もともと個人的スケジュールの都合で、今回のヴェルディ〈シモン・ボッカネグラ〉の観劇は諦めていたのですが、急遽23日が空き、チケットを前々日に急ぎゲットしました。新国立オペラの初演目で、私自身も初見オペラです。
主要男性歌手陣のシモン役・ロベルト・フロンターリ、フィエスコ役・リッカルド・ザネッラート、パオロ役のシモーネ・アルベルギーニはいずれも日本で聴いていて、強い印象を残した歌手陣でもありましたし、初日の評判も上々だったようなので、期待大でした。
そして、公演は、期待通りの充実の外国人歌手によるハイレベルな歌唱を始め、東フィルの演奏、充実の合唱が揃った、穴なく満足度高いものでした。
フロンターリは題名役に相応しいバリトンで安定した歌唱でしたが、より印象的だったのはザネッラートのテノール。伸びやかで、声量もたっぷりで、うっとりでした。
紅一点と言えるアメーリア役のイリーナ・ルングは初めて聴きました。声量的には特筆する感じではありませんでしたが、美しいソプラノに加えて、舞台での振る舞いが凛として存在感を放っていました。
歌唱陣もさることながら、とても印象的だったのは、大野さんが指揮する東フィルの引き締まった演奏。弦の美しい合奏、柔らかい木管の美音、金管の咆哮。聴きごたえ満点でした。
合唱は多くの出番があるわけではありませんが、合唱の美しさにもうっとり。耳福の限りです。
演出は赤と黒を基調に、舞台上にはジェノバの地図?や島のオブジェを置いたような比較的シンプルなもの。空中から岩のようなものも釣られていましたが、4階席からは良く分かりませんでした。ただ、特に奇を衒った演出では無いので、音楽に集中することができて、演出家には申し訳ないですがグッドです。
ほぼ満員のオペラパレスからは、熱気の籠ったブラボーと大拍手。私も4階席から激しく拍手を送りました。
ヴェルディのオペラはいくつも見てきましたが、今回初めての〈シモン・ボッカネグラ〉はドラマ性も音楽的にも傑作ですね。上演少ないですが、また観たい作品です。
ジュゼッペ・ヴェルディ
シモン・ボッカネグラ<新制作>
Simon Boccanegra / Giuseppe Verdi
プロローグ付き全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
公演期間:2023年11月15日[水]~11月26日[日]
予定上演時間:約2時間50分(プロローグ・第1幕85分 休憩25分 第2・3幕60分)
Staff&Castスタッフ・キャスト
スタッフ
【指 揮】大野和士
【演 出】ピエール・オーディ
【美 術】アニッシュ・カプーア
【衣 裳】ヴォイチェフ・ジエジッツ
【照 明】ジャン・カルマン
【舞台監督】髙橋尚史
キャスト
【シモン・ボッカネグラ】ロベルト・フロンターリ
【アメーリア(マリア・ボッカネグラ)】イリーナ・ルング
【ヤコポ・フィエスコ】リッカルド・ザネッラート
【ガブリエーレ・アドルノ】ルチアーノ・ガンチ
【パオロ・アルビアーニ】シモーネ・アルベルギーニ
【ピエトロ】須藤慎吾
【隊長】村上敏明
【侍女】鈴木涼子
【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
共同制作:フィンランド国立歌劇場、テアトロ・レアル
Co-production with Finnish National Opera and Ballet, Teatro Real Madrid
New Production
Presented by New National Theatre Foundation, Japan Arts Council, Agency for Cultural Affairs, Government of Japan
Music by Giuseppe Verdi
Opera in 3 Acts with a Prologue
Sung in Italian with English and Japanese surtitles
OPERA PALACE
15 Nov - 26 Nov, 2023 ( 5 Performances )
CREATIVE TEAM
Conductor: ONO Kazushi
Production: Pierre AUDI
Set Design: Anish KAPOOR
Costume Design: Wojciech DZIEDZIC
Lighting Design: Jean KALMAN
CAST
Simon Boccanegra: Roberto FRONTALI
Amelia (Maria Boccanegra): Irina LUNGU
Jacopo Fiesco: Riccardo ZANELLATO
Gabriele Adorno: Luciano GANCI
Paolo Albiani: Simone ALBERGHINI
Pietro: SUDO Shingo
Un capitano dei balestrieri: MURAKAMI Toshiaki
Un'ancella di Amelia: SUZUKI Ryoko
Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra