その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

映画 『グランド・ブタペスト・ホテル』 (監督 ウェス・アンダーソン)

2015-01-31 16:16:32 | 映画


 先日の出張の帰路に飛行機の中で観た映画。

 伝統と格式があるヨーロッパのホテルの敏腕コンシェルジェが、顧客であった資産家老婦人の遺産相続争いに巻き込まれ命を狙われるが、彼に仕える亡命ベルボーイの少年とともに困難に立ち向かう。コメディタッチのミステリー映画。

 第二次世界大戦期の欧州の複雑な時代設定、実際の固有名詞は用いられないが東欧・中欧を匂わせる地域設定、欧州名門ホテルや貴族の屋敷(城)といった欧州ならではの舞台設定など、場そのものが興味深い。加えて、ストーリー展開も早く引き込まれるし、ホテルのコンシェルジェの仕事を垣間見ることもできる。

俳優陣も実力派だ。特に、コンシェルジェ役のレイフ・ファインズの重厚な演技が印象的。ベルボーイ役のトニー・レヴォロリ君とのコンビはユーモラスで、サスペンスタッチのストーリーを和ませる。まったくの予備知識なしで見たので最初はコメディ映画かと思ったぐらい。

必ずしもハッピー・エンドではないが、良く練られた映画でお勧めできる。



グランド・ブダペスト・ホテル
The Grand Budapest Hotel

監督
ウェス・アンダーソン

脚本
ウェス・アンダーソン

原案
ウェス・アンダーソン
ヒューゴ・ギネス

製作
ウェス・アンダーソン
スコット・ルーディン
ジェレミー・ドーソン
スティーヴン・レイルズ

出演者
ムッシュ・グスタヴ・H - レイフ・ファインズ
ミスター・ムスタファ - F・マーリー・エイブラハム
セルジュ・X - マチュー・アマルリック
ドミトリー - エイドリアン・ブロディ
ジョプリング - ウィレム・デフォー
コヴァックス - ジェフ・ゴールドブラム
ルートヴィヒ - ハーヴェイ・カイテル
若き日の作家 - ジュード・ロウ
ムッシュ・アイヴァン - ビル・マーレイ
ヘンケルス - エドワード・ノートン
アガサ - シアーシャ・ローナン
ムッシュ・ジャン - ジェイソン・シュワルツマン
クロチルド - レア・セドゥ
マダム・D - ティルダ・スウィントン
作家 - トム・ウィルキンソン
ムッシュ・チャック - オーウェン・ウィルソン]
ゼロ - トニー・レヴォロリ
ムッシュ・マーティン - ボブ・バラバン

音楽
アレクサンドル・デスプラ

撮影
ロバート・D・イェーマン

編集
バーニー・ピリング

製作会社
American Empirical Pictures
スコット・ルーディン・プロダクションズ
Indian Paintbrush
バーベルスベルク・スタジオ
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オペラ「さまよえるオランダ人」/リヒャルト・ワーグナー @新国立劇場オペラパレス

2015-01-27 22:52:53 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 私にとっては、飯守さんワーグナー初体験です。昨年秋の就任公演「パルジファル」では、私はC・D席争奪戦に敗れ行けませんでしたが、随分と評判が宜しかったようなのでこの公演も期待大でした。

 結果としては、4階最深部に陣取った私に十分に熱気と迫力が伝わる満足度の高いパフォーマンスでした。もちろん主要な役柄を固めた非日本人歌手の出来も良かったのですが、特に印象に残ったのは東響のオケと新国合唱団。オケはパーツパーツでは傷もあったのですが、全体として緊張感あふれるワーグナーワールドを彩ってくれました。金管の咆哮や木管の美しいソロなど、失礼ながら、ここまでのワーグナーが聴けるのだと感心し、集中して耳を傾けました。

 新国の合唱団も素晴らしかったです。男性陣の水夫たちと女性陣の村の女たち、どちらもパワフルかつ清らかで綺麗に揃った合唱で、合唱の美しさを十分に堪能させてくれました。

 独唱の主なところでは、ゼンタ役のソプラノ、リカルダ・メルベートさんが大熱演。ちょっと金切り声的な響きが私の個人的好みとはずれるところがありましたが、劇場一杯に響き渡る声量と迫真の演技は、思い込み少女ゼンタの役柄としてはぴったりです。あと、ダーラント役のラファウ・シヴェクさんのバスも、美しく大きな声量で期待以上の出来でした。題名役のトーマス・ヨハネス・マイヤーさんは「さすが」と思うところと「あれ?」と首を傾げるところが分かれたかな。クライマックスなどは流石と唸らせるものでしたが、2幕のゼンタとの重唱はメルベートさんに負けてしまって、ちょっと迫力不足なところもありました。

 演出は過去の再演ですが、第2幕の帆船の舵と糸紡ぎの糸車の相似形や女性合唱陣がオランダ人の肖像画を其々持つシーンなどは考えられていて、美しく感心しました。ラストシーンも私が過去に見た2つのプロダクションとは異なっていて、ゼンダがオランダ船に乗って沈み救済するという作りは新鮮でした。また、1幕と2幕の間に休憩を入れるのも初体験。最後まで体力を保って観劇できるというメリットがある一方で、ワーグナー特有の麻薬的陶酔感を味わうまでには至りません。

 いずれにせよ、主要役柄が非日本人歌手とはいえ、日本でこれだけのワーグナー楽劇が見られれば、私としては十分満足で、オランダ人や救済の動機を頭の中でリフレインしながら帰宅の途につきました。

 最後になりますが、新国のホームページで、飯守さんが自らピアノを弾きながら作品の聴きどころを紹介する30分弱の「音楽講座」がアップされています。これはなかなかスグレもので勉強になります。過去に3回この作品を生で見ていますが、知らなかったこともあり、とてもいい予習になりました。こういう企画は是非、続けてほしいです。


2014/2015シーズン

オペラ「さまよえるオランダ人」/リヒャルト・ワーグナー
Der fliegende Holländer/Richard Wagner

全3幕〈ドイツ語上演/字幕付〉

2015年1月25日 14:00-

オペラパレス
■スタッフ
【指揮】飯守泰次郎
【演出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美術】堀尾幸男
【衣裳】ひびのこづえ
【照明】磯野睦

■キャスト
【ダーラント】ラファウ・シヴェク
【ゼンタ】リカルダ・メルベート
【エリック】ダニエル・キルヒ
【マリー】竹本節子
【舵手】望月哲也
【オランダ人】トーマス・ヨハネス・マイヤー

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団



2014/2015 Season

Music by Richard WAGNER
Opera in 3 acts
Sung in German with Japanese surtitles
Opera Palace

Staff
Conductor IIMORI Taijiro
Production Matthias Von STEGMANN
Scenery Design HORIO Yukio
Costume Design HIBINO Kodue
Lighting Design ISONO Mutsumi

Cast
Daland Rafal SIWEK
Senta Ricarda MERBETH
Erik Daniel KIRCH
Mary TAKEMOTO Setsuko
Steuermann MOCHIZUKI Tetsuya
Holländer Thomas Johannes MAYER
Chorus New National Theatre Chorus
Orchestra Tokyo Symphony Orchestra
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新春走り初め フロストバイト・ロードレースを走る @米軍横田空軍基地

2015-01-23 00:01:59 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 来月に迫った東京マラソンに向けた練習レースとして、米軍横田基地で開催されるフロストバイト・ロードレースに参加しました。毎年この時期に行われるこのレースは、その寒い時期ゆえフロストバイト(霜を噛む)というユニークな命名がされていますが、普段はなかなかアクセスできない米軍基地内を走ることができるという点と、参加賞のいかにも米国っぽいトレーナーのおかげで人気レースです。私は過去一度(確か5-6年前)参加していますので、今回が2回目です。

 久しぶりのレースのせいか大会勘がボケていたようで、自宅を出てから、まず参加者証の忘れに気づいて家に取りに戻り、それからまたまた駅に向かう途中でランニングタイツの忘れに気づくなど、サザエさんなみのアホさ加減。


《青梅線牛浜駅より徒歩10分》

 やや風が強めのところはあったものの、雲一つない晴天で気温も暖かめ。言い訳のできないコンディションです。会場では、アメリカンポップスのバンドが生演奏をしていたり、チキンのバーベキューがあったり、仮装ランナーも多く、アメリカらしい開放的な雰囲気で漂います。


《なんかアメリカっぽい》


《「カントリー・ロード」を弾いてます。この人、このままアコーディオンを持ったまま走ってました。すごい》

 私は、今回は「3か月でフルマラソン」の金先生の教えである、一定ペース(1k 5分20-30秒)で走るということに主眼を置いて、あとは給水所での水の取り方などに気を付けることをテーマに目標タイムを1時間55分にセットしてスタート。



 基地内ですから、坂もなく全くの平坦なコースでとっても走りやすい。それにしても基地って広いです。飛行機の滑走路や飛行機庫はもちろんのこと、学校(小中高)、家族住宅、裁判所、グランド、ゴルフ練習場にゴルフのショートコースなどなど。まさに一つの村です。ある意味、現代の日米関係や国際関係の前線であり、日本国内にある日本でないところを走るというのは、ちょっといろいろ考えさせられるところはあります。 


《軍用機は迫すごい迫力》




《富士山が綺麗に見えます》


 久しぶりのレースということもあって興奮したのか、最初の5kは結構速いペースで入ってしまいました。ここは本番でも気を付けないと。中盤は安定して目標ペースを維持。ラスト2kでは、まだ余力があったのでペースを上げてキロ5分を切るピッチで走ってみました。ネットタイムは1時間50分50秒。水の取り方(コップは上から掴む。そして紙コップは潰して飲む)も上手くできましたし、練習レースとしては合格です。


《ゴール前》

 本番まであと1月。体調管理に気を付け、何とか目標の4時間切りを達成したいです。
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近藤良平のモダン・タイムス @東京芸術劇場プレイハウス

2015-01-19 22:32:59 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 有名なダンサーであり振付家である近藤良平さんが演出・振付するコンテンプラりー・ダンスの公演に家人と行ってきた。ダンスの公演というのは全くの初めてだし、近藤良平さんは以前NHKの「サラリーマン・NEO」で馴染みがあったので、どんな舞台かワクワクで会場へ。


《東京芸術劇場のプレイハウスもはじめて。なかなかモダンなホール》

 プロのダンサーとオーディションを経た一般ダンサー、合計40名余りが舞台狭しとばかりに踊る(いわゆる「踊り」というよりは、半分「演技」のようなところが多い)。いくつかのエピソード(場面)を集めて2時間余り休憩なしで一気に進んだ。

 正直、エピソードの意味合い(メッセージ)は殆ど分からなかったが、動きや場が何となく可笑しかったりするし、全体を通じて楽しい雰囲気に満ち溢れる、新年の幕開けに相応しい公演だった。タイトルからして、現代社会のおかしなところをダンスを使って表現しているのかと思ったけど、演出家の真の意図は良く分からない。まあ、楽しければ良いのかな。

 ダンサーの中では、篠原ともえさん(この方、昔のかっ跳んだトンデモ娘のイメージと全然異なり、舞台映えする綺麗な大人の女性になっていて驚いた)やたむらぱん(田村歩美)さんの存在感が光ってた。近藤さんは3,4回ほど小林十市さんと一緒に踊るシーンがあったけど、二人とも流れるような体の捌き、表現力はさすがで、見入ってしまう。一般の人たちもしっかりした動きで、こと踊りにかけてはあまりプロとアマの差(近藤さん、小林さんを除く)は感じなかったかも。 

 初めてなので比較対象が無いのだけど、初ダンス観劇の感想は、ダンスも演劇もバレエもオペラもどこかが相似形だなあと感じ。ダンスの動きはバレエに通じているところもあるし、今回のスクリーンの影絵を使った美しい演出は、似た演出をオペラでも見たことがある。似ているけど、微妙に表現の仕方が違い興味深い。

 また機会があれば見に行ってみたい。



日程
2015年1月16日(金)19:00、17日(土)14:00/18:00  会場
プレイハウス構成・演出・振付近藤良平

出演
北尾亘、小林十市、近藤良平、篠原ともえ、清水ゆり、スズキ拓朗、
たむらぱん、デシルバ安奈、那須野綾、野坂弘、三輪亜希子(50音順)

+一般参加のみなさん
安部萌・有泉汐織・石和田尚子・イノッチ(日比野雅彦)・梅村綾子・大西彩瑛・小川しおり・後藤愛香・小林らら・重岡漠・四戸賢治・柴田真梨子・柴田有紀・清水美紗都・SEI(木皮成 改め)・鷹野梨恵子・高間淳平・中島詩織・引間文佳・深堀絵梨・細谷彩佳・まつい綾・松尾望・宮内愛・村上渉・森一生・もりいわひろふみ・山口夏絵・優莉菜・吉澤慎吾

スタッフ
アートディレクター:遠藤豊  オトエトセトラ:田村歩美(たむらぱん)
コスチュームディレクター:篠原ともえ 演出助手:渡邊千穂
舞台監督補:河内崇
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N響 1月定期Cプロ/ 指揮:ジャナンドレア・ノセダ/ ムソルグスキー(ラヴェル)組曲「展覧会の絵」ほか

2015-01-18 07:58:56 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


私にとっては2015年のコンサート初め。Cプログラムはトリノ王立歌劇場の音楽監督を務めるジャナンドレア・ノセダさんによるロシアプログラムです。

 1曲目(リムスキー・コルサコフ/組曲「見えない町キーテジの物語」)からステージ一杯の大編成オケによる演奏でした。全くの初めて聴く曲でしたが、耳になじみやすく、プログラムの解説にあった物語が目に浮かぶ音楽でした。ノセダさんの指揮は、棒の振りが大きく早くアクションも盛んなので、昨秋の長老指揮者たちに慣れた私の眼には、ずいぶん若く新鮮に映ります。

 2曲目はプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。独奏のジェームズ・エーネスさんは初めて聴くカナダ系のバイオリニスト。派手さはないですが、堅実で美しい音色が印象的です。抒情的なところは抑えられて音楽の良さそのものを引き出すような演奏で、その安定感と紡がれる綺麗な音に感嘆させられました。N響も音量控えめで独奏者としっかりマッチしていました。アンコールのバッハの無伴奏ソナタも見事なテクニックと美音でため息が出るほどです。聴衆、ステージの団員さんともに大拍手でした。是非、また来日してほしいです。

 休憩後は「展覧会の絵」。N響の金管セクションの活躍とともに、ノセダさんのやや早めのテンポとメリハリが効いたコントロールが印象的でした。演奏に切れがあって聴いていて気持ちいい。休憩前はあえて音を抑えていたところを感じていたのですが、ここではエネルギー全開でNHKホールが全然大きく感じられないほどでした。「ストレス抜ける~」って感じ。

 ツイッター情報によると、トランペットの首席関山さんは今年ご定年でこの日が最後との噂。終演後に最初にご指名を受け、深々とお辞儀をされていて、団員みなさんから拍手を受けられていたので本当かもしれません。お疲れさまでございました。

 ホールを出ると、12月は真っ暗だった外の風景が、柔らかな夕暮れの景色に変わっていました。強く冷たい風に当たりながらではありましたが、その明るさは着実に春が近づいているのを感じさせてくれ、演奏会後の開放感も合わさって、幸福感一杯の気持ちで帰路につきました。




《エーネスさんのアンコール曲》



第1800回 定期公演 Cプログラム


2015年1月17日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm

NHKホール

リムスキー・コルサコフ/組曲「見えない町キーテジの物語」
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品63
ムソルグスキー(ラヴェル)/組曲「展覧会の絵」

指揮:ジャナンドレア・ノセダ
ヴァイオリン:ジェームズ・エーネス




No.1800 Subscription (Program C)

Saturday, January 17, 2015 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Rimsky-Korsakov / “The legend of the invisible city of Kitezh and the Maiden Fevroniya”, suite
Prokofiev / Violin Concerto No.2 g minor op.63
Mussorgsky / Ravel / “Tableaux d’une exposition”, suite

Gianandrea Noseda, conductor
James Ehnes, violin
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米国出張 憧れのスタンフォード大学キャンパスをWalking

2015-01-15 21:16:09 | 日記 (2012.8~)
 

 今回、シリコンバレーを訪れたからには是が非でも行きたかったのがスタンフォード大学。グーグルの創立者セルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジら数多くの起業家達が学んだ聖地の中の聖地です。

 ただ今回の出張はスケジュールが目茶タイトで、3日間で自由になる時間は殆どなし。それでも無理やりやり繰りして、タクシー飛ばして日の出時間(7時20分頃)に間に合わせてキャンパスを訪問。足の向くままのキャンパスツアーをしました。生憎の曇り空、しかも土曜日の朝とあって学生とも殆ど出くわすことも無かったのですが、その分、自己満足の世界に浸ることが出来ました。

 第一印象はデカイ(Huge!)、そして美しい(Beautiful!)。いかにもアメリカの大学といった緑あふれる広大なキャンパスにすっかり魅了されます。キャンパスを訪れて最初に目立つのは、道路沿いに茂る巨大なヤシの木。スタンフォード大学のシンボルマークに木が描かれているのですが、その理由が分かりました。


《キャンパスのいたるところにあるヤシの木》

 1891年創立と言うことですので120年以上が経っているのですが、継続的にリノベーションされているのか建物はどれもとても綺麗です。統一的に配色された校舎がキャンパスに映えます。天気が良ければ、更に美しいのでしょう。

《フーバータワー》


《なぜか、トーテムポール》

 驚いたのはキャンパスの一番中心部に大きく綺麗な教会があったこと。中には入れませんでしたが、威厳ある建物はまさに大学の魂のようです。


《奥が教会》


《ロダンの彫刻》

 このほかにも、図書館、ユニオン(いわゆる日本の大学の生協)、ビジネススクール、エンジニアリングスクールなどの建物を見学。アカデミックな雰囲気が漂います。

 今回は時間の関係から中心部のみの見学に留まりましたが、とにかく大きいのでそれだけでも1時間半かかります。タクシーを飛ばして急ぎ会議に間に合わせましたが、清閑な中でのおひとり様キャンパスツアーは、何とも贅沢な時間でございました。こんなところで勉強できたらなあと、ムラムラと勉学意欲が湧いてくる不思議なパワースポットです。無理してでも行って良かった!
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米国出張 シリコンバレーの香りを嗅ぐ (ウーバーに乗る)

2015-01-13 23:10:17 | 日記 (2012.8~)


 先週、滅多にない海外出張があり、現地3泊で米国のシリコンバレーに行ってきました。米国は前回訪れたのが、2002年のプライベート旅行でしたからなんと13年ぶり。それこそ、英国赴任前はアメリカ大好き小僧だった私には、ひときわ懐かしい再訪となりました。しかも、訪問地は私にとって処女地であるシリコンバレー。ソフトウェア、エレクトロニクス、コンピュータ企業、インターネット関連などなどのハイテク企業の聖地です。

 ただ、実際に行ってみると、シリコンバレーと言ってもそういった地名があるわけではないし、3日間会議室に缶詰でしたので、アップルやグーグル、フェイスブックのオフィスを見たわけでもなく実感には乏しかったのは残念・・・。それでも、いくつか「さすが!」と思ったところがありました。

 一つは、良く言われることですが、投資家や起業家たちの人的ネットワーク。今回、おつきあいのある米系企業の幹部を訪ねたのですが、夕食のお誘いを受けたレストランでは、近くのテーブルに、彼と知り合いの某有名投資銀行のインベストメントバンカーが食事中。お互いが声を掛け合った後は、すぐに我々も「日本からのお客さん」ということで紹介され、「誰々を知っているか?」とか「あの(新しい)企業は面白い。紹介するぞ。」などのビジネスの話がはじまります。映画では見たことあるけど、なんかこのスピード感が凄い・・・(感心している場合ではないのですが)。

 また、最近は日本でも展開していると聞きますが、タクシーの配車システム「ウーバー(Uber)」というサービスを始めて体験しました。これは、スマートフォンからタクシーを呼ぶサービスで、迎えにきてほしい場所を地図上でタップすれば、近くにいるドライバーがすぐに返答してくれるサービスです。まさにシリコンバレー発のサービス。

 最終日、訪問先でパートナーさんがスマートフォンを操作すると、地図上に利用可能(待機中)の車が何台か現れ、到着まで●分とかまでわかります。さらには、ドライバーや車の属性までが表示されます。一番近くにいたのは、主婦のアルバイトドライバーだったらしく「3分で来れるらしいけど、この車は貴方にはお勧めしない」と言って、次の候補を探しにまたタップ。すると今度は黒い車のハイヤーばりの車。「これなら大丈夫だ」と言って予約。値段もタクシーより3割安くて、サービスもずっといいとか。

 ただどうも話を聞いていると免許を持ったタクシーとは別のよう。「それって、大丈夫?日本なら白タクってイリーガルですよ」と言うと、「裁判にはなってるところもあるらしいけど、心配するな。タクシーよりずっとプロフェッショナルなサービスが受けられる。主婦やサラリーマンが空き時間に車を運転者になるから供給側もこずかい稼ぎになる。こんな良いサービスないだろ~」

 お約束通り5分待って登場したのは確かに黒塗の立派な車。英語はとってもスパニッシュ訛りがあったけど紳士然としたドライバーがさっそうと登場して、私のためにドアを開けて、スーツケースも運んでくれました。運転の方も乱暴なタクシー運転手よりはずっと良くて、サンフランシスコ国際空港まで1時間弱を安心・安全に運んでくれました。
 
 短い滞在期間でのちょっとした経験だったのですが、メディアを通じてしか知らなかったシリコンバレーを初めて肌感覚として感じたのは、私にとっても非常に勉強になる出張でした。もちろん、研修ではないので、これから仕事の成果を出さねばならないのですが・・・
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高橋 裕子 『イギリス美術』  (岩波新書)

2015-01-04 08:35:15 | 


 中世から現代にいたるまでの英国美術史について包括的にまとめた入門書。新書とはいえ、内容は質量ともに充実しており、記述は絵画だけでなく庭園、建物などの芸術品にまで及び射程も広い。イギリス美術の流れが一望でき、知的好奇心を誘う内容になっている。

 個人的には、ホガース等のイギリス風俗画の解説(第4章)やアーツアンドクラフツ運動など絵画彫刻以外の生活のための芸術活動としてイギリス芸術の貢献(第8章)が、未知のことが多く勉強になった。とかく大陸に比べて傍流扱いされる英国美術だが、相互に影響を受け与えている点も興味深かった。

 これだけの内容を新書の内容に収めるというのは、筆者がこの道に精通したプロであることを十分に伺わせるし、岩波新書の編集力もあるのだろう。テーマがテーマだけにかなりニッチな層向けかもしれないが、英国美術に関心のある方には自信をもってお勧めできる一冊だ。
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