その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

第80回 東京優駿(日本ダービー) @東京競馬場

2013-05-27 06:11:58 | 旅行 日本
 東京競馬場へダービー観戦に。10年ぶりぐらいかなあ、府中競馬場は。1年で最大の競馬の祭典だけあって、凄い人出でした。

 ロンドン滞在時に何度か訪れたアスコット競馬場のようなお上品で、優雅な雰囲気は微塵もありませんが、場内は祭典ならではの熱気でむんむんしていました。若い人が増えましたねえ、昔の赤鉛筆を耳にかけて競馬新聞を見入っているオジサン達は殆ど絶滅品種といった感じです。

 今回のダービーの出走馬は全然知らなかったのですが、スポーツ新聞での俄か勉強し、何枚かの馬券を購入し、レースを待ちます。季節的にも芝の若緑が最も美しい時期。そこを駆け抜くサラブレッドの美しさは格別です。


(出走馬の入馬場)

 いよいよダービーの第10レースのファンファーレが鳴ると、会場の盛り上がりは最高潮に。ゲートが開いて、出走馬が正面スタンド前を走り去ると、そのスピードにびっくり。第9レースも同じ距離、同じコースでのレースだったのですが、駆け抜けるスピードが全く違います。流石、競走馬のエリート中のエリートが競うダービーです。


(スタート!)

 最後の直線に入ると、歓声、掛け声、興奮が全て混ぜ合わさった空気の中、残り400メートルの戦い。自分も興奮して自分の馬を探しつつ、カメラも向けて、状況を良く把握出来ないまま、気が付いたら一番人気のキズナが外から強烈な差し脚で、ゴールを駆け抜けて行きました。


(残り200メートル)

 賭けごととしては惨敗の結果に終わりましたが、この祭典の雰囲気を十二分に楽しめたので、大満足で帰路に着きました。


(ファンに迎えられる優勝したキズナと武豊騎手)



<付録>
 
(正面スタンドの裏に設けられたイギリスのエリア)
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クラーク・コレクション @三菱一号館美術館

2013-05-26 06:53:16 | 美術展(2012.8~)
 最終日前日にクラーク・コレクションへ。行こう行こうと思いつつ足を運べてなかったので、半分諦めかけていたのですが、いつも当ブログにコメントを寄せて頂いているsonyさんから「必見」とのアドバイスを貰い、これは行かねばと三菱一号館美術館を訪れました。かなりの混雑ぶりとの情報があったので、今回も閉館前狙いで18:00過ぎに入館。それなりに混んではいたものの、鑑賞には差障りがない程度でした。

 「奇跡のクラコレ」と結構大袈裟なキャッチ・フレーズがついた展覧会なのですが、大げさであるものの、あながち嘘ではないとの印象でした。正直、ボストンやニュー・ヨークから其々2時間以上もかかる田舎町にある美術館とは思えない充実したコレクションです。当然、今回の展示品は全体コレクションの一部でしょうから、全体では更に幅広いでしょう。


《「鳥と少女(アルジェリアの民族衣装をつけたフルーリー嬢)」を使ったポスター》

 印象派、特にルノアールの展示が目玉です。私は、ルノアールの人物画が大好きなので、たまらない作品群でした。ポスターにもなっていた「鳥と少女」を初め、「若い娘の肖像」、「うちわを持つ少女」「かぎ針編みをする少女」など、ルノアールの描く少女達は何と可愛らしいのか。無垢で、優しく、明るい。特に、少女趣味はない私でも見とれてしまいます。


《「劇場の桟敷席(音楽会にて)」を使ったポスター》

 今回の展覧会の目玉でもある「劇場の桟敷席」は思っていた以上に大型の絵で、チラシの絵とは大きく印象が異なりました。正面の女性は、正面をしっかり見据え、優しさの中にも迫力があり、強く訴えていました。

 ルノアール以外にも、モネ、シスレー、ピサロなどの印象派の代表的画家達の風景画も充実しています。私は、素朴な中に優しく、暖かい表現をするピサロの風景画が好みなので、これもまた嬉しいものでした。

 印象派に対して、当時のサロン系の画家ジャン=レオン・ジュロームやウィリアム=アドルフ・ブグローの絵も、印象派との対比としても興味深く、楽しみ方はいろいろです。

 東京での展示は本日26日で終了。この後、6月から兵庫県立美術館へ巡回するようですので、関西エリアの方には、強くお勧め致します。

2013年5月25日 訪問
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黒木亮 『エネルギー <上><下>』 角川文庫

2013-05-24 00:39:35 | 


 社会人になりたての新入社員研修で、社内講師である某部長から言われたことを今でも覚えています。「国際感覚を養うために、常日頃、3つの数字を新聞で追うようにしなさい。株価、為替、原油価格の3つです」。そう教わりはしたものの、株価や為替はともかく、原油価格は仕事に殆ど関係ないので、結局、全くフォローもせずに十数年社会人生活を送ってきました。

 本書は、その原油ビジネスのダイナミズムを生々しく伝える経済小説です。サハリン沖やイランの油田開発を巡って官僚、商社、NGO、投機家たちが、何を考え、どう動くのかが、ディテール豊富、リアリティ一杯に描かれます。国際経済、国際政治、環境問題など、今起こっている時事ネタが密接に結びつき、スケール感満載の小説です。日頃、エネルギー問題には、消費者として以外あまり縁がない私のような読者にも、覗き見るようにこの世界の一面を知ることができます。新入社員の時にこの小説が世に出ていれば、もっと原油価格にも興味を持ってフォローできただろうに・・・

 上下2巻でそれなりのページ数はありますが、長さを感じさせません。勉強になるエンターテイメント小説としてお勧めします。
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ナブッコ @新国立劇場 (初日)

2013-05-20 22:52:57 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 新国立劇場の新制作、ヴェルディの「ナブッコ」を見に行きました(初日)。ヴェルディのオペラは結構見ているのですが、「ナブッコ」は初めてです。有名な「行けわが想いよ黄金の翼に乗って」をナマで聴けると思い、高揚した気分で新国立劇場へ。ホワイエは、初日ならではのドレスアップした男女がグラスを傾ける初日の華やいだ雰囲気の中で、ヴィックの新演出はどのようなものかという期待と不安が入り混じったような空気が流れてました。

 演出の奇抜性はひとまず置いておいて、公演は、オケ・独唱陣・コーラスが素晴らしく、緊張感あふれる舞台でした。私としては、失礼ながらオーケストラの演奏がサプライズ。指揮のパオロ・カリニャーニはメリハリのあるキレの良い運びで、スケール感一杯に音楽を作ります。東フィルも精一杯応えて、金管の咆哮、優美な弦が絶妙にマッチした素晴らしいアンサンブル。オーボエ、チェロなどのソロも美しく、うっとりさせる秀逸な演奏に「これぞ、ヴェルディ!」と膝を叩きたくなるほどです。それだけに、カリニャーニがカーテンコールでオケを立たせなかったことには大いに不満。オケのメンバーもちょっとがっかりだったのでは?

 独唱陣も素晴らしかった。終始舞台を支配したのは、アビガイッレ役のマリアンネ・コルネッティ。声質には好き嫌いが分かれるかもしれませんが、とにかく声量が圧倒的。この肉食系パワーには草食日本人はとうてい敵いませんね。私の4階席までビンビンに響いてきました。役柄にもはまった演技で、カーテンコールでも一番大きな拍手を受けました。私の期待のガッロは、前半はちょっと存在感が薄いなあと思ったのですが、後半は柔らかなバリトンに彼らしい内面深い演技が加わって、タイトルロールに相応しい役つくりでした。日本人歌手のイズマエーレ役 樋口 達哉さん、フェネーナ役の谷口 睦美も脇をしっかり締める良い仕事ぶりです。

 コーラスも良かったですね。冒頭はちょっと硬くて、一本調子かなあと思ったのですが、直ぐにこれは私の耳の迷いと気づきました。大人数での、迫力あふれかつ綺麗に整ったハーモニーはオペラの楽しさを満喫させてくれます。「行けわが想いよ黄金の翼に乗って」は透明感あふれる歌唱の中、ヘブライの民の思いが伝わる大熱唱。イタリア人が第2の国歌として思いを寄せる気持ちがわかります。

 こうした素晴らしい演奏、歌唱の中、賛否両論はヴィックの現代風の読み替えプロダクションです。ヴィックのプロダクションはロイヤルオペラで、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』と『タメルラーノ』を観ていて、美しいプロダクションに魅せられましたので、とても期待していました。今回は、舞台を高級ショッピング・モールに仕立て、ヘブライ人がモールで買い物をする現代人、侵攻するバビロニア人がテロリスト(?)という設定です。この演出の狙いはプログラムに書かれているようですが(私は未購入なので未読)、『ナブッコ』初体験の私には、他のプロダクションとの比較もできず良く分からずじまいでした。現代ものの読み替え演出はロイヤルオペラでもたまにあったし、イングリッシュ・ナショナル・オペラではいつもの事でしたので、演出そのものに違和感を感じませんでしたし、出演者の意味不明の動きや偶像がキューピーのような人形だったりで、それなりに楽しんで観ることはできました。ただ、こうした設定にする必然性までは理解不能で、観客席からはブーイングも聞こえてきました。

 とにかく、全体として素晴らしいパフォーマンスで、大満足。ホントならもう一度行きたいところですが、お金とスケジュール的には無理っぽいです。なので、少しでも多くの人が新国立に足を運ぶことをお勧めしたいと思います。


 ※この日あまりにもあきれたことがあったので、蛇足ながら一筆。今回の私のチケットは、C席8400円。これでも決して安くはないが、まあ、適正価格と思いたい。それに比べて、劇場入口でもらったミラノ・スカラ座の来日公演チラシにS席62000円、D席29000円と冗談のような価格が設定されているのを見て驚愕した。そして、日本人が如何にバカにされているかを感じ、本当に悲しかった。はっきり言おう、62000円~29000円出して、行くお金があったら、このナブッコに行くべきだ。NHKホールでスカラ座見たって、スカラ座の良さは半分も味わえないし、スカラ座のメンバーによる公演が新国立劇場より良いとは全く限らない。貧乏人の僻みではなく、あまりにもバカにしている。もちろんお金の価値感は人それぞれだし、価格はあくまで需要と供給の関係で決まるものだから良い悪いはないのかもしれないが、NHKホールで行われるミラノ・スカラ座の公演が62000~29000円というのは余りにも酷い。どんな人が訪れれるのかを見に行きたい気はするが、そんなお金があったら、震災復興に寄付する。たとえ私がお金に不自由していなくても、こんな馬鹿げた公演には絶対に行かないぞ。



指揮:パオロ・カリニャーニ
Conductor:Paolo Carignani

演出:グラハム・ヴィック
Production:Graham Vick

ナブッコ: ルチオ・ガッロ
Nabucco:Lucio Gallo

アビガイッレ:マリアンネ・コルネッティ
Abigaille:Marianne Cornetti

ザッカリーア:コンスタンティン・ゴルニー
Zaccaria:Konstantin Gorny

イズマエーレ:樋口 達哉
Ismaele:Higuchi Tatsuya

フェネーナ: 谷口 睦美
Fenena:Taniguchi Mutsumi

ベルの祭司長: 妻屋 秀和
Gran Sacerdote di Belo:Tsumaya Hidekazu

アンナ: 安藤 赴美子
Anna:Ando Fumiko

アブダッロ: 内山 信吾
Abdallo:Uchiyama Shingo

美術・衣裳: ポール・ブラウン
Scenery and Costume Design:Paul Brown

照明: ヴォルフガング・ゲッベル
Lighting Design:Wolfgang Göbbel

振付: ロン・ハウエル
Choreographer:Ron Howell

舞台監督: 斉藤 美穂
Stage Manager:Saito Miho

芸術監督: 尾高 忠明
Artistic Director:Otaka Tadaaki

合唱指揮: 三澤 洋史
Chorus Master:Misawa Hirofumi

合唱: 新国立劇場合唱団
Chorus:New National Theatre Chorus

管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
Orchestra:Tokyo Philharmonic Orchestra
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ラファエロ展 @国立西洋美術館

2013-05-18 00:13:05 | 美術展(2012.8~)


 念願のラファエロ展に行きました。悔しいことに、会期前に購入した前売り券を紛失してしまい、2度購入する羽目に。そんなこともあって、気合満点で臨んでいます。土曜日ということでそれなりの混雑覚悟で国立西洋美術館に向かったのですが、夕方を狙ったのが功を奏したのか、ゆっくり、ゆったりと鑑賞できました。

 もともとルネッサンス期の絵画は、重厚で、疲れる印象があって苦手意識があったのですが、欧州滞在中に、その活力、スケール、繊細さにすっかり魅了されました。特に、ラファエロは、その優美さが好きで、欧州内の美術館を訪れた際は、時間をかけて観ていました。

 今回の特別展は、若き日のラファエロから、フィレンチェ時代、ローマ時代と年代を追って、ラファエロの絵画、タペストリー下絵、影響を与えた人や与えられた人の絵画等が広範囲に展示してあります。目玉の「聖母子」を初め、ラファエロの魅力を存分に伝えてくれるものです。柔らかく、温かい色彩やタッチ。細かく丁寧に描かれたディテール。温厚な性格だったというラファエロの人柄そのものが絵に現れているような気がします。特に、「聖母子」の高貴さは格別で、愛、平安、永遠という思想をこれほど完璧に表す絵画は滅多にないと思います。絵を見ているだけで、しみじみと幸福感に浸れます。

 前回の「フランシス・ベーコン展」からなのですが、閉館1時間半前の入館はお奨めです。朝方、日中のような混雑は避けられますし、特に閉館15分前位になると疎らになってきます。閉館10分前に「聖母子」の絵に立ち戻り、一人で独占鑑賞する贅沢さは東京の美術展では得難いものです。

 6月頭までの開催なのでできればもう一度行きたいのですが、機会を作れるでしょうか?他にも行きたい美術展が沢山あるし・・・。贅沢な悩みです。



 2013年5月11日


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♪♪♪富士はにっぽん一の山♪♪♪

2013-05-14 00:06:18 | 旅行 日本

 もう一週間が経ちましたが、ゴールデンウィーク後半に1泊2日で山中湖へ出かけました。久しぶりに間近で見る富士山に感動。世界遺産指定内定、おめでとう!


<5月5日 この日は残念ながら頂上は見えず>


<5月6日 山中湖畔から臨む完璧な富士山>


<5月6日 見晴らし台から>

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森 繁和 『参謀―落合監督を支えた右腕の「見守る力」 』 (講談社)

2013-05-12 10:06:06 | 


 中日ドラゴンズ落合監督の在任中(2004-2011)、監督の片腕たる投手コーチ、バッテリーコーチ、ヘッドコーチとして支え続けた著者による、野球、マネジメント、コーチ、リーダー論。常にペナントレースの上位を争い、4度にわたりリーグ優勝を達成した筆者ならではの裏話や見識が開陳され、とても興味深く読める。

 さらに、ドラゴンズが常勝チームとも言える強さを発揮した秘密を垣間見れることに加え、ビジネスパーソンには中間管理職のマネジメント、リーダシップ論としても読める。本書で述べられる部下に任せきることの重要性、そのうえで、任せられたものが任せてくれた上司に対してなすべきことは、私のような中間管理職には大いに参考になる。あと、選手として大成するかどうかは、「孤独な時間をどう過ごせるか。自分と向き合えるか」というコメントも大いに首肯できた。

 一プロ野球ファンとして手に取った本書であるが、想定外の収穫まであった本だった。
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フランシス・ベーコン展 @国立近代美術館

2013-05-10 01:11:18 | 美術展(2012.8~)


 ゴールデンウイークの休みを利用して、国立近代美術館で開催中のフランシス・ベーコン展に行く。フランシス・ベーコンと言えば、私は、学生時代に社会思想史の授業で出てきた16世紀のイギリスの哲学者を思い出すのだが、全くもって別人で、1992年に81歳で亡くなった20世紀のアイルランドを代表する画家である(ということをはじめて知った)。

 友人に薦められて足を運ぶ気にはなったものの、馴染みのない現代絵画ということで展覧会への期待はさほど大きくなかった。しかし、「没後の大規模な個展としては日本初、アジア初」というマーケティング・コピーに偽りはなく、充実した展示とベーコンの絵画が持つ強力な磁力を十二分に伝える印象的な展覧会だった。

 ピカソの絵を思わせるデフォルメされた対象、暗めの色を多用した独特の色遣い、鑑賞者になぞ掛けするような仕掛け。画家の個性が絵全体からほとばしっている。見るものはこの画家のエネルギーに負けずに、立ち向かう体力と気力が要求される。画家と鑑賞者の緊張関係がはらまれる、そんな感じ。

 展示の仕方も興味深い。「ベーコンにとって最も重要だった「身体」に着目し、その表現方法の変遷を3章構成でたどろうとするテーマ展」(展覧会HPより)とする企画は、ベーコンの作品を単に点として鑑賞するだけでなく、線や面として複数次元で見ることができ興味深かった。また、私には、ベーコンの絵にヒントを得たという土方巽の舞踏フィルムが、身体というテーマを扱いながらも、絵画と演技というメディアによる表現の違いが見えて興味深かった。

 まだまだ日本では知名度は高くないと思われるフランシス・ベーコンだが、是非、訪問をお勧めしたい。ゴールデン・ウイーク中ではあったものの、閉館1時間半前の3時半に入館したら、かなりゆっくりと自分のペースで見れた。特に閉館20分前は観客もまばらで、自分の美術館になったようなお得気分を味わえ、なかなかこの手の東京の美術館では得がたい体験だった。

 5月26日まで。
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ゴールデンウィーク 東京ウォーキング

2013-05-05 09:51:23 | 旅行 日本
 GWの前半戦、素晴らしい晴天の中、日比谷~四ツ谷をウォーキング。その時のスナップをアップします。

 
<日比谷公園内の池。新緑が眩しい>


<公園内ではB級屋台村が出店してました>


<昼間から飲むビールは格別>


<桜田門近くのお堀端>


<野花が綺麗な季節となりました>


<ランニングには最高の日和です>


<半蔵門から日比谷方面を見下ろす>


<麹町通り。普段は車で一杯のこの道もこの日はスキスキ>

何処に行っても人ごみのゴールデンウイークですが、ゆったり、マイペースでの東京散歩は、癖になりそうです。

2013年4月27日
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映画 『カルテット!人生のオペラハウス』 (Quartet)

2013-05-03 15:55:13 | 映画


 「カルテット! 人生のオペラハウス」を観た。イギリスの田園の中に建つカントリーハウスが元音楽家達が集まる老人ホームになっている。そこで余生を送る往年のオペラスター四人の愛、友情、誇りが描かれる。ダスティン・ホフマンの初監督作品である。

 ダスティン・ホフマンが監督ではあるが、BBC製作のイギリス映画である。イギリス映画らしい、実力俳優陣、気の利いた会話、風景の美しさが揃う中で展開する映画は、自然体で誇張がなく、好感が持てる佳作である。

 マギー・スミス、トム・コートネイ、ビリー・コノリー、ポーリーン・コリンズの俳優陣の熟練の演技が渋く、安定していて、スクリーンに揺らぎがない。特に、ウィルフ役のビリー・コノリーのちょい悪ジジイの役柄は、下品ながらもウイットが効いており楽しめた。私もあんな爺さんになりたいものだ。

 全編を通じて流れる音楽も耳に心地よい。椿姫、リゴレット、トスカなどのオペラの名曲やバッハ、シューベルト、ハイドンなどの曲も楽しめる。音楽の素晴らしさを再認識できる。

 カントリーハウス周辺のイギリスの田園風景も何とも美しい。イギリスの素朴な自然をそのまま切り取った映像にはうっとりさせられる。

 ほのぼのとあたたかい気持ちにさせられ、後味が良い映画である。

 ※公式サイトはこちら→



監督 ダスティン・ホフマン
製作 フィノラ・ドワイヤー スチュワート・マッキノン
製作総指揮 ジェイミー・ローレンソン ダリオ・ズーター

キャスト
マギー・スミス: ジーン・ホートン
トム・コートネイ: レジナルド・“レジー”・パジェット
ビリー・コノリー: ウィルフレッド・“ウィルフ”・ボンド
ポーリーン・コリンズ: セシリー・“シシー”・ロブソン
マイケル・ガンボン: セドリック・リビングストン
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加藤陽子 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 (朝日出版社)

2013-05-01 00:57:09 | 


 「戦争の日本近現代史」が面白かったので、同じ著者の本を探して読んでみた。2008年発刊なので、こちらの方が新しい。

 内容は、筆者が神奈川の名門私立高校、栄光学園の生徒(歴史研究会の面々だから、相当レベルは高い)たちに、明治以降の戦争について講義した5講を、書籍化したものである。扱っている範囲、トピックスは『戦争の日本近現代史』とほぼ同じで、重なる内容もあるが、「時々の戦争は、国際関係、地域秩序、当該国家や社会に対していかなる影響を及ぼしたのか、また時々の戦争の前と後でいかなる変化が起きたのか」をテーマに、より幅広く視野を取っている。

 中高生相手の授業を口述したものだから、簡単に読めるが、内容はとても濃いので、丁寧に読まないと、内容やロジックは頭に入ってこない。私には「戦争の日本近現代史」を読んだので、復習にもなって良かった。

 新しい事実としての学びは、日中戦争における思想家「胡適」の存在。 初めて知った名前だが、彼がほぼ完璧なまでに日中戦争や太平洋戦争の行方を予言していたのには驚いた。

 一方で、「戦争の日本近現代史」の感想記事でも書いたが、筆者の問題意識やロジックが明確な分、かえって史実の抽出の仕方、解釈の仕方についての妥当性について、読者が検証できないジレンマは残る。例えば、胡適の思想についても、その思想が極めてエッジの効いたものであることは理解できるものの、「こうした思想が国を支えた思う」とまでまで書かれると、「本当ですか?」「根拠は何?」と尋ねたくなる。

 また、相手が中高校生のためか、ロジックよりも筆者の思いが先行して読めるところが、所々あったのは気になった。史実を明確にして、必要な反省を行うことはもちろん賛成だが、筆者が心理的に中国寄りすぎるのでは?と読めるところは、違和感があった。

 ただ、真摯に歴史から学ぶという筆者の姿勢は尊敬に値する。本書は、きっと最近の安倍首相周りの人たちからは、自虐史観というレッテルを貼られかねない本であろうが、扇動的ではあるけども、「科学的」(真理を追究しようとするもの)とは思えず、「一時的に溜飲を下げるだけ」(p333)のアンチ自虐史観の人たちの本よりはずっと良いと思う。そういった意味で、本書は歴史の面白さと難しさの両方を学ばせてくれる本である。
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