その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ムーティ フィルハーモニア管 ベートーヴェン交響曲第3番ほか

2010-03-31 09:37:54 | コンサート (in 欧州)
 今日は先週末のミュンヘンの模様でも書こうと思っていたのですが、素晴らしいコンサートに出会えたので、感動の冷めないうちに、書いてしまいます。

 今夜はフィルハーモニア・オーケストラの65周年記念ガラコンサートということで、同楽団の音楽監督も務めたリカッルド・ムーティを招いてのコンサートでした。

 一曲目はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリン独奏はジョシュア・ベル。演奏が始まって少しびっくり。モーツァルトの協奏曲かと思わせるような、柔らかく優雅なベートーヴェンだったからです。帰って調べたら、ベルは1967年生まれとのことでしたが、その若々しい演奏姿に魅かれました。会場の注目を一気に集める花と、それを楽しみ、自分のエネルギーに変える力を感じました。見ていて、ワクワクする演奏家です。フィルハーモニア管と独奏者の相性も素晴らしく、生み出されるハーモニーは、しみじみと幸せな気分にしてくれる演奏でした。




 休憩をはさんでの2曲目はベートーヴェン交響曲第3番「英雄」。いつか忘れましたが、1990年前後、フィラデルフィア管と来日した際にサントリーホールで聞いた記憶があります。冒頭、指揮台に上ったムーティーから一言挨拶。「ここまでフィルハーモニア管を成長させて来た先輩たちへの感謝の念を示したい。中でも、この演奏は、先日亡くなった1964年から1990年まで首席ダブルベース奏者を務めたドラッカー氏に捧げる」と述べられました。

 第一楽章、早めのペースで堂々と進んでいきます。これぞエロイカ。澱みがない、迷いがない、なぜこんなに堂々とできるのか。まさにど真ん中の直球をどんどん投げ込む上手投げ本格派ピッチャーのようです。その堂々たる音楽にただ聞き惚れてしまいます。
 第二楽章では、一転してスローペースに。一つ一つの音符を確かめるように進んでいきます。まさにドラッカー氏に捧げている演奏であることがムーティーの背中、そして奏者の姿勢でわかります。クライマックスでは自然と涙が流れ落ちてきました。こんな第2楽章の演奏に出会えたのは本当に久しぶりでした。
 そして第三、第四楽章では、通常のペースで、再び王道を進みます。管楽器のソロ、全体のオーケストラともに素晴らしいです。ムーティーの指揮の姿そのものが演奏の中に溶け込んでおり、ムーティにとってこの音楽が一つのドラマであることを示しているようでした。舞台のないオペラを見ているような感覚に陥りました。渾身の演奏だったと思います

 普段、何故かフィルハーモニー管のコンサートには足が遠い自分。このオーケストラの音ってこんなに優しく柔らかいとは今まで気がつきませんでした。素晴らしい音楽会でした。


 ※ 何故か、カメラが突然、不調に陥り、エロイカ後のカーテンコールの写真はありません。残念・・・


Royal Festival Hall

Philharmonia Orchestra 65th Birthday Gala Concert
Resident at Southbank Centre

Tuesday 30 March 2010

Ludwig van Beethoven: Violin Concerto
Interval
Ludwig van Beethoven: Symphony No.3 (Eroica)

Riccardo Muti conductor
Joshua Bell violin
コメント (4)
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バイエルン国立歌劇場 『ドン・ジョバンニ (Don Giovanni)』

2010-03-30 08:40:25 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 バイエルン国立歌劇場(バイエルン州立歌劇場とも言われるようです)で『ドン・ジョバンニ』を観ました。

 同劇場は、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」や「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を初演した歴史ある劇場です。サヴァリッシュ大先生が長く音楽監督を務めていたところでもあり、是非一度、訪れてみたいと思っていました。現在の音楽監督は日系四世のケント・ナガノです。

 ギリシャ神殿風のとっても立派な劇場です。


 劇場内は座席数が1773だそうですから、ロイヤルオペラハウスと比較すると、一回り小さく、座席と舞台が近く、どの座席からも舞台が間近に見える作りです。金色と薄赤色の内装もシックで、落ち着く装飾で、個人的にとっても好きです。




 天井のシャンデリアもとても美しいです。


 観客陣はどうかというと、ミラノ・スカラ座ほど華美なかんじはしないものの、皆さんしっかりドレスアップされているのが印象的でした。正直、ジーパンの姿の人は2人見かけただけで、男性はしっかり上着、ネクタイ着用、女性はシックなドレスという感じの方が多かったです。


 さて、公演の方ですが、『ドン・ジョバンニ』は初めて観るのですが、オペラそのものの面白さはもちろんのこと、非常にレベルの高い公演で、花まる公演でした。

 特に、歌手陣のレベルの高さには驚かされました。ドン・ジョバンニのアーウィン・シュロット(Erwin Schrott)、 騎士長のフィリップ・エンス(Phillip Ens)、ドンナ・アンナのエリン・ウォール(Erin Wall)、ドン・オッターヴィオのジュゼッペ・フィリアノーティ (Giuseppe Filianoti )、ドンナ・エルヴィーラのマイヤ・コヴァレヴスカ(Maija Kovalevska)、レボレッロのアレックス・エスポジト(Alex Esposito)、ツエルリーナのエレーナ・ツァラゴワ(Elena Tsallagova)、知っているのはROHで「愛の妙薬」で聴いたジュゼッペ・フィリアノーティだけでしたが、其々見せ場があるこのオペラで、存在感あふれる歌手たちが存分に個性を発揮していました。唯一、マゼット役のLevente Molnárだけがパンチ不足でしたが、マゼットは役柄も歌自体もしょぼいので、あまり気になりません。

 私的には、男性ではジョバンニのアーウィン・シュロットの演技、女性ではドンナ・エルヴィーラ役マイヤ・コヴァレヴスカのソプラノがとっても好みでした。今日の席は前から5列目。マイヤ・コヴァレヴスカはとっても綺麗な人だったので、ホント、オヤジ魂丸出しのかぶり付き鑑賞でした。役柄的には純情風で実はやはりツェルリーナに魅かれますが、エレーナ・ツァラゴワはきれいな声でしたが、声の線が細く、ちょっと自分の好みではなかったかも。(左からシュロット、コヴァレヴスカ、ツァラゴワ ※歌劇場のHPより)
  

 オーケストラの方は、ケント・ナガノの棒の元、このモーツアルトの素晴らしい音楽を時には優雅に、時には重厚に、美しく演奏してくれました。

 残念だったのは演出。現代風に読み替えての演出ですが、正直、意図するところが全く不明の演出で、私としては完全にブーでした。幕が開くと、そこには、いきなり、全裸の老人が直立(もちろん局部丸出し)。この老人はその後も随所に衣装を変えたりして出てくるのですが意味不明。また、舞台上方にはスクリーンがつってあって、時折、映像が流れるのですが、この映像も意味不明。舞台も、どっかの電車の車輛車庫のようなところの、コンテナの中で話が進みます。出演者の衣装は途中、登山服だったりして、どっかの山小屋かとも思わせたりするところもありますが、文脈不明。正直、あんなに巣晴らし演奏と歌唱だったのに、かなり演出でくじけて、ここは本当にがっかりしました。(※下の舞台写真は歌劇場のHPより)




ただ、この演出を差し置いても、音楽、声楽の素晴らしさは格別でした。バイエルン国立歌劇場、恐るべし。







Saturday, 27 March 2010
Nationaltheater

7.00 p.m. - app. 10.45 p.m.
Playing time: appr. 3 hrs, 45 min, 1 intermission
--------------------------------------------------------------------------------
Cast

Conductor Kent Nagano
Production Stephan Kimmig
Set Katja Haß
Costumes Anja Rabes
Video Benjamin Krieg
Lighting Reinhard Traub
Dramaturgy Miron Hakenbeck
Chorus Andrés Máspero

Don Giovanni Erwin Schrott
Der Komtur Phillip Ens
Donna Anna Erin Wall
Don Ottavio Giuseppe Filianoti
Donna Elvira Maija Kovalevska
Leporello Alex Esposito
Zerlina Elena Tsallagova
Masetto Levente Molnár

The Bavarian State Orchestra
The Chorus of the Bavarian State Opera

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Que 疲れた・・・

2010-03-29 09:04:52 | ロンドン日記 (日常)
 先ほど、ミュンヘンへの一泊二日の弾丸遠征から帰還。何故か今回はメチャ疲れた。まあ、いろいろ予期せぬことがあったのだが、一番の原因は空港のQue(行列)。

 とにかく、待たせられた。(写真はイメージです)
 
 往路はスタンステッド空港を利用したが、こんな田舎の飛行場なのに、土曜日は朝の6時に到着していながら、既にチェックイン・カウンター、手荷物検査場で長蛇の列。合計で1時間近く待たされた気がする。ロンドンの椿姫さんの先週のベルリン旅行のレポートを目にしたので、早めに行っていたので、なんとかなったが、そうでなければ完全に乗り遅れ。

 帰りのミュンヘン空港でも、手荷物検査を通過するのに30分は優にかかった。ロンドンの空港での手荷物検査で待たせられるのは日常茶飯事だが、大陸側で待った経験はあまり記憶にないので、間に合うかイライラした。

 あと、やっと着いたと思ったら、更に追い打ちをかけるように、スタンステッドの入国審査。ここでも、長蛇の列が出来ていて、通過に20分強。早くスタンステッドにも、ヒースローやガトウィックのようにIRIS(こう彩認証システム)を入れてほしい。

 私が気が短いだけなのかもしれないけど、この手の待ちが一番疲れる(その点、Queが大好きなイギリス人は気にならないのかもしれない。こんど、同僚に聞いてみよう)。欧州域内の旅行は国内旅行の延長版みたいなものという感覚だったけども、ちょっと認識を改めた方がいいかもしれない。安全のためとはいえ、こう待たされるのでは、週末の旅行で疲れてしまうという本末転倒なことになりかねない。
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ミュンヘン遠征

2010-03-28 08:10:41 | ロンドン日記 (日常)
今朝ロンドンを立ち、週末を使ってミュンヘンに来ました。(The picture is from Google search.)

目的は、
1.ビールを飲むこと
2.バイエルン州立歌劇場へオペラを見ること
の2つです。

ビールは飲むことは飲んだのだけど、ビアホールはどこも満員で席に着いても注文さえ、なかなかとりにこない始末で、結構苦労した挙句に自己解決。

バイエルン州立歌劇場は、N響の名誉指揮者だったサバリッシュ大先生が永く音楽監督を務めてこられたところなので、学生時代から一度は来たいと思っていた劇場なのです。

模様はまた後日、報告します。

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ロンドン リーダーシップ・セミナー

2010-03-27 08:27:40 | ロンドン日記 (日常)
 とあるビジネススクールからリーダシップについての講演会のご案内を頂き、聞きに行きました。

 2人のスピーカーがそれぞれ30分程度話をし、質疑応答を入れて90分という内容です。久しぶりに、ちょっとアカデミックな香りを嗅いで、賢くなった気分でした。

 最初のスピーカーは、そのビジネススクールの教授です。内容を一言でいうと、「最近はやたらとリーダーシップが流行で、マネジメントというのはその対極の概念として、隅っこに追いやられている感じだけども、リーダーにはリーダーシップとマネジメントの両方を使い分ける必要がある」ということでした。「オバマ大統領は優れたリーダーだが、保険法案を通す際には、議会対策をはじめとして、優れたマネジャーであることを示した」とのことです。ふむふむ・・・という感じです。

 興味深かったのは、二人目のスピーカー。そのビジネススクールの卒業生で、今はとある建設会社の社長さんをやっている方。

 この方は、現場で何が起こっているかを知るために、新入りの建設現場員として、2週間自社の現場仕事に汗を流したとのこと。これは、BBCの"Undercover Boss"というタイトルで、ドキュメンタリー番組としてテレビ放送されたそうです。

 何が興味深かったかというと、発言のふしばしに、欧州の会社では、現場とマネジメントがここまで乖離しているのかと感じさせられるコメントが次から次への繰り出されたからです。

「スーツを脱いで、作業服を着て、フロントの人たちと同じ目線にたてた」
「現場とのコミュニケーションがいかに大切かが骨身にしみた」
「マネジャーが彼らから見てどのように写っているのかが分かった」
・・・・

 良くも悪くも日系企業との違いを感じざる得ませんでした。日系企業で育った会社員としては、「そんなの当たりまえだろう」ということばかりです。やはりこちらには、マネジメントと非マネジメントの間に歴然たる明確な線が引いてあって、その線のこちらとむこうでは、基本的に世界が違うんだ。ということが前提になっているということがとても強く感じられました。

 日本の建設会社の新卒社員が最初、現場仕事から始まるかどうかは知りませんが、少なくても日本の会社は、今マネジメント職についている人も、最初は現場から始まった人が殆どだと思います。そこから、段々とキャリアアップしていくので、現場の目線や、現場の大切さというのは、もう最初から社会人としてのDNAの中に折り込まれていると思うのです。

 もちろん、これはいいことばかりではありません。現場主義の発想ができる反面、大胆な改革ができない、カイゼンの積み重ねしかできないという限界でもあるからです。

 ひょんなところで、凄く企業カルチャーの違いということを実感した1時間半でした。

 2010年3月25日

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カスタマー・イベント

2010-03-26 08:22:43 | ロンドン日記 (日常)
 お客さまをお招きして、アナリストによる業界動向のレクチャやお客様どうしのネットワーキングに役立ててもらうカスタマー・イベントに参加しました。この手のイベントも、今回が3回目になるので、私もようやく慣れてきました。

 今回の開催場所は夏季にシェークスピアの演劇を行うことで有名なグローブ座のパーティー・ルームです。一度、この劇場でシェークスピア劇を見たいと思っていますが、パーティ・ルームもテムズ川に面したなかなか立派な会場でした。

 しかし、それにしてもイギリス人はこうも立っているのが平気なんだろう。7時から始まったイベントですが、レクチャーも飲み会も全て立ったままで11時まで、ずーっと立ちっぱなしですから。

 慣れたとはいえ、この日の日本人はボスと私の2人だけで、あとは皆、ガイジン。BGMやしゃべり声で、唯でさえリスニングが弱いので会話は更に聞きとりずらいし、仕事関連のおしゃべりも結構大変。ただ、いつも感心するのは、こちらの営業というのは、お客様だからといって、日本みたいに「お客様は神様」として失礼の無いようにという感じではなくて、「パートナー」として常に関係性は平等という感じなことです。とっても、自然でいいと思います。

 でも、立ちつづめ、英語漬けは本当にクタクタになります。10~20代なら、英語力の向上に最高なのだろうけど、もうそんな伸びシロもないので・・・

 2010年3月24日

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態度がでかいゾ!

2010-03-25 07:49:41 | ロンドン日記 (日常)
 皆が皆そうではないけども、個人によるのか、文化によるのか、態度がデカイ(と感じる)人が結構いる。

 ・会議中、常に椅子に踏ん反りかえっている、とあるマネジャー。
 ・プレゼンするとき、ポケットに手を入れたまま話す営業マン。
 ・朝、こっちから挨拶しても、ろくに挨拶を返さないスタッフ (まあ、これは日本のオフィスにもたくさんいるが・・・)
  などなど・・・

 これは、私が日本の「お行儀」の価値観から逃れられていないのか、ただ彼らが「行儀が悪い」もしくは「無礼」なのか?
 欧州基準では、当たり前のことなのだろうか?そうでない人もいるから、個人的にやっぱり、態度がデカイのだろう?よくわからない。

 前から気になっている、このBBCの朝のニュースの女性キャスター。いつもソファーの背もたれに手を掛け、話す。




 なんか小姑のようでもあり、愚痴っているようでもあり、そんな自分が自分でも嫌なのだが、何か気になる・・・・
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ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上)新潮文庫 塩野 七生

2010-03-24 06:58:48 | 
「紀元前2世紀半ば、強大国であったカルタゴを滅亡させ、ローマは地中海世界の覇者と呼ばれるようになっていた。しかしそのローマも次第に内部から病み始める。名将スキピオ・アフリカヌスの孫であり、若き護民官となったティベリウス・グラックスは、改革を断行すべく、強大な権力を握る元老院に挑戦するが、あえなく惨殺される。遺志を継ぎ護民官となった弟ガイウスの前にも「内なる敵」は立ちはだかる。」

この前の巻がハンニバルとスコピオの戦い、カルタゴの滅亡を描いたダイナミックな時期だったので、この巻はタイトルが示すとおり、混迷の停滞期にあたります。そのせいか、正直、あまり読んでもページがどんどん進むという感じではなく、途中でストップ。おかげで、再開までに時間がかかってしまいました。何とか読み終えたという感じです。

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ロンドン 3月 リージェント・パーク

2010-03-23 06:19:36 | ロンドン日記 (日常)
 こうもあっという間に季節が変わるものだと感心する。この1週間ちょっとで、完全に春の気候になった。朝、起きると、まず窓を開けて、外気を部屋に入れる。春の空気がすーっと部屋に充満するのがなんとも気持ちよい。ついこの間までは、換気のために、一瞬開けては、寒くて直ぐ閉めていたのが、何という違いだろう。

 前日の雨も上がたものの、朝方はまだ雲が残っていた。今週はジョギングがてら、リージェント・パークに春の気配を探しに行った。

 朝方は、鳥の鳴き声がいたるところから聞えてくる。これだけの都市でありながら、鳥の鳴き声をこうも聞けるのは、緑の多いロンドンならではだろう。ビデオクリップにしてアップしたいぐらい。鳥の鳴き声が春到来を告げている。

 行きすがら、おまわりさんの騎馬隊に遭遇。日曜日の朝は良く、この当たりを走っている。どこから来て、どこに行くのか不明だが、とっても壮観だし、蹄が道路を蹴る音が付近一帯にこだまして、なんか格好いい。一人で3頭の馬を御しているのもすごい。


 リージェントパーク内はまだ冬枯れの雰囲気が残る。多少、芝生が若草色に変わってきた感じがするぐらいだ。これも、あと数週間すれば、がらっと変わって、緑いっぱいになるのだろう。公園内のバラ園はまだ花も葉も付いておらず殺風景だが、これも数カ月でバラ一杯の庭園にかわるのだから不思議だ。


 唯一見つけた、花の写真を数枚アップ。








 2010年3月21日
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雨中の熱闘

2010-03-22 05:31:31 | ロンドン日記 (日常)
 甲子園の高校野球の新聞見出しのようですが、単なるオヤジのゴルフです(すいません、素敵な女性も参加しています)。土曜日、職場の仲間、その家族、取引先などなどの有志でゴルフ大会を開催しました。

 スタート時は冒頭写真のような曇り空。それが、途中からシャワーのような雨になって、つらいのなんの。日本なら9ホール(アウト)で終わりにしているところですが、18ホールぶっつづけで行うイギリスではそうもいかず、後半(イン)はびちゃびちゃのヤッケと手袋で冷えた体に鞭打って、なんとかフィニッシュ。

 前半(アウト)は、最近のレッスンの成果か、本人未踏の49! インも悪天候の中、頑張って62でグロス111は上出来でした。

 上がった後は、皆でハイティを楽しみ、健闘を讃えあいました。

 2010年3月20日

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ROH 『利口な女狐の物語』

2010-03-21 04:59:07 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 レオシュ・ヤナーチェクのオペラ『利口な女狐の物語』を見に行きました(→あらすじはこちらから)。正直、この公演は、行くかどうか迷っていました。知らなかったし、ファミリー向けオペラという売り込みだし、原語(チェコ語)上演でもないし・・・と思ったためですが、マッカラスの指揮を聴いてみたかったのと、金曜日の8時開始なら行けなくなるリスクは極めて低いだろうと考えチケットを購入。それでも、万が一の時を考え、10ポンドの立ち見席を購入していました。

 公演は予想以上に素晴らしいものでした。ヤナチェックの音楽を生で聴くのは初めてだと思いますが、すごく幻想的な音楽で感動しました。それに、ヤナチェック第一人者である(らしい)マッカラスのバトンで、更に色彩豊かな音楽に仕上がっていたと思いました。まずは、音楽に聴き惚れました。

 物語もなかなか奥の深いものです。自然の偉大さへの敬意、人間と動物の関係性、生命への讃歌を表したといえる物語は、日本人には特にしっくりくるもので、感動的です。そして、演出が物語を美しく表現していました。生命が宿る森、そして、その森に生活する動物、虫、鳥といった生き物たちを上手く融けこませていました。音楽とばっちりマッチングしていました。

 歌手陣は、門番役のChristopher Maltmanが陰影のある美しい声を聴かせてくれた以外は、特に際立った人はいませんでした。主役とも言える雌狐役のEmma Mattは、表情豊かな演技で、舞台の軸をしっかり作っていましたが、声量はもう一つパンチ不足でした。ただ、このオペラは美しいアリアがあるというわけではなく、むしろ台詞と歌の中に溶け込んで、劇が進んでいく形式なので、歌よりもむしろ演技の方が気になります。その点、各歌手並びに俳優さん達は其々の役をとても上手に演じていて、物語に完全移入できました。

 ファミリー向けオペラで売っていただけあって、小さな子供を連れた家族連れも目につきました。女狐が殺されてしまったシーンでは、それを見て泣いてしまった子供の泣き声がホール中に響くなど、とって微笑ましい雰囲気の中で進んだ公演でもありました。正直、この公演期間中に、できればもう一度見てみたいと思ったほどでした。大人も子供も楽しめる、おススメオペラです。

 余談ですが、一つラッキーなことが。3階バルコニー席正面の立ち見席(10ポンド)にいたところ、まとまった空席の椅子席が近くにあったので、第一幕終了時点で、一緒にいた4名の立ち見客は椅子席に移動させてもらいました。100ポンド席への昇格。ちょっと、うれしかったです。




The Cunning Little Vixen
Friday, March 19 8:00 PM

Credits
Composer: Leoš Janácek
Director: Bill Bryden
Designs: William Dudley
Lighting Design: Paule Constable
Movement: Stuart Hopps

Performers
Conductor: Charles Mackerras
Vixen Sharp-Ears: Emma Matthews
Gamekeeper: Christopher Maltman
Fox: Elisabeth Meister
Schoolmaster / Mosquito: Robin Leggate
Gamekeeper's Wife / Owl: Madeleine Shaw
Priest / Badger: Jeremy White
Harašta: Matthew Rose
Pásek: Alasdair Elliott
Innkeeper's Wife: Elizabeth Sikora
Pepík: Simona Mihai§
Frantík: Elizabeth Cragg
Rooster / Jay: Deborah Peake-Jones
Dachshund: Gerald Thompson
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Leaving speech & drink

2010-03-20 08:57:07 | ロンドン日記 (日常)
 今の職場は、日系ではありますが、ほとんどがローカル社員なので、欧州の会社らしく社員の流動性は日本よりもずっと高いです。ロンドンのオフィスには200名を超える社員が働いていますが、月に一人、二人は何らかの理由で会社を離れる人がでてします。今日も隣のチームの人が、英国を離れるという理由で、退職しました。

 一緒に働いた仲間が職場を去っていくのはとっても残念ですが、その時に行われる定例行事は日本のそれとまた違った良さがあります。

 まず、最終日の夕方3時頃にLeaving Speechというイベントがあります。これは、まずメールで同僚から「XさんのLeaving SpeechをY時からZでやりますから来てください」という案内が流れます。普段は時間とおりに会議に集まることなど滅多にない社員も、このイベント時にはほぼ定時に集まります。時間になると、まずは、その人のボスがXさんの業績を労い、讃え、これからの進路などを紹介します。そして、そのあと、本人からのスピーチ。スピーチはもちろん、上手い人、そうでない人いろいろですが、その人の個性が出ていて、とても胸に響きます。そして、その後は記念品の贈呈。皆で書いた寄せ書きと集めた募金で購入した記念品を贈呈します。記念品は日本では一品、それなりのものを渡すことが多かったですが、今の職場ではどちらかと言うと安価な小物を色々集めて渡すケースが多いです。いつも、ほのぼのした雰囲気の中で行われるセレモニーは、暖かく、素晴らしい送別の集いです。

 そして、その日の夕方にはLeaving Drinkという飲み会が近くのパブで行われます。これも、発起人が関係者にお誘いを掛ける日本と違い、送別される本人が「もうさよならだから、Leaving Drinkをやるから皆来てくれ」と職場の皆のお誘いを掛けます。そして、いつものパブで、夕方6時前から始まって、あとはエンドレス。三々五々に入れ替わり来ては、帰る人もいます。つまみ無しで延々とビールをちびちびと飲み続ける英国流にもだいぶ慣れたし、本人とはもちろんのこと、普段なかなかゆっくりと話す機会がない人と話すことができるのも楽しいです。

 今日は、ちょっと飲みすぎました。ふー。

 2010年3月18日

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マーケティング・ストラテジー ワークショップ

2010-03-19 06:32:22 | ロンドン日記 (日常)
 マーケティング・コンサルティング会社のコンサルタントを招いて、うちの欧州営業担当マネジャーたちと、弊社の営業戦略・マーケティング戦略について丸一日かけて議論しました。(写真はイメージです)

 とっても、疲れました。身近な課題解決型の日常議論には、なんとかついていけるようになってはきたものの、この手のコンセプチャルな議論はとってもつらいです。まあ、話しているのは殆ど英人で、大陸側からの出席者は聞き役が多かったので、彼らも同じ心境だったかもしれないです。

 それにしても、普段、具体的な議論をしていくと、詰めの甘さが露呈することが多い英国人の同僚たちが、この手の戦略論とかになると、やたら偉そうに、もっともらしい話をするのは流石です。良いところは見習わなければと思う一方、騙されていはいけないとも自戒します。

 最後のまとめは「自社の売りを以下のフレーズを使ってまとめましょう」という討論課題でした。

"We are the only.......
that solves.........
in..........way"

 それを順番に発表するのですが、ああこの人はこんな風に考えているんだということが分かり面白い作業でした。普段、あまりこうした大上段の議論はする機会が少ないので、お互いの考えを共有するという意味でも良い機会でした。ただ、自分的には、「今日の議論で具体的に何がどう変わるのか」と問うと「?」なのが、欲求不満がたまったところです。他の参加者たちはどんな感想を持ったのか聞いてみたいと思います。

 2010年3月18日

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ワールドカップ・サッカー 予想

2010-03-18 07:09:28 | ロンドン日記 (日常)
 今日は、欧州各拠点の営業のマネジャーが集まる会議があり、会議後、出張者の皆さんに交じって一緒にメシを食べに行きました。フランス人、ドイツ人、スペイン人、オランダ人、そして日本人の私です。イギリス人は家庭優先(?)のためか、参加がありませんでした。

 仕事の話から始まって、最近東京に出張に行った人の感想ばなし(山手線の一番前に乗って運転席を覗いたところ、運転手さんの指差呼称にいたく感動したらしい)、ランナーが多いので最近出たレースの話などで楽しい時間を過ごしました。

 でも、やっぱり一番盛り上がったのは、ワールドカップの話。どこも、強いですからね~。お国のチーム評は・・・

仏 「今回は駄目。コーチが腐っている。最悪。とても期待できない」

独 「4年かけて、結構、入念にチーム作りをしてきたからね。今回もそこそこ期待しているんだ」

蘭 「まあ1次予選は問題ないはずだけど(日本は眼中にないって感じです・・・)、問題は決勝トーナメントだよなあ。期待倒れが多いから。」

日 「チームも良くないけど、グループがもっと良くない。正直、期待するだけ、頭にくるから、他のチームを応援したい」

西 「(両肩を持ち上げ)う~ん。あんまり興味ない」(もちろん、大ウソです)

仏・独・蘭 「これだから、いやだよね~、スペインは。1次予選はワールドカップと思ってないんだよ、こいつら」

だそうです。


 2010年3月17日

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ギルバート&サリヴァン 『ミカド』 (Gilbert & Sullivan: The Mikado)

2010-03-17 07:23:53 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 昨年読んだ『へそ曲がりの大英帝国』という本に「ミカド」はイギリスの国民的オペラ「サヴォイ・オペラ」の代表作との解説があったので、機会があれば一度是非、見たいものだと思っていました。「サヴォイ・オペラ」とは「作曲家アーサー・サリヴァンと戯曲家W・S・ギルバートが協力して作った現存する十三のオペラにつけられた愛称」です。同書によると「シニカルな要素と感傷的な側面を併せ持っているところが、イギリス人の嗜好とマッチ」し、人気となってきたとのことです。

 「ミカド」はサヴォイ・オペラの中でも最高の人気を誇る作品とのことです。日本の場面設定をしつつ、当時のヴィクトリア朝イギリス社会に向けたジョークや風刺の作品らしいのですが、ストーリーはまるで他愛のないものです(→こちら)。

 会場は「サヴォイ・オペラ」の代表作らしく、お年を召したカップルや家族連れが目立ちました。公演では、何より笑いが満載で、これまで見たオペラやミュージカルの中でも、かなり高いアットホームな雰囲気にあふれたものでした。

 私には、・・・・・・・・・・・・、正直、何が面白いのかわかりませんでした。全体のストーリーは予習済みでしたが、英語の台詞がわからないせいなのか、英語がわかってもジョークが分からないのか、わかりませんが、全然面白くありません。笑いの渦の中で、笑えない悲しさ。結構、つらかったです。

 作品は、オペラもしくはオペレッタというよりも踊りがないミュージカルでした。セミ・コンサート方式とはいえ、舞台の箱物がないだけで、出演者たちは立派に演技をしているし、マイク/スピーカーも使うし、台詞も結構あるので、観ている感じがミュージカルでした。

 音楽のメロディはとっても親しみやすいものでした。演出は登場人物を現代風に置き換え、個々の台詞も所々、現代の設定に修正が施されているようでした。

 出演者の中では、ココ役を務めたSimon Butterissの演技が素晴らしかった。この劇の楽しい雰囲気は彼を中心に作られていたと言ってよいでしょう。歌はナンキン・プーのDavid Curryの綺麗なテノールが印象的でした。

 最後まで残った疑問。なんでこのオペラがイギリス人の間では人気なのだろう?ようわからんな~、イギリス人は。このオペラで笑えるようになったら、イギリス人の理解が深まったと言えるのかもしれませんが、何年居たとしても、分かる気がしませんでした。この日は、この舞台を見て笑うイギリス人が一番面白いものでした。

David CurryとRebecca Bottone


Jill PertとSimon Butteriss




London Concert OrchestraとLondon Concert Chorus


Gilbert & Sullivan: The Mikado (or The Town of Titipu)
(semi-staged concert performance)

London Concert Orchestra
Richard Balcombe conductor
Alistair McGowan The Mikado of Japan
David Curry Nanki-Poo
Bruce Graham Pooh-Bah
Giles Davies Pish-Tush
Simon Butteriss Ko-ko
Rebecca Bottone Yum-Yum
Sophie Louise Dann Pitti-Sing
Anna Lowe Peep-Bo
Jill Pert Katisha

London Concert Chorus

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