その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

2010 ウインブルドン テニス観戦記 その1 キュー

2010-06-30 22:45:38 | ロンドン日記(イベント、観光、スポーツ)
※冒頭写真は6月28日版Times紙より拝借

 先週土曜日、初めてウインブルドンへテニス(正式名は、「全英ローンテニス選手権大会」)を見に行った。これもロンドンに居るからには、一度は行ってみたいと思っていたイベントである。

 チケットを持っているわけではない。当日券を求めて並ぶのである。

 会社の同僚5名で、ウインブルドン駅に朝の6時15分集合。同僚の一人の昨年の反省に基づいた時間設定だ。彼は、昨年、9時頃会場に着いたら、結局、入場できたのは午後4時だったという。6時の集合で、果たして何時に入場できるのだろうか?(自宅を出たのは、4時50分。ナイトバスと地下鉄を乗り継いでの到着である)

 同僚の一人が、ナイトバスのハプニング(良くある、来る筈のバスが来なかったという類のもの)で集合時間を20分近く遅れてウインブルドン駅を出発。遅れを取り戻すべく、タクシーに乗って、当日券購入者の待合場所へ急行。7時ごろ到着。

 待合場所は、サッカーグラウンドが3-4面分はあるかと思われる広場だった。開門10時半、各コートでの試合開始は12時からなのだが、この待機広場についた時には、既に広場一杯に人が並んでいた。そして、ぼんやり見ている間に、どんどん行列が伸びていく。「集合の20分遅れが、入場の何時間の待ちに匹敵したか!?」とケチな考えか、一瞬頭をよぎったが、もう、何を言ってもしょうがない。並ぶしかないのである。


 「これが、ウインブルドン名物のキュー(行列)か~。」と驚くやら、あきれるやら。急いで、行列の最後尾を探し出し、並ぶ。直ぐに、係のお姉さんが整理券を配りに来てくれた。整理番号は、なんと6070番台。人生、そこそこ歳を重ねてきたが、6000人の行列に並ぶのは、初めてである。「6070番目の私は、一体、何時に入場できるのだろうか?」と一瞬自問する。到達点の見えない待ちは、なんとも不安だ。

(キューの最後尾を表す目印)


(キュー・カード(整理券))


 救いは、一人でないことだ。同僚たちと、持参した花見用のビニールシートをひいて、腰を落ち着けることにした。あっという間に、我々の後ろにも長々と行列がどんどん延びていく。周りは、おしゃべりに花を咲かせる人、横になって寝ている人、本を読む人、思い思いに時間を潰している。並んで、待つこと自体を楽しんでいるようにも見える。もちろん、横入りしたりするような人もいない。この風景はなんともイギリス的だ。美点と言えるかどうかはわからないが、行列を楽しむことにかけてはイギリス人にかなう国民はいないだろう。


(「日焼けしますよ」)


 並んでいる間に、係のおねいさんがガイドブックを無料で配っていた。「時間はたっぷりあるから、その間に、選手の経歴でも眺めているか」と思って、手に取ってみたら愕然とした。タイトルは ”A GUIDE TO QUEUEING FOR THE CHAMPIONSHIPS” (選手権観戦のための行列案内)。並び方、快適な過ごし方、チケットの購入方法などなど、並ぶためのガイドブックなのである。「ここまでやるか~。負けました。」


 我々も覚悟を決めて、おしゃべりに花を咲かせる。ただ1時間半も話すと、ネタも段々途切れてくる。今度は気の効いた同僚が持参したカードゲームに移行。これがとても面白く、あっという間に11時近くまで時間が経過した。しかし、それにしても天気がいい。というか、良すぎる。陽射しがまぶしく、気温がどんどん上がっていくのが分かる。

 10時半の開門時間を皮切りに、段々と徐々に行列が動き始めた。「この動きが止まらないでくれ~」と天にも祈る気持ちと言うのは、こういう心理状態を言うのだろう。係のおばさんが、「8000番ぐらいまでは12時までには入れるのでは?」と見込みを教えてくれた。


 その言葉通りに、12時ちょい前にセキュリティゲートでセキュリティチェックを受け、やっとの思いで切符売り場にたどり着く。チケット(£20)を買う。いよいよ、テニスの聖地、ウインブルドンへ入場である。


(念願のチケット)


 2010年6月26日 行列

(つづく)

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とある職場の風景 祭り終わる

2010-06-29 23:47:07 | ロンドン日記 (日常)
 JAPAN残念でした。(写真はYAHOO NEWSより)

 ワールドカップ3回目となる大会議室を開放しての社内観戦。日本人社員を中心に20名を超えるスタッフで、TV会議用のスクリーンに大写しになったJAPANを激しく応援。

 正直、パラグアイもミスが多く、決定力に欠けるチームに見えたので、勝機はあったと思う。PKに持ち込んだ時点で、益々、勝機は高まったかとも思った。しかし、勝利の女神は微笑まなかった。

 まあ、PKは時の運だから、結果はしょうがないと思う。第3キッカーとして、駒野が蹴ると分かった時、「駒野で大丈夫か〜」というサッカー通の同僚による、悲鳴とも野次ともつかぬ、不吉な予言があったのだが、それが見事に当たってしまった。

 敗戦が確定し呆然とする、私を含めた日本人社員たち。駐在員も居れば、こちらに生活の基盤を移している日本人現地スタッフも居る。生まれ故郷、日本から離れて、JAPANを応援する者には、日本で日本チームを応援するのとは、また異なった不思議な感覚、共同意識のようなものがあったような気がする。プロ化した最近の高校野球にはもう無くなったかもしれないが、一昔前、上京した人が、甲子園の故郷チームを応援する感覚に似ているのかもしれない。そんな、短い夢を見、共同意識を持たせてくれた、今回のJAPANの健闘に、心から賛辞を送り、感謝したいと思った。

 さあ、Back to workだ。

 2010年6月29日
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とある職場の風景 敗戦翌日、営業会議にて

2010-06-29 00:24:30 | ロンドン日記 (日常)
 朝のニュースは昨日の敗戦の話題で持ちきり。30分のBBCのニュースの10分は使っていたのではないか。監督批判がすごい。ついこの間まで、「彼が失敗することはなかった」と全幅の信頼を置いていたように見えたイギリスメディアだったのに。逆の現象が起こっているであろう日本と併せて、メディアに節操がないのは、洋の東西を問わないことが良く分かる。Times紙によると"It is the English custome at these times to seek someone blame." ということらしい。

 全く逆なのが、今朝の職場。誰もサッカーの話をするスタッフはいない。めちゃくちゃ不自然で、敢えてこの話題を避けているのが見え見え。もちろん、空気を読むのが得意なわれら日本人スタッフも、状況を察し、黙って、黙々と業務を開始。

 しかし、隔週月曜日定例会議(欧州内5カ国をテレビ会議でつなげて、各国から1週間の営業状況について報告するミーティング)の最後で、司会者が、お決まりの一言、"Any other business?" (その他、何かありますか?)と聞いた時に、ハプニングが起こった。

 オランダの会議室から、営業マネジャーが「結局、昨日は何対何だったの?」との一言。

 一瞬、「こいつ、何を言い出したのか?」と私は思ったが、直ぐに気が付いた。彼は、オランダで働いているが、アイルランド人である。アイルランドが、今回のワールドカップには参加できなかった国であること、そして、アイルランドが参加できなかったのは予選の際にフランスのアンリのハンドを見逃した「世紀の大誤審」(参考記事はこちら→)のためであるということは、この会議に出ている欧州人なら皆知っている(ハズ)。だから、彼のこの発言は、彼なりの境遇と配慮の中から生まれた、彼しか言えない、もの凄いハイレベルなジョークなのである。

 しかし、この彼のハイレベルのジョークは、ビデオを通じたロンドン会場には全く通じなかった。一瞬、こちらの会議室は完全に凍りついてしまった。しばらく沈黙。そして、一言「4-1だろ」と、私の向かいに座った、普段お茶らけたイギリス人が、全く彼らしからぬ、直球ど真ん中の答えを返す。ロンドン会議室の雰囲気は、沈む一方。

 この空気を察してか、ネットの向こう側のドイツ拠点のドイツ人スタッフが、「昨日は4-2だよ。66年もあったしね」と、これまた、気を遣っているのか、逆なでしているのか、意図の全く分からないコメントで、更に気まずさが倍増。

 どうなることかと思ったが、ロンドン側に居る司会者が「明日は、日本戦。皆で日本を応援しましょう。」で締めくくった。凍った空気が、少し和んで、会議は終わりとなった。

 ふぅ〜。疲れる。

 ※この話を別の日本人スタッフに紹介したところ、 「アイルランド人の発言は、同じ目にあったイングランド、ザマミロ!ともとれないか?」という分析が返ってきた。なかなか鋭いかも。

(今朝のTimes紙)



 2010年6月28日
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とあるパブの風景 イングランド敗退

2010-06-28 07:00:57 | ロンドン日記 (日常)
 イングランド残念でした。今日は所用で朝から外出。試合開始迄に家近くのパブに帰れなくなってしまったので、途中下車し外出先の見知らぬパブで観戦することになりました。中の人たちが、いつものパブより随分ワイルドな雰囲気だったので少し引きましたが、ビールは安かったです。

 ご存知の通りイングランドの完敗。前半一点取り返した直後の「幻のゴール」の際はパブ中歓喜の叫び声が上がりましたが、十秒もしないうちに悲鳴と怒号に変わりました。テレビも何回もリプレイするもんだから、怒りのボルテージが上がる一方。あの一点が入っていれば、多少その後の展開も違ったかもしれませんが、正直、今日は完敗を認めざる得ないでしょう。後半は追加点を入れられた時点で、もう完全諦めモードに。途中で帰ってしまう人も。

 職場の活力、イギリス経済へのプラス効果、また何より自分の楽しみのためにもイングランド代表には、もう少し頑張って欲しかったが、しょうがない。これからは弊社の欧州拠点があるスペイン、ドイツ、オランダを応援しよう。そしてまだ日本が残っている。火曜日は頑張ってほしい。



 2010年6月27日


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ロイヤル・オペラ・ハウス 『マノン』

2010-06-27 06:50:48 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 私にとってのアンナ・ネトレプコ嬢初体験でした。
 
 さすが、現代オペラ界のス―パスター。貫禄がすごかったです。登場するだけ、舞台にいるだけでステージが輝いて見えます。こういう人をスターというのだと、嫌が応でも認めざる得ない存在感があります。歌唱における声量のスケール、高音の伸びは、拙い私のオペラ鑑賞の中ではまちがいなく一番でした。彼女の声は、劇場の隅々まで響き渡るだけでなく、反響までしているように聞えます。マノンの役柄も美しい本人とイメージも重なって、はまり役でもありました。

 しかし、この日驚いたのは、ネトレプコだけではありませんでした。相手であるデ・グリュー役のヴィットリオ・グリゴーロ(Vittorio Grigolo)も凄かった。パワフルな声量、感情表現豊かな演技、存在感ではネトレブリコを上回っていたと言っても良いのではないかと思いました。私がロイヤル・オペラで観た中では、、最高のパワフルコンビと言っても良いかと思います。久しぶりに歌手のすごさに圧倒された舞台でした。

 その他の歌手陣も良かったです。特にデ・グリューの父役のChristof Fischesserの低音は迫力十分。

 今回は、舞台はLaurent Pellyによる新プロダクションでした。マノンを観るのは初めてなので、他の舞台との比較はできませんが、奇抜なところはないものの、スト―リ‐に忠実な舞台設定で、美しく、良くできプロダクションだと思いました。歌い手さんの振り付けもとてもチャーミングでした。

 もう一つ、特筆すべきは、音楽監督アントニオ・パッパーノによる素晴らしい指揮ぶりでした。もともと聴き易いメロディではありますが、ドラマチックかつ繊細で美しいな音楽を創ってくれました。

 この日は、バルコニー(3階)レフトの立ち見席。何故か、8席分あるのに私を以外には2名しか来ていませんでした。そして、その2人も2幕が終わった段階で、誘導係りの人に椅子席を薦められ移ってしまい、わたしひとりで占拠(私も椅子席に移っていいよと言われましたが、椅子に座ると寝てしまうのが確実なので、立ち席でがんばりました)。ホント、このエリアのコストパフォーマンスは最高です。オケも歌手の声もダイレクトに凄くよく聞こえる。目が悪い私でも字幕も良く見える。難点は舞台が三分の一ぐらいしか見えないことだが、これで£14だから誰も文句は言えんでしょ。

 蛇足ですが、マノン自体のストーリーは私の好みではありません。一言で言うと、金とモノに目がくらんだ、賢いとはいえそうにないとある女性の一生です。ただ、この舞台を観た後は、オペラというメディアの凄さを感じないわけにはいきませんでした。こんなくだらん(好きな人にはゴメンナサイ)話を、オペラはこれほどまに感動的なメロドラマに仕上げてしまう。最後の第5幕のラストシーンは、どんなに自分の好みのストリーではなくとも、ジーンときてします。殆ど、詐偽の見せ物と言っていいかもしれないと改めて感心します。

(アンナ・ネトレプコ)


(もう一枚)


(ネトレプコの隣がパッパーノ、一番右がグリゴーロ)





Manon

Friday, June 25

Credits
Composer: Jules Massenet
Director: Laurent Pelly
Designer: Chantal Thomas
Lighting designer: Joël Adam

Performers
Conductor: Antonio Pappano
Manon: Anna Netrebko
Chevalier des Grieux: Vittorio Grigolo
Lescaut: Russell Braun
Comte des Grieux: Christof Fischesser
Guillot de Morfontaine: Christophe Mortagne
Brétigny: William Shimell
Poussette: Simona Mihai
Javotte: Louise Innes
Rosette: Kai Rüütel§
Innkeeper: Lynton Black
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とある職場の風景 決戦翌日

2010-06-26 06:34:59 | ロンドン日記 (日常)
 今日の職場は朝から明るかった。

 朝出社すると、職場の同僚が何人も"They played very well! almost perfect." "Very nice game!" "Honda and Endo were fantastic!" "Matsui is very good player." "You can beat Paraguay." と声をかけてくれる。普段は、彼らのほうから話題を振ってくることは少ないので、昨夜のゲームは彼らにもよっぽど印象的だったのだろう。イングランドと日本が揃って決勝進出なこと、金曜日なこと、給料日なことの3つが重なって、笑い声や話し声が絶えない職場だった。

 こういう雰囲気は大事なのである。打ち合わせをしても、不思議にポジティブな意見がでるし、やっぱり同じ仕事をしていても楽しい。こんな風に「人の毎日のハリとか、働き甲斐というのは、細部に宿る」というのが、私の持論でもあるのだ。職場や仕事の緊張感は大事だが、緊張感だけでは、自分も含めて人間なんだから、やってられない。何事もバランスだ。

 まあ、難しいことは抜きにして、職場の皆の注目は、既に日曜日のイングランドVSドイツ戦に既に移っている。これは、大一番だ。近くに座るイングランド人は相変わらず、皮肉なのか、謙遜なのかわからないが、"We will lose."と言いつつ、両国の戦力分析に余念が無い。いろんなデータを引っ張り出しては、いかにイングランドが不利なのかを説明してくれる。彼の予想は、PKでイングランドの負け。

 予想が外れるよう祈って、週末に突入します。


※最近、ワールドカップの話ばかりで、芸が無いのだが、回りが本当にワールドカップ一色なので、しょうがない。

(写真は今朝のTimes紙。今朝は流石に日本べた褒め。"Samurai" Master the art of controlだそうです。

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とあるパブの風景 日本決勝進出おめでとう!!!

2010-06-25 06:40:16 | ロンドン日記 (日常)
 サッカー日本代表おめでとうございます。

 こんな完勝の代表戦を見るのは初めてでした。

 今日は職場近くのパブで日本人同僚が集まって観戦。同じ場に某日系企業の方もいらして、パブの一角を占拠してのジャパン応援とあいなりました。


 前半、本田と遠藤の素晴らしいフリーキックで2対ゼロ。夢のような展開。後半はペナルティで一点を許したもの、これまた本田の素晴らしい切り返しからの岡崎のシュートで追加点を加え、試合終了。

(3点目のゴールに歓喜するJAPANベンチ)


 昨日の勝利の余韻に浸って、テレビモニターは一顧だにしない英国人で一杯のパブの中で、我々の集団は完全に浮いてましたが、楽しければええねん。

 この勝利は歴史に残るでしょう。少なくとも、自分の記憶には、間違いなくパブの風景とセットで一生残ってくれると思います。

 2010年6月24日

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とある職場の風景 イングランド初勝利!!!

2010-06-24 07:04:20 | ロンドン日記 (日常)
 イングランドなんとか勝ちました。

 イギリス人の同僚とイングランドを応援するのは初めてなので、今日の職場観戦は結構楽しみにしたのですが、観戦できたのは最後の2分だけでした。

 フランスからの出張者と、試合開始30分前から打ち合わせがあったのですが、もう予選敗退が決まったフランス人にはワールドカップは何処吹く風。一生懸命、新しい施策について説明してくれました。1時間の打ち合わせ予定が、13:30から15:40まで2時間ちょっと長時間ミーティング。打ち合わせの途中に、凄い叫びが3回ほど大会議室からもれ聞こえてきましたが、彼は「点が入ったのかもね」とあっさり。打ち合わせ自体は、とっても実り多いものだったのですが、「もう少し早く終わればなあ~。もうちょっと見たかったなあ〜」というのが正直なところでした。

 最後の2分だけ、応援に参加しましたが、最後の大詰めの場面の割には、思ったより静かな同僚の観戦ぶりが意外でした。日本戦の日本人社員応援の方がよっぽどうるさかった。見ているほうも緊張していたのか、感情を表に表さないイギリス人の本領が発揮されたのか、よく分かりません。

 試合後、イギリス人同僚に「やったね。おめでとう」と声をかけたら、「駄目だよ。アメリカも勝っちゃったよ。2位だから次はドイツだ」とさらっとかわされました。これは完全にイギリス人反応。もうちょっと、素直に喜んでもいいんじゃないの?あんなに、心配してたじゃないか!アメリカ人なら"Yes! We won!!!"って、一緒にとっても喜んでくれると思うんだけど。

 明日はいよいよJapan戦。頑張って欲しいです。

(朝のBBCニュースより。今日は学校も午後は全校観戦のようです)


 2010年6月23日

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セントポール大聖堂コーラス モンテヴェルディ

2010-06-23 07:11:33 | コンサート (in 欧州)
 今、イギリス中のいろんなところで、サマー・フェスバルをやっていて、RockやPOPSに始まり、クラシックなども含めて、とっても楽しそうである。ロンドンでは最近、シティ・オブ・ロンドン・フェスティバルというのが始まり、シティの中のいろんな会場で、コンサートや映画、イベントなどをやっている。今夜は、仕事帰りにその一つのプログラムに寄ってみた。なんと、会場はセントポール大聖堂で、曲はモンテヴェルディのVesproである。(といいつつ、モンテヴェルディはCDこそ持ってはいるものの、生では初めて聴くので、よく知らないのだが・・・)

 ロンドン有数の大聖堂でモンテヴェルディを聴く。こんな最高の舞台があるのだろうか。開演は午後8時。セントポール大聖堂は、7時20分に仕事を終えて、十分間に合う距離にある。開演10分前に到着したが、まだ陽は高く、大聖堂を真正面から照らしていた。


 中にはいると、一面に椅子が並べてある。窓から夕刻の明るい陽射しが差し込み、ドームの下にあるキリスト像を照らしている。なんとも厳粛な雰囲気だ。


 演奏と合唱が始まる。教会内の音の響きが何とも重層的。生の音が天井のドームに反射して響き、回廊をずっと伝わって一週してまた戻ってくる。そんな残響。いわゆる音響的に言うと残響が長すぎると言うのかもしれない。大瀧詠一のレコードのエコーなんて目じゃないエコーだ。ただ、その残響が、教会という場所と宗教曲という音楽を得ると、意味知れぬ神聖な気持ちや感動を与えてくれる。月並みだが、心の洗濯とはまさにこんなことを言うのだろうと思った。

 一時間半近くあるこの曲の後半には、聖堂の周りの暗くなり始め、聖堂の窓から入る光も弱まり、夜が近づく気配を教会全体から感じる。そして音楽も後半のクライマックスに。暗い聖堂の中にで楽団とコーラスの人がだんだんと浮かび上がってくる様も何ともドラマティック。開演時間の八時というのはまさにこの効果を狙ったのかと思った。

 演奏が終わると大きな拍手。拍手も教会内で反射して自分の拍手の音を聴いているんだか、反響を聴いているんだか解らなくなるものだった。とっても大切な時間を頂いた。



※シティオブロンドンフェスティバルは8月上旬までシティ各所の会場でやっています。セントポール大聖堂でのコンサートもまだあるようです。詳しくはフェスティバルホームページをご覧ください。(ホームページはこちら→)


Choir of St Paul's Cathedral and His Majestys Sagbutts & Cornetts -

Tuesday 22 June
Time: 20:00
St Paul's Cathedral

Choir of St Paul's Cathedral
His Majestys Sagbutts & Cornetts
Rebecca Outram soprano
Cecilia Osmond soprano
Mark Wilde tenor
Andrew Carwood conductor

Monteverdi Vespers (1610)

*The awesome and uplifting surroundings of St Paul’s Cathedral will provide a fitting atmosphere for Monteverdi’s monumental Vespers (1610). This musical masterpiece was created 400 years ago for the architecture of the Italian renaissance which so inspired Christopher Wren in his building of St Paul’s exactly one century later. Conducted by Andrew Carwood.



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ロンドン近郊 レストラン Restaurant at The Petersham

2010-06-22 06:54:37 | レストラン・パブ (in 欧州)
 ロンドンの南西。リッチモンドにあるPetershamホテルに入っているレストラン。

 テムズ川を望む展望が素晴らしい。夕焼けに照らされるテムズ川とリッチモンドの森。鳥の声が響き、ここがロンドン中心部からわずか20キロ余りとはとても思えません。レストランでなくても、この眺望だけでも見に来る価値があるかと思います。

(ホテルHPより拝借)


 ホテル内のレストランは、イギリスらしい落ち着いた雰囲気。この日、御一緒させて頂いた取引先の、ロンドン在住10年を超えるという方は、お嬢様がこのホテルで結婚のレセプションを行ったというお話でした。

 料理は典型的なイギリス料理。私は、アスパラガスの前菜に、鱸のグリル。味もホテルの雰囲気にマッチした、華美でない落ち着いた味付けで、素材の良さを引き出すというもので、とても良かったです。

 次回はプライベートで、日本から訪ねてくる友人とかと行ってみたいです。喜んでくれえること間違いないような気がします。

 ※ホテル、レストランのHPはこちら→  
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ロンドン ジョギング Route29 The Grand Union Canal

2010-06-21 03:04:17 | ロンドン日記 (日常)
 今週末も"30 GREAT RUNS IN LONDON"を参考に新たなコースにチャレンジ。

 今日はロンドンの北西リトルベニスから北西に延びるグランドユニオン運河の歩道をひたすら北西に進むコースです。

 家からリトルベニスまでは走って20分弱かかります。この日の早朝(7時頃)は快晴。半袖のランニングシャツではちょっと肌寒いぐらいの気温で、澄み切った青空は、もうジョギングのためにあるような日と言ってもいいぐらいでした。


 起点となるリトルベニス。パディントン駅の北方面の裏側にあります。




 ※昨年2月のリトルベニスへのジョギング記はこちら

 そこから、グランドユニオン運河をひたすら走ります。運河沿いの歩道ですので、交通に全く遮断されることなく、走りに集中できます。


 かるがも一家に会いました。


 運河に捨ててあったゴミから作られたオブジェ。


 右手の対岸にKENSAL GREEN CEMETERYという墓地を見ながら進みます。左手には、ヒースロー空港やバースに行く列車の線路が。進むにつれて運河も大きくなり、田舎っぽい雰囲気がでてきます。



 
 リトルベニスから約6キロちょっとで、地下鉄ベーカルーラインHarlesden駅近くまで来るので、ここを終点に。下の写真は駅近くのパブ。イングランドの旗が軸に絡まって泳いでいないのが、金曜日の夜の引き分けを象徴しているようで、寂しい。地下鉄に乗って帰りました。




 ランニング時間50分ちょっと、とっても走りやすい、気分のいいコースでした。

 2010年6月19日

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グラインドボーン音楽祭 『マクベス』

2010-06-20 06:33:25 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 初めてヴェルディの「マクベス」を見ました。

 感想は「う~ん」、何とも複雑な観劇後感。

 歌手や演奏は良かったのですが、演出が私的にかなり「ブー」。

 歌手は、まず主役のマクベス役Andrzej Dobberとマクベス夫人役Erika Sunnegardhは演技が素晴らしかったです。Dobberのマクベスは、迫真の臆病者マクベスを演じていました。マクベス婦人も悪女ぶり、そして後半の精神を病んでしまった演技は座布団二枚級!歌も、Dobberの低音はなかなか迫力あったし、Sunnegardhは多少一本調子な感じはありましたが、声の張りはなかなかだった。

(写真はグラインドボーン音楽祭ホームページより)




 ただ、歌の面でぴか一は、韓国人テノールでMacduff役のYonghoon Lee。第4幕の歌は、声の柔らかさといい、感情表現といい圧巻でした。思わず、前のめりになって聴き入ってしまいました。会場からも最後のブラボーと拍手が。

(音楽祭ホームページより)


 指揮はロシア人指揮者で現在リバプールフィルハーモニックの首席指揮者を務めるVasily Petrenko。まだまだ若い、イキの良さを感じる指揮でした。演奏は、時にアンサンブルの乱れを感じる時がありましたが、気になる程ではなく、ベルディの素晴らしい音楽を奏でてくれた。

 そして、問題の演出。現代風にアレンジしたものでしたが、私には全く理解不能。仕掛けはいろいろあるのだけど、何が言いたいのか、何を強調したいのか良くわからない舞台でした。チープなセットに見え、作品のヴェルディの重厚さを損なっているではないか。そこが狙いなのかもしれませんが。救急車もどきの車のセットや魔女の服装も良くわからないし。第三幕の冒頭のダンスも不明。他のプロダクションを知らないので比較のしようがないですが、正直、全く好みではありませんでした。

(音楽祭HPより)
     

 あと、ホールの音響が素晴らしかったです。舞台も良く見える。とっても良いホールでした。

(今日のMVP Yonghoon Lee)


(マクベスのAndrzej Dobber)


(中央がマクベス夫人のErika Sunnegardhと指揮のAndrzej Dobber)


 ※グラインドボーン音楽祭のレポートはこちらから


Macbeth

13 June, 2010

Creative team
Conductor Vasily Petrenko
Director Richard Jones
Revival Director Geoffrey Dolton
Designer Ultz
Lighting Designer Wolfgang Göbbel
Movement Director Sarah Fahie

Cast
Lady Macbeth Erika Sunnegårdh
Macbeth Andrzej Dobber
Banquo Stanislav Shvets
Macduff Yonghoon Lee
Doctor/Servant/Herald Richard Mosley-Evans
Lady Macbeth's Lady-in-waiting Miriam Murphy
Malcolm Riccardo Massi


London Philharmonic Orchestra
The Glyndebourne Chorus


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ワールドカップ がんばれ、イングランド!!!

2010-06-19 18:28:45 | ロンドン日記 (日常)
 今日のメインイベント、日本‐オランダ戦まであと2時間。

 それにしても、今朝は朝から昨夜のイングランド敗戦のニュースで一杯だ。ちょっと、選手や監督がお気の毒になるぐらい、ボロクソ言われている。「歴史に残る最低のゲーム」"They were too nervous." "Just garbege!!"・・・・確かに、昨夜のゲームはがっかりだった。

(今朝のTimes紙から)


 しかし、サッカーがこれほどまでにメンタルなスポーツであるということを改めて知った。メンバーにはプレミアリーグのスターたちが並んでいる。代表選手が選ばれた時は、「こんな選手も代表に選ばれないのか!」とそのセレクションレベルの高さに驚いたものだが、そんな大選手達が、明らかに昨日は、戸惑い、上づり、硬くなっていた。イングランドは、期待も高く背負うものが重いだけに、そのプレッシャーも相当なものだろう。

 日本は、もうカメルーンに勝った。岡田監督は、「まだ何も手にしていない」と格好のいいことを言っているらしいが、逆にいえば「失うものも何もない」。選手たちは今日のオランダ戦は是非、思い切ったプレイで、楽しませてほしい。

 イングランドは水曜日のスロベニア戦での勝利が必須だ。がんばってくれよ~。イングランドが勝たないと、職場の雰囲気が重くなるだよ~


2010年6月19日 10:43(GST)

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とあるパブの風景

2010-06-19 05:43:07 | ロンドン日記 (日常)
 先週のアメリカ戦のウサ晴らしのはずだった今夜のイングランドVSアルジェリア戦。かなりがっかりの(Disappointing)な引き分けでした。

 近所のパブはイングランド国旗で一杯。


 職場の日本戦観戦は、手に汗握る見ている方も緊張感あふれる観戦でした(→こちら)が、今夜のパブは皆、騒ぎながら、サッカーをネタに酒を飲むぞーという感じに見受けられました、


 楽しく盛り上がりましたが、結果はクシュン・・・・・・


 2010年6月18日

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グラインドボーン音楽祭に行く

2010-06-17 06:32:02 | 旅行 イギリス
 ヨーロッパの夏の音楽祭といえば、バイロイトやザルツブルグは有名だろうが、イギリスにもグラインドボーン音楽祭という音楽祭がある。1934年から始まり、夏の間、貴族が自分の邸宅に建てたオペラハウスで、オペラを楽しむというユニークな音楽祭だ。日本では考えられない。西洋の貴族はやることが違う。

 せっかく、ロンドンに居るのだから、一度は行ってみたいと思い、今夏の自分イベントの目玉の一つとして、チケット販売開始の2月早々にチケット予約し、この間の13日日曜日に出かけた。劇場は、ロンドン・ヴィクトリア駅から列車で1時間ちょっと乗ったLewisというところから更にタクシーで約10分乗ったところの、大いなるイングランドの田舎にある。

 事前の案内では、列車で来る人は12:36の列車に乗れというような案内が来たが、16:10に始まる公演に2時に着いてもしょうがないと思い、その1本後の13:46の列車に乗った。その案内では、駅前にシャトルバスが来るようなことが書いてあったが、駅に着いてみるとそれは12:36発の列車に合わせて1回きりのサービスらしい。手馴れた人は、タクシーを事前に予約してあるらしく、次々と待っているタクシーに乗り込むが、私は結局置いてきぼりにされた形。何とか同じような境遇のファミリーに頼んで、会場まで往復してきたタクシーに同乗させてもらった。タクシーに乗ること約10分、サセックス州の大平原を見渡す丘を通って、北海道の牧場のようなところに、いきなり邸宅とオペラハウスが現れる。

 早速到着して、チケットを入手し、会場付近を散策。この絵にかいたような世界は何なんだろう。タキシードに身を固めた紳士たちと華やかなドレスに身を包む淑女、おばさま方。確かにBlackTieが望ましいというようなことが書いてあったが、ここまで皆が着飾ってくるというのには驚いた。タキシードが無い自分は、スラックスにブレザーといういでたちで、まあ、みっともないというほどでは無かったが、男性はほぼ100%はタキシードにボウタイだったし、小学生の子供ぐらいの男の子も黒スーツにボウタイだったので、ちょっと気後れした。この日が、「マクベス」の初日だったからなのか、いつもこうなのかは分からないが、私が見たボウタイ以外の男性は、私を含めて4名だけだった。

 初夏のイングランドの陽光が緑の草原に反射し、所々に植えてあるバラや白、黄色、薄紫の花花が咲き乱れている。そして、透き通るような青空。向かいの丘では羊が草を食らうのどかな風景が広がっている。これらの色彩に加えて、ピクニックでの談笑の声、シャンペンを開ける音、そよ風と木々が奏でる風音、そして鳥たちの声が交じり、う〜ん、自分はいったい何処にいるのか分からなくなる。印象派の画家たちの絵に、陽光の中のピクニックの絵を良く見かけるが、そうした絵の中にスリップしたような気になる。一度で良いが、一度は見てみるのは話しのタネになる世界だと思う。

(開演前にくつろぐ人たち)


(芝が広い)


(花壇に植えられた花々が美しい)






(中央の丸いレンガ色の建物が劇場です)


 イギリスの夏の飲み物といったらPims。これとプログラムを買って開演までの1時間をゆっくり楽しんだ。


 開演15分ぐらい前にホールに入る。劇場はこじんまりしていて感じが良い。木がふんだんに使われているので、オペラハウスにありがちな華美な感じというよりも、とても落ち着いた内装になっている。きっと、音響もすばらしいだろう。この日は、三階席の一番奥の席だったが、オペラグラスなしで楽しめる、とっても素敵な劇場である。


 第1幕、2幕が終わり、休憩時間となる。この音楽祭の売り物の一つは、80分もある幕間の休憩時間。再び、外に出てピクニックするグループや併設のレストランで食事をする人たち。結局、ここではオペラが添え物でメインはピクニックや社交ということが良くわかる。しかしオペラを添え物にピクニックを楽しむというのは何という贅沢。日本もワークライフバランスが進んできたとはいえ、この贅沢さ加減はとてもかなわない。見習うべきとはこれっぽっちも思わないが、世界が違うということだけは改めて実感。

(今日はこの草原にはいませんでしたが、いつもは羊もいるらしい)


(庭には池もあります)


(裏の丘には羊たちがいます)


 皆が、敷物の上やベンチに腰かけで、シャンペン、ワインとサンドイッチ、サラダなどを食べているのに、私は、日本人として、近所の日本食惣菜屋で買った枝豆といなり寿司、のり巻き寿司、そしてビールで対抗した。こんなところで、一人で対抗したつもりになってもどうしようもないのだが、一人で「どうだ参ったか!」と自己満足に浸る(枝豆とビールの写真を撮り忘れたのが残念)。それにしても、教訓はこのフェステバルは決して一人では行かぬこと。ここはオペラ(だけを)を楽しむところでは無いからだ。

 終演後は、電車で来た人はシャトルバスで駅まで運んでくれる(£5)。バスの窓から見える、夕焼けに照らされる雲とサセックスの平原がオペラの興奮を鎮めてくれた。9時22分発のロンドンヴィクトリア行きに乗って、夢の世界から現実のロンドンへ戻ってきた。




 2010年6月13日
コメント (6)
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