その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 9月定期Cプロ/ 指揮:パーヴォ・ヤルヴィ/スクリャービン 交響曲第2番ほか

2017-09-25 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


今回は簡単に。ツイッター並みの文字数で。

 ポーヴォさんのロシアプログラム。私はどれも初めて聴く曲ばかりで、お勉強モードでした。パーヴォさん、こういう普段あまり演奏されない音楽も紹介してくれるので、定期会員ならではのバリューを感じます。N響は今日も素晴らしく、滅多にやらない音楽でも、十八番のように演奏してくれました。

 個人的には、ラフマニノフのピアノ協奏曲の際は、なぜか仕事の懸案が急に頭に浮かんで全く集中できず残念でした。また、スクリャービンの曲の前半部分では、どこからともなく、鞭打つような雑音が聞こえてきて、気になってしょうがなかった。幸い中盤には止みましたが、あれ何だったんだろう。

 聴衆からの拍手も暖かいし、団員からもリスペクトされているのも伝わり、パーヴォさんの演奏会はいつも気持ちが良いです。


第1865回 定期公演 Cプログラム
2017年9月23日(土・祝) 開場 2:00pm  開演 3:00pm
NHKホール

グリンカ/幻想的ワルツ
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第4番 ト短調 作品40(1941年版)
スクリャービン/交響曲 第2番 ハ短調 作品29

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ピアノ:デニス・コジュヒン

No.1865 Subscription (Program C)
Saturday, September 23, 2017  3:00p.m.  (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Glinka / Valse Fantasie
Rakhmaninov / Piano Concerto No.4 g minor op.40 (1941 version)
Skriabin / Symphony No.2 c minor op.29
 
Paavo Järvi, conductor
Denis Kozhukhin, piano
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奈良 仏像ツアー 第三部(おすすめ! 奈良公園周辺 早朝ジョギング)

2017-09-21 08:59:18 | 旅行 日本
 久しぶりに早朝の観光ジョギングにトライ。案の定、素晴らしかったので、奈良に訪れる観光客には、是非早朝のジョギング(でなくともウォーキング)をおすすめしたい。

 前夜は10時には寝たこともあり、2日目の日曜日は5時半に目が覚める。ランニングウエアに着替えて、6時にホテルをスタート。日曜日ということもあってか、まだ人影はまばら。昨夕訪れた奈良国立博物館の横を走り抜け、まずは東大寺に向かう。

 15年以上ぶりの南大門の威風に打たれる。「天平創建時の門は平安時代に大風で倒壊」し、「現在の門は鎌倉時代、東大寺を復興した重源上人が再建したもの」(東大寺HP)であるが、鎌倉時代からの門はその木の朽ち方から年季の入り方が尋常でない。なぜか、この門を見るといつも芥川龍之介の小説『羅生門』を思い浮かべる。門の左右を固める仁王像の迫力は、今にも中から飛び出して来そうな生々しさを感じる。





 東大寺の大仏殿は開館前なので、裏に廻って正倉院の敷地の外周を一周。いたるところに鹿がいる。そして、石段を登って、東大寺境内の東端にそびえる二月堂へ。



 まだ6時半なので人影はまばらだが、掃除するお坊さんや信者さんをちらほら見かける。一日の始まりとして厳粛な空気が漂っている。信者であろうと、なかろうと自然に伊頭を下げる気持ちにさせられる。ここからは奈良盆地が一望でき、その眺めがまた素晴らしい。





 二月堂でお参りを済ました後は、若草山公園のへりを走って、春日大社へ向かう。


《鹿のエリアにお邪魔します》

 春日大社の敷地は木々に覆われ、朝の冷たく、神々しい空気が漂う。春日大社は外から拝み、その周りにあるいくつかの神社にもお参り。


《朝拝に向かう神主さん》

 そのあとは、春日大社一帯を離れ、また奈良公園に向かって下山。


《新薬師寺の外門。ここは今回行きたかったが、行けなかった》

 奈良公園に戻ってくると、春日大社の一の鳥居を発見。7時を回り、参道にも朝のウォ―キングを楽しむ人など、だんだんと人が増えて来た。


≪春日大社、創建1250年って凄い≫



 そして、昨夜、月の光で拝んだ興福寺五重塔を今度は朝日の中で見上げる。



 繰り返しになりますが、奈良に来たら、この奈良公園周辺の早朝ブラ走り/ぶら歩きを強くお勧めしたい。まだ早朝の清々しい空気の中で、全身が浄化され、力が与えらえる不思議な感覚が得られる。普段の生活にはない何かが感じられるはず。


2017年9月3日 6:00-7:30

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N響 9月定期Aプロ/ 指揮:パーヴォ・ヤルヴィ/シュスタコ―ヴィチ交響曲第7番

2017-09-19 07:45:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 17-18シーズン定期のオープニングコンサート。台風が心配されたけど、スピードが遅いのが幸いして、公演に影響が出るのは回避されました。ただ、台風を心配したのか、お客さんの入りはいつものパーヴォさんの演奏会に比べると鈍く、8割弱ぐらいだったでしょうか。

 この日はシュスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」の一本勝負。NHKホールのあの広いステージが狭く見えるほど、一杯に広がった大編成のオケが壮観です。金管は通常の金管部隊の奥に更に別動隊が10名ほどいるし、弦もコントラバスが10名。正確に数えたわけではありませんが、総勢120名以上はいたような・・・。

 演奏の方は、この大編成のオケのパワーがフルに発揮された爆演でした。パーヴォさんとN響の素晴らしさは、これだけの編成で、癖のありそうなこの曲を、乱れることなくまとめ上げ、曲の輪郭を明確に伝えてくれるところです。弦、管ともに、気力とパワーあふれる演奏が見事でした。

 コンサートマスターはゲストのヘルシェコヴィチさん。ミュンヘンフィルのコンサートマスターを務めておられる方で、髪型はかつらかと思った程の立派なパパイアヘアに巨体。その巨体から奏でられる3階席からもはっきりとわかる強い音色は、弦パートの音に相当の厚みを加えていたと思います。

 終演後はブラボーの嵐。先週の「ドン・ジョバンニ」といい、今シーズンもこのコンビ大いに沸かせてくれそうです。


第1864回 定期公演 Aプログラム

2017年9月17日(日)
開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

ショスタコーヴィチ/交響曲 第7番 ハ長調 作品60「レニングラード」
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ



No.1864 Subscription (Program A)


Sunday, September 17, 2017
3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Shostakovich / Symphony No.7 C major op.60 “Leningrad”
Paavo Järvi, conductor

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奈良 仏像ツアー 第二部(奈良国立博物館)

2017-09-17 08:00:00 | 旅行 日本
 ホテルにチェックインした後(私が1週間間違えて予約したという大ポカがあったが、幸運にも空き部屋が一つあり、なんとかおさまった)、シャワーで汗を流し、夕方の奈良公園に繰り出す。

 行先は、奈良国立博物館。土曜日は一部、8時まで開館している。まずは、翌日に閉幕する特別展「源信」展を訪れる。源信については、大学受験の暗記の名残で、平安時代中期の天台宗の僧で、源信-『往生要集』-浄土宗の祖という一問一答的な記憶が残っているだけだったが、この特別展は偶然訪れたにしては、大当たりだった。



 平安時代の僧なので、本人の記録がそんなに残っているわけでは無いのだが、「地獄絵を含む六道絵(ろくどうえ)や阿弥陀来迎図(あみだらいごうず)といった源信の影響下で生まれた名品」(奈良国立博物館HP)が展示されている。平安時代の人が、死後の世界をどうとらえ、源信らが仏教にどう救済を求めたのかがわかる。現代人が見ても、地獄絵は怖い。

 「源信展」に閉館時間の7時まで居たあと、続いて、同博物館のなら仏像館へ。ここは8時まで開館している。飛鳥時代から鎌倉時代にいたる日本の仏像を中心に100体近くが展示されている。流石、奈良の国立博物館だ。国宝、重要文化財を始め数々の歴史的な仏像がもったいないぐらいに並んでいる。日中に拝んだお寺のお堂にあった仏像に比べると、博物館にある仏像はあくまでも観賞用途の匂いが漂っているのは残念だが、美しいものは美しい。一つ一つ見入ってしまう。

 展示は数か月毎に入れ替えがあるようで、この期の目玉は、新しく国宝指定を受けた「降三世明王坐像」。鎌倉時代に作られた明王像で大阪・金剛寺の所蔵のものだ。形相の激しさに思わず、後ずさりしてしまうほど。色が残っており、これがフルカラーだと怖さが倍増するに違いない。


≪降三世明王坐像≫

 閉館ぎりぎりまで滞在し、外に出ると奈良公園は真っ暗。日本有数の観光地と聞いて想像する町の夜とは思えない暗闇だ。暗闇の中から突然鹿が現れたりして、はっと驚かせられる。なかなかスリリング。駅方面に戻りつつ、ライトアップされた興福寺五重塔を見る。円形の月が塔の奥に見え、輝くほどの光を放っている。虫の鳴き声も聞こえ、歌でも詠みたくなる。東京では味わえない、夜の風景に一人で酒もなく酔いしれた。



 駅近くの閉店間近のうどん屋さんでうどんとかつ丼のセットを食べる。関西のうどんは、出汁がきいていて美味しい。客も自分以外には一組しかいない上に、有線と思われるスピーカーから流れる演歌も妙に旅情をそそる。う~ん、イメージ通りの完璧な奈良の一日だった。


コメント (2)
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奈良 仏像ツアー 第一部(薬師寺・唐招提寺)

2017-09-15 08:15:00 | 旅行 日本
 夏休みは事情で殆ど出かけてないので、9月第一週の週末に奈良に行ってきた。奈良は15年ぶりぐらい。しかも、もともと奈良公園周辺しか訪れたことが無いので、知らないに等しい。今回は、唐招提寺のある西ノ京エリアと法隆寺のある斑鳩エリアがターゲット。日本人としては恥ずかしながら、どこも初めて訪れる。

 土曜日、お昼前の新幹線に乗って、奈良に向かう。まずは、近鉄、西ノ京駅で下車して(近鉄特急には、まだ喫煙車があってびっくり)、薬師寺へ。久しぶりに歴史ある古寺の訪問だ。「法相宗[ほっそうしゅう]」の大本山で、「天武天皇により発願(680)、持統天皇によって本尊開眼(697)、更に文武天皇の御代に至り、飛鳥の地において堂宇の完成」。その後、平城遷都(710)に伴い現在地に移された(718)とのこと。(薬師寺HPより)


《金堂:この建物は1976年に白鳳時代様式の本格的な金堂として復興したもの》

 想像以上に観光客が少なく、奈良時代からの国宝や重要文化財の仏像もほぼ独り占め。東京の博物館で見る仏像とは違って、金堂に置かれた薬師三尊像(国宝:白鳳時代)を拝むと、まさにあるべきところにあるべきものがあるという感じで、その尊厳さに打たれる。仏像は見るものではなくて、祈るものなのだ。左右の菩薩様(右に日光菩薩、左に月光菩薩)は、尊いだけでなくセクシーでもある。


《薬師三尊像 国宝・白鳳時代》 薬師寺HPから


《東院堂:養老年間(717~724)に吉備内親王が元明天皇の冥福を祈り建立。鎌倉時代に建て替え》


《聖観世音菩薩像 (国宝:白鳳時代)》薬師寺HPから

 国宝の東塔が改修工事中でテントがかかっていたのは残念だったが、まあしょうがない。


《西塔:1981年に復興》

 薬師寺には1時間ほど滞在し、続いて徒歩5分ほどに位置する唐招提寺を訪れる。日本史の教科書に必ず掲載されている超有名なお寺である。唐の高僧・鑑真大和上により759年に創建された。寺の壮厳さもさることながら、緑に囲まれた環境も素晴らしい。国宝の蘆紗那仏坐像(奈良時代8世紀)、薬師如来像(平安時代(9世紀))は1000年以上前の仏像。ひんやりと冷たい空気が漂う金堂の中、ぼんやりとこれらの仏像を見ると、それだけで心の平安が訪れる。欧州を旅行すると教会で似た気分になるが、自分にとって教会は外の世界だが、寺院は自分の内にある感覚がある。違う。


《金堂:国宝 奈良時代(8世紀後半)、寄棟造・本瓦葺、8世紀後半の創建時の姿を残す代表的な建築物》




《本尊の盧舎那仏坐像 国宝 奈良時代》唐招提寺HPより


《千手観音立像 国宝 奈良時代》 唐招提寺HPより

 奈良時代に作られた経蔵は日本最古の校倉。改めて日本は木の文化であることを実感。気の向くまま院内を散歩するが、緑の木々に囲まれた落ち着いた環境に心身が癒される。敷地の奥まったところに鑑真和上の墓所(開山御廟)があったが、その途中には見事な苔庭。夕陽が当たって緑のグラデュエーションが美しい。来て良かった。


《経蔵:国宝 奈良時代(8世紀)、校倉・寄棟造・本瓦葺、高床式の校倉で、唐招提寺で最も古い建造物であり、日本最古の校倉》


《金堂の裏》


《苔庭? 目で見たようにきれいには写りませんね》

 寺を出てホテルのある奈良駅に向かう。近鉄奈良駅を出ると、すごい人だかり。何かと思ったら、10分後に皇太子ご夫妻が到着されるとのこと。せっかくなので、お出迎えの一群に加わらせてもらった。私の数少ない自慢は、20年ほど前に東宮御所で皇太子殿下とお話しさせて頂いたことなのだが、殿下を直接拝見するのは、それ以来。雅子皇太子妃もお元気そうで何より。充実の奈良、第一部であった。



(つづく)

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日経デザイン編 『デザイン思考のつくり方』 (日経BP、2016)

2017-09-13 07:30:00 | 


 やや旬はすぎた感があるようだが、今さらのように「デザイン思考」なるものを勉強しようと思って読んでみた。デザイン思考とは何かという定義は、書く人によってそれぞれで、一定の定義は存在しないようだが、本書では「優秀なデザイナーやクリエイター、もしくはクリエイティブな経営者の豊かで斬新な思考法をまねることで、新しい発想を生み出そうとする手法である」(p8)としている。

 本屋で「デザイン思考」と銘打ったものが10冊近くあった中で、本書が一番事例が豊富そうだったので購入したのだが、あまりにもいろいろなものが種々雑多に紹介されていて、かえって混乱した。「日経デザイン」という専門誌の過去記事を編集したものが殆どなので、正直、書籍としての深みにも欠け、満足度は低い。

 私なんぞは、これまで散々、ロジカル・シンキングとかクリティカル・シンキングとか言って論理的に思考することを長年やってきたわけだが、世の中、こうした左脳的な話だけでは、世の中上手く行かないということは、「デザイン思考」という切り口で自分の仕事や会社の事業を振り返ると、実感として腑に落ちる。

 本書はあまりお勧めできないが、「デザイン思考」についてはもう少し勉強を深めたい。




目次

第1章 なぜ、デザイン思考が求められるのか
ケーススタディ●クリナップ「クリンレディ流レールシンク」の開発
特別対談●デザイン・シンキングで新しい時代に備えよ

第2章 Q&Aで学ぶ、失敗しない実践術
キヤノンに学ぶ、デザイナーの意欲を上げるには
ソニーに学ぶ、発売に結び付く組織体制を構築するには
リクシルに学ぶ、社内外でデザイン思考の存在感を示すには
積水ハウスに学ぶ、「草の根プロジェクト」の運営法は
KDDIに学ぶ、デザイン思考プロジェクトを継続させるには
ライオンに学ぶ、生活者の声を理解するには
ファミリアに学ぶ、経営者としてどのような態度で臨むべきか
鶴屋百貨店に学ぶ、外部のクリエーターをどう選ぶか
フットマークに学ぶ、社員の創造性を高めるにはどうするか
カナエルに学ぶ、外部クリエーターの力を活かすには

座談会●デザイン・シンキングで成功する企業、失敗する企業とは

第3章 トップクリエイター10人の思考術
田川欣哉氏 60人インタビューから導いた「金のリング」
えぐちりか氏 既存の表現を徹底的に調べ、今までにないものを提案
水野学氏 独自の「~っぽい分類」で対象をイメージ
太刀川瑛弼氏 機能や使用環境、利用者像の視点で状況を分析する
清水久和氏 ITツールを使い、2次元の世界では出ないアイデアを
田中良治氏 役割を先鋭化させ、最大の効果を生み出す
田子學氏 「その場所」にしかない世界で通用する価値を
北川一成氏 「人の情動の変化」をあらゆる角度から思考
岸勇希氏 自分が理解できない死角の存在を意識せよ
吉泉聡氏 物事の「境界」を常に疑問視する

第4章 社長に聞く、デザインと経営の極意
庫や パッケージと店舗だけがデザインではない
ビーサイズ デザインとは、プロダクトの存在意義を明確にすること
ない藤 真逆を目指すと見えて来る本当の価値
スノーピーク 経営者自身が欲しいと思えるまで開発を徹底
春華堂 次代の看板商品作りに外部デザイナーを呼び込む
GLM エクステリアデザインが資金調達を支援
ヤッホーブルーイング 提供するのは商品ではなく「楽しさ」

アンケート編
経営にデザインを生かす理由は/優秀なデザイナーの基準は
デザイナーとの契約の金額や形態は/デザイナーとの仕事の進め方や付き合い方は
デザイン効果の判断基準は/デザインの適用範囲をどう捉えるか/デザイン経営の課題は
インタビュー●創造性を生かせる企業だけが勝ち残る

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軽やかで洗練された「ドン・ジョバンニ」 NHK音楽祭2017 / パーヴォ・ヤルヴィ指揮 N響

2017-09-10 08:22:46 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)
 モーツァルトの傑作オペラを、パーヴォが個性的歌手陣と実力オーケストラを使ってまとめ上げ、作品・歌手・オケの三拍子が揃った、軽やかで洗練された素晴らしい公演となりました。

 N響の演奏も室内楽的な響きを含んだ香り深いもので素晴らしかったのですが、私的には、歌手陣のレベルの高さが印象的でした。各人がそれぞれ個性が引き立っていましたが、中でもレポレッロ役のカイル・ケテルセンのドスの利いた低音と溌溂とした演技が、終始、舞台を活力を与え、テンポの良いドラマに仕立てた思います。この人、2010年にロイヤルオペラで「道楽者のなりゆき」で聴いていますが、この時も演技が素晴らしく深い感銘を受けた歌手です。もっと来日して欲しい。また、ドン・オッターヴィオ役のベルナール・リヒターのテノールの美しさが格別。濁りのない、晴朗としたテノールがNHKホールの響き渡り、聴衆も固唾をのんで聞き入ってました。更に、ラストのドン・ジョバンニと騎士長の石像との対決シーンは、背筋が凍るような迫力。

 女性陣では、2012年にイングリッシュナショナルオペラで、ホフマン物語のヒロイン4名を一人で歌い切ったのを聴いたジョージア・ジャーマンのソプラノも5年ぶり。当時の初々しさも消え、売り出し中の新進実力派という雰囲気を漂わせ、清らかで繊細なソプラノを聴かせてくれました。ドンナ・エルヴィーラ役のローレン・フェイガンも、存在感抜群な美貌ソプラノで、パーヴォ喜ばせ組の一角なんでしょうねえ。ツェルリーナの三宅理恵も、洗練された美しい歌声です。

 演奏会方式ですが、簡単な舞台設定と小道具、それに照明効果をふんだんに活用して、シンプルなプロダクションのオペラと遜色がありません。興を削がれる変てこな演出より、ずっといいです。

 終演後は凄い拍手とブラボーの嵐。今シーズンのN響の活躍とNHK音楽祭の成功を予感させる、素晴らしいこけら落しのパーフォーマンスでした。


NHK音楽祭2017
2017年9月9日(土) 開場 2:00pm  開演 3:00pm
NHKホール 

モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」全2幕(演奏会形式・字幕つき)
 

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
 
ドン・ジョヴァンニ:ヴィート・プリアンテ
騎士長:アレクサンドル・ツィムバリュク
ドンナ・アンナ:ジョージア・ジャーマン
ドン・オッターヴィオ:ベルナール・リヒター
ドンナ・エルヴィーラ:ローレン・フェイガン
レポレッロ:カイル・ケテルセン
マゼット:久保和範
ツェルリーナ:三宅理恵
 
合唱:東京オペラシンガーズ

NHK Music Festival
Saturday, September 9, 2017  3:00p.m.
NHK Hall

Mozart / "Don Giovanni", opera K.527 (concert style)

Paavo Järvi, conductor

Vito Priante, Don Giovanni
Alexander Tsymbalyuk, Il commendatore
Georgia Jarman, Donna Anna
Bernard Richter, Don Ottavio
Lauren Fagan, Donna Elvira
Kyle Ketelsen, Leporello
Kazunori Kubo, Masetto
Rie Miyake, Zerlina
 
Tokyo Opera Singers, chorus
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モルツ好きな人はもちろん、そうでない人にもお勧め プレミアムモルツ講座 @サントリー武蔵野工場

2017-09-07 07:30:00 | 旅行 日本
 ちょっと前のことだけど、サントリー武蔵野工場へ大人の社会科見学。昔からビールはモルツ派だったけど、工場見学は初めて。予約がなかなか取れないと聞いていたのだけど、当日朝に電話したら、空きがあって午後の回に入れてもらえた。

 ユーミンの歌にあるように、中央高速道脇にあるのだけど、京王線の分倍河原駅から送迎バスが出てる。


《送迎バス》

 工場見学にもいくつかのメニューがあるようだが、今回は「プレミアム・モルツ講座」。レクチャー、工場見学、試飲という3部構成で所要時間は1時間半ほど。もちろん、お目当ては、出来立てビールの試飲。

 レクチャーや工場見学も楽しめた。プレモルは各工場の地下水を利用しているとのこと。東京の水でもこんなに美味しいビールが作れるのね。


《モルツができるまでをスライドで解説》


《ここでモルツが熟成されてます》

 最後の試飲では、プレミアムモルツ、プレミアムモルツ・香るエール、ザ・プレミアムモルツの3種類のプレモルが、それぞれのプレモルの最適グラスで提供される。ビールの種類で会うグラスが違うんだ。そして、ガイドのお姉さんが、注ぎ方からビールの種類ごとに合うおつまみまで詳しく紹介してくれるのを聞きながら、飲んでみる。美味い!できたては違う。ビールはプレモルに限る!


《ビールの飲み方は奥が深い!》


《ビアホールも洒落てます》

 最後は、お土産コーナーで。地元のお菓子屋さんとコラボのクッキーや工場直送のビールセットなど。買わないわけにはいきません。きちんと、マーケティングしてますね。


《お土産コーナー》

 これお勧め企画です。
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