その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ミッキー最後の都響定期:都響定期A/井上道義/ ショスタコーヴィッチ交響曲第6番ほか

2024-06-09 07:59:21 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

かつて都響の「作曲家の肖像」シリーズなるものの会員になっていたことはありますが、今シーズンから初の定期演奏会(Aシリーズ)のメンバーになりました。今季最初の演奏会が、今回で都響との共演は最後となる井上さん(ミッキー)の指揮によるベートーヴェンとショスタコーヴィッチの共に6番という鉄板の記念碑的演奏会となりました。

前半のベートーヴェンの〈田園〉。とっても小編成で、ステージ上にティンパニやピッコロやトランペット・トロンボーンが不在。これで雷鳴るのだろうか??と心配しましたが、しっかり第3楽章で登場しました。

演奏はコンパクト編成ながらとってもダイナミック。前半はペースもゆっくり目でしたが、中盤以降は畳みかける迫力。室内楽的という印象というよりも、骨太でありながら細部にわたり美しい響きも味える、一粒で2度おいしい的な「田園」でした。

ミッキーの希望で聴衆席の照明は普段より落とした中で演奏されました。一聴衆としては、より集中して聴けたような気もしますが、あまり大きな変化は感じなかったというのが正直なところ。

後半はショスタコーヴィチ交響曲6番。3楽章構成で、私はお初でちょっと難易度高いところはありました。第1楽章は、前半はヘビーで重苦しいですが、中盤以降神秘的で美しい独特の旋律です。第2楽章はまるでハリウッドのアドベンチャーファンタジーの映画音楽に合いそうな躍動的なリズムやメロディーが印象的でした。第3楽章は快速かつ豪快に一気にたたみかけます。

細かい点は分かりせんが、音楽と一体化したミッキーの指揮に都響が献身的に応える熱演でした。豪快でありながら、決して雑にはならず美しいハーモニーをホールに響かせ、まさに都響の実力発揮という感じです。聴き応えがありました。

終演後は温かく大きい拍手がミッキーを包みます。終始、エネルギッシュに情熱的に音楽や楽団に向き合うミッキー。まだまだ続けて欲しい気持ちで一杯ですが、しっかりと目に焼き付けておきました。

余談ですが、初の定期会員。周りの人たちはどんな方々かと期待半分、怖さ半分でしたが、両隣どころか周囲は(私もですが)みなさんおひとり様で、かなりガチな雰囲気。まあ、たまたまなのかもしれませんが、密度濃い東京文化会館の席配置もあり、かなり緊迫感漂っています。ゆるゆるの新参者として、いつも以上に小さくなって、雑音を一切立てないことに気を遣い、結構疲れました。これから、仲良くなれれば、嬉しいです。

 

5/30(木)19:00     東京文化会館      
【完売御礼】第999回定期演奏会Aシリーズ

[出演]指揮/井上道義 (Michiyoshi Inoue)

[曲目]
ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 op.68《田園》
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番 ロ短調 op.54

Beethoven / Symphony No. 6 F Major Op. 68, Pastoral
Dmitri Shostakovich / Symphony No. 6 in B minor, Op. 54

 


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