さんによると、駐在員奥様の間でも評判とのこと。

 値段もお手頃でお得感があります。難点は、ちょっとお酒類は高めでした。一、二杯、近くのパブで飲んでから行くことをお勧めします。辛いもの好きの方はMUST GOです。


Ba Shan
24 Romilly Street, Soho, London, W1D 5AH

Reviewのページ
http://www.london-eating.co.uk/35947.htm
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シャイー指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ベートーベン・チクルス

2011-10-27 22:54:03 | コンサート (in 欧州)
本シーズンのバービカンセンターの目玉企画の一つ、シャイー指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団コンビによるベートーベンチクルス初日を聴きに行く。初日は、ベートーベンの交響曲2番と5番の組み合わせ。

ロンドンに来て以来、このコンビのコンサートは3回目だが、この日も体が震える演奏だった。

特にラストの交響曲第5番は、凄まじい演奏。比較的早めのピッチで始まった頭から、最後までずうーっとエンジン全開。ベートーベンにしてはコントラバスが8人も居る大きめの編成だからということだけではないだろうが、とにかく音がとてつもなく大きい。アンサンブルの美しさもさることながら、重厚な音で、ブルドーザの如く突き進む。シャイーの情熱的、エネルギッシュな指揮姿を見ていると、「耳や頭できくな、体で聞け!」「俺の音を全身で受け止めろ!」とシャイーに言われているような気がする。管のエッジの効きかたも桁外れで、そんなに吹いて肺がつぶれないか、大外しするんじゃないかと心配させるほどに、吹き上げる。このヴォリューム感には、聴いていて体がワナワナ震える興奮を覚えた。

冒頭の交響曲第2番も重厚な演奏だった。ついこの間聴いたセガン指揮ロンドンフィルの演奏はとっても整然としたスマートな演奏だったが、同じ曲とは思えないような、力で押す演奏。また、休憩後は5番の前にパーカッションが印象的な現代曲を1曲やってくれた。

それにしても、ヨーロッパのオーケストラは本当に色んな個性があって面白い。スペインのサッカー、オランダのサッカー、ドイツのサッカー、イタリアのサッカー・・・が其々違うように、オーケストラ毎に明確な違いがある。きっと、そうじゃないと生き残っていけないのだろう。

(会場は割れんばかりの大拍手)




(2曲目の作曲者Carlo Boccadoroさん)




Chailly / Beethoven Cycle
Beethoven Symphonies No 2 and 5
25 October 2011 / 19:30
Barbican Hall

Beethoven Symphony No 2
Carlo Boccadoro Ritratto di musico (UK Premiere)
Beethoven Symphony No 5

Gewandhaus Orchestra Leipzig
Riccardo Chailly conductor





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塩野 七生 『ローマ人の物語 29 終わりの始まり<上>』

2011-10-26 22:55:42 | 
 いよいよ本巻以降、ローマは下り坂に入ります。本巻では、その前段として、歴史家たちが「ローマ人が最も幸せであった時代、と評する」哲人皇帝マルクス・アウレリウスの治世が描かれます。

 筆者は、マルクス・アウレリウスが正常の政治に専念できたのは、「先人たちの成した業績の成果を享受する時期に皇帝を務めるという、幸運に恵まれたからである」とは言いますが、賢明であり有能であったマルクスにとって難問山積みとなるのがこの時期でもあったようです。飢饉・洪水、パルティアのアルメニア侵攻による東方戦線、北方蛮族とのドナウ河戦線、危機がローマを襲います。

 「人間は公正で善良でありうるかなどと、果てしない議論を続けることは許されない。公正に善良に行動すること、のみが求められる時が来ている」と言ったマルクス・アウレリウス。今の日本のリーダーに、これだけの言葉を堂々と言える人がどのくらいいるのでしょうか?

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NFL観戦@ウエンブリ―スタジアム ~このアメリカ的なるもの~

2011-10-24 21:55:38 | ロンドン日記(イベント、観光、スポーツ)
イギリスでの遠征公式戦アメリカNFL(アメフトのプロリーグ)タンパベイ・バッカニアーズ対シカゴ・ベアーズの試合を見に、ウエンブリースタジアムへ行った。一度はウエンブリースタジアムへ行きたかったのと、NFLの試合を観るという、私のWishListの2つが同時に叶うというこの日は、朝から興奮状態。

往路のTubeメトロポリタンライン車内からお祭り状態。Wembley Park駅で降りると、駅前から堂々と見えるスタジアムまで伸びる一本道も、もう既にファンで一杯。プレミアリーグの試合にはかれこれ1年近く御無沙汰しているが、プレミアリーグのサッカーの試合に比べても、かなり華やいだ雰囲気に感じる。しかし、いったいロンドンでNFLの試合を見に来る人ってどういう人たちなのだろうか?ベーアズやバッカニアーズののユニホームを着た人が何人も居る。加えて、ジャイアンツだったり、ジェッだったり、ドルフィンズだったり、他のチームのユニホームを着た人も居る。

(ウエンブリー・パーク駅からスタジアムを臨む)


(スタジアムから駅を臨む。人で一杯)


(スタジアムにかかったビルボード)
 

スタジアムの中に入るととにかくでかい。最上階の私の席にたどり着くのに、何個のエスカレータを上ったことか。スタジアムのつくりはアーセナルのエミリーツ・スタジアムに似ていると思ったが、もう場内は完全にアメリカに変わっていた。

(スタジアムに入るとそこにはアメリカが)


まず、アメリカを感じるのはチアリーダーたち。プリゲームショウでこれこそアメリカのチアリーダとも言うべき、ぶりぶりのオネエちゃん達が出てきて踊る。肉眼では良く見えないが、大スクリーン一杯に写ったチアリーダーたちの作られた完璧な笑顔や振り付けが、いやらしいぐらいアメリカである。隣に座っていたイギリス人グループは大喜びだった。そういえば、イギリスでこういうオネエさんって見かけたことがない。

(チアリーダーのショウ)
 

また、試合前の国家斉唱。これほどアメリカ的なものもないだろう。イギリスに来て初めてプレミアリーグの試合に行った際、イギリスの国家斉唱がないのに驚いた(きっとナシュナルチームのチームにはあるだろう)が、米国スポーツではスポーツ種類、プロアマを問わず、試合前の国家斉唱抜きの試合はありえない。国家斉唱が始まっても、私以外廻りの人が誰も起立しようとしないので、やっぱりイギリス人は国家斉唱には慣れてないんだと思った。途中で、段々と起立する人が目立ってくると、「そうか立つのか」という感じで立ち始めるのも微笑ましい。

(プリゲームのコンサートと選手入場)
 

(国家斉唱)
 

名称上はイギリスと同じ、フットボールでも、アメリカンフットボールは完全なアメリカのスポーツだ。個々の選手の役割が完全に定義され、その役割のプロフェッショナルたちが、兵隊としてその役割を演ずる。一つ一つのプレイに間が入り、作戦が確認される。試合展開は、流れの中で選手の自主、創造性に大きく委ねられるサッカーとは全く異なる。同じフットボールという名前がついているのかが、不思議なくらいだ。

試合は、前半は完全なベアーズペースでワンサイドゲームになるかと恐れたが、後半バッカニアーズが盛り返し、最後の最後までバッカニアーズの大逆転があり得る、面白い試合だった。あの大男達が、あんなに素早く動けるのが信じられない。そして、パスが通ったときの美しいフォーメーション。久しぶりのアメリカンフットボール観戦を堪能した。

(試合模様)
 

 

しかし、多少複雑な気持ちが残ったのも事実。全てのプロセスが100%ショービジネスとして完璧にプロデュースされたアメリカスポーツに、もと自他共に認めるアメリカ小僧であったはずの私が、微妙な違和感を感じてしまったのだ。アメリカンフットボールのスポーツとしての面白さは置いておいても、その舞台設定というか、演出とか、全てが出来過ぎなのである。決して、プレミアリーグがショービジネス化していないかと言えば、全くそうではない。しかし、何が違うとはっきりとはいえないのだが、「スポーツ」も「場」も「味付け」も本質的に違うのである。そこに違和感を感じたのは、私が年齢を重ねたせいか?イギリス基準に慣れてしまったからか?、両方か?自分でも良くわからかった。

いろんな意味で面白い1日だった。


 2011年10月23日
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イングリッシュ・ナショナル・オペラ/ 「The Passenger」 (ヴァインベルク)

2011-10-22 23:41:14 | オペラ、バレエ (in 欧州)

 今まで観たオペラの中でも、これほど緊張感あふれ、ヘビーなオペラがあったかと思わせるオペラでした。

 イングリッシュ・ナショナル・オペラで公演中の「パッセンジャー」。アウシュビッツが舞台です。強制収容所で元監視員だった女性(リーゼ)が、戦後、ブラジルに赴任する外交官の夫とともに乗った客船で、監視をしていたポーランド人女性マルタと再会するというドラマ。

 作曲はポーランドからナチスを逃れてロシアに亡命したユダヤ人音楽家モイセイ・ヴァインベルク。ポーランド人作家ゾフィア・ポスムイシのアウシュビッツ経験に基いた小説をオペラ化したもので、1957年に作曲されながらオペラとしての舞台初演は昨年の2010年ブレゲンツ・フェスティバル(コンサート形式の初演は2006年モスクワ)というオペラです。

 まだオペラ作品としての上演の歴史は浅いものの、完成度は非常に高く、出演者たちも好演で、重く心を打たれました。

 舞台は、中央にリーゼとその夫が乗っている客船が据えてあります、そして、デッキが戦後の1960年代初頭、デッキ下が強制収容所の1940年代前半という時代区分になっています。客船の「明」に対して、収容所の「暗」のコントラストが強烈。特に、収容所は、バラックのつくりや収容所内を通る鉄道線路が、今年5月にアウシュビッツを訪れたばかりの私には、リアルで息苦しさを覚えるほどでした。

 物語は、客船上では、消え去ることの出来ない過去が蘇り、幸せな現在を失うことに怯えるリーゼ、妻を愛しつつも今まで知らなかった妻の過去が明らかになり動揺する夫ワルターを巡って展開します。そして収容所では、ただ生き延びることを願い日々を生きる若いマルタと他の収容者(フィアンのタデウッシュもアウシュビッツの別区画に収容されている)たちの生き様や監視人たちのやりとりが描写されます。第1幕後半の収容バラックの描写では、収容者たち神への祈りや不信、生への希望や絶望を思う気持ちが歌われ、重く切ないです。

 歌らしい歌は殆ど無く、劇に沿って音楽が進む感じですが、歌手では、マルタ役のGiselle Allenとロシア人収容者のJulia Sporsenのソプラノが特に美しいものでした。音楽は物語、心情に沿って、重く、緊張感があり、不安を感じさせるものですが、船上のパーティーでのジャズ風のリズムやロシア民謡が入ったりで変化はあり、楽しめます。オーケストラも緊迫した素晴らしい演奏でした。

 ドラマの中にいろいろなエピソードが混じり、差別に対する倫理、夫婦や恋人たちの愛、収容者間の友情、絶望的状況での人間の強さ、弱さ、管理する側とされる側の人間心理などなど、考えどころも満載です。果たしてアウシュビッツがオペラに適当なテーマなのかなどの疑問は残りますが、アウシュビッツの歴史的重みで、見るものは圧倒されます。

 こういう新しいオペラをこれからもENOは積極的に取り上げて欲しいです。ロイヤルオペラではできないようなチャレンジを続けるENOはとても貴重だと思います。

 余談ですが、今日は当日券の残りチケットを売りさばくTKTSにてチケット購入。通常95ポンドの1階ストール席が何と25ポンド。とってもお値打ちの公演でした。

(船上が戦後、デッキの下が戦中のアウシュビッツ)


(青のセーターがマルタ役のGiselle Allen)


(指揮のRichard Armstrong)



 

Credits
A co-production with Bregenz Festival, Austria, Wielki Teatr, Warsaw and Teatro Real, Madrid

Publishers of the Work: © Peermusic Classical GmbH Hamburg

Performed by arrangement with Faber Music Ltd, London

New production supported by the Adam Mickiewicz Institute as part of the Polska Music grant programme and The John S. Cohen Foundation



Conductor Richard Armstrong
Director David Pountney
Associate Director Rob Kearley
Set Designer Johan Engels
Costume Designer Marie-Jeanne Lecca
Lighting Designer Fabrice Kebour
Associate Lighting Designer Christian Steinschaden
Fight Director Ran Arthur Braun
Translator David Pountney

Cast includes
Lisa Michelle Breedt
Marta Giselle Allen
Walter Kim Begley
Tadeusz Leigh Melrose
Katya Julia Sporsen
Christina Pamela Helen Stephen
Vlasta Wendy Dawn Thompson
Hannah Carolyn Dobbin
Ivette Rhian Lois
Old Woman Helen Field
Bronka Rebecca de Pont Davies
SS officers Adrian Dwyer, Charles Johnston, Gerard O’Connor
Steward/Elderly Passenger/Kommandant Graeme Danby

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秋のケント州を走る

2011-10-20 22:36:56 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 これ以上はないような秋の日和。イングランドの秋ってこんなに天気が良くて気持ちが良かったけ?と思わせる日。ロンドンから約65キロ。リーズ城に近いケント州のメイドストーンで行われたハーフマラソン大会に参加。来月走るフルマラソンの事前練習レースでもある。



 申し込んだWebサイトには「コースは平坦」マークがあったのだが、全然違った。小さなアップダウンがいくつもあり、逆に平坦なところを走ることがあまりないぐらい。良い意味で練習にはなったが、かなりきついコースだった。特に前半は、谷あいのアップダウンを繰り返すルートで、展望も良くなくひたすら前を向いて走るだけ。後半は丘の尾根伝いに走るコースで展望は良くなったが、アップダウンが多いのは相変わらずで、終盤は腿に痙攣の兆候がでるなど結構危なかった。





 交通規制がされてないところがあったりして、結構、走りにくいところもあったが、全体としては環境はとっても良い。乾草、紅葉などが陽に照らされ黄金色に輝き、秋を感じさせる色あいに溢れていた。イギリス風のレンガ作りの建物も秋の色にぴったりだ。その色彩の中、冷たい空気を頬に感じながら走るのは本当に気分が良い。





 タイムは1時間56分38秒なので悪くはない。でも、このペースではあと10キロも持たないだろう。最近は、年齢のせいかハーフがやっとで、フルを走るのがどんどんきつくなってきている。



 今日の完走賞はメダルとTシャツ。2つ揃ってもらえるレースは余りないので、結構嬉しい。しかし、この蛍光色Tシャツは何とかならんかね。夜走る時しか着れない。



2011年10月16日

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ロンドンフィルハーモニック/ スターバト・マーテル(ロッシーニ)

2011-10-18 23:22:42 | コンサート (in 欧州)
 週末に、私としては今シーズン初となるロンドン・フィルのコンサートにロイヤル・フェスティバル・ホールを訪れました。フェスティバル・ホールは何と5月末に訪れて以来です。

 この日のお目当ては、主任客演指揮者のセガンさんとロイヤルオペラの若手育成プログラムを卒業して昨シーズンからバイエルン国立歌劇場で歌っているソプラノの中村絵里さん。

 1曲目のベートーベンの交響曲第2番はコンサートで聴くのは私の記憶が正しければ初めてです。エネルギッシュな中にも均整がとれた演奏でした。ただ、私自身が、開演前にホール前で実施されていた「ワイン&チーズ」フェアで飲んだワインが残っていて、ほろ酔い気分で集中力不足。寝てはいませんが、細部はあまり記憶に残ってないです。

 休憩で気合いを入れなおして臨んだロッシーニのスターバト・マーテル。ロンドン・フィルは去年もこの季節に、スターバト・マーテルをやっています。昨年はドヴォルザーク版だったのですが、ロッシーニ版は全く初めて聴く曲です。

 まず、曲全体の派手とも言える程の劇的さに胆を抜かれました。イエスが磔となった時のマリアの悲しみを歌う曲なのですが、まるでオペラ曲のように仕上がっています。パンフレットの歌詞を追いながら聴いているので、何について歌っているのか、演奏しているのかはわかるのですが、もし歌詞を見ないで聴いていたら、まさかこれがマリアの悲しみを歌っているとは思わないでしょう。パンフにも、この詩にロッシーニが付けた音楽には賛否両論だっと言うことが書いてありました。私自身はクリスチャンではありませんし、音楽が楽しめればいいですが、このドラマティックな音楽は好みです。

 そして、パフォーマンスも素晴らしかったです。セガンさんが凄い集中力でオケや合唱をグイグイ引っ張って行くのが良く分かります。音楽の陰影が凄くはっきりしていて、劇的で、純粋に心が揺さぶられます。どの独唱も出来がよく、合唱も素晴らしかった。

 中村さんの声は個人的にとっても好きです。美しい高い声は、繊細な中に微かな華を感じるもので、そのデリケート感が西洋人のただ声がでかいソプラノとは一線を画すものです。ロイヤルオペラでも何回も聴きましたが、久しぶりに聴く彼女の声はやっぱり美しかった。コンサートで聴くのは初めてなのですが、失礼ながら、オペラでは声は良くても、2廻りも大きな西欧人たちに囲まれるとどうしても見栄えでは損をしてしまうところがあります。むしろコンサート形式の方が彼女の声をしっかりと集中して聴くことができ、声の美しさを味わえると思いました。

 私は大満足の大拍手です。演奏後、私の真後ろに座っていたとっても綺麗な韓国人の女性が、うれしそうにハングルで話しかけてくれました(きっと、韓国人テノールの応援でしょうか?)が、残念ながらハングルは分からず、会話は中断しましたが、今日のソプラノ、テノールの日韓揃い踏みはなかなかでした。

(皆さん、良い笑顔です)



Royal Festival Hall

London Philharmonic Orchestra
Rossini's Stabat Mater
Saturday 15 October 2011

Ludwig Van Beethoven: Symphony No.2
Interval
Gioachino Rossini: Stabat mater

London Philharmonic Orchestra
Yannick Nézet-Séguin conductor
Eri Nakamura soprano
Ruxandra Donose mezzo-soprano
Ji-Min Park tenor
Matthew Rose bass
London Philharmonic Choir


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週末旅行 チューリヒ&ルチェルン(2日目)

2011-10-16 20:30:27 | 旅行 イギリス外

2日目 2011年10月10日

【ルチェルン】
・朝、曇り空なので、チューリッヒ湖畔を走る。45分。紅葉が進み始めている湖畔の遊歩道を走るのは何とも気持ちいい





・朝飯たべて、チェックアウトして、ルチェルンへ向かう(10:40発、所要時間50分、往復42ユーロ)





・チューリッヒからルンチェルンに向かう車窓が美しい。左手にチューリッヒ湖や次の湖が現れて奥には雪を被った山脈が見える。青い空と白い雲が重なって立体的な空間を形成している。スイスを感じる。





・ルチェルンはとっても綺麗な街だが、駅前の移動遊園地が雰囲気をぶち壊す 思ったより車や人が多い 大きな町 中国人観光客が沢山 湖と山は本当にきれい 


















・ルチェルンで城壁のある丘から見る、湖、山々の風景が素晴らしい。










・遊覧船(1時間、16CHF)も色合い豊かな秋の綺麗な風景だった。チューリッヒを出て正解だった












 2011年10月9-10日


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週末旅行 チューリッヒ & ルチェルン(1日目)

2011-10-16 20:28:27 | 旅行 イギリス外

(旅行メモをそのまま)

2011年10月9日

【チューリッヒ】
・8:40ロンドンシティエアポートからのスイスエアでチューリッヒへ
・30分ほど遅れたため、ホテルについたのは丁度12:00
・天気予報通り雨。寒い。
・ホテルの無線ネットが旨くつながらず、フロントのおじさんと悪戦苦闘するが、結局、有線を無料で使わせてもらうことにした。スイス人のイメージは良くないが、このホテルのフロントは皆とっても親切

・雨も少々小ぶりになったので、昼飯食いがてら街を散策


・フランスとドイツとイタリアに囲まれた小国だが、どの隣の国とも違うのはヨーロッパの複雑さで面白い。
・フランス語圏のジュネーブに比べると明らかにドイツ語圏




・旧市街のスイス料理のレストランに入る
・スープ、ソーセージとポテト、玉ねぎのクリーム煮にスイスワインの小瓶を一本。ソーセージは袋の中が固めていない。如何にも腸に肉をつめましたという料理で、面白い。味も美味しい。
・ただ、これで66フラン。50£は高いなあ~







・チューリヒ美術館へ。期待以上に良かった。ルネッサンスからピカソぐらいまで満遍なく広く浅く作品を収集している。久しぶりにシャガールやダリの絵も観る。







・ホテルに戻って、オペラに備え、仮眠
・オペラについては別記事で。とっても良かった
・終演後、イタリア料理屋でぺパロンチーノ。グラスワインとあわせて25CHF。18£。

(つづく)


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週末ジョギング リッチモンド遠征

2011-10-16 20:09:37 | ロンドン日記 (日常)
 秋を感じるようなところを走りたいと思い、土曜日の朝、列車に乗ってロンドンの西南方向の郊外にあるリッチモンドまで遠征しました。実はリッチモンドパークを訪れるのは初めてです。この日はこれ以上は無いのではないかと言うほどの風もない快晴でした。

 リッチモンド駅で降りると、リッチモンド橋を目指し、その後テムズ川沿いを上流に向かって走ります。まだ、低い太陽が川に反射し、朝日のオレンジ色が、紅葉が進み始めた木々の色と合わさり、眩しいくらいに美しい風景でした。

(リッチモンド橋から上流の眺め)


(奥に見えるのがリッチモンド橋)


 しばらく行って、川を離れ、丘を登るとリッチモンドゲートというリッチモンド公園の入口に出て、そこから公園内に入ります。丘を登った所から見るテムズ川やロンドン西部の眺めは絶景です。



 公園はとにかく広い。公園全体が丘陵のハムステッドヒースよりは、多少アップダウンはあるものの平坦なので、より広く感じます。この公園内の周回コースを一周すると約12キロあります。沢山のランナーが走っていました。







 私は適当に足の向くまま、公園内を横切るように走りました。しばらく行くと、遠くの林から動物の群れが走って行くのが見えます。話には聞いていましたが、鹿の群れです。朝日を受けて走る鹿の姿の美しいこと。立ち止まって、見とれてしまいます。群れは平原に出て、こちらに方向に向かって来たのですが、50メートル程のところで止まってました。遠くには高層のビルが見渡せるようなロンドン近郊でこんな光景が楽しめるとは思ってもみませんでした。









 しばらく行くと、今度は巨大な角を生やした鹿?が1匹で、ノソノソと歩いています。一定距離以上近づくと逃げていくのですが、こちらもこっちに向かって走ってこられて角で一突きされれば、それでお陀仏ですので、注意深く距離を保ちながら眺めてました。いったい、自分はどこに居るのだろう。







 小一時間、走ったり、歩いたり、写真撮ったりしながら、公園内を散策し、帰路に着きました。






帰り道、リッチモンドのパブでは、丁度、ウエールズ対フランスのラグビーワールドカップ準決をやってました。朝10時半ぐらいですが、ビールを飲みながら歓声を上げているのに私も参加。ランニングの汗をここでビールで補給です。試合は前年ながら1点差で負けてしまいましたが、何とも充実した朝のリッチモンド遠征でした。



 2011年10月15日

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ロンドン ラーメンシリーズ さくら (Sakura)

2011-10-15 14:07:21 | レストラン・パブ (in 欧州)
 久しぶりにラーメンを食べに新しい店に突撃。オックスフォードサーカスから5分ほど歩いたところにある、「さくら」という日本食レストランです。オーナーが昔出ていた俳優広岡俊さんと聞いていましたが、お店に入るとご本人が、お客様の出迎えや従業員への指示など、フロアーを仕切られてました。

 居酒屋風に飲んで、食べた後、いよいよお目当てのラーメンには、チャーシューメン、味噌ラーメン、タンメンの中から味噌を注文。出てきた味噌ラーメンは、麺は細めで、スープは白味噌。スープの中には、野菜がたっぷりと入って、とってもイケます。量も〆のラーメンとしては多すぎるぐらいたっぷり。「これは無いだろうという」という失点もなく、日本のラーメン屋さんと比べるのは酷ですが、ロンドンの中では上位ランク入り間違いなし。値段も(たしか)7-8ポンドだったので、高くはありません。

 他に頼んだ一品料理も悪くなく、日本酒の種類もいくつかありました。繁華街近くの場所の割には値段もお手頃で、ちょっとこの界隈に来た際には、立ち寄る価値は十分ありです。

お店のReviewページ→
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ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー 「真夏の夜の夢」 (A Midsummer Night's Dream)

2011-10-12 23:43:41 | ミュージカル、演劇 (in 欧州)
 今年新装したストラッドフォード・アポン・エイボンのロイヤル・シェイクスピア・シアターで『真夏の世の夢』を観ました。エイボン川沿いに建つレンガの劇場は、ロンドンから100マイル(160キロ)離れた人口10万人ちょっとの町の劇場とは思えないほど、立派なものです。ストラッドフォード・アポン・エイボン訪問をこの劇場の開館を待っていた甲斐がありました。

(外観の写真を撮り忘れたので、劇場についてのWikiはこちら→

(こちらは劇場内の通路)


 「真夏の夜の夢」はシェイクスピアの中でもかなり好きな作品で、こちらでブリテンのオペラ版を観ましたが、演劇は高校の演劇鑑賞教室で見て以来(何年ぶり???)ですので、とっても楽しみにしていました。「真夏の夜の夢」を狙ってこの日を選んだのです。

 1か月前に劇場に電話したところ、「もうRestricted Viewの席しかない」ということで、2階席正面やや右側ではありますが、目の前に柱が立ち、確かに少々見にくいものでした。ただ、劇場は観客と舞台がとても近く出来ており、2階席からは手が届きそうな感じ。持参したオペラグラスも全く不要でした。Restricted Viewとは言え、これで12ポンドというのは有り難いです。

(開演前の舞台)


 さて、肝心の芝居の方ですが、残念ながら私の好みでは在りませんでした。現代風の演出そのものは他のシェイクスピア劇でも観てきたので気にならないのですが、主な舞台である森のイメージが違いました。「ヘンゼルとグレーテル」の神秘的で吸い込まれるような森の空間をイメージする私の勝手な思いと、現代風の無機質な森の舞台設定が違っていて、最後まで馴染めませんでした。若者4名のやりとりも極端にドタバタだし、好きなキャラクターのパックも目立ったところがなくがっかり。ただ、会場は逆に凄い盛り上がりで、隣に座っていたツイードのジャケットを着たいかにも英国人(と思われる)初老のおじいさんは、品良く、ずっと笑いずめでした。う~ん、私が分かってないだけなのかしら。

 ということで、コンテンツの満足度はイマイチでしたが、観客を含めた劇場の雰囲気は素晴らしいです。ロンドンのグローブ座と比べると、観光客が多いのは同じとしても、英国人比率はこちらのがかなり高そうですし、室内と言うこともあって、照明や音響もいろいろ工夫が施されていました。





 また、違う作品も観てみたいものです。

 ※ロイヤルシェイクスピアカンパニー(RSC)のホームページ→


A Midsummer Night's Dream
Royal Shakespeare Theatre
1 October 2011

Director – Nancy Meckler
Designer – Katrina Lindsay
Lighting – Wolfgang Göbbel
Composer - Keith Clouston

Arsher Ali – Puck
Maya Barcot – Fairy
Lucy Briggs-Owen – Helena
Christopher Chilton – Fairy
Kammy Darweish – Egeus
Imogen Doel - Fairy
Christopher Godwin – Quince
Michael Grady-Hall – Flute
Alex Hassell – Demetrius
Felix Hayes – Snug
Matti Houghton – Hermia
Lanre Malaolu – Fairy
Nathaniel Martello-White – Lysander
Theo Ogundipe - Fairy
Pippa Nixon – Hippolyta/Titania
Chiké Okonkwo – Snout
Timothy Speyer – Starveling
Jo Stone-Fewings – Theseus/Oberon
Amanda Wilkin – Fairy
Marc Wootton - Bottom

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ストラッドフォード・アポン・エイヴォン 日帰り旅行

2011-10-10 22:48:20 | 旅行 イギリス
先々週末、シェイクスピアの生まれ故郷ストラッドフォード・アポン・エイヴォンへ友人と行ってきました。主目的は、新しくなったシェイクスピア劇場でRSCのシェイクスピア劇を見ることですが、せっかくなので街も少しぶらつきました。

 ストラッドフォードはこぢんまりしていて、とっても可愛い町と言う感じなのですが、この日は10月になったばかりというのに、天気も良く夏のような暖かさのためか、凄い賑わいでした。正直あまりの観光客の多さにビックリで、ちょっとまったり気分を味わいたいと思って出かけた私にはちょっと、ショック。ロンドン並みの混雑ぶりです。

 とりあえず、いくつか記念撮影を。

「お気に召すまま」に出てくる道化


 とっても有名なシェイクスピアの生家。シェイクスピア10歳の時の1574年当時の様子が再現されているとのことでした。お父さんは一時、ストラッドフォードの市長も務めたことがあるそうですが、その割には、お屋敷と言うよりは、生活感あふれる家です。






 街の写真はあんまり撮ってないのですが、通りにはこうしたチューダー朝の建物がいろんな所に残っていて、風情があります(何故か、蔵の町、喜多方を思い出してしまった)




 観劇の後、エイボン川を行く観光ボートに乗船。やっと、何か落ち着いた気分。
 



 シェイクスピアが洗礼を受け、死後、埋葬されたホーリー・トリニティ教会。


 とても良い町なのですが、個人的にはもう少し落ちついた雰囲気が味わえれば良かったなあ~。

 2011年10月1日

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