その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

5年日記

2010-12-31 20:31:45 | ロンドン日記 (日常)
 日本ではもうお正月でしょうが、こちらイギリスではあと4時間弱、2010年が残っています。

 今日は大晦日なので(?)、ちょっとパーソナルネタを。

 ついさっき、5年日誌の5年目最終日を書き終えました。この5年日誌は、たまに近しい人にお薦めしていて、私が10年程続けている自己記録です。日記と言っても、一行8センチ×7行あるだけですので、その日にあったことや思ったことを簡単に記録するだけです。しかし、この記録は5年、いや2年も書いていると、とてつもない気づきを自分自身に与えてくれます。

 私にとっての大きな気づきは3つぐらいありました。

① 人の記憶はとっても曖昧、すぐ風化
 一番驚いたのは、人の記憶と言うのが如何に曖昧で、忘れやすく、かつ自分の都合の良いように自分の中で修正されるかということです。滅多に読み返すことはないのですが、たまに「そういえばここ数年の年末はどうやって過ごしていたのかなあ?」と見返すと、数年前の家族旅行、数年前の仕事上の困難、読んだ本など、驚くぐらい忘れていたり、違って記憶していたりするんです。私は比較的、昔の事柄に対する記憶力は良いと思っていたのですが、全然違いました。もちろん、記憶が風化するということは良いこともあるんでしょうが、その時の感動や悩んで考えたことまで、風化してしまうのはもったいないです。(そういう意味で、いわゆる「回想録」とか、捜査上の「自白」というのが如何に当てにならないかというのを、体感しました)

② 5年もたつと、少しは成長
 毎日、会社行って、夜、結構遅くまで仕事して、酒飲んで、週末はふらふらする。毎年、こんなことを繰り返しているのですが、それでも数年も記録がつくと、毎年なんだかんだ言って前に進んでいることが分かります。今の自分は、数年前には全く想像もしていないようなところに居て、考えもしなかったようなことをしているということにも気づきます。これは、今、自分が海外で生活しているからではなくて、この多年日記をつけはじめた10年ほど前からの気づきです。家族のこと、自分のこと、仕事のことで、いつも何からかの悩みや、悔みがあるのですが、時としてそれは能動的に克服するし、廻りの助けを得られる時もある。そして、時には、放っておいただけで時間が解決してくれました。もちろん、そのままのものもあります。でも、こんなことが分かるだけで、自分の周囲の皆さんや新たな人との出会いの大切さに気付きますし、自分自分にはプチ自信を与えてくれるのです。

③ 将来への決意につながる
 そして、自分が前に進んでいることが少しでも実感できると、また将来への決意、希望につながります。もう、私は、マラソンで言えば人生の折り返し地点は廻っているはずですが、過去の積み重ねを可視化できることは、間違いなく未来の希望になります。そんな大げさなことではなくても、「昨年、一昨年、こんなこと考えていたけど、今こんなことを考え、行動している」ということを知ることは、また「じゃあ来年は、今はこう考えているけど、きっとどっか行っているだろうな~」というかんじで、半分は自分の意思の明確化作業と、半分は運命の流れに身を任せようという諦念のような感覚が合わさって、自分の中で不思議なバランスが取れるんです。

 とはいっても、私自身、記入率は80%ぐらい。それも、週末に1週間まとめて書くというのもしょっちゅうです。でも、数行のメモなら1週間分はまとめて書けますし、1週間まとめて書いたことでも、1年経つと全く忘れていることも多々あるのです。

 明日からまた新しい5年日記の1ページが始まります。


 皆さまの2011年が素晴らしい年になりますように。

 2010年12月31日

※今日でお役御免の日誌と明日からの日誌 


※5年後にはどんなことが書き込まれているのだろうか?

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RSC: ANTONY AND CLEOPATRA (ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー 『アントニーとクレオパトラ』

2010-12-29 23:19:10 | ミュージカル、演劇 (in 欧州)
 冬の間、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーがロンドン公演をやります(RSCのロンドン公演についてはこちら→)。細々ながらも、今『ローマ人の物語』を読み、ローマ帝国の歴史に魅かれているので、今年のシーズンで取り上げられるローマもの『アントニーとクレオパトラ』、『ジュリアス・シーザー』の2本は観に行きたいと思っていました。まずは、先頭バッターとして『アントニーとクレオパトラ』を観に行きました。

 このエピソードは、『ローマ人の物語』でも紹介されていますし、事前に日本語訳も読めたので把握済み。ローマの武人アントニーとエジプトの女王クレオパトラの、中年の悲劇的な恋愛を描いた物語です。

 衣装や設定を現代風にアレンジした演出でしたが、本劇の特徴は恐らくクレオパトラの人物作りだったと思います。演じたKathryn Hunterという女優さんは、演技そのものはとても決起迫る迫力があるのですが、背が低くて、だみ声で、ちょろちょろと動くさまは、ちょっとエジプトの女王のイメージとはかけ離れたものがありました。きっと、演出者の意図としては、こうした役柄により何か新しい、クレオパトラ像、もしくは新しい恋愛像を打ち出しているのかもしれませんが、初心者の私にはちょっと応用問題すぎるという感じで、イマイチ舞台に感情移入できませんでした。逆に、アントニー役のDarrell D'Silvaはとっても貫禄があり、いかにもローマで名を成した武人風。格好良かった。

 舞台は極めて簡易で、舞台セット的なものはほとんどありません。脚本を読んでいて、場面が目まぐるしく変わるので、これが舞台でどう表現されるのか興味があったのですが、特にセットが無いので、人の入れ替わりで場の変化が分かるというシンプルなものでした。

 演劇としては十分楽しめたのですが、いかんせん肝心かなめのクレオパトラがイメージと違いすぎたので、素人にはもやもやの残った舞台でした。


 2010年12月19日

※RoundHouse劇場。寒さでレンズが曇ってしまいました


※シンプルな舞台セット


※真ん中がクレオパトラのKathryn Hunter



Cast:
Charles Aitken – Philo
Adam Burton - Scarus
Brian Doherty – Enobarbus
Darrell D'Silva – Antony
Phillip Edgerley – Menas
Geoffrey Freshwater - Agrippa
James Gale – Maecenas
Paul Hamilton – Diomedes
Greg Hicks – Soothsayer
Kathryn Hunter – Cleopatra
Ansu Kabia – Varrius
Tunji Kasim – Mardian
John Mackay - Octavius Caesar
Sandy Neilson – Lepidus
Sophie Russell – Octavia
Peter Shorey – Menecrates
Clarence Smith – Pompey
Katy Stephens – Eros
James Tucker – Thidias
Larrington Walker – Alexas
Hannah Young – Charmian
Samantha Young – Iras

Creative Team:
Director MICHAEL BOYD
Designer TOM PIPER
Lighting WOLFGANG GöEBBEL
Music JAMES JONES and JOHN WOOLF
Movement ANNA MORRISSEY
Fights TERRY KING
Sound ANDREW FRANKS


Running time:
3 hours 10 minutes including one interval of 20 minutes
In repertoire: 8 – 30 December 2010

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塩野七生 『ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4) 』 (新潮文庫)

2010-12-28 20:32:25 | 
 「悪名高き皇帝たち」の第4巻は最終巻として、「ローマ帝国史上最も悪名高き皇帝」ネロの治世が描かれます。

 ネロの悪政は本巻の通りなのですが、私には、本巻の面白さは、アルメニア・パルティア問題の解決に起用された司令官コスプロの軍事・外交手腕にありました。

 コスプロは、パルティア王ヴォロゲセスの弟ティリダテスをアルメニア王に就任させることで、ローマの東方防衛網のアキレス腱であるアルメニア王国の安定を図り、ペルシャ文明圏の盟主パルティアとの関係を安定化させるというウルトラCの解決策を構想します。これまでのローマがアルメニアを同盟国として、ローマの望む君主を王位に就けて強国パルティアの包囲網を作ってきたこれまでの政策と根本的に発想が異なります。

 この構想は彼の卓越した軍事力と外交力、そしてローマ国内の政治力により実を結びます。筆者は、コスプロを評し、「戦争は、武器を使ってやる外交であり、外交は、武器を使わないでやる戦争である。コスプロは、このことを知っていた武人であった」(p144)と評し、彼の提言が実現するのがネロ、元老院の理解が得られず12年が費やされたことを顧みて、「有能なリーダーとは、人間と労苦と時間の節約に長じている人のことではないかと思いはじめている。」(p145)と言います。

 歴代皇帝だけでなく、幾人もの魅力的な人物が登場し、描かれるのが、『ローマ人の物語』シリーズの面白さの一つです。

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プレミアリーグ観戦 フラムvsウエストハム・ユナイテッド (Fulham vs West Ham United)

2010-12-27 23:22:08 | ロンドン日記(イベント、観光、スポーツ)
 ボクシング・デーの26日、久しぶりにプレミアリーグ観戦へいきました。

 フラム(フルハム?)対ウエストハム・ユナイテッドで、双方とも現在下位争い中のカードながらもロンドン東西対戦。テムズ川沿いにあるクレイヴン・コテージは収容25000人でプレミアリーグのスタジアムとしてはとても小さいですが、目の前で先週のプレイを楽しめる最高のスタジアムです。地下鉄を使えば40分ちょっとで行けるのですが、この日は、仕事納め(?)のストライキということで、地下鉄が使えず、たどりつくのにえらく難儀しました。

 相変わらずのスピードと迫力のサッカー(Jリーグと比べて)を堪能しましたが、昼間の試合というのに、滅茶苦茶寒いのには閉口しました。靴下を2枚重ねるなど、上から下まで完全防寒態勢で出かけましたが、しびれるような寒さには歯が立たず、体はずーっと硬直したまま。

 試合の方もフラムが先取点を取ったものの、その後度重なるチャンスを相手ディフェンスの好守に阻まれて得点できない一方で、相手は少ないチャンスを確実にものにして、最終的には1-3のホームゲームとしてはかなり情けない試合。寒さに耐えて応援したサポーターもかなり怒りモードでした。

 ※霜が張った座席


 ※芝も凍ってました


 ※こんなに近くで観戦できます
  
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ボクシングデー・ラン

2010-12-26 22:16:15 | ロンドン日記 (日常)
 まあ、毎度の記事で、普段立ち寄って頂いている方には、大変恐縮なのですが、今朝もとっても綺麗な朝だったので、ハムステッドヒースの模様をアップいたします。

 最近は、主目的がジョギングか、写真撮影か、分からなくなってきている感じもなくもないですが、こうした美しい一コマが、ジョギング継続の大きなモチベーションの源泉になっていることは間違いないです。

 ※ハムステッド・ヒースからロンドンの朝焼けを展望
 

 ※陽と反対の方向には、沈みゆく月が。ヒースの雪は先週と殆ど変らない状態で残っていました。


 ※空の色が分単位でどんどん変わっていきます。
  

 ※朝焼けに照らされる白鳥がおとぎ話のようでした。


 2010年12月26日 7:20~7:40撮影
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クリスマス・ラン

2010-12-25 18:04:33 | ロンドン日記 (日常)
Merry Christmas!

クリスマスのロンドンはほぼ完全に都市機能がお休みになります。お店はイスラム系、インド系、ユダヤ系の人が経営する一部のお店を除いて全てお休み、列車・地下鉄・バスも全て運休。私はこの静かで、厳かなロンドンのクリスマスの雰囲気が、昔の日本の元旦を思い出させて(むしろ神社は賑わう元旦よりもずっと静か)、とっても好きです。

貧乏性の私は普段、家で一日ゆっくり過ごすことは余りないのですが、流石にこの日は朝のランニングを除いては、家で本を読んだりして、ゆっくりです。

ということで、もうかなりワンパターン化していますが、クリスマスの朝ランニングの模様をご報告します。昨日から今日にかけては、雪こそ降っていませんが、気温はマイナスの相当な寒さです。(何故か、写真掲載が上手く出来なくなってしまったので、サムネイル版で掲載します。クリックするとバカでかくなるようですが、エコノミー撮影ですのであまりお薦めできません)

ハイドパークの池は完全凍結中。


バッキンガム宮殿までの伸びる並木道。車も通らないので、恋人達が独占。宮殿では衛兵の交代もお休みです。ヴィクトリア女王も寒そう。行き場の無い観光客がぞろぞろと集まってきていました。

   

ウエストミンスター寺院にはミサを待つ人が寒い中行列を作っていました。来年は、ウイリアム王子とケイトさんのロイヤル・ウエディングが上げられます。


人気のないピカデリーサーカスとカーナビ―・ストリート
 

最後のリージェンツパークとプロミスヒル。雪がまだ残っていて、氷化して危ないので、ここはWalking。(昨日、守屋さんが寄せてくれていたコメントの意味が良く分かった)

 

途中、歩いたりしたので、計1時間40分。寒かった。

 2010年12月25日
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シェイクスピア(福田恒存 訳) 『アントニーとクレオパトラ』 (新潮文庫)

2010-12-24 23:17:10 | 
 ロイヤルシェイクスピアカンパニーによる本劇を観に行くので、事前の予習として読んだ。ロンドンのピカデリーサーカス近くの古本屋で幸運にも発見。

 シェイクスピアは普段、小田島訳を読んでいるが、今回は初めて福田恒存訳。訳のせいか、作品そのもののせいかはわからないが、リズム感よりも正確性を重視した文章に感じた。

 シェイクスピアの他作品と比べると言葉遊びや参りましたという感心する表現は少ない。一方で、アントニーとクレオパトラの大人の恋愛の心理戦は面白く、紆余曲折を経ながらも最終的に死という形で完結する二人の恋愛物語は読みごたえがある。

 その中で、アントニーの死後、シーザーの軍の手にかかろうとする際の、クレオパトラの台詞は感動的。

「私は夢を観ていたのだ、アントニーという帝王がいた。おお、もう一度あのように眠って、もう一度あのような人に会うてみたい!」・・・「あの人の顔は大空のようだった、その中に日が懸り、月が懸っていて、それぞれの軌道を巡り続け、そうして、この小さなOの字型の地球を明るく照らし出していたのだ。」・・・「あの人の脚は大海原にまたがり、高く上に伸びた腕は紋章の頂のとさかのように世界を飾っていた。あの人の声には、美しい楽の調べを奏でながら空を行くという七つ星のように、豊かな響きが籠っていた、そうだった、身方に物を言う時には。でも、一たびこの大地を震え上がらせてやろうという気になれば、それは轟く雷鳴のようだった。あの人の恵みには冬が無く、秋の実りの豊かさは、刈れば刈るほど生い茂り、あの人の喜ぶ様は、さながら水切る海豚のよう、水に生きながら、溺れて背筋を水面から没することが無かった。王も太守も、あの人の仕着せを着て歩き、諸々の国々、島々、ことごとくあの人の懐からこぼれおちる銀貨のようだった。」(169pから引用)

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ロンドン地下鉄 ストライキ納め?

2010-12-23 20:23:42 | ロンドン日記 (日常)
 明日はもうクリスマス・イブ。職場のメンバーも随分少なくなって、職場にもクリスマスムードが蔓延しています。

 今年のイギリスの年末のカレンダーは結構巡りが良くて、12/29,30,31を休めば1/4までお休みになります。でも、一応、12/29,30,31は営業日です。ここが、年末から3が日は休みになる日本とは違います(イギリスは通常は1月2日から営業)。

 あと、24日と31日は原則は通常営業なのですが、HRから「大切なEVEなので、マネジャーの許可が下りた人は、通常より早く帰っても良いです」というメールが流れてますので、3時過ぎにはきっと皆居なくなります。

 家族持ちの人は今週の頭から居ない人が多いですが、一人もんはこの閑散期ほど出勤のチャンスと思ってますから、年末に出てきているのは若者社員が殆どです。

 どうでもいいですが、先ほどNewsで、イギリス最大の買物Dayであるクリスマス翌日の26日のBoxingDay(ボクシング・デー)に地下鉄がまたストを行うらしいです。今回は、今年散々ストライキを行使した労働組合とは、違う労働組合が行うとのこと。もともと穏健派の組合だったのに、片方の組合が散々ストライキを行うから、穏健派組合員からも「我らの組合幹部は弱腰過ぎるんでは!」と突き上げを食らっているとか。TVインタビューでは、当該組合幹部は「断固実施して経営と対決!」と(組合員向け?)の硬い表情ですが、こんなのありでしょうか?Boxing Dayにストライキなんて、消費者以上に、ロンドンの小売業者が一番ダメージを受けるはずです。TVでは、経営側幹部は、"London Tube will provide some kind of services."と言っていましたが、Some Kind of servicesって何?

 来年もイギリスのストライキには相当苦労しそうです。

※ストライキのニュース・リリースはこちら。→
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ロイヤルオペラハウス 『タンホイザー』 (ワーグナー)

2010-12-23 00:12:21 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 今年最後のオペラ鑑賞です。ロンドンのオペラファンの間では、最高にショボいとされている今シーズンのロイヤルオペラハウスのプログラムですが(それでもオペラ初学者の私には十二分ですが)、このタンホイザーは新プロダクションでもあり、シーズンの目玉プログラムの一つです。

 ワーグナーの強力な魔力を出演者が見事に表現し、そして観衆がそれに取り憑かれた4時間半だったと思いました。

 歌手陣のパフォーマンスレベルの高さに驚きました。タンホイザーのヨハン・ボータ(Johan Botha)、エリザベスのエファ=マリア・ウエストブルック(Eva-Maria Westbroek)、ヴィーナスのミカエラ・シュスター(Michaela Schuster)、そしてヴォルフラムのクリスティアン・ゲルハーへル(Christian Gerhaher、いずれも安定した歌唱で、素晴らしかった。特にタンホイザーのボータ歌唱は全くぶれがなかったです。また女性二人は歌もさることながら、役が妙に本人とマッチしている上に、迫真の演技でした。

 合唱団も素晴らしく迫力満点。第2幕の天井から聞こえる児童合唱の声は天使の歌声と言う表現があながち誇張でないほどです。


 オケもすばらしく良くなってました。豪快さと繊細な美しさを兼ね備えた、素晴らしい演奏だったと思います。

 新プロダクションは第1幕の舞台の上のロイヤルオペラハウスのミニチュア舞台を追いセット(趣旨はイマイチ不明)以外は、比較的シンプルな舞台ですが、照明のあて方が美しく、陰影や奥行きのある舞台を演出していて大変気に入りました。

 いつもながら、ワーグナーはのめり込みますねえ。今だ、頭の中でタンホイザーのメロディが廻ってます。あと、思ったのは第3幕ラストシーンの大合唱はまさに「歓喜の歌」ですね。こちらでは、年末の第9は聴きに行けませんが、第9と同様の高揚した気分でオペラハウスを後にしました。

今年も1年本当に楽しませてもらいました。感謝です。

Tannhäuser
December 22 6:30 PM

Credits
Composer: Richard Wagner
Director: Tim Albery
Set Designs: Michael Levine
Costume Designs: Jon Morrell
Lighting design: David Finn
Choreography: Jasmin Vardimon
Movement Director: Maxine Braham

Performers
Conductor: Semyon Bychkov
Tannhäuser: Johan Botha
Elisabeth: Eva-Maria Westbroek
Venus: Michaela Schuster
Wolfram von Eschinbach: Christian Gerhaher
Herrmann, Landgrave of Thuringia: Andrew Greenan (演技のみChristof Fischesser)
Biterolf: Clive Bayley
Walter: Timothy Robinson
Heinrich: Steven Ebel§
Reinmar: Jeremy White

Shepherd Boy: Alexander Lee




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ロンドン チャイニーズレストラン Phoenix Palace

2010-12-21 23:31:58 | レストラン・パブ (in 欧州)
 職場の同僚と出かけた中華料理屋さん。ベーカーストリート駅から歩いて2分です。(お店のHPはこちら→)

 まず、とっても混んでいたのでびっくり。日本人グループ、中国人グループ、西洋人グループなど、客層も様々です。

 料理もとっても美味しいです。北京ダック、餃子、海老のチリソース等々、メチャ腹一杯食べて、お酒も一杯頂いて、良い気分になってしまったので、美味しかった以外の記憶が飛んでいてゴメンナサイ。

 また、行ってみて、ご報告します。

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雪に弱いロンドン

2010-12-20 23:25:00 | ロンドン日記 (日常)
 それにしても週末の大雪で、ロンドン大変なことになりました。

 飛行機キャンセルされたり、ヒースロー空港やガトイック空港が閉鎖されたりで、先週金曜日にアムステルダムに返る予定だったロンドン出張中の同僚は、結局、週末をまるまるロンドンで過ごす羽目に。やっと今日の午前中の便で帰国しました。

 それにしても、ロンドンの交通機関や空港における雪への脆弱性はかなりのものです。ヒースロー空港は欧州のハブ空港でもあるはずなのですが、このザマで、メディアからもかなり叩かれています。同じ大雪に見舞われても、こんなに長く不都合が続く空港はヒースローぐらいのようです。今回悲惨な目にあった同僚は、空港からも航空会社(BA)からも、適切な説明がないことに怒りまくっていて、ヒースロー空港からわざわざ日曜日に「お前がBAをボロクソに言う意味がやっと分かった」というメールを私にくれました。「でしょ。」

 ちょっとの雪で立ち往生してしまう列車や地下鉄もしかりですが、ロンドンの危機管理のシステムの弱さは正直、住んでいる人間としては怒りを通り越して、あきれるの状態に近いです。「しょうがない」というのは日本人の決まり文句だと思っていましたが、TVで航空関係者のインタビューとかを聞いていても、悪びれることなく(そう見える)、「雪対策に必要な予算がつけられていないから」と答えるイギリス人って、やっぱり「凄い」と感心。


(付録1)昨日のお昼にでかけたリージェンツパーク近辺
    

(付録2)今朝のタワーブリッジ
 
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London Symphony Orchestra / Antonio Pappano/ Midori

2010-12-19 21:47:18 | コンサート (in 欧州)
 かなり出遅れましたが、4日前の水曜日のコンサートの感想を。

 Midoriさんの出演ということで、週中ではありましたがロンドン交響楽団のコンサートへ駆けつけました。もう、ロンドンに来てからMidoriさんとLSOの共演を聴くのも3回目。「あっという間に時間は経ってしまうだなあ」と、個人的な感慨に浸りながらバービカンホールへ。今日の指揮者は、ロイヤルオペラハウスの音楽監督、パッパーノ大将です。パッパーノ大将は、ロイヤルオペラでいつも素晴らしい指揮ぶりなので、LSOとのコンサートではどんな演奏を聞かせてくれてるのか楽しみでした。

 1曲目LigetiのConcert Romanescは初めて聞く曲ですが、東欧の民族音楽を取り入れた音楽で、柔らかで美しいメロディやリズミカルで音遊び的なパーツがあったりしてとても聞いていて楽しいものでした。

 そして、2曲目がMidoriさんのブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番です。有名なヴァイオリン協奏曲の名曲ですが、素晴らしい演奏だったと思いました。演奏は、繊細で情熱的。もともとロマンティックな曲が、さらにふくよかさを大きく広げた演奏でした。みどりさんの演奏はまさに全身全霊を投入して、体全体で音楽を表現するかのごとくでした。オーケストラとの息もぴったりで、パッパーノ大将とLSOは小柄なみどりさんを大きく包み込むように歌います。演奏後の拍手も私のみどりさん体験のなかでは一番大きかったような。自分を「この演奏、この音楽をこの場で聴けて本当に良かった」という幸福感に包んでくれました。

 3曲目はリムスキー=コルサコフのシェヘラザード。これも凄い演奏でした。LSOの個人技とアンサンブル力、そしてパッパーノ大将の表現力(とでも言うのでしょうか?)が組合わさって素晴らしい演奏でした。目の前で千夜一夜物語の絵巻を見ているような気になります。オペラを聴いているような色彩豊かな音楽をLSOから引き出してくれます。LSOの音が普段より滑らかで、ふくよかな印象を受けたのは気のせいでしょうか?

 しかし、いつもながらLSOは本当に上手だと思う。名曲もののプログラムが中心とはいえ、こんな素晴らしい演奏に日常的に触れられるのは本当に幸せとしか言いようがないと思う。神様、仏様、ご先祖様に感謝だ。

演奏後のMidoriさん
 

パッパーノ大将
 


London Symphony Orchestra / Antonio Pappano
15 December 2010 / 19:30
Barbican Hall

Ligeti Concert Romanesc
Bruch Violin Concerto No 1
Rimsky-Korsakov Scheherezade

Antonio Pappano conductor
Midori violin
London Symphony Orchestra
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雪国??? ロンドン

2010-12-18 21:23:12 | ロンドン日記 (日常)
 昨日のお昼前後にロンドンでは凄い集中降雪があり、きっと公園は綺麗に違いないと思い、朝起きたら、そそくさとハムステッドヒースに向かって走りました。

 7時50分ぐらいですが、朝焼けが美しいです。一枚目はハムステッドの通りから、2枚目はヒースの北側入り口入ったところで撮りました。

 

 予想どおり、ヒース内は雪がほど良く積もりスキー場の林間コースやゲレンデに来ている感じです。

 

 ケンウッドハウスの白い建物と雪の調和も綺麗でした。



 パリアメント・ヒルからシティを臨む。



 冷たい空気の中、気持ち良いランニングを楽しみました。


(付録)
 お昼前後から、再び、集中降雪。
 

 ちょっと怖くてバスには乗れない。ただでさえ2階建てバスは重心が高いのに、ロンドンのバス運転手さんたちが、とても雪上の運転に慣れているとは思えないし・・・


 いつから、ロンドンは雪国なったんだ???

 2010年12月18日

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とある職場の会話 マネジメントとは???

2010-12-18 00:03:55 | ロンドン日記 (日常)
 仲のいい(と私が思っている)英国人のシニアマネジャーAさんと日欧のマネジメントスタイルについての会話をしました。


一部を再現・・・



A:「何故、日本人のマネジャーは細部に拘るのかなあ?こっちに来ている日本人が優秀なのはわかるけど、細かいプロジェクトの進捗管理や指示によるマネジメントはどうかなあ。欧米人は細部まで管理されるのを、自分を信用されてないと感じるから、やる気が出ないよ。」

私:「マネジャーはそのプロジェクトに責任を持っているのだから、その進捗を確認するのは、当たり前じゃないの?」

A:「自分が信用できる人を採用して、自分のチームに配置してるんだから、何故、もっと任せないの?必要な情報共有や方向性をしっかり明示して、プロジェクトをスムーズに運ぶことが、マネジャーの仕事で、部下の仕事の細部を管理をするのはマネジメントじゃないよ。」

私:「別に部下の仕事を細部で管理しているわけじゃないだろ。部下や現場の目線でビジネスを見ることで、ビジネスの本当の問題点が分かるんじゃないの。こっちの、マネージャーは現場を知らなさ過ぎるよ」

A:「それはあるかもしれないけど、現場を知ることと部下を細かく管理することは別でしょ。やらなくてはいけない課題は山のようにある。部下の仕事をいちいち管理していたら、マネジャーとして本当にやらなくてはいけないことができない。部下の管理にかける時間がもったないよ。日本人が夜遅くまで働いているのは、やらなくてもいいことやってるからじゃないか?自分が信用する部下には、1週か2週に一度話しをすればいい。ゴールと課題は共有されてるんだから。そうやって任せないと部下も育たない。信用する部下がどこでどんな仕事をその日にしてようが、上長には関係ないだろ」

私:「最終的な目的は、チームとしての成果をしっかり結果として上げることだろう。そのチームリーダー/マネジャーは責任を負っているんだから、PLAN->DO->Check->ActionとしてCheckするのは大切なことだよ。僕からはこちらのマネジャーはただ放置しているだけしてる人が多いようにも見えるけど。」

A:「Checkの仕方が西洋と日本じゃ違うんだね。でも、西洋人の部下を使うんだったら、日本のやり方は止めたほうが良いよ。誰も、その人と一緒に働きたいと思わなくなるから、チームとしての成果もでないよ」

・・・・

 殆ど神学論争みたいな会話で、同意には程遠い会話でしたが、マネジメントの考え方の違いを知るのに、とても参考になります。もちろん、西洋人だからといって、皆が皆、同じような考えをしているわけではないでしょうし、日本のマネジメントもいろいろあるでしょうが、西洋人と一緒に働く職場でマネジャーとなった場合に参考になる示唆に富んだ会話だと思いました。自分はどう思われているのだろうか???もうすぐ、360度評価の結果が返ってくるので、楽しみ半分、怖さ半分です。

2010年12月17日
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ブダペスト旅行 (最終回) 国会議事堂ほか

2010-12-17 00:09:23 | 旅行 イギリス外
 ブダペスト旅行のご紹介も、今回で最後にします。今回は、訪れたいくつかの観光名所をご案内します。

※国会議事堂
 いろんなガイドブックに「行くべし」と書いてある国会議事堂ツアー。たしかに川向うから眺める国会議事堂はまことに美しい。



 「名所に面白いとこなし」というのは自分が勝手に今こじつけたが、正直、行くかどうか迷いました。でも、行ってみて正解でした。豪華絢爛、この上なしです。



 初代イシュトヴァーン載冠の1000年から最後の王カーロイ退位1948年まで約950年にわたって王から王へ受け継がれてきた王冠です。
 

 議事場内も目がくらみそう。こんなんで、まともな議論を戦わせるのが出来るのだろうか?とも思います。
 

 議事堂の廊下にまつわるエピソードなどを解説してくれる公式ガイドさん。


 国会議事堂の見学は、団体または地元のガイドツアーのみです。今回、私は、12:00からの英語のツアー参加したくて、11:20頃に言ったところ、12:15の割り当てをもらいました。ただ、私の次後ろに並んだ人は最終回の14:00のツアーでした。そして、1200頃にはこの日のツアーは完売でした。早く行くか、旅行会社のツアーに参加した方がいいようです。

※マーチャーシュー教会
 王宮の丘にある、ランドマーク的な教会。由緒も、ハンガリーの歴史をそのまま引き継いだような教会です。13世紀に建てられ、1541年からのトルコ占領記にはモスクに改装され、その後、ハプスブルグ家による解放によりカトリック教会に戻っています。

 

教会自体はさほど大きくありませんが、キリスト教にモスリムの柄が交じるなど、ブダペストならではの特徴があっていて面白いです。

 

マーチャーシュー教会の廻りは広場になっていて、観光客のたまり場になっています。
 

最後に、ブダペストと言えば、ドナウ川とくさり橋ですね。
  

夜も圧巻でした。
 

とっても印象深い旅行でした。

(おわり)
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