その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

茂木大輔『交響録 N響で出会った名指揮者たち』(音楽之友社、2020)

2020-11-30 07:30:00 | 

元N響主席オーボエ奏者茂木大輔さんによる、N響在籍時に巡り合った世界の指揮者とのエピソードを紹介したエッセイ。

茂木さんのユーモアたっぷりの視点や文体は本書でも健在でページをめくる手が止まらない。ただ、N響を退いたとはいえ、流石に音楽界で飯を食べていく身としては、あからさまな辛口コメントは書きにくいのだろう。控えめな語り口は、やや残念なところはある。それにしても、いろんな裏話が聞けて面白いし、まあ文調のはしばしに本音を伺わせるコメントがあるので、なんとなくはわかる。

個人的にN響は学生時代にコンサートに行き出して以来、一番、長く数多くの演奏会に行っているオーケストラなので、ここで紹介されている8割がたの指揮者とN響の演奏は聴いている。さながら、茂木さんの文章を通して、自分にとってのN響史を追っているようであり、懐かしい思いで一杯だった。

なかでも、デュトアのドビュッシー〈ペレアスとメリザンド〉、チョン・ミョンフンのマーラー交響曲第9番、マリナーのドボルザーク交響曲7番などなど、私自身、記憶に残る感銘を受けた演奏が、特記されていたのは何より嬉しい。逆に、私自身は、感度が鈍いのか印象が薄かったり、居眠りしてしまった曲が、茂木さん絶賛になっているところもあり、もっとしっかり聴いておればと後悔した

編集チェックはしていると思うのだが、細かいところで、私の記録と多少ずれているところがあったのが気になった。マリナーの定期演奏会でのドボルザーク7番は29014年4月との記載だが、同年2月のはず(そのあと、また来日されたのかな?)だし、2016年10月定期のチャイコフスキーの交響曲は4番でなくて6番ではなかったか?まあ、私が行ってない演奏会もあるだろうから、間違いではないと思いたいが、一応、記録しておきたい。

気軽に読める本でもあり、N響ファンには強くお勧めします。


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「THIS IS JAPAN」永遠の日本美術の名宝展 @東京富士美術館

2020-11-28 15:08:42 | 美術展(2012.8~)

東京西部八王子市の創価大学キャンパスに隣接した東京富士美術館で開催中の「THIS IS JAPAN」展を訪れた。何度か訪れている美術館だが、郊外の立地であるので小旅行気分で、空間的にも時間的にゆったりゆっくり鑑賞できるので、お気に入りである。今回の企画展は」「THIS IS JAPAN」展とのタイトルで、同美術館所蔵の日本美術の名品を展示している。

「キモカワ」、「サムライ」、「デザイン」、「黄金の国」、「四季」、「富士山」という切り口で様々な日本美術が鑑賞出来る。時代的にも、桃山時代、江戸時代から明治、昭和に至るまで幅広い。それぞれの作品に、西洋ものとは異なった日本特有の感性を感じて興味深い。

写真も原則OKなので、いくつか気に入った作品を撮影。


 伊藤若冲〈象図〉


 曾我蕭白〈亀寿老図(亀仙人)〉


海北友雪〈源平合戦図屏風〉 


源平合戦図屏風の義経の鵯越の逆落とし部分(上部)

 

以前も紹介した気がするが、この美術館、常設展にもルネッサンス期からの西洋絵画史が一望できる作品を有していて、常設展目的で訪れても十分なぐらい。こんな名品群を所蔵している東京富士美術館というか、バックの創価学会の財力に恐れ入るばかりである。

明日の11月29日までです。


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藤倉大作曲、オペラ〈アルマゲドン〉指揮:大野和士、新国立劇場

2020-11-24 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

日本人作曲家・藤倉大による初演の新制作オペラ。まずは、このコロナ禍の中で、この企画を実現に結び付けた関係者の努力に最大限の賛辞と感謝を送りたい。逆境の中、ここまでのチャレンジを行ったオペラ劇場は、世界広しと言えどもそうはないだろう。素晴らしいと思う。

イギリスのSF作家H.G.ウェルズによるSF短編『アルマゲドンの夢』が原作だが、なんとこの短編1902年創作というから第1次世界大戦前の作品である。この公演に合わせて、日本語の文庫版が復刊されたが、事前に入手できなかったのでAmazon Kindleで原書をダウンロードしたのだが、1/3ほど読んだところで公演日を迎えてしまった。全体主義や戦争に囚われた人類を描くディストピアものである。

1時間半の1幕ものであるが、始まりから終わりまで緊張感一杯の舞台で、ディストピアもの好きの私には堪らない公演だった。現実と夢がクロスする原作の世界を、グロテスクな衣装やマスク、不安定で不安にさせる音楽や歌、シュールで暗示的な大衆の動作、要所で挿入される効果的な映像が上手く組み合わされ、期待通りの世界観が構成されていた。

主役級の外国人歌手陣に特に際立った感はなかったが、安定したパフォーマンスだった。冒頭のアカペラから始まって全編にわたり合唱が散りばめられているが、新国立劇場合唱団はいつもの美声を聞かせてくれた。ピットに入った東フィルも緊張感一杯の音楽を聴かせてくれた。

この手の暗く、ハッピーエンドでない劇では、幕が下りて大感動で大拍手と行かないのは致し方ないだろう。後方は空席も目立つ入りだったのも残念だったが、満足の拍手が劇場には響いていた。(声が出せないのでブラボーは言えないが、ブーイングもできないので、ニューノーマルの舞台は不満を表したい人はどうするのか、くだならいことが気になった。)

もう少し原作をしっかり読んで、この世界や舞台の意図をもっと知りたいと思う。再演、またはテレビでの放映を強く希望したい。

2020年11月18日 観劇

スタッフ
台本:ハリー・ロス(H.G.ウェルズの同名小説による)
作曲:藤倉 大
指揮:大野和士
演出:リディア・シュタイアー
美術:バルバラ・エーネス
衣裳:ウルズラ・クドルナ
照明:オラフ・フレーゼ
映像:クリストファー・コンデクドラマトゥルクマウリス・レンハルト

キャスト

クーパー・ヒードン:ピーター・タンジッツ
フォートナム・ロスコー/ジョンソン・イーヴシャム:セス・カリコ
ベラ・ロッジア:ジェシカ・アゾーディイン
スペクター:加納悦子
歌手/冷笑者:望月哲也

合唱:新国立劇場合唱団

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

New Production /

Commissioned Work, World Premiere

Music by FUJIKURA Dai
Opera in 9 Scenes

Sung in English with English and Japanese surtitles

OPERA PALACE

15 Nov. - 23 Nov., 2020 ( 4 Performances )

CREATIVE TEAM

Libretto by: Harry ROSS 
(after the short story “A Dream of Armageddon“ by H.G.WELLS)
Composed by: FUJIKURA Dai
Conductor: ONO Kazushi
Production: Lydia STEIER
Set Design: Barbara EHNES
Costume Design: Ursula KUDRNA
Lighting Design: Olaf FREESE
Video: Christopher KONDEK
Dramaturg: Maurice LENHARD

CAST

Cooper Hedon: Peter TANTSITS
Fortnum Roscoe/Johnson Evesham: Seth CARICO
Bella Loggia: Jessica ASZODI
The Inspector: KANOH Etsuko
The Singer/The Cynic: MOCHIZUKI Tetsuya

Chorus: New National Theatre Chorus

Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra


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NHK交響楽団 11⽉公演 ドヴォルザーク交響曲第9番ほか@東京芸術劇場

2020-11-22 07:25:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

N響、原田慶太楼さん指揮による11月演奏会に行きました。原田さんの指揮は初めてです。コロナ禍で外国人指揮者が来日できないこともあり、日本人若手指揮者の出番がどんどん増えてますね。これもコロナ禍の不幸中の幸いのできごとの一つでしよう。

今回の座席は、普段あまり購入しないオーケストラの斜め後ろ側の席(丁度、第一ヴァイオリンの後あたり)。芸劇のこのエリアは初めてだったのですが、とっても良いですね。値段が手ごろなうえに、オーケストラが近く音圧がダイレクトに感じられるし、指揮者の表情や指示が手に取るようにわかります。

冒頭の「航海」は初めて聴く曲。管弦楽だけの音楽ですが、海原の大きさや波を感じる綺麗な曲でうっとりです。

2曲目はヴァイオリン独奏神尾真由子さんによるバーバーのヴァイオリン協奏曲。神尾さんのヴァイオリンを聴くのも初めてで、薄オレンジ色のドレスに身を包んだ神尾さんの演奏は、堂々としていて、とっても力強く、芯のある音でした。アンコールは、エルンスト/シューベルトの「魔王」による大奇想曲(後で曲目は知りました)。こちらもとんでもの超絶技巧であるようにお見受けしました。とっても綺麗な方であるのに加えて、姐御的な度胸と気っぷの良さを感じます(本人のことを全く知らずに書いてますので、外れていたらごめんなさい)。ただ座席の関係上、殆どが後姿で、舞台袖に引き上げる時しかお前姿は拝見できず残念。

休憩後はドヴォルザークの交響曲第9番「新世界」。学生時代からレコード(!)・CDで幾度と聴いていますが、実演に接したのはさほど多くありません。前回は2014年のN響、デュトアです。原田さんの指揮はとってもクリアで聴きやすい。所々、テンポや強弱を揺らしますが、自然体です。第2楽章の池田昭子さんのコールアングレの音色は自分自身が音楽の吸い込まれるような感じでした。畳みかけるような第3,4楽章はオーケストラの熱量と集中力を強く感じるもので、その音圧を体で受け止める快感はステージ近くの席ならではです。痺れる体験でした。

会場は密回避のため両隣を開けてお客さん入れてますから、満員の半分以下しか聴衆はいませんが、満員並みの大きな拍手に包まれました。ちょっと意外だったのは、いろんな奏者が個別に立たされ称賛を浴びる中、私にはとっても活躍していたように見えたトロンボーンやトランペットにはお呼びがかからないまま。どうしてなんだろうと、気になってしまいました。

11月の若手指揮者に代わって、12月は井上さん、秋山さんの日本人重鎮指揮者が登壇します。こちらも楽しみです。

 

NHK交響楽団 11⽉公演 東京芸術劇場
2020年11月20日(金)開場 6:00pm 開演 7:00pm

東京芸術劇場 コンサートホール

コリリャーノ/航海
バーバー/ヴァイオリン協奏曲 作品14
ドヴォルザーク/交響曲 第9番 ホ短調 作品95「新世界から」

指揮:原田慶太楼 指揮:原田慶太楼
ヴァイオリン:神尾真由子

【本公演のアンコール曲】エルンスト/シューベルトの「魔王」による大奇想曲 作品26(ヴァイオリン:神尾真由子)

 

NHK Symphony Orchestra November Concerts at Tokyo Metropolitan Theatre

Friday, November 20, 2020 7:00p.m.

Tokyo Metropolitan Theatre

Keitaro Harada, conductor
Mayuko Kamio, violin

  • Corigliano / Voyage
  • Barber / Violin Concerto Op. 14
  • Dvořák / Symphony No. 9 E Minor Op. 95 "From the New World"

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初 真央くん: NHK交響楽団 11⽉公演、指揮:熊倉 優 @NHKホール

2020-11-16 07:30:17 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

11月のN響演奏会は、先月より一歩進んで、休憩ありの2時間程度のプログラムへ。感染状況は予断を許しませんが、完全終息はないでしょうから、こうやって少しづつニューノーマルを試していくしかないと思います。座席は今月も両隣は空けての配席です。今回は藤田真央くんがN響初登場と言うことで、チケットは完売だったようで、隣は空く余裕ある空間ながらも熱気はむんむん。NHKホールは座席が窮屈なので、この方式が一番いいではないかと経済性無視で勝手なことを考えたりしてました。

私も真央くんは全く初めてなので興味しんしんでした。プロフィールを見ると22歳ぐらいのようですが、舞台に登場した真央くんは、髪型、お肌、顔立ちが中高生のような。初登場というN響に対しても臆するどころか、天真爛漫なオーラが全身に漂っていました。こりゃあ、人気が出るわけだ。もちろん腕のほうも素晴らしい。シューマンのピアノ協奏曲の美しく、優しい演奏に痺れまくりでした。細かいテクニックは私は分かりませんが、うっとりする美音でした。N響も真央くんを全面に引き立てる伴奏ではなくて、ソロ・合奏ともに自己主張を感じる演奏で、真央くんとの掛け合いが刺激的でした。

盛大な拍手に応えてのアンコールはモーツァルトのピアノ協奏曲第3番からとのこと(聴いていてモーツァルトであることは確信しましたが、曲名はわからずTwitterのツイート情報です)。これがまた、軽快で優雅な弾きっぷり。若きモーツァルトもこんな風に弾いたんではないのかと思いました。

真央くん目当てだったのか、後半、私の席周辺は3名ほどお帰りになったようでしたが、後半も熊倉・N響コンビは充実した演奏を聴かせてくれました。後半のトップに、バッハの作品が置かれていたのが嬉しかった。コース料理のお口直しのような味わいで、N響のアンサンブルがバッハの曲を聴かせてくれました。

そして、最後はメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」。第1楽章はイタリアの明るい陽光を感じるようなきらびやかな演奏で、第2,3は美しい音色にうっとり。そして、イタリアの舞曲にインスパイアされている第4楽章は刺激的で挑発的な曲で、この曲をこんなに楽しめたのは今まで無かったような気がします。

指揮者熊倉さんも、私は初めてでしたが、まだ30歳前でこちらも若手。堂々として明快な指揮ぶりでとっても共感できるものでした。N響でアシスタントして加わっていたということで、団員の皆さんとの信頼関係もしっかりできている感じが舞台を通じて伝わってきました。なんか団員さんが「俺らがしっかりやるから、熊倉、頑張れ!」と言っているような感じでしたね。

真央くんのN響出演も熊倉さんの登壇も、コロナが生んだ不幸中の幸いハプニングだったのかもしれません。これから彼らがどんな成長を遂げるのか、おじさんはとっても楽しみです。

NHK交響楽団 11⽉公演
2020年11月15日(日)3:00pm
NHKホール

指揮:熊倉 優
ピアノ:藤田真央

メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」作品26
シューマン/ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
バッハ(レーガー編)/コラール前奏曲「おお人よ、おまえの罪に泣け」BWV622
メンデルスゾーン/交響曲 第4番 イ長調 作品90「イタリア」

NHK Symphony Orchestra, November Concerts at NHK Hall
Sunday, November 15, 2020 3:00p.m.
NHK Hall 

Masaru Kumakura, conductor
Mao Fujita, piano

Mendelssohn / "Die Fingals-Höhle," overture Op. 26
Schumann / Piano Concerto A Minor Op. 54
Bach / Reger / "O Mensch, bewein’ dein’ Sünde gross," BWV622, chorale prelude
Mendelssohn / Symphony No. 4 A Major Op. 90 "Italienische"


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酒井大輔 『ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか』 日経BP, 2020

2020-11-15 07:30:14 | 

ユニークな経営戦略で成長著しい「ワークマン」の躍進の背景に迫ったレポートである。週刊誌記事タッチの作りなので、経営学的に深堀したものではないし、身内びいき的な記載もある。ただ、そういう点は差し置いても、ガテン系作業服専門店からアウトドアショップに転換を踏み出したワークマンの事業環境、戦略、アクションを知るのは、(業種も業態も全く違うが)自らの仕事を振り返る上でも参考になった。通読して思ったのは、やっぱり普通のことをやっていては、縮んでいく日本市場では未来はないということ。競争回避、クリック&コレクト、フランチャイジーとのWin-Win関係作りなどなど、他社の真似ではないオリジナリティのディテールが興味深い。(ただAmazonの読者レビューポイント4.3は高すぎと思う)


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KING&QUEEN展 ―名画で読み解く 英国王室物語― @上野の森美術館

2020-11-12 07:30:03 | 美術展(2012.8~)

ロンドンにはお勧め美術館がたくさんあるが、その中でもユニークさ、面白さ、質の高さで独自のポジションを確保しているのが、ナショナル・ポートレート・ギャラリーだ。隣接したナショナル・ギャラリーと比べると館内が狭いのは残念だが、イギリスの歴史・伝統・価値観を知るのにこれ以上のところはないと思う。本展は、そのナショナル・ポートレート・ギャラリーから、チューダー朝から現代のウィンザー朝に至るイギリス王室とその「物語」を肖像画で辿る展覧会である。

展示されている100点近くの肖像画そのものも良いのだが、『怖い絵』の中野京子さんをナビゲーターに解説される絵の背景にある「物語」が実に面白く、興味深い。展示の仕方を含めたプロデュースの力を感じる展覧会だ。エリザベス女王、ビクトリア女王等の名前は知っていても、イギリス史には縁遠い人もイギリス史に興味をもつこと間違いない。

後半には、現エリザベス女王2世やダイアナ妃などの現代史としての王室も展示されている。美しいエリザベス女王2世の若き姿から品性、知性と覚悟が滲み出る現在の姿は、長き間、国を支えた女王の年輪が滲み出ていて感動する。

会期スタート間もないころに訪問したせいか、金曜夜の時間帯はとっても余裕を持ってみることができた。来年1月11日までの開催なので、お出かけをお勧めしたい。

2020年10月16日 訪問

コメント (2)
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「麒麟がくる」の岐阜へGo to トラベル(最終回)~国宝 犬山城を訪れる~

2020-11-08 07:30:00 | 旅行 日本

法事の会食が済んだ後、夕方の新幹線までの時間を使って、国宝の犬山城に立ち寄りました。犬山城は愛知県犬山市にあるのでガイドブックは名古屋駅からのアクセス案内ばかりですが、岐阜駅からも名鉄線で30分で到着します。

犬山駅から10分ほど歩くと城下町のエリアに入ります。本町通りは人力車が走り、おみやげ物屋さんも並び、観光気分が高まります。

城の敷地内に入り、天守閣が現れます。「織田信長の叔父である織田信康によって創建された、現存する日本最古の木造天守」(犬山城HPより)です。城内に入ると、太い梁や木の床など、本物の匂いがプンプンしてきます。

天守閣からの眺めは、前日に訪れた山上に建つ岐阜城ほどの高さはありませんが、木曽川を背に360度の展望で爽快さ一杯。

城を降りると、夕方の城下町を散策。古い町割りや町並みが残りブラ歩きが楽しい。列車の関係で2時間程度の滞在でしたが、落ち着きながらも趣深い時間を過ごせ、寄り道は大正解でした。


〈昭和チックな本屋さん〉


〈犬山祭に使われる車山をおさめた車山蔵〉


〈お寺が集まる寺内町〉

法事にかこつけたショートトリップ。Go to トラベル・キャンペーンに乗った形にはなりましたが、長く籠った生活で溜まった旅行欲を満たしてくれる旅となりました。やっぱり旅行はいいです。


〈名古屋駅の味噌煮込みうどんで〆〉

2020年10月3日

 


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W.シェイクスピア/野田秀樹 潤色「真夏の夜の夢」(演出:シルヴィウ・プルカレーテ)@東京芸術劇場プレイハウス

2020-11-04 07:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

新国立劇場のオペラに続いて、演劇の「真夏の夜の夢」を東京芸術劇場プレイハウスにて観劇しました。

シェイクスピアの「真夏の夜の夢」をベースにしつつ、野田秀樹が潤色。原作のアテネの宮殿を日本の割烹料理屋に、アテネ近くの森を富士山麓に置いて、所々、登場人物の台詞も読み替えています。テンポ良く、洒脱で、言葉遊びたっぷりなところは原作と同じですが、全体を通して受ける印象は全く別の芝居になっていて、「おーそう来るか~」と驚きの連続で、あっという間の2時間でした。

役者陣もそぼろ(ヘレナ)、ときたまご(ハーミア)役の鈴木杏、北乃きいの両女優を初め、皆さんの熱演、怪演たっぷりで、私の2階席にも熱量が一杯伝わってきました。

演出のシルヴィウ・プルカレーテはルーマニアの舞台演出家で、随分有名な方のようですが、私は初めて。私が持つ原作の「森」のイメージとは異なる世界観でしたが、映像を効果的に取り入れた舞台は、現代的で不思議な「富士山麓」が表現されていました。

新国での「リチャード2世」も女性客が多いと思ったけど、この公演も8割近くは女性客。シェイクスピア劇ってこんなに女性ファンに偏っているのでしたっけ?

三密を避けた席割り当てで、両隣は空席のためゆったり。贅沢な観劇体験となりました。

 

日程:2020年10月29日
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
原作:ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳「夏の夜の夢」より
潤色:野田秀樹
演出:シルヴィウ・プルカレーテ

出演
鈴木杏、北乃きい、加治将樹、矢崎広、今井朋彦、加藤諒、長谷川朝晴、山中崇、河内大和、土屋佑壱、浜田学、茂手木桜子、八木光太郎、吉田朋弘、阿南健治、朝倉伸二、手塚とおる、壤晴彦


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N響 10⽉公演、鈴木雅明 指揮、シューベルト交響曲 第2番/4番

2020-11-01 07:33:42 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

10月のN響演奏会を聴きにサントリーホールへ。サントリーホールでの定期演奏会のチケットはなかなか取れないのですが、コロナ禍での特別演奏会なので比較的容易に入手できました。今回は鈴木雅明氏指揮による、シューベルトが10代で作曲した交響曲の2番と4番の2本立て。ユニークなプログラムです。

両曲とも重層的で厚みのある素晴らしい演奏でした。若いが決して未熟ではない、若さと勢いと美しさが併存したシューベルトの音楽を堪能。特に後半の4番は痺れました。強弱のメリハリが浮き出た立体的な演奏で、N響メンバーの個の強さと全体の集中力を感じます。第2楽章も美しく優しいアンサンブルが、蜜を避けて定員の半分に居たない客数でのサントリーホールに響き、この贅沢感もたまりません。

休憩なしでの2曲の演奏で、所要時間は1時間ちょっとですが、その満足度は自分の中では今年間違いないナンバーワンでした。同様の思いを他の観客さんも共有していたのか、終演後もオーケストラが解散しステージを退いても拍手は鳴りやまず、鈴木氏がソロで呼び戻されました。今後も定期的に登壇いただきたいです。

 

NHK交響楽団 10⽉公演 サントリーホール
2020年10月29日(木)開場 6:20pm 開演 7:00pm

サントリーホール 

シューベルト/交響曲 第2番 変ロ長調 D. 125
シューベルト/交響曲 第4番 ハ短調 D. 417「悲劇的」

指揮:鈴木雅明

NHK Symphony Orchestra October Concerts at Suntory Hall
Thursday, October 30, 2020 7:00p.m.

Suntory Hall 
Masaaki Suzuki, conductor

Schubert / Symphony No. 2 B-flat Major D. 125
Schubert / Symphony No. 4 C Minor D. 417 "Tragische"


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