その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

身近な秋のスナップ

2013-10-31 00:15:20 | 日記 (2012.8~)
 台風の影響で2週連続の雨の週末になりそうでしたが、日曜日は秋晴れとなりました。近所をランニングした際のスナップです。


≪いかにも秋の野草ですね≫


≪前日までの雨のお陰で小川にも水がいっぱい。カワセミも餌探しで活発に動いてました≫

 もう今週後半からは11月ですね。1年が早い。

 2013年10月27日撮影

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

横田 増生 『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』 (朝日文庫)

2013-10-29 06:16:21 | 


 アマゾンの物流センターに潜入し、そのオペレーションや労務管理の実態を報告するルポ。新書版の本書は、単行本として出版された内容を第一部として、その後の追加取材を第二部として加えた二部構成になっている。

 単純に内部暴露本として興味深く読んだ。第一部ではアマゾンの徹底した効率主義、その現れとしてのアルバイト管理手法など、ネットによる書籍販売で業界に革命をもたらしたアマゾンの現場が肌感覚で伝わってくる。年次報告書や新聞・雑誌のレポートでは窺い知れない舞台裏である。

 また第二部ではアマゾンのマーケットプレイスの儲けの仕組みを知ることができる。マーケットプレイスが、プラットフォームを提供するアマゾンが実入りが大きく、いかに出品者には儲からない仕組みになっているかも理解できる。ブックオフ社との不透明な取引があった(アマゾン者は否定)というのも初めて知った。

 ただ、著者の記述そのものは、本書の構成や作りのせいか、もしくは書き方のスタイルのせいか、経験に裏打ちされた深い考察というよりは、「軽さ」を感じるのは残念だ。再販制度に関する考察も物足りない。それでも、アマゾンの物流に目を付けたセンスはなかなかだと思うし、これだけ社会的影響力を増した企業について、内部に入り込んで光を当てたことは意義があると思う。

 ルポルタージュとしての完成度、洗練度は高くはないが、アマゾンに興味のある人は読んで損がない一冊。

★★☆☆☆

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

茶目っ気爺さんノリントンの変態べト5 N響定期Cプログラム

2013-10-26 09:56:15 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 内輪ネタですが、ロンドン滞在時のクラシック・ブログ仲間の間で、変態指揮者と言えばロリン・マゼール氏と決まっておりました。特に、一昨年のシーズンのマーラー生誕150年にちなんだフィルハーモニア管マーラー・チクルスでは、毎回、マゼールさんがどんな変態ぶりだったかが話題でありました。さて今日の指揮者はロジャー・ノリントンさん。ツイッタ―を拝見していると、かなり意表をついた指揮をなさるということは窺い知ってはおりましたが、まさかマゼール氏に勝るとも劣らない、これほどの変態指揮者とは初めて知りました。

 トップバッターのレオ―レ。それほど聴きこんだ曲ではないのですが、冒頭からえらいスローペース。こんな曲だっけなあ~と首を傾げて聴いておりましたが、中盤過ぎからは通常ペースに戻った感じ。オペラの「フィデリオ」は全くもって真面目過ぎて面白くありませんが、ノリントンさんはこの序曲をスケール感豊かに、まさにこれから始めるドラマが目に浮かぶような音楽を聞かせてくれました。
 
 2曲目は、これまたベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。ここではノリントンさんの変態ぶりはオーケストラの配置にありました。ピアノは蓋を外して、舞台前方の真ん中から舞台奥に向けて置いてあります。なのでピアノ演奏のラルス・フォークトさんは聴衆に背中を向けて座ります。そして、オーケストラは舞台中央を囲むようにほぼ円形に並びます。ですからヴァイオリンは聴衆に後ろ斜め姿を見せるような形です。そして、ノリントンさんはどこに居るかと言うと、舞台中央。ノリントン氏を中心にオーケストラとピアノが取り囲んでいるような陣形です。ノリントン氏は観客に正面を向きつつ、後ろに座る管陣も振り返りながら、360°全方位を使った指揮です。

 それにしても、このお爺さん、楽しそうに棒を振りますね。力を入れない脱力系の指揮ぶりですが、表情豊かで余裕がある。棒の上げ下げは、まるで空中を浮遊する綿を手で受け止めるような繊細なところもあります。ちょい悪な印象も持つ茶目っ気たっぷりな雰囲気は、真面目一辺倒な感じがする先月の指揮者ブロムシュテッドさんと好対照です。

 しかし、ノリントン爺さんに劣らず、ラルス・フォークトさんのピアノは見事でした。質実剛健かつ柔軟さも持ち合わせた、正攻法のピアノ演奏です。奇をてらったところは全く感じないと言って良いストロングスタイル。その指から紡がれる音楽は、強く、そして時に優しい。決して「俺のピアノを聴け!」というぐいぐい押してくるようなアプローチではなく「この音楽の素晴らしさを味わってほしい」と言わんばかりの確実で正確な演奏。そして、その音楽は聴いていて「この音楽が聴けて良かった、本当にありがとう」と思わせてくれるものでした。

 そして、休憩挟んでべト5。これはもう変態の本領発揮。第一楽章からこんな「運命」聴いたことがないと言いきれるほど、緩急自在、強弱無尽の演奏。最初からホントに目が点になりました。第一楽章は特急演奏。それも、ただ早いだけでなく、微妙なスピードコントロールや強弱のアクセントがついて音楽が立体的。冒頭から聴衆を驚かせるに十分です。第一楽章終了とともに自然と拍手が起きたのも納得です。(ノリントンさんも後ろを振りかえって、なんか嬉しそうでした)

 第2楽章以降もサプライズの連続。「おっと、こう来たか~」と唸ってばっかし。完全にノリントン爺さんのペースにはめられた感じでした。 そして、そのノンリントンの細かい芸をしっかり受け止め、応えるN響もさすがです。木管を其々4名も揃えた迫力抜群の演奏は、いつものN響の落ち着いた感じがする音とは異なった晴やかなものでした。三階E席での鑑賞ですがNHKホールが全然広く感じないです。

 驚愕の30分余りが終わると、夢から醒めたような大拍手。なんかサーカスでも見た感じ。ノリントン爺も、オーケストラを讃えつつ、ニコニコと盛大な拍手を受け止めていました。

 それにしても、その時代の奏法を踏まえたノン・ヴィヴラート奏法で有名なノリントン氏ですが、今日の演奏を当のベートーヴェンさんが聴いたらどう思うのでしょうか?プログラムのインタビュー記事で、ノリントン氏がベートーヴェンは「魂が揺り動かされる崇高なものではなく・・・最高に面白いゲームのようなもの」と言っているのを地で行く演奏会だったわけですが、是非、ベートヴェンさんの意見をきいてみたいものです。

 「大いに感動!」と言うよりも「あ~、楽しかった!」という感想がぴったりの演奏会でありました。




NHK交響楽団 第1765回 定期公演 Cプログラム
2013年10月25日(金)開演 7:00pm

NHKホール
ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番 作品72
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37
ベートーヴェン/交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」

指揮:ロジャー・ノリントン
ピアノ:ラルス・フォークト

No.1765 Subscription (Program C)
Friday, October 25, 2013 7:00p.m. (doors open at 6:00p.m.)

NHK Hall

Beethoven / “Leonore”, overture No.3 op.72
Beethoven / Concerto No.3 c minor op.37
Beethoven / Symphony No.5 c minor op.67

Roger Norrington, conductor
Lars Vogt, piano


<雰囲気だけでも>


※最後に一言・・・
 たまに自由席のE席で、隣席にカバン等の私物を置いて席をブロックしてる、自分勝手な輩がいる。今日の私が座った席の隣席にもカバンが置いてあって、誰のだろうと思っていたら、結局その更に隣の席の人のものだった。右サイドのゾーンではあるがD席ゾーンと隣り合わせの前から2列目の席でE席としては最良のエリアだったので、もしかしたら座りたい人も居たかもしれない。前にも似たような常識に欠けた音楽ファンが居た。こんな自分勝手な人は来ないで欲しい。


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リチャード・ブラント (著) 『ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛』 (日経BP)

2013-10-24 18:38:29 | 


 この秋は改めてインターネットビジネスについて集中して本を読んでみよう思い、手始めに電子流通の巨人となったアメリカのアマゾン社に関する本を手に取った。著者のリチャード・ブラントはサンフランシスコ在住のテクノロジーについてのライター。翻訳版は2012年10月初版だが、原書は米国で2011年に著作権がついている。

 Amazon社の誕生から現在までの成長を、社長のジェフ・ぺゾスの生い立ちからの半生を含めて追いかける。米国のこの手の企業や経営者を紹介する本は、ジョブスの伝記が上下2巻だったように(私は読んでないけど・・・)、かなり厚く、細かい記述が含まれる場合が多いと思うが、本書は極めてコンパクトかつ平易に書かれていて、気楽に読み進めることができる。

 本書を読むと、アマゾンの強さは、強い顧客志向、徹底した規模の経済と先行者利益の追求、そしてそれらを実現させるぺゾスの情熱にあることが良く分かる。出版という既存の業界の秩序を破壊し、新たなビジネスモデルを立ちあげ、それを世の中の新たな秩序として打ち立てていく。なんというパワー、エネルギーだろう。

 そして今は、宇宙旅行の商業化を目指して活動している。自分の思考や行動の枠を遥かにこえたスケール感に触れていると、いつかぺゾスは本当に実現させてしまうのではないかと思う。米国IT起業家の情熱とエネルギーにただただ圧倒されるばかりだった。

★★☆☆☆

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

俺はいつから雨男になったのか? @荒川タートルマラソン国際大会

2013-10-20 16:11:22 | 日記 (2012.8~)

≪会場風景≫

 もともとは晴れ男のはずなのだが、今年は徹底的に雨に祟られてる。

3月 熊谷さくらマラソン @熊谷 くもり
4月 かすみがうらマラソン @霞ヶ浦 雨
8月 火祭ロードレース @富士吉田 雨
9月 巨峰の丘マラソン大会 @山梨市牧丘町 大雨のため棄権

と、一度も晴れた日が無いし、既に3大会連続雨だ。

 そして、今日も雨。それも、強風と大雨。どうしたことだろう。

 それでも、「今回こそは走るぞ」と意気込んで会場までは出かけた。

 が・・・・・、吹きっさらしの河川敷を殴りつける雨を見て、すっかり意気消沈。ハーフを走ることはできても、着替える場所さえ見つけることができそうもない雨の荒川河川敷では、ラン後に体調を崩すことは必然。ここは、大人の判断で、なくなく諦めた。

 これで2大会連続の雨のための棄権。わが身の不運が恨めしい。再来週はいよいよ湘南国際マラソンなのだが、大丈夫だろうか?

 それにしても、この雨の中、多くのランナー達が元気よくスタートして行ったのは凄いね。事前に送付されたレースパックには熱中症にならないようにという注意喚起の書類が入っていたけど、むしろ低体温症にならないように気をつけてほしい。

 今日の唯一の救いは駅に向かう帰路にあった団子屋さん。あんこ団子とみたらし団子がホントーに美味しかった。

 2013年10月20日
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

津野田興一 『世界史読書案内』 (岩波ジュニア新書)

2013-10-19 19:59:08 | 


 先日読んだ『やり直しの世界史』が面白かったので、同一著者の本を当ってみました。本書は著者が執筆当時に勤務していた都立西高校の世界史の授業で配布していたプリントをベースとしたブックガイドです。

 もともとは高校生向けかもしれませんが、十分大人のブックガイドとしても使えます。紹介されている本は新書が多いので、これからの本選びの参考として役に立ちそうです。お勧めポイントが明確な紹介文に読書欲がそそられます。

 図書館で借りた本ですが、買って手元に置いておきたい本です。

★★★☆☆

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

多摩川遊歩道を走る

2013-10-16 22:48:33 | 日記 (2012.8~)
 天気に恵まれた3連休の最終日、体育の日にちなんで(?)、多摩川を上流に向い2時間走にチャレンジしました。

 出発は小田急線の和泉多摩川駅から徒歩3分ほど行った多摩川の土手。そこからひたすら土手沿いの遊歩道/サイクリングコースをゆっくり走ります。


《調布エリア イギリスのような青空でした》

 ちょっと暑いぐらいの秋晴れの中、開放感一杯の多摩川土手を走るのは何とも気持ち良いです。河原にはススキが生い茂り、もう秋の雰囲気も満載です。調布市内は100mごと、府中市内は500mごとに目印がつけられているので、自分のペースも良く分かり、走りやすい。


《河原のススキが綺麗です》

 行政区分で言うと狛江→調布→府中→国立→日野と南多摩地区を通り抜けます。日野市の甲州街道のバイパスの橋に来たところでほぼ2時間経ったので、ランニング終了。自宅近くを走るときや、ロードレース大会の時は、通常、周回のコースですが、こうやって片道コースで走ると、同じ20キロ近い距離でも思いのほか遠くに行けます。


≪京王線聖跡桜ケ丘駅手前≫

 いい汗かいた充実した体育の日でした。


 2013年10月14日

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ターナー展 @東京都立美術館

2013-10-13 06:32:15 | 美術展(2012.8~)


 ロンドン在住時に幾度も足を運んだテート・ブリテンのターナー・コレクションが上野にやって来るとあれば行かないわけにはいかない。いつもは会期終了間際にあわてて駆け込む美術展だが、今回は開幕早々に出かけた。

 正直言うとテート・ブリテンでは、ターナーの絵はじっくり見ると言うよりは、いつも何となく見ていたし、似たようなモチーフの絵がとっても沢山あるので、今回来日した展示作品を観ていると「こんなのあったけなあ~」という絵が沢山あった。リッチモンド・ヒルからの風景画(これはテート所蔵ではないが)や旅行で出かけた湖水地方のバタミア湖の絵など、懐かしい再会が幾つかあった。ターナーの絵にはイギリスの風土が染み込んでおり、絵そのものから描かれた風景を超えたイギリスの匂いを発している。涙が出そうになった。


《バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨》
1798年発表 油彩、カンヴァス 88.9×119.4cm


≪2010年10月に訪れた湖水地方の風景 バターミア湖ではなかった気がするが雰囲気は同じ≫

 私自身がそうだったが「ターナーの絵はちょっと」と思う方は是非、本展覧会に足を運んで、ターナー漬けになってみてほしい。回顧展なので、若き日(14歳で王立美術学校へ入学)から晩年に至るまでのターナーの絵が鑑賞できる。きっとイメージが変わるに違いない。イギリスやイタリアの風景画が山盛りで、この展覧会だけでバーチャル欧州・英国旅行も楽しめる。イギリスの風景画とイタリアの風景画の光の違いを是非、楽しんでほしい。イタリアを描いた絵には、イギリスから南欧に旅して人が感じる強い太陽の光に対する羨望が滲み出ている。

 いつもながらであるが、夜間開館日の閉館1時間半前入場をお薦めしたい。ゆっくり、マイペースで鑑賞できる。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

堤 未果 『(株)貧困大国アメリカ』 (岩波新書)

2013-10-11 07:16:13 | 


 筆者によるアメリカ現代社会レポート第3弾。本書も、新聞記事などで単発的には目にしても、情報としてまとまって触れることの少ないトピックスについて詳しく陽をあてているところはとても参考になる。今回は、多国籍企業による寡占化や遺伝子組み換え作物が浸透する中での食料の安全性の問題、民営化が進む公共サービスの状況、企業・業界の政府への影響力強大化といった問題を取り上げている。

 米国でこれだけの遺伝子組み換え食物が流通している(表示もしていない)ことや、自由貿易の拡大によりアメリカの食物を世界市場に浸透させていくアメリカの「世界戦略」については私も認識不足だった。現在議論中のTPP交渉も、こうした米国の世界戦略の一環で、「脅威」が日本にも迫りつつあることが分かる。

 一方で、前著の2冊の感想でも指摘したが(その1→その2→)、筆者のライティングスタイルは本書においても違和感が残る。

 一つは事実と非事実の区別がつきにくい扇動的ともいえる文章である。

 例えば「(チャータースクールにより)デトロイトでは教育難民となった子どもたちが路上にあふれ、失業した教師たちは州を出るか、食べていかれずにSNAP(フードスタンプ)を申請することになった(p173)」。2年ほどミシガン州に住んだ個人的経験に照らしても、中国の都市部やインドじゃあるまいし、デトロイトで教育難民となった子どもたちが路上にあふれるなんてことは事実としてはありえないだろう。筆者にすれば、一つの比喩的表現だということになるのかもしれないが、文学作品でないのだから、こうしたノンフィクションは事実を的確に読者に伝えるのが大切で、読者の感情に訴えて事実を煙に巻くことではないはずだ。これはあくまで細かい一例であるが、本書は極めて事実と事実っぽいものの判断がつきにくい。

 二つには、「企業対市民」といった極めて単純な2項対立に問題を押し込めて、対案のない万年野党的な批判が続く違和感である。筆者の批判的精神は敬意を表したいが、昭和時代の「保守対革新」にも似た紋切り型の構造化や一方的な企業批判はあまりにも単純すぎないか?また、評価がまだ定まっていない「遺伝子組み換え食物」についても無条件に悪と決めつけている恣意性も気になる。

 三つ目は、筆者の報告や主張を裏付ける情報源の提示が少ないことである。本書の情報は多くが、関係者からのインタビューで成り立っている。当然、インタビューの聞き取りや解釈には、筆者なりの文献やインターネットでの情報収集があったと思う。しかし、そうしたデータの出典については開示が無い。ごく一部の、それも主に批判側からのインタビューだけで客観的なレポートはできないだろう。少なくとも参考文献の掲載は必須と考える。

 上記のような問題点(大袈裟で扇動的な文章、単純な構造化、出典の不明示)のため、せっかく優れた問題提起を行っているにも関わらず、本書は「胡散臭い」、もしくは「昭和時代のいわゆる左翼市民運動のプロパガンダ的」な匂いを放ってしまっている。とても残念であるので、岩波書店編集部は是非、過去の2冊も含めて、新書版で無くても良いので十分なページ数を与えて、より信頼性を高めた改訂版を出版してほしい。

★★★☆☆
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

散歩 武蔵野の秋

2013-10-08 07:12:24 | 日記 (2012.8~)


 最近、季節感の無い記事ばかり続いているので、たまには季節を感じる投稿を。国体開催中の味の素スタジアムの近くにある公園で、コスモスが一杯に咲いていました。秋、ど真ん中ですね。

 2013年10月6日
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

散歩 武蔵野の秋

2013-10-07 20:26:02 | 日記 (2012.8~)


 最近、季節感の無い記事ばかり続いているので、たまには季節を感じる投稿を。国体開催中の味の素スタジアムの近くにある公園で、コスモスが一杯に咲いていました。秋、ど真ん中ですね。

 2013年10月6日

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京国体 陸上競技 @味の素スタジアム

2013-10-07 06:58:39 | 日記 (2012.8~)
 

 初めて国体(国民体育大会)なるものを見に行ってきました。いつもはFC東京の応援で出かける味の素スタジアムですが、陸上競技場に変っていました。このスタジアムにトラックのラインが引かれているのを見るのも初めてです。

 もっとお客さんが居るのかと思いきや、意外と空いていました。選手やコーチ、またその応援の方々が目につきましたが、私のような一般のお客さんはそう多くはなさそうです。

 競歩、110mハードル、800m走などのトラック競技からやり投げ、砲丸投げ、高跳び、棒高跳びなどの投てき、跳躍競技まで全般に行っていたので、こうした競技を初めて生で見る私にはとても新鮮で楽しめました。陸上選手が走る姿は、男女を問わず美しいですね。

 今日初めて実感したのですが、国体って県対抗の運動会なわけですね。「XXX県が優勝」と言った見出しを新聞で毎年見ているので、何を今更という感じもありますが、選手紹介もリレーのチームも県単位なので、改めて納得した次第です。

 前日の終日雨天気のストレス(もっとも選手はその天気の中も競技をしていたわけですが)を吹き飛ばしてくれた選手達の熱い闘いでした。

 2013年10月6日

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

堂場瞬一 『チーム』 (実業之日本社文庫)

2013-10-06 05:50:11 | 


 箱根駅伝に出場する「学連選抜」チーム(箱根駅伝の出場を逃した大学から選抜された選手で構成する)を描いたスポーツ小説です。家族が読んでいたのを、廻してもらって読みました。作者の堂場瞬一さんの作品は全く初めてです。

 学連選抜という切り口、キャラの立った登場人物、ディテールまで踏み込んだリアリティある選手の心理描写など、読者をぐいぐい引き込む魅力に満ちています。ラストにはしっかりお涙ちょうだいの仕掛けも用意されています。

 さわやかな気持ちになれる青春スポーツ小説で、手軽なエンターテイメントとして楽しめます。お薦め。

★★★☆☆

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

姜 尚中 『悩む力』  (集英社新書)

2013-10-04 22:58:59 | 


 著者の姜さんはTVのニュース番組でコメンテーターとして出演しているのをたまに見ています。落ち着いたアカデミックな語り口に不思議な説得力を感じる人という印象です。本書は2008年に出版された本で、当時はベストセラーの一覧に名を連ねていたので気になっていた一冊でした。夏目漱石とマックス・ウェーバーの作品や思想を引用しながら、「私」「金」「青春」「宗教」「労働」などの哲学的テーマについて語ります。

 ただ、残念ながら本書は私には合わない一冊でした。筆者の頭に浮かんで来た考えをとりとめもなく文章にしたような叙述は、まどろっこしくて、イライラするぐらいです。中身も、学識の引き出しからテーマに合うものを適当にあてはめたパズルのようなもの(それはそれですごいのでしょうが)で共感できるものではありません。

 アマゾンのレビューでも賛否両論に分かれているのを見て、私が必ずしもマイノリティでないことは確認できましたが、この本に共感する人もいるんだとちょっとびっくり。それより何よりも姜さんの好印象が一気に崩れたのが残念でした。

★☆☆☆☆

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画 『シカゴ』 (Chicago)

2013-10-02 20:17:05 | 映画

 劇場ミュージカル版をロンドンで見たが、本作はその映画版。私の無知だったが、この映画は2003年のアカデミー賞を作品賞をはじめとして計6つも受賞している。

 ストーリーは劇場版とほぼ同じで、シカゴで成功を夢見てジェットコースター人生を歩む女性の物語。ミュージカル映画だが、「レ・ミゼラブル」のように全編歌で通すわけではないので、あまりミュージカル映画っぽくない。

 劇場版以上にシニカルなブラックジョークが効いていて楽しめる。上昇志向の強い女性たち、裁判はショーと割り切り、フィーは高いが依頼人を必ず勝たせる弁護士など、ステレオタイプ的なアメリカ社会、アメリカ人価値観が描かれている。そして、それを第三者的に皮肉った歌詞が、観ているものをクスッと笑わせる。

 残念ながら歌やダンスの迫力は生のミュージカルには敵わない。一方で、映画のほうが人物描写は細かいので、登場人物への投入感(尤もどの登場人物もあまり共感できるタイプの人物ではないが)は高まる。

 正直、アカデミー作品賞を取るほどまで完成度の高い作品とも思えなかったが、良く出来た映画であることは間違いない。


スタッフ
監督ロブ・マーシャル
製作マーティ・リチャーズ
製作総指揮ニール・メロンクレイグ・ゼイダン、ジェニファー・バーマンサム・クロザーズ、メリル・ポスター、ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン
脚本 ビル・コンドン
原作 ボブ・フォッシー、フレッド・エッブ
撮影 ディオン・ビーブ
美術 ジョン・マイヤー
音楽 ダニー・エルフマン、ジョン・カンダー
振付ロブ・マーシャルキャスト、

キャスト
レニー・ゼルウィガー:ロキシー・ハート
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ:ヴェルマ・ケリー、
リチャード・ギア:ビリー・フリン
クイーン・ラティ:ファママ・モートン
ジョン・C・ライリー:エイモス・ハート

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする