その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ワーグナー/楽劇「ニーベルングの指環」 第三日 「神々の黄昏」 @新国立オペラ

2017-10-28 08:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 「指輪」の最終回を締めるに相応しい大熱演の舞台だった。休憩入れて6時間近くかかるが、長さを感じさせない。

 実力派歌手陣の安定したパフォーマンスはもちろんなのだが、私としては読響の演奏が一番印象的だった。飯守さんの音楽は実に開放的で奔放だ。この作品は、半年前にヤノフスキとN響も素晴らしい演奏を聴かせてくれたばかり。コントロール鋭く、引き締まった筋肉質のヤノフスキ/N響の音と比べると、精緻さという意味では及ばないが、より自由で伸び伸びしている。読響もリスクを取ってガンガン鳴らすし、気持ちが入っているのがよくわかる。第3幕の「シークフリートの葬送曲」は、涙なしには見てられない、聴いてられない。

 毎年、ヤノフスキ/N響の演奏会方式の秀演に接し、演技・演出なんかなくても良いじゃないかと思っていたのも覆された。第2幕の集まった郎党たちの合唱やブリュンヒルデの嘆き、第3幕のジークフリートの死などは演奏会方式では想像できなかった迫力がある。無時代的な演出も今回はしっくりはまっていた。

 歌手陣もさすが一流どころ。第1幕だけの出演だったが、ヴァルトラウテ役のヴァルトラウト・マイヤーの歌声は劇場の雰囲気を変える輝きを持っていた。ブリュンヒルデ役のペトラ・ラングは声量がもう少しほしい場面もあったが、演技が光っていた。逆に、ジークフリートのステファン・グールドは終始安定した歌唱。悪役ハーゲン役のアルベルト・ペーゼンドルファーも安定した演技と歌唱でこういう人がヒール役をやると舞台が締まる。

 今シーズンが芸術監督最終年となる飯守氏にとっても会心の出来ではなかっただろうか。


ワーグナー 「神々の黄昏」 @新国立オペラ

2017年10月14日14:00

スタッフ&キャスト
指揮:飯守泰次郎
演出: ゲッツ・フリードリヒ
美術・衣裳: ゴットフリート・ピルツ
照明:  キンモ・ルスケラ
演出補: アンナ・ケロ
舞台監督: 村田健輔

ジークフリート: ステファン・グールド
ブリュンヒルデ: ペトラ・ラング
アルベリヒ: 島村武男
グンター: アントン・ケレミチェフ
ハーゲン: アルベルト・ペーゼンドルファー
グートルーネ: 安藤赴美子
ヴァルトラウテ: ヴァルトラウト・マイヤー
ヴォークリンデ: 増田のり子
ヴェルグンデ: 加納悦子
フロスヒルデ: 田村由貴絵
第一のノルン: 竹本節子
第二のノルン : 池田香織
第三のノルン: 橋爪ゆか

合唱指揮: 三澤洋史
合唱: 新国立劇場合唱団/二期会合唱団
管弦楽: 読売日本交響楽団
協力 : 日本ワーグナー協会
芸術監督: 飯守泰次郎

フィンランド国立歌劇場(ヘルシンキ)の協力により上演

STAFF&CAST
Production:Finnish National Opera Photographer:©Karan Stuke

Conductor:IIMORI Taijiro
Production: Götz FRIEDRICH
Set and Costume Design: Gottfried PILZ
Lighting Design:  Kimmo RUSKELA
Revival Director: Anna KELO
Stage Manager: MURATA Kensuke

Siegfried: Stephen GOULD
Brünnhilde: Petra LANG
Alberich: SHIMAMURA Takeo
Gunther: Anton KEREMIDTCHIEV
Hagen: Albert PESENDORFER
Gutrune: ANDO Fumiko
Waltraute: Waltraud MEIER
Woglinde:  MASUDA Noriko
Wellgunde: KANOH Etsuko
Flosshilde: TAMURA Yukie
Erste Norn: TAKEMOTO Setsuko
Zweite Norn : IKEDA Kaori
Dritte Norn:  HASHIZUME Yuka

Chorus Master: MISAWA Hirofumi
Chorus: New National Theatre Chorus / Nikikai Chorus Group
Orchestra:  Yomiuri Nippon Symphony Orchestra
Cooperation: Richard-Wagner-Gesellschaft Japan
Artistic Director: IIMORI Taijiro

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吉村 昭 『海の祭礼』  (文春文庫、2004)

2017-10-25 08:00:00 | 


 先日読んだ『本物の英語力』で紹介されていた吉村昭氏の小説を手に取ってみた。江戸時代末期、日本に憧れ渡航したアメリカ人ラナルド・マクドナルドと長崎通詞(世襲役人で公式の通訳者)森山栄之助の交流が描かれる。小説ではあるが、実在の人物を描いた作品だ。

 長く続いた鎖国政策で閉ざされていた日本が、欧州列強の捕鯨ブームや経済侵略といった世界情勢の中、否が応でも列強からの開国要求プレッシャーを受ける。そうした時代の空気が良くわかる。

 限られたリソースの中で英語を学ぼうとする長崎通詞の苦労や努力にほどほど感心する。語学は習得の早い遅いは個人差があるだろうが、要はこの切羽詰まり感があるかないかの違いなのだろう。

 私には、黒船を迎えて慌てる当時の日本人と、グローバリゼーションの時代を迎えて「グローバル人材育成」を連呼する現代日本人が極めて相似形に見えた。あまり日本人のメンタリティというのは、幕末も今も変わってないのかもしれない。鎖国政策が残した「遺産」は大きい。

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N響 10月定期Cプロ/ 指揮:クリストフ・エッシェンバッハ/ブラームス 交響曲第2・3番

2017-10-22 09:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 エッシェンバッハさんの指揮は2011年2月にロンドン・フィルとのマーラー9番を聴いて(@ロンドン)以来の6年ぶりです。相変わらず、禅僧のような近寄りがたい雰囲気が満載ですが、77歳とは思えないが若々しさです。

 前半のブラームスの3番、後半の2番を通して、非常に引き締まって、無駄のない筋肉質な演奏でした。エッシェンバッハさんならではのアクセントが効いていて、いわゆる「名曲コンサート」ではないこだわりが印象的。個々のパートの美しさも格別で、交響曲2番でのホルンの香り漂うような調べやオーボエの心温まる音色がうっとりさせてくれます。

 聴衆の拍手も盛大で、演奏会後のツィートも絶賛の嵐でした。ただ、水を差すようで申し訳ないのですが、個人的には演奏の素晴らしさは差し置いて、満足度はもう一歩。一つには、振り替えた金曜日夜のコンサートということで、仕事モードを断ち切れておらず集中力不足だったこともあるのですが、前週に聴いた飯守さんの開放的で奔放とした「神々の黄昏」がまだ耳に残っていて、どうもこの日の演奏が、コントロールの利いた作られた音楽に聴こえてしまったからでした。

 今回は全くのマイノリティな私でありました・・・


2017年10月20日(金) 7:00pm
NHKホール
指揮:クリストフ・エッシェンバッハ

ブラームス/交響曲 第3番 ヘ長調 作品90
ブラームス/交響曲 第2番 ニ長調 作品73

No.1868 Subscription (Program C)
Friday, October 20, 2017 7:00p.m.
NHK Hall
Christoph Eschenbach, conductor

Brahms / Symphony No.3 F major op.90
Brahms / Symphony No.2 D major op.73

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鳥飼 玖美子 『本物の英語力』  (講談社現代新書、2016)

2017-10-18 07:30:00 | 


 いったい、いくつになるまで英語に時間(とお金)を費やすのか?我ながら、自分に呆れてしまう。それでも、もっとしっかり、正確に意思疎通したい、言い負かされないようになりたい・・・という欲は止まない。

 本書は英語力そのもの、学習法、実践への活用などの英語の諸側面について、エッセイ風に筆者の考えをまとめたもの。単語はコンテキストで理解する、ハチャメチャ英語と完璧主義の間を目指す、英語のスキル習得を目指すのではなく何かを英語でという内容重視の学習が良い、ライティングは英語的論理構成で書けるかが重要など、首肯できる指摘が多い。

 個人的に一番興味を持ったのは、江戸時代の長崎の通詞(世襲制で通訳を職業とする人)たちの英語学習法。現代と違い学習リソースが全く限られていた彼らの勉強は、私たちとは全く違った苦労があったようだ。吉村昭氏の小説に、彼らを取り上げたものがあるようなので、是非読んでみたい。
 

《目次》
第1部 英語は基礎力―発音、語彙、コンテクスト、文法
「なんで英語やるの?」
「発音」は基本をおさえる―「国際共通語」はハチャメチャ英語ではない
先立つものは「語彙」
「コンテクスト」がすべてを決める
話すためにこそ文法

第2部 英語の学習法―訳す、スキル、試験、デジタル、そして映画
訳すことの効用
英語はスキルか内容か
英語力試験にめげない、振り回されない
デジタルと英語教育
映画で英語
長崎通詞の英会話習得法

第3部 英語の実践―語学研修、留学、仕事
英語を書く
語学研修と留学
仕事に使える英語
英語学習は未知との格闘

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耳福、眼福の演奏会: N響10月定期Aプロ/指揮:下野竜也/ベルク 「ルル」組曲ほか

2017-10-16 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 とっても下野さんらしい個性的で工夫が感じられるプログラム。前半後半それぞれ、ウイーンで活躍したモーツァルトとベルグを対比させています。プログラムの受け売りですが、ウィーンの黄金期の始まりと終わりの対比でもあります。

 前半の「イドメネオ」序曲はモーツァルトらしい軽快さと(下野さんの味付けなのか)重厚さが併存した演奏。このまま一気にオペラを聴いてみたくなります。2曲目はベルグのヴァイオリン協奏曲。韓国系ドイツ人のクララ・ジュミ・カンさんの演奏を聴くのは初めてですが、黒地に金色、紫色、グレーの模様をあしらった衣装が目を引く上に、とっても美形な女性。おじさんは演奏そっちのけで、舞台に集中となりました。ヴァイオリンは線がやや細い感じでしたが、繊細な音色。まだ若いし、これからもちょくちょく来日して欲しいです。

 後半もモーツァルトの歌劇の序曲に始まって、締めはベルグの「ルル」組曲。オペラはロイヤル・オペラで一度見ています(ただ体調不良で2幕で退場)。正直、聴いていて、気分が高揚する類の音楽ではないのですが、難しい音楽を下野さんは上手く交通整理していて、とっても聴きやすかった。N響も各パートのソロさんの活躍といつものバランスの取れたアンサンブルが絶妙で、ベルグじゃないみたい。加えて、ソプラノはこれまた超美貌のモイツァ・エルトマンさん。胸元が空いたドレスが目茶セクシーで、3階席からはやや遠いのが難点でしたが、上から見下ろすのは良いです(?)。あ、もちろん、しっかり聴きました。出番は少ないですが、魔性の女の雰囲気が良く出てました。彼女が主演のオペラ「Lulu」のDVDがホールで売っていたので、買おうか買うまいかかなり迷いました。

 曲目と雨のせいだと思いますが、会場の入りは残念ながらいまいちでした。私の一列後ろなんか、まるまる全部空席でした。耳福、眼福の演奏会だったのに、もったいない。


第1867回 定期公演 Aプログラム
2017年10月15日(日) 開場 2:00pm  開演 3:00pm
NHKホール

モーツァルト/歌劇「イドメネオ」序曲
ベルク/ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出のために」
モーツァルト/歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲
ベルク/「ルル」組曲*

指揮:下野竜也
ヴァイオリン:クララ・ジュミ・カン
ソプラノ*:モイツァ・エルトマン

No.1867 Subscription (Program A)
Sunday, October 15, 2017  3:00p.m.  (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall 

Mozart / “Idomeneo”, opera K.366 - Overture
Berg / Violin Concerto
Mozart / “La clemenza di Tito”, opera K.621 - Overture
Berg / Lulu - Suite*

Tatsuya Shimono, conductor
Clara-Jumi Kang, violin
Mojca Erdmann, soprano*
 
 
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NHKスペシャル取材班 『縮小ニッポンの衝撃』 (講談社現代新書、2017)

2017-10-15 08:00:00 | 


 なぜこうした問題・課題が総選挙の争点・論点にならないのだろう。
 国の安全保障も大事だが、同様に国の大切な問題であり、必ず訪れる現象なのに。
 一地方自治体の問題ではないはず。
 政治家は見て見ぬふりをして、国民は気づいているのか、いないのか。
 ここ数年、選挙の度に、この国に絶望していく。


目次
第1章
東京を蝕む一極集中の未来
23区なのに消滅の危機
(東京都・豊島区)

第2章
破綻の街の撤退戦(1)
財政破綻した自治体の過酷なリストラ
(北海道・夕張市)

第3章
破綻の街の撤退戦(2)
全国最年少市長が迫られた「究極の選択」
(北海道・夕張市)

第4章
当たり前の公共サービスが受けられない!
住民自治組織に委ねられた「地域の未来」
(島根県・雲南市)

第5章
地域社会崩壊 集落が消えていく
「農村撤退」という選択
(島根県・益田市、京都府・京丹後市)

エピローグ
東京郊外で始まった「死の一極集中」
(神奈川県・横須賀市)

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バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ) /鈴木雅明 指揮/ モンテヴェルディ《聖母マリアの夕べの祈り》

2017-10-13 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 もう2週間以上経ってますが、記録のためアップ。

 心洗われるという表現がぴったりの演奏会。初めて生で聴くモンテヴェルディの音楽は、想像以上に神々しく清らかだった。

 BCJのアンサンブルが、私たちの時空を数世紀前に引き戻す。独唱陣のホールを貫く通る声に打たれる。中でもソフィ・ユンカーのソプラノは惚れ惚れする美声で、澄んだ清らかな歌声は俗界を超えて、天空に連れて行ってくれる。櫻田亮のテノールも良く響く。

 オペラシティのコンサートホールにいる自分が、16世紀の教会のミサでどこかにトランスしてしまったようだ。キリスト教とは何ら縁はない自分だが、強烈な宗教体験だった。


バッハ・コレギウム・ジャパン
モンテヴェルディ《聖母マリアの夕べの祈り》

日時:2017年9月24日[日]15:00
会場:東京オペラシティ・コンサートホール

[出演]
指揮:鈴木雅明
ソプラノ:ソフィ・ユンカー、松井亜希
アルト:青木洋也
テノール:櫻田 亮、谷口洋介、中嶋克彦
バス:シュテファン・フォック、加耒 徹
コルネット&トロンボーン:コンチェルト・パラティーノ
合唱と管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン

[曲目]
モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り

Sun 24 SEP
Concert Hall
15:00

Bach Collegium Japan
Monteverdi “Vespro della Beata Vergine”

[Artist]
Masaaki Suzuki (Cond), Sophie Junker / Aki Matsui (Sop), Hiroya Aoki (Alt), Makoto Sakurada / Yosuke Taniguchi / Katsuhiko Nakashima (Ten), Stefan Vock / Toru Kaku (Bas), Concerto Palatino (cornetto and baroque trombone), Bach Collegium Japan (Cho&Orch)

[Program]
Monteverdi: Vespro della Beata Vergine

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冨山和彦 『AI経営で会社は甦る』 (文藝春秋、2017)

2017-10-09 09:00:00 | 


 書籍としては既読感のある内容も多くイージーな作りに見えるが、富山氏らしい時代の本質を掴むような指摘も十分あり参考になった。

 私にとって、本書で目新しかったところは、本書の前半部分で展開されるAI時代が日本企業に与える影響。「AIの時代になって、デジタル革命がバーチャルな世界で完結するカジュアル(C)なB2Cの時代から、リアルでシリアス(S)な自動車、医療、サービス産業に波及し、量的・質的なブレークスルーが起こること」(いわゆるデジタル・トランスフォーメーションをわかりやすく解説)そして、「そこではハードとソフトの擦り合わせ・融合が必要となるため、日本企業が得意とする分野であり、デジタル革命に乗り遅れた感がある日本企業もまだまだ挽回できる」というところ。マクロな視点での指摘なので、読者は自分で自分の言葉で咀嚼しないと一般論で終わってしまうので、立ち止まって考えてみよう。

 さらに後半部分も参考になった。自分なりに要約すると、「日本企業の挽回のためには、優秀な人材の登用とそれを支える経営システムが重要となる。そのためサラリーマン型とプロ集団向けの1国2制度は不可欠となってくる。また、プロ集団をマネジメントするのはプロにしかできないが、かといって、プロ経営者といわれる人は、今求められている、10年単位でかかるようなサラーリマンDNAを入れ替えるといった経営改革は苦手であるので外から連れてくればいいというものはない」。

 後段に、オックスフォード大で研究生活を送る川上和也氏からのレポートが全文引用されているが、ここでいわれている技術とビジネスの組み合わせというのが、本書の肝であると思う。日本の技術者はここだけでも読みべきだ。

 筆者のいう通り、このリアルでシリアスなAI時代で日本企業は再びイノベーションの旗手となりうるのか?この1,2年で結果は出てしまうだろう。


【目次より】

◆はじめに AI時代の経営とは
技術的にスゴいことと儲ることは違う
L(ローカル)の風とS(シリアス)の風をつかめ
WhatよりもWhen,How,Whoの勝負

◆第1章 これがAI革命の真相だ
デジタル革命が「バーチャルの世界」から「リアルの世界」へ
「稼ぐ」構造が根こそぎ変わる
産業革命の核心はAIの進化と「S(シリアス)の世界」
大自動化革命ではタブーの少ない日本に勝機あり
オープンイノベーションとブラックボックス化
日本の自動車メーカーは生き残れるか

◆第2章 なぜ日本企業が有利なのか
ハードとソフトの融合が焦点に
ハイブリッド経営システムを構築せよ
モノづくり日本にチャンスあり
ローカル型産業、中小企業にはもっと巨大なチャンス到来
ターゲティング型の産業政策はもはや通用しない

◆第3章 日本企業がとるべき戦略
天才技術者を雇うには
一国二制度で異質なものと共存する
プロ経営者の改革がうまくいかない理由
リアルキャピタルからヒューマンキャピタルへ
産学連携で人を育てる

◆第4章 AI時代のリーダー像・働き方
分断される「Gの世界」と「Lの世界」
真のグローバル人材を目指すには
AI時代に残る仕事、なくなる仕事

◆おわりに 千載一遇のチャンスをつかめ

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奈良 仏像ツアー 最終回 (こちらもお勧め 斑鳩の里ウォーク)

2017-10-07 08:00:00 | 旅行 日本
 2日目は、斑鳩の里へ。斑鳩は奈良駅から列車で20分弱。長閑な田園風景の中に、三塔の寺と言うことで法隆寺、法輪寺、法起寺がある。

 まずは、日本を代表するお寺とも言える法隆寺へ。世界最古の木造建築であり、日本人なら誰もが知っている聖徳太子のお寺であり、「柿食えば 鐘がなるなり 法隆寺」の寺だ。607年の創建と伝えられている。

 JR法隆寺駅から20分ほど歩いて法隆寺に到着。日本初の世界遺産認定を受けたところだから、観光客でごった返しているのかと思ったら、団体客はいないし、人影もまばらで寂しいぐらい。夏とも秋ともつかない中途半端な季節感ではあるけど、心地よい気候の中で院内を散策するのは、日常を忘れ気持ちを落ち着かせる貴重な時間だった。

 飛鳥時代に建てられた日本最古の塔であり、国宝でもある五重塔の姿が美しい。その隣には金堂。飛鳥彫刻を代表する釈迦三尊像がある。前日に感じたことだが、やっぱり仏像は寺で観るに限る

《五重塔》


《金堂》


《大講堂》

 そして、「飛鳥彫刻きっての名品として知られる百済観音像」を初めとして法隆寺所蔵の名品が設置された大宝蔵院も素晴らしい。ため息が出るほど。気ままに廻っていると、いつの間にか2時間近くが過ぎている。

 続いて、法隆寺に隣接する中宮寺で半跏思惟像(国宝)を見、その姿に心が和まされる。

 法輪寺へは長閑な田園風景の中のウォ―キング。久しぶりに、自然の中に身を浸らせている感覚。




《法輪寺の塔が見えてきた》

 法輪寺には三重塔がある、かつては国宝指定された斑鳩三塔のひとつだったのだけど、1944年に炎上し1975年に飛鳥様式に従って再建されたとのこと。講堂に所狭しと設置してある仏像群が素晴らしい。他の観光客もほとんどいなかったので、仏像の前で一人座りこみ、仏様と会話。「完存する飛鳥時代の木彫如来像としては唯一・最大のもの」(HP)といわれている薬師如来坐像や本尊の十一面観音菩薩立像を初め、数々の重要文化財が設置してある。ここには1時間弱ほど滞在した後、更に徒歩で15分ほど歩き法起寺へ。


《法輪寺の三重塔》


《聖徳太子の皇子 山背追大兄王の墓所とされる》

 法貴寺はこれまた706年に建立されたとする「現存する我国最古」の三重塔がある(HP)。池に咲いた蓮の花が映え、実に絵になる風景だ。塔の中には入れない。が、講堂内にある仏像も見事。





 斑鳩での仏像三昧の1日を終え、法隆寺駅に向かう帰路途中に、偶然、斑鳩町ふれあい交流センターという福祉施設に入浴施設があることを知り、立ち寄る。温泉ではないけど、散策の汗を逃すには最高。値段も銭湯並み。大浴場には私を入れて3名ほどしかおらず、大広間にもおばあさんが1人でテレビを見ているだけだった。明らかに、従業員の方の方が、訪問者よりも多い。気持ちばかりの喫茶メニューがあったので、かき氷を一杯。風呂あがりのかき氷は最高だ。



 ゆっくりしていたら、夕方に近づいてきたので、東京へ向かう。

 久しぶりの奈良は期待以上に楽しめ、是非、近いうちにまた訪れたいと思った。今まで飛鳥時代の6-8世紀という時代区分は、私としては、日本史で必要最小限のことを暗記する以外は関心の外だったのだけど、この時期にこれだけの仏像や建築物を建てる技術があったこと、海外から渡来した仏教と言う宗教・思想の受容期であったこと、更に本格的に国家作りを始めた時期であることなど、初めてこの時代の面白さに気付かされた。これからこの時代の事についてもう少し真面目に知ってみたくなった。

 2017年9月3日





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村上ワールドてんこ盛り: 村上春樹 『騎士団長殺し  :第1部 顕れるイデア編 』/『騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編 』

2017-10-01 08:00:00 | 
  

村上春樹の小説には、学生時代にどっぷりはまったましたが、ここ10年くらはエッセイとか対談は読んだけど長編小説はすっかりご無沙汰でした。久しぶりに読んだ村上作品は、氏独特の村上ワールド満載で、場所・時間を忘れて没頭しました。メタファー、冒険、地下世界、音楽、sexなどなど、村上ワールドの構成物がてんこ盛りの物語です。

 地に足が着かない浮揚感、現実的にあり得ない話なのに、不思議なリアリティを感じる世界。本は閉じても、なかなか自分の中の心象世界は、本の世界から離れられない。文体はライトだけど、描かれる世界は決してライトではない。

 本書の読書期間中はほとんどスマートフォンを触れることはありませんでした。自分にとっては、SNSの世界を追いかけるよりも、良質な物語を追いかけるほうが、明らかに人生の充実感を感じることができるということを認識させされた1週間でした。

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