(だらだらと綴ってきましたが、今回が最終回)
最終日は早朝から活動。混雑激しい奈良公園近辺は朝に限るということで、東大寺の開門7:30に合わせてホテルを出発。人気の少ない朝の寺院は気持ちがいい。東大寺はいつも「何回か行っているし、今回はパスかな」と思いつつも、来ると必ず感嘆する。歴史の重さを感じる南大門も、大仏殿も大仏もでかく、その威容はさすが。やっぱり、キング・オブ・奈良だね。
<南大門>
<大仏殿>
<奈良の大仏とは俺のことだ~と言わんばかり>
大仏の後は、この日の目玉の三月堂(法華堂)に。『見仏記』のみうらさんが絶賛の見仏どころである。隣接する念仏堂では、月に一度のお坊さんが集まっての勤行が行われていて、雰囲気が高まる。中に入ると、おーと思わず声をあげたくなる宇宙が存在していた。
本尊不空羂索観音菩薩を中心に梵天、帝釈天、金剛力士(阿吽)、四天王らが配置されている。この物言わぬ仏たちの威圧感や迫力はなんなんだろう。気が付いたのは、法華堂の仏像の迫力の一つはその配置にあると感じた。他のお堂とどう違うのかは分からないが、ただ並んで置いてあるというよりも、芝居途中にストップがかかったような、躍動感・立体感を感じる置き方になっている。私が思い出したのは、『マクベス』の第3幕。マクベスが暗殺したバンクォーの亡霊が、将来の王家をなす彼の子孫たちが行列するさまをマクベスに見せるシーンだった。東大寺ミュージアムができるまでは、ここには日光菩薩像、月光菩薩像ら6体があり計16体の陣容だったいう。今でさえ、この迫力なのだからさぞかし壮観だったろう。
堂内に拝観用に畳み仕様で腰掛用の小上がりがあった。ああ、ここか、みうらさんが寝っ転がって拝仏すると書いてあったところはと、納得した。そしたら、その小上がりには「寝ないでください」との注意書きのボードがあって笑った。「見仏記」の読者がみうらさんの真似をしているに違いない。
<本尊の不空羂索観音:胸の前の手の間には水晶玉が挟まれているらしいが良く見えない>
三月堂を出て、朝食を奈良公園バスターミナル内にオープンしたてのスターバックスでとった後、市内の至る所に貼ってあって気になっていた「ヨルク・シュマイサー 終わりなき旅 」の県立美術館がすぐ裏にあることを知り、立ち寄る。ここがまた素晴らしかったのだが、これは別のエントリーで紹介したい。
いったん、ホテルに戻ってチェックアウト。そして、最後の見仏に、「古都奈良の文化財」の一つとして世界文化遺産に登録されている元興寺(がんごうじ)へ。ここは、「世界文化遺産・日本最初の本格的伽藍である法興寺(飛鳥寺)が平城遷都にともなって、蘇我氏寺から官大寺に性格を変え、新築移転された」お寺である(元興寺HP)。
興福寺や東大寺に比べるとマイナーなおかげか、奈良中心部の割には観光客はさほどでもなく、素朴で落ち着いたお寺らしい雰囲気を醸し出していて良い。国宝の本堂のなかは、風が通って涼しく、外の日差しと暑さを忘れさせてくれる。日本の建築というのは冬のことは考えてなくて、いかに夏を凌ぐかを考えて作ってあるというのはその通りだろう。ブツ(仏)的には国宝クラスはないのだが、スタンダードで落ちついた阿弥陀如来坐像や聖徳太子立像などの重要文化財らにも癒された。
〈国宝 極楽堂(本堂)〉
〈国宝 禅室〉
以上で今回の奈良・見仏ツアーは終了。見仏は当分いいやと思うほど十二分に楽しんだが、それでも東大寺のミュージアムや戒壇堂、興福寺の中金堂や南円堂には行けてない。奈良見仏の奥深さをいやというほど思い知らされる。「まだまだ行くとこあるし、また戻って来ないと」思いながら、眩しすぎる初夏の陽ざしを3日間浴び続けた火照った体を引きづりながら、東に向けて帰路についた。
<しかまろくん、さようなら~ @JR奈良駅>
2019年5月3日~5月5日
(おわり)