その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

特別展 「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」 @東京国立博物館 表慶館

2018-05-30 07:30:00 | 美術展(2012.8~)


 全くもって失礼な言い方ですが、特別展「名作誕生-つながる日本美術」のついでに立ち寄りました。東京国立博物館には何度も言ってますが、表慶館の中に入るのは実は初めて。ドーム型の屋根を持つ特徴的な建物ですが、建物の中も凝ったつくりでした。

 本展は、サウジアラビアの長い歴史を追って、100万年以上前のアジア最初の石器や5000年前に砂漠に立てられた人形石柱から近現代の国王の遺品などが提示してあります。

 直前に鑑賞した日本美術との大きな差にただただ驚くばかり。繊細で、目を細めて鑑賞するような日本の芸術品と、スケール大きく、悪く言えば大ざっぱともいえるようなアラブの歴史的遺品との違いが衝撃的なほどです。また、紙と木の文化である日本と石の文化であるアラブの対称性も良くわかります。自然、土地、歴史が何千年にわたって形造った違いを見せつけられました。仕事でアラブ人と一緒したことはないですが、ここまで違うと一体、相互理解なんて可能なのかと思ってしまうぐらいです。




《ドーム天井の内側》


《人形石柱》


《墓碑。アラビア文字が美しい》


《カーテン》



 30分少しの滞在でしたが、とっても勉強になりました。

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「ブラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」 @国立西洋美術館

2018-05-28 07:30:00 | 美術展(2012.8~)


プラド美術館展に行く。ベラスケスの作品が7点、一挙に公開されるのが売りだ。

ベラスケスの絵画はもちろんのこと、それ以外も17世紀前半のスペイン絵画の傑作が多く展示され、見ごたえ満載だった。展示の切り口は神話、宮廷、風景、生物、宗教と言ったテーマ別だが、通して観ると、スペインの黄金期の時代の雰囲気も感じ取ることができる。

ベラスケスの中では、個人的には軍神マルスを描いた「マルス」が一番のお気に入り。およそ「神」っぽくなく、実に人間的だ。鎧を解いた姿勢、疲れ気味の表情、肌に刻まれた皺など、全体と細部の両方から、観るものにマルスは何を想っているのかを問うてくる。引き込まれるように見入ってしまう。


<ディエゴ・ベラスケス《マルス》1638年頃 マドリード、プラド美術館蔵>

ポスターにも取り上げられている「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」は爽やかな青空をバックに描かれた王子が、幼いながらも高貴さと勇敢さを兼ね備えた将来を嘱望される名君候補であることが伝わってくる(歴史的には10代後半で亡くなったとのこと)。ポスターでは絵全体の上部分が切り取られていたのだが、絵全体でみると、騎馬が随分と胴太で脚が短く描かれていたのが発見だった。下から見上げて鑑賞される前提で描かれたためと解説があり、なるほどとと納得。

ベラスケス以外でも、アンソニー・ヴァン・ダイクの作品が2つ、ティツィアーノ、ルーベンス、ロラン、ムリーニョなどの力作が揃っている。ヴァン・ダイクはイギリスでも良く見ており、好きな画家で展示は嬉しかった。ベラスケスが嬌人を描いた「バリェーカスの少年」を挟んで、ファン・バン・デル・アメンの「嬌人の肖像」とアロンソ・サンチェス・コエーリョの「王女イサベル・クララ・エウへニアとマグダレーナ・ルイス」がいずれも嬌人が描かれているのは、宮廷の様子が伺われる。

ゴールデンウイークの休日の谷間に訪れたが、比較的空いていてゆっくり見れたのは嬉しかった。昨日(5月27日)までだったが一見の価値ある企画展なので、見逃した人は神戸に行くべし。




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特別展「名作誕生-つながる日本美術」 @東京国立博物館

2018-05-26 07:36:52 | 美術展(2012.8~)


 展示品のレベルの高く、構成もよく練られた興味深い日本美術展でした。「美の家系図を見るようです」というコピーで宣伝していましたが、奈良時代から現代に至るまで、日本美術の流れ、共通する趣き、変化の過程が楽しめます。

 個人的に印象的だったのは3点。

 一つは、会場に入って仏像通りとでも呼べるぐらい、左右に立ち並ぶ様々な仏像。仏教伝来とともに中国からやってきた仏師たちが、石を削って仏像にするつもりが、日本には良い石が見つからなかったので、木で彫り始めたのが日本の木造仏像の始まりとのことでした。気品あふれる木造仏像に打たれます。

 二点目は、今年3月に「俵屋宗達」の小説を読んで、宗達の作品を見たいものだと思っていたのですが、図らずも宗達の絵に遭遇できました。奇抜なデザイン、発想と繊細な絵柄が印象的でした。

 三つは菱川師宣の「見返り美人図」。実物を見るのは初めてで、作品全体から発せられる色気、香りに見惚れます。


《菱川師宣「見返り美人図》

 国宝・重要文化財含めて約130点が展示されてますが、どの作品にも日本人の繊細な感性が表れており、見応えたっぷりです。


2018年4月13日(金) ~5月27日(日) 

【構成】
第1章 祈りをつなぐ
第2章 巨匠のつながり(雪舟、宗達、若冲)
第3章 古典文学につながる(伊勢物語、源氏物語)
第4章 つながるモチーフ/イメージ(山水、花鳥、人物、古今)


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第79回優秀牝馬(オークス) @東京競馬場

2018-05-24 07:30:00 | 日記 (2012.8~)


 この季節の競馬観戦は本当に気持ちいいです。翌週のダービーは混みすぎるので、昨年と同様オークスへ。ビール片手に、少々の馬券を購入してメインレース含めて4レースほど観戦しました。
 

《オークスのスタート!》


《直線》

 一番人気ダイヤモンドアイ強すぎ・・・。敢えて一番人気を外して買った馬券はすべて紙くずと相成りました。


《残り200m切ってます》


《オークス レディース。影の中の写真になってしまっているのがとっても残念。》


《抜けるような青空でした》

2018年5月20日

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N響 5月定期Cプロ/ 指揮:パーヴォ・ヤルヴィ/ ブルックナー 交響曲第1番ほか

2018-05-23 22:06:32 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)
 午前中に仲間と駅伝大会に出場による疲労で、集中力を欠き、全くダメダメ。残念。

第1886回 定期公演 Cプログラム
2018年5月19日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

トルミス/序曲 第2番(1959)
ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲 第2番 ヘ長調 作品102
ブルックナー/交響曲 第1番 ハ短調(1866年リンツ稿/ノヴァーク版)

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ピアノ:アレクサンドル・トラーゼ

No.1886 Subscription (Program C)
Saturday, May 19, 2018 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall Access Seating chart

Tormis / Overture No.2 (1959)
Shostakovich / Piano Concerto No.2 F major op.102
Bruckner / Symphony No.1 c minor (1866 Linz Version / Ed. by Nowak)

Paavo Järvi, conductor
Alexander Toradze, piano

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広島・呉旅行(最終回):他にも見所一杯だった広島

2018-05-21 07:30:00 | 旅行 日本
 これまでご紹介した以外にも、広島にはいくつも見どころ、食べ処がありました。

【広島城】
 早朝観光ジョギングで広島城を訪れました。


≪二の丸≫


≪本丸:毛利輝元が築城し、福島正則も入ったことがある広島城は風格があります≫


≪日清戦争時代には大本営となった広島鎮台司令部あと≫

【旧日本銀行 広島支店】
 現存する被爆建物の一つであり、広島市指定重要文化財です。被ばくで周囲の建物が破壊された中、さすがに日銀の建物は無事だったようです。


≪建物入口≫


≪被爆後の当時の様子≫


≪中は色んなイベントや催し物に使われています。地下には金庫があります≫




【頼山陽史跡記念館】
 かなりマニアックですが、広島には江戸時代後期の歴史家、思想家、漢詩人、文人である頼山陽の記念館があります。日本史が受験科目だった人は、頼山陽・『日本外史』でセットですね。「山陽の親である頼春水・頼梅颸夫妻ら頼家が暮らした旧居を、1935年(昭和10年)に「山陽記念館」として整備し開館、老朽化に伴い改築し1995年(平成7年)「頼山陽史跡資料館」として再開館」(Wikiより引用)したものです。
 

≪記念館入り口≫




≪頼山陽の「日本外史」など所縁の品が展示してあります。昔の人は字が上手いです≫


【食べ物・呑みもの編:広島はお好み焼きだけではありません】

≪広島市中区流川の和食・日本料理・日本酒の料理屋 石まつ三代目》


≪料理もお酒もおいしかったです。写真は広島の地酒セット≫


≪広島と言えば穴子丼らしいのですが、お店には入らずデパ地下で購入しホテルで≫


≪東京では見たことない〈ガリガリ君瀬戸内レモンスカッシュ〉≫

 想定以上の大都市かつ観光都市であった広島。久しぶりの観光旅行らしい観光旅行を堪能した2018年ゴールデンウイークでした。

(おわり)

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広島・呉旅行(5):「この世界の片隅に」の街、呉

2018-05-19 08:00:00 | 旅行 日本

《「この世界の片隅に」ロケ地マップ。呉の観光案内場でもらいました》

 広島からの遠足は、大和ミュージアムだけでは、呉にするか酒蔵の町 西条にするかを相当迷ったと思うのですが、映画「この世界の片隅に」ロケ地巡礼したさに迷わず呉になりました。海軍ゆかりにスポットを回った後は、呉駅隣接の観光案内所で貰ったロケ地マップを見ながら呉市を散策。時間の関係で、とてもすべてをめぐることはできませんでしたが、訪れたいくつかのスポットをご紹介します。

 大和ミュージアムから徒歩20分弱で、マップには記載はありませんが、すずと姪っ子の晴美ちゃんが、米軍の落した時限爆弾に遭遇してしまうところであろうとされている通りからの風景です。観光ガイドにも「歴史の見える丘」として載っているエリアです。旧呉鎮守府庁舎(現海上自衛隊呉地方総監部庁舎)も見えます。


《船のドックはいかにも造船の町、呉》


《奥の山々も映画にしっかり描かれてましたね》

 入船山の旧呉鎮守府官舎の近くに、すずが義父のお見舞いのために行った病院に上る階段が残っています。これは映画そのままでした。


《階段を上ると本当に大きな病院があってびっくり》

 この道を歩いて病院に行ったはず。今は博物館通りとなり、彫刻が置かれ落ち着いた文化の香りが漂う通りです。



 すずが周作が出てくるのを待っていた下士官兵集会所(左の建物)。海上自衛隊 呉集会所として活用されているという情報もありましたが、もうすでに空きビルになってました。



 映画では百貨店や映画館・娯楽施設が並ぶメインストリートだったはずの中通りや本通りは商業エリアとしては、ずいぶん寂しい感じになってました。地図では映画のランドマークがあった場所が記されていますが、今やもうその面影はありませんでした。


《中通り。連休中というのにシャッター街の趣》

 すずが周作と語り合う小春橋。きっと建て替えられたのか、正直、今現在は全く趣ない橋です。


 奥に灰ヶ峰も見えます。

 本当は、すずが住んでいた高台のエリアに行ってみたかったけど、時間の関係もあり断念。マップも住宅街のため立ち入りはご遠慮をとのことでした。

 3時間ほどの散策でしたが、映画を思い起こし、当時を偲びながら、散策するのは、今は違う姿になっているとはいえ、想像力が掻き立てられワクワクします。もう一度、映画も見直してみたいです。



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広島・呉旅行(4):海軍の街、呉を訪れる

2018-05-17 07:30:00 | 旅行 日本

《潜水艦あきしお。大きい!》

 3日目は、呉へ遠足。目的は二つ。一つは呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)の見学。もうひとつは映画「この世界の片隅に」のロケ地訪問です。呉は広島駅から快速に乗って30分ちょっとで到着します。途中、車窓から瀬戸内海が見えて、関東の太平洋岸の風景とは違った長閑な風景が楽しめます。

 到着後はさっそく、呉市海事歴史科学館へ。この博物館は「呉が建造した戦艦大和を通して、呉の歴史・呉の技術、そして平和の大切さを一人でも多くの人に伝える事を目的として建設された」もので、「大和ミュージアム」という愛称がついています(博物館ホームページ)。


《戦艦大和の実物の模型》

 人それぞれ興味があるところは違うと思いますが、私は1階の「呉の歴史」、「呉の歴史 戦艦「大和」」が面白かった。まさに呉の歴史は海軍の歴史であり、すなわち日本の近現代史であることが良くわかります。また、戦艦大和については、その歴史的位置づけはセンシティブですが、この艦に託された多くの人の思いが伝わってきます。


《年代を追って呉、海軍、日本の近現代史を追います》


《軍艦も石炭で動いてたんですね》


《ゼロ戦の実物展示もあります》

 丁度、「企画展 戦艦「長門」と日本海軍」という企画展が開催中で、こちらは志半ばで沈んだ大和と違い、長く連合艦隊の旗艦を務めた百戦練磨の軍艦です。まさに、日本海軍とともに歩んだ艦と言っても過言ではないでしょう。



 大和ミュージアムに続いては、道路挟んで向かいにある海上自衛隊呉資料館 てつのくじら館へ。ここでは、海上自衛隊の歩みや掃海艇の活躍、潜水艦の活躍が紹介されています。面白いのは、実物の潜水艦あきしおの中を見学できること。中は想像よりは広いものではありましたが、それでもこの中で長く業務に就くのはつらいでしょうね。




《名物?あきしおカレー。11:45には完売となりました》

 更に、15分ほど歩いて呉鎮守府司令長官官舎がある入船山記念館へ。






《重要文化財に指定されてい司令長官官舎》


《公用としての洋館部分と私邸部分の和館部に分かれています》


《敷地には東郷平八郎が住んでいた家の離れが移転されてます》

 海軍と歩んだ呉の歴史が体感できます。

(つづく)

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N響 5月Aプロ パーヴォ・ヤルヴィ指揮/シベリウス 交響詩「4つの伝説」ほか

2018-05-15 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 今年2月に続いてのパーヴォさんの登場です。ベートヴェンのヴァイオリン協奏曲にシベリウスの「4つの伝説」という魅力的プログラムに加え、ソリストにはテツラフさんを迎えるという超強力布陣です。会場の入りは8割程度だったでしょうか、この内容で満員にならないのは少し残念。

 そのテツラフさん、何度も来日してますが、お見受けするたびに風貌もワイルドになってますが、演奏も進化しているように聴こえました。鋭さあふれる演奏で、聴衆の耳を刺すような演奏です。一方で、弱音部分は巨艦NHKホールの中で、聴衆の皆さんが耳をそばだてて聴くほど。カンデンツァ部分はベートーヴェン自身は残していないとのことで、ティンパニを使ってテツラフさんが編曲したものをご披露頂きました。

 N響の演奏は、先月のブロム翁とマリア・ジョアン・ピレシュのベートーヴェンピアノ協奏曲の時の包み込むような柔らかな演奏とは全く異なり、切れがあって緊張感を感じるものでした。テツラフさんのヴァイオリンと絶妙にマッチしており、非常にレベルの高い共演でした。

 後半はシベリウスの「4つの伝説」。この交響詩は、学生時代にフィラデルフィア管弦楽団を現地で聞いて以来、個人的に大好きかつ思い出ある曲です。N響では2014年2月に尾高さんが取り上げてくれましたが、今回はパーヴォさんがどう聞かせてくれるのか楽しみにしてました。

 ダイナミックかつドラマティックな素晴らしい演奏でした。第1曲目の「レンミンケイネンと乙女たち」は私が聴き慣れていたものよりも随分とスピードが速く聞こえたのが意外でしたが、パーヴォさんとN響メンバーの気持ちが入った演奏にガンガンに引き込まれました。第2曲の「トゥオネラの白鳥」は、イングリッシュ・ホルンの清明さと情感を併せ持ったソロが素晴らしい。そして、第3曲「トゥオネラのレンミンケイネン」、最終曲「レンミンケイネンの帰郷」 もN響のアンサンブル力がフルに発揮された、名演でした。

 パーヴォ・N響のコンビによるシベリウスは、交響曲2番とヴァイオリン協奏曲を聞いて来ましたが、畳み掛けるような独特のリズムとクリアな音が共通にある気がします。最もこれはシベリウスの特徴なのか、パーヴォさんの特徴なのかは、私にはよくわかりませんが・・・

 当然ながら終演後は凄い拍手。いつ名演を聞かせてくれるパーヴォ/N響コンビですが、今回はその中でも有数のものだったと確信しました。満足感いっぱいで、嵐のような強雨の中、帰途につきました。来週末も楽しみです。






第1885回 定期公演 Aプログラム
2018年5月13日(日) 3:00pm
NHKホール

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
シベリウス/交響詩「4つの伝説」作品22 ―「レンミンケイネンと乙女たち」「トゥオネラの白鳥」「トゥオネラのレンミンケイネン」「レンミンケイネンの帰郷」



No.1885 Subscription (Program A)
Sunday, May 13, 2018 3:00p.m.
NHK Hall

Paavo Järvi, conductor
Christian Tetzlaff, violin

Beethoven / Violin Concerto D major op.61
Sibelius / “Four Legends”, sym. poem op.22 - “Lemminkäinen and the Maidens of Saari” “The Swan of Tuonela” “Lemminkäinen in Tuonela” “The Return of Lemminkäinen”

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広島・呉旅行(3):あやうくお好み焼き難民!

2018-05-13 07:30:00 | 旅行 日本


 今回の旅行のお目当ての一つは、広島で本場広島風お好み焼きを食すること。これが危うく幻に終わるところでした。

 当然、ガイドブックやネットでお勧め店はチェックして出かけたのですが、どの店も凄い行列。お好み焼き屋さんが集まるお好み村も訪ねたのですが、ここも台北の屋台村を思い出させる熱気と人の洪水。完全に広島お好み焼きを舐めていた自分を反省。


《凄くないですか~》



 お好み焼き屋さんで予約はないし、かといって若き日からデートのディズニーランドでさえ1時間待ちに耐えれない私なので、立って1時間待ちはとても無理。危うくせっかくの広島でお好み焼きは断念なのか~、と思うまでに追い込まれました。

 思案の結果、広島お好み焼の元祖であるみっちゃん総本店の中の、デパートそごうに入っている「雅」に。ここは整理券が発券され、順番待ちするシステム(GW以外は予約も受け付けれてくれるらしい)。そごうでお土産買い物しながら待っても良いし、店の入り口付近には20~30名は座れるぐらいの椅子が用意されているので、座って待つこともできます。順番が近づいたらスマフォにメール連絡が来るので、順番を逃すこともありません。有名店みっちゃん総本店の支店とは言え、広島に来てデパートのお好み焼き屋と言うのはちょっと軟弱かなあ~とは思いましたが、背に腹は代えられず整理券を受け取って、待つこととしました。


《お好み焼き屋さんらしからぬお店の入口》

 待つこと1時間半!やっと入場。でも待つだけのことはあった!カウンター席で料理人さんたちの見事な捌きに魅せられながら、出てきたお好み焼きは、これぞ待ち人来る。私がたまに下北沢で食す広島風よりも、値段は一ランク安価なのに、サイズは一回り大きい。

 驚いたのはお好み焼きに入るソバが、生めんがその場で茹でられていたこと。茹でたての中華そばが鉄板でジューと焼きそばに。そのパリパリに焼かれたソバとキャベツが一杯で、かつ中身はふっくら。芸術品ですね。今まで食べたお好み焼きの中では一番と断言できます!



 大満足で店を後にしましたが、せっかくだから帰る前にはもう一店どこかで食べたい。こちらも思案のあげく、翌日、広島駅の駅ビルに入っている「麗ちゃん」でテイクアウトにて、帰りの新幹線で頂きました。カウンターで食べれなかったのは残念ですが、薄味で素材のうま味が引き出されるお好み焼きが美味でした。


《ここがお店》



 広島の広島風お好み焼き、最高です!

(つづく)
コメント (2)
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広島・呉旅行(2):世界遺産・厳島神社を訪問

2018-05-11 07:30:00 | 旅行 日本
 2日目は今回のハイライトの一つでもある世界遺産・厳島神社を訪問。市内からの行き方は、JRや高速船など幾つかあるようですが、もっともチープな市電一日券(フェリー乗車券付)を買って市電で宮島口まで行くルートを選択。宮島口まで1時間弱かかりますが、市電のスピードは人体に優しいので、疲れませんね。


《市電の先頭座席に座って》

 8時過ぎには市電に乗ったので、宮島口には9時半前に到着。フェリーからあの大鳥居が見えてくると、何故か興奮してきます。朝日を受けてブルーに輝く海に浮かぶ朱色の大鳥居。絵になります。中学生時代、吉川英治の「新平家物語」を貪り読んだ記憶がよみがえり、これがあの清盛が建てた極楽の世界と思うと、感慨もひとしおです。


《海の青と鳥居の朱色のコントラストが美しい》

 観光客が増えないうちにと言うことで、そそすかと神社に向かいました。拝観料も300円と京都・奈良に比べると随分財布に優しい。満潮が11時40分ということでしたので、まだ神社は陸の上ですが、徐々に潮が満ちてくるのが分かります。社殿の中はどこを向いてもシャッターを切りたくなるフレームばかり。ここの平舞台での雅楽も一度見てみたいものです。


《近くで見る大鳥居は実に神々しい》


《潮が少しづつ迫ってきます》


《社殿を進みます》


《平舞台を望む》






《反橋》




 社殿の後は西松原を散歩し、宝物館へ。レプリカではありますが、平家納経が見られるんです。先日読了した、俵屋宗達を描いた小説「風神雷神」の中でも、宗達が平家納経の補修事業に参加したエピソードが描かれていて、一度見てみたいと思っていたのでした。展示はお経部分なので絵は見えませんでしたが、その美しさに十分満足。(平家納経以外は私的にはあまり刺さるものはなし)

 続いて、できたての紅葉まんじゅうを頬張りながら、豊国神社へ。もともとは1587年に、豊臣秀吉が毎月一度千部経を読誦するために安国寺恵瓊に建立を命じた大経堂とのことです。畳857枚分の広さ(なので千畳閣と呼ばれてます)ということでとにかく広い。厳島神社の裏の台地に建っているので、眺望もよく、ちょっと座って歩き疲れた足を休めるのにはちょうど良かったです。


《奉納品が掛けてありそれを観るのも面白い》


《真下に厳島神社社殿》

 観光コースとしては、この後、宮島ロープウエイに乗って弥山までのぼり瀬戸内海を展望するのがフルコースのようですが、疲れも出てきたので今回はパス。参道でショッピングして帰路に就くことにしました。

 が、世界遺産の観光地を舐めてました。既にお昼を1時間近く廻った参道は、朝の新宿駅のようなラッシュアワー並みの凄いありさま。昼食に名物穴子飯と思ってましたが、とても食事やショッピングと言うパワーが無く、脱出するのが精いっぱい。ぐったり疲れて、帰りの路面電車は爆睡して市内に戻ってきました。


《凄い人出で前に進むのが大変》

 今回は日帰りの半日強の観光でしたが、次回は宿泊して、人の少ない朝と夜を満喫したいですね。前日の平和公園も然りでしたが、この手の観光地で人が少ない時間ほど素晴らしいものはないと思います。きっと、静かで厳かな雰囲気が味わえるのだろうと想像します。これは次の楽しみにとっておきます。 

(続く)

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広島・呉旅行(1):平和を祈る

2018-05-09 07:30:00 | 旅行 日本

≪新幹線の車窓から見るマツダスタジアム≫

昨年、GWに計画していた広島旅行は諸事情でキャンセルせざる得なかったので、今年こそはという強い思いをもって実現にこぎつけました。広島は過去に出張で半日滞在したことがありますが、空港と会議室の往復だけだったので、実質、初めてです。途中、新幹線沿いの火事(のぞみの窓越しですが、線路高架のすぐ脇で家が燃えてました)の影響で、定刻より20分ほど遅れて、昼下がりに到着。

ホテルに荷物を置いて、まずは「平和」祈念ということで、原爆ドーム、広島平和記念公園のエリアを散策しました。眩しいぐらい太陽が輝く好天だったのに加えて、フラワーフェスティバルというお祭りが開催されていて、凄い人出と賑わいでした。街の所々にステージが設置され、ミニコンサートやダンスやらの出し物が披露され、町中が浮ついた雰囲気満載。


≪原爆ドーム≫

なので、原爆ドームも、観光客が勝手に思い描いた厳粛な「平和祈念」などという想像とは程遠い雰囲気ではありました。観光客はピース・サインで記念撮影をしているし、地元の人たちは、祭りの出店で買った生ビール飲んだり、アイスクリームを舐めたりしながら歩いていきます。でも、これが活きた街の日常なのでしょうね。地元の人だって、年がら年中、追悼したり、平和を祈念しているわけではないし、カーブの勝利に酔い、お祭りでは大騒ぎするわけです。


≪平和の鐘≫


≪原爆の子の像≫

リニューアル中で見学エリアが制限されている広島平和記念資料館も凄い人出で、落ち着いて原爆について振り返るという空気ではありませんでした。ただ、当時の写真パネルや遺留品を見ながら、一つ強烈に感じたのは、今まさに国際政治の中で議論されている北朝鮮やイランの核を巡るパワーゲームの議論と70年以上前に実利用された原爆の被害の悲惨さとのギャップ。現実に核兵器を持ち、利用する力を持つということが、一人一人の人間にどのような影響を与えるのかが、どこまで考えられているのか。リアリティの重みに押しつぶされそうな気持になります。


≪東京の美術展並みの混雑≫

資料館を見学した後は、同じ公園内にある国立広島原爆死没者追悼平和祈念館を訪れました。こちらは一転、訪れる人も少なく、落ち着いた雰囲気で、追悼や平和祈念の気持ちになれる場所です。丁度、「星は見ている―全滅した広島一中一年生父母の手記集」という企画展が開催中で、多くの犠牲者が出た広島一中の生徒の遺族の手記を紹介したビデオが流されていました。


≪祈念館入口≫


≪平和祈念・死没者追悼空間≫

私としては、平和記念公園への訪問は朝か夜をお勧めします。朝のジョギング、夜の散歩でも訪れましたが、落ち着いた公園の佇まいの良さを感じ、平和と自分に向き合う時間・空間に身を置くには、この時間帯がベストです。


≪早朝の原爆死没者慰霊碑≫


≪夜の原爆ドーム≫




≪資料館前の広場≫

(つづく)

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緑あふれる皇居外周ランニング(2018 GWの谷間)

2018-05-07 07:00:00 | 日記 (2012.8~)
 連休中日の5月1日。仕事は早めに切り上げて、緑あふれる皇居外周を夕刻にジョギング。


《半蔵門から日比谷・東京駅方面を望む》


《桜田門》


《GW期間中の平日のためか、ランナーもまばらでした》


《夕陽が美しい》

外周道路を2周して気持ちよい汗かいて帰宅。GWならではでした。

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山中湖ランニング風景 (2018年GW前半)

2018-05-05 07:00:00 | 旅行 日本
連休前半は山中湖へ静養に。

どうせ中央自動車道は渋滞なので、道志道経由でのんびりと。


(道志の道の駅にて)

到着後、早速湖畔を一周ジョギング。ここも例年より新緑が随分早い!





翌日も朝から湖畔ジョギング。朝の6時前から走り始めましたが平野地区は霧で神秘的。





ようやく霧が晴れました。絵葉書のような富士山です。



朝日を浴びて漁に勤しむ漁師さん。



山中湖でのランニングはいつも心身をリフレッシュしてくれます。

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演劇 『1984』 @新国立劇場 小劇場

2018-05-02 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 「赤道の下のマクベス」に次いで、新国立劇場の演劇作品は超ヘビー級が続く。重い荷物を引きずりながら歩く様な思いで、劇場を後にした。

 ジョージ・オーウェルの小説『1984』をベースにしつつも、西暦2050年以降の世界を「現在」に置いて、そこから「1984年」の世界に入っていくという仕掛けが、単なる『1984』の舞台化とは一線を画している。

 小説『1984』は読んで久しいが、『1984』にインスパイアされて作られたテリー・ギリアム監督の映画『未来世紀ブラジル』は何度も見てきた。本劇で描かれた全体主義の管理社会は『未来世紀ブラジル』と同様だが、『未来世紀ブラジル』のブラックユーモアすらも無く、シリアスで緊張感溢れる展開、演出に背筋が凍りついた。

 何しろ、今の日本との類似性が怖い。公文書が改ざんされ、事実が抹殺される。歴史は書き換えられ、権力者が望む答えを忖度することが求められる。小説『1984』を読んだ学生時代は、ソ連や中国とのアナロジーを見て、自由主義の国に生まれた自分の幸運を単純に喜んだが、この数十年で何が日本を変えてしまったのか?

 映像・照明を駆使して、舞台が拡張される。観るものに、想像力を駆使させて世界を脳内で再構成させる。表現力豊かな演出に感心させられた。

 ウインストン役井上芳雄の熱演が光った。オブライエン役の大杉漣の演技を楽しみにしていたので、その急逝は実に残念だったが、代役となった神農直隆は大杉漣が乗移ったかのような演技で舞台を引き締めた。ウインストンの恋人ジュリアのともさかりえも好感度高い。

 この重さからは当分逃れられそうもない。 
 

スタッフ
原作:ジョージ・オーウェル
脚本:ロバート・アイク
ダンカン・マクミラン
翻訳:平川大作
演出:小川絵梨子

(翻訳)
平川大作

(演出)
小川絵梨子

美術:二村周作
照明:佐藤 啓
音響:加藤 温
映像:栗山聡之
衣裳:髙木阿友子
ヘアメイク;川端富生
演出助手:渡邊千穂
舞台監督:澁谷壽久

キャスト
井上芳雄 ともさかりえ 森下能幸 宮地雅子 山口翔悟 神農直隆 武子太郎 曽我部洋士 堀元宗一朗
青沼くるみ 下澤実礼 本多明鈴日

Staff
Original George ORWELL
Adapted Robert ICKE and Duncan MACMILLAN
Translated HIRAKAWA Daisaku
Directed OGAWA Eriko

Cast
INOUE Yoshio
TOMOSAKA Rie
MORISHITA Yoshiyuki
MIYAJI Masako
YAMAGUCHI Shogo
KAMINO Naotaka
TAKESHI Taro
SOGABE Hiroshi
AONUMA Kurumi
SHIMOZAWA Mirei
HONDA Arisu

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