その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

6月N響B定期:日本人若手指揮者競演シリーズ、第3弾は鈴木優人さんのウイーンプログラム(前半のみ)

2024-06-21 17:40:43 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

(公開するほどの内容でも無いのですが、記録のため)

本シーズン最後のN響定期であり、6月定期日本人若手指揮者競演シリーズ第3弾。鈴木Jr.の登場でしたが、残念ながら所要により前半のみ参加。

この日はウィーン所縁の作曲家のプログラムで、前半はウエーベルンとシューンベルグの20世紀の作品。

個人的には最近でも類を見ない大苦行となりました。私には音楽が難しすぎて、理屈としても感覚としても、私の理解の範疇超えていて、無条件降伏状態。シューンベルグのヴァイオリン協奏曲は、イザベル・ファーストさんが奏でるヴァイオリンの美音やハイレベルな技巧は感じ取れましたが、感想を言葉にするには難易度高すぎで、手も足も出ない見逃し三振。

鈴木ジュニア、N響、ファウストさんのコンビは週末に調布国際音楽祭に行くので、そこでリベンジ予定。ヴァイオリン協奏曲もシューンベルグからベートーヴェンに変わりますので、まだこちらの方は楽しめそう。

今シーズンもN響には大変お世話になりました。ルイージさんとのコンビも更に成熟度が上がっていると思ったし、コープマンさん、ソヒエフさん、エラス・カサドさん、ヤノフスキさん、エッシェンバッハさんらの名だたる欧米指揮者、尾高さん、ミッキー、原田さん、沖澤さんらの日本人指揮者など、バライティに富んだ出演者で毎回、異なった楽しみを味合わせてくれました。来シーズン、かなりの値上げとなったのはお財布にかなり応えますが、値上げに相応しい更なる満足度高い定期演奏会を期待したいと思います。

 

定期公演 2023-24シーズン
第2015回 定期公演Bプログラム
2024年6月20日(木)開演 7:00pm

サントリーホール

ウェーベルン/パッサカリア 作品1
シェーンベルク/ヴァイオリン協奏曲 作品36
バッハ(ウェーベルン編)/リチェルカータ
シューベルト/交響曲 第5番 変ロ長調 D. 485

アンコール
6/20:ルイ=ガブリエル・ギユマン/無伴奏ヴァイオリンのためのアミュズマン 作品18 ー 第12曲 アルトロ
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

指揮 : 鈴木優人
ヴァイオリン : イザベル・ファウスト

 

No. 2015 Subscription (Program B)
Thursday, June 20, 2024 7:00pm
Suntory Hall

Conductor : Masato Suzuki
Violin : Isabelle Faust

Webern / Passacaglia Op. 1
Schönberg / Violin Concerto Op. 36
S. Bach / Webern / Ricercata
Schubert / Symphony No. 5 B-flat Major D. 485


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中原淳『働く大人のための「学び」の教科書』(かんき出版、2017)

2024-06-19 07:43:22 | 

経営学習論や人材開発について研究する東大の准教授の中原淳さんが、社会人向けの学び方について、平易に解説したノウハウ本。構造的でわかりやすく、具体例も記載されているので、1から系統的に学ぶこともできるし、自分にできてるところ/できてないところのチェックリストとしてもいいと思う。

既知のこともあるものの、おさらいも含めて私なりの学びポイントを以下、抜粋。( )内は個人的つぶやき。
・3つの行動原則〈OS〉×7つの行動〈アプリ〉
・3つの行動原則:1)背伸びの原理、2)振り返りの原理、3)つながりの原理(←使えるフレームワーク)
・「大人の学び」7つの行動:1)タフアサイメント=タフな仕事から学ぶ、2)本を1トン読む、3)教えられて学ぶ、4)越境する、5)フィードバックを求める、6)場をつくる、7)教えてみる(←使えるフレームワーク)

・ハードル:コンフォートゾーン→ストレッチゾーン→パニックゾーン。ハードルは低すぎても、高すぎてもダメ。
・何の背伸びから始めるか?①楽しみを感じること、②感謝されること(←なるほど)
・まずやってみることを大切にする。(←これ私の自論、めちゃ同意!)
・振り返りが経験学習の鍵。アクション無くしてリフレクションなし。リフレクション無くしてアクション無し。(←たしかに)
・人は一人ではなかなか変わることのできない「脆弱な存在」。人とのつながり、人を鏡として変わっていく。(←たしかに)
・大人の学びの基本は「自腹」。痛みを伴う。そうした学びこそが次のキャリアを切り開く。(←これ私の自論、めちゃ同意!)
・セミフォーマル/フォーマルな学びで大切なこと:「何を学ぶか」も重要だが「誰から学ぶか」も極めて重要(←これは目から鱗だわ)

 


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6月N響C定期:日本人若手指揮者競演シリーズ、第2弾は沖澤のどかさんのフランスプログラム

2024-06-18 07:20:19 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

6月のN響、若手日本人指揮者競演シリーズ第2弾は、初めて実演に接する沖澤まどかさん。フランスもののプログラムも魅力的で、楽しみにしていました。

ステージに現れた沖澤さん、想像以上に小柄な方でしたが、姿勢よく堂々とされています。そして、指揮ぶりも自信あって迷いを一切感じさせない確信に満ちたものでした。古いですが漫画「ドカベン」の里中投手につけられた「小さな巨人」というニックネームを思い出すほど。

イベール<寄港地>は冒頭から香るようなオーケストラの優雅な響きにうっとり。ちょっと私自身が夏バテ気味の体調もあって、あまりの心地よさにかなり意識が遠のくほどでした。第2曲の吉村さんのオーボエも異国情緒満載で美しい。全曲通じて、まさに各寄港地の情景が脳裏に浮かんでくる演奏でした。

2曲目のラヴェルの<左手のためのピアノ協奏曲>は過去に2回は生で聴いていますが、未だ聴きどころ良く分かっていません。それでも、デニス・コジュヒンさんのピアノは、左手だけとは思えない力強さがあり、1音1音がとっても明瞭に聞こえてきました。オーケストラとの呼吸もぴったり。

そして、3曲目はドビュッシー〈夜想曲〉。1曲〈雲〉では、タイトルそのものですが、雲の上に横になって空中をのんびりとくつろいでいるような浮揚感。イングリッシュホルンの愁いを帯びた音色も夢の中で遠くから聞こえて来るやまびこのようでした。第2曲〈祭〉は切れよくワクワク。N響の金管、打楽器の活躍も光ります。第3曲〈シレーヌ〉は美しい女声合唱とともに、N響がキラキラと眩いような神秘的な世界を見せてくれました。

1時間ちょっとの演奏会ですが、無理無く自然体で、体に染み込むように吸収される純粋な音楽をN響と創り上げた沖澤さんの指揮ぶりは、本人の比較的淡々としているように見えた終演後の様子と併せて、返って凄みを感じるものでした。是非、もっといろんな楽曲を聴いてみたい方です。

定期公演 2023-2024シーズンCプログラム
第2014回 定期公演 Cプログラム
2024年6月15日(土) 開演 2:00pm(休憩なし) [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

イベール/寄港地
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
ドビュッシー/夜想曲*

指揮:沖澤のどか
ピアノ:デニス・コジュヒン
女声合唱:東京混声合唱団*

Subscription Concerts 2023-2024Program C
No. 2014 Subscription (Program C)
Saturday, June 15, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Ibert / Escales (Ports of Call)
Ravel / Piano Concerto for the Left Hand
Debussy / Nocturnes*

Conductor: Nodoka Okisawa
Piano: Denis Kozhukhin
Female chorus: The Philharmonic Chorus of Tokyo*


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鈴木智彦『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』(小学館文庫、2021)

2024-06-16 09:02:10 | 

平成25年(2013)から平成30年の取材を中心に、アワビ、ナマコ、ウナギ(+シラス)を題材に密猟がどれだけ幅を利かせていて、密猟と暴力団の関係といった裏事情をレポートする。(2018年に単行本が出ているのだが、21年に2章が追加されて文庫化された)

読んでいて怖いのは、日々の食材が裏流通で成り立っているところもあること(平成15年7月の雑誌『養殖』における多屋勝雄の記事だと日本で流通しているあわびの45%は密猟の計算になるという(p15))。そして、我々もその価値連鎖の末端において消費者として加担しているということだ。

章によっては歴史的な背景の解説で、決して現在がそうであるわけではないこと(例えば、第4章の千葉県銚子市についての記事)、ジャーナリスティックな文体から来る事実と推測の区別がつきにくいことなどはある。また、この状況が日本の漁業の全体像を示しているわけではないだろう。なので、注意深く読むことは必要だが、こういう世界があって、我々も当事者であるということは、知っておいたほうがよい。

本書に記載とは別だが、歴史的に魚に多くの我々の栄養取得を頼ってきたにも関わらず、日本は世界的にも数少ない漁獲量が減り続けている国である(90年13万トン→19年5万トン)。先日、会社のSDGsの研修で知ったのだが、国連が定める目標持続可能な開発目標(SDGs)の目標14に「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」という目標があるが、日本はこの目標については赤信号との評価を受けている。日本の漁業には、漁業資源の乱獲など、多くの問題に目が向けられていない、乱獲しすぎで漁業の生産性が悪化しているといったことが背景にあるとのことだ。

自分たちが日々口にしているもの、お世話になっているものであるが故になおさら、それらの社会的背景は知っておいた方が良いと思う。

 

〈 目次 〉

第一章 宮城・岩手 三陸アワビ密漁団VS海保の頂上作戦
第二章 東京 築地市場に潜入労働4ヶ月
第三章 北海道 “黒いダイヤ”ナマコ密漁バブル
第四章 千葉 暴力の港・銚子の支配者、高寅
第五章 再び北海道 東西冷戦に翻弄されたカニの戦後史
第六章 九州・台湾・香港 追跡!ウナギ国際密輸シンジケート
新章一 再び東京 “魚河岸の守護神”佃政の数奇な人生
新章二 三たび北海道 密漁社会のマラドーナは生きていた


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フライングシアター自由劇場第二回公演「あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た」@新宿村LIVE

2024-06-14 08:05:09 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

串田和美さんのシェイクスピア劇は、2019年に「テンペスト」を拝見して以来。

「夏の夜の夢」(以下、「夏夜夢」)を解体・再構成した作品とのことで、意味ありげな長いタイトルと相まって、どんな芝居が展開されるのかとっても楽しみだった。

ベースの筋立てや登場人物は原作と変わらないながら、全体としてはアレンジ度も強い。なので、「夏夜夢」としても楽しめるし、原作とは別物の芝居としても楽しめる、一粒で二度おいしい舞台ともいえる。

一番大きなアレンジは、劇の冒頭と最後に出てくる串田和美演じる旅人(パック?)がソフトボール大の球体を弄りながら、過去の森の中での球体との遭遇が語られる。球体のメタファーは何なのか?終始、観るものに考えさせる。これと言った答えを見つけるのは難しいが、過去から現在までの時間軸をつなげたり、夢の世界と現実の世界を結ぶものとしての、球体なのかと思ったりした(映画「2001年宇宙の旅」の冒頭に登場する黒い石板やハムレットが持つ球体を思い出した)。

これ以外にも、後半、壁が崩れるところもあるが、否が応でも、ベルリンの壁、現在のガザ地区とイスラエルとの壁を思い起こさせる。

8名で「夏夜夢」を演じてしまった役者さんたちのパワーあふれる体当たり演技が強烈だった。串田和美さんと前回ノゾエ版「マクベス」でマクベス夫人を演じた川上友里さん以外はお初の方々だったが、皆さん、セリフ回し、動きともにしっかりしていて安定した舞台であった。一人二役は珍しくないだろうが、一人三役も四役もこなしていて、運動量だけでも相当だと思う。

串田さんの演出のやり方なのかどうかわからないが、台本にないアドリブシーンと思わせるところもいくつかあった気がしたのだがどうだったのだろうか。場面により、一瞬、役者さんが怯むように感じられた一方で、それが舞台の緊張感を高めた印象があって、観劇していてライブ感が満載で楽しい。

舞台装置はシンプルで、舞台中央奥に4つの扉が置かれ、その扉での出入りで場を表す。ナチュラルで無理がない。一方で、全般に中心的な場となる「森」は、役者さんの動きによって表せられるのだが、「夏夜夢」が初めての人にはちょっとイメージつきにくいかも。背景や衣装も白を基調にしながらも、劇中劇の舞台だけは原色系の非常に派手な色合いで舞台映えした。

この舞台、この後、ルーマニアの演劇祭で披露されるという。国際的にどう評価されるのか、興味深い。上演時間は2時間弱。あっという間の舞台であった。

(余談いくつか)
・観客層:シェイクスピア劇は女性観客多いが、今回は特に多かった気がした。8割がたは女性で占められていたように見えた。通常の観劇聴衆と雰囲気が若干異なる叔母様がたがいらした気がしたのは、元宝塚の大空さん目当てなのだろうか(憶測です)。

・新宿村LIVE:初めて訪れたが特異なシアターである。丸ノ内線の西新宿から7分ほど歩いて、小さなビルの地下4階(もしかしたら3階?)にある。階段でひたすら降りたところに小劇場がある。こりゃ、歳取るとつらいなあとか、火事になったらアウトだなと思ったりしたが、まさにアングラ劇場だ。

・アフタートーク:初めてアフタートークなるものに参加。稽古で大変だったところ、苦労したところなどが、役者さんから直接語られて楽しめた。球体の意味するところも各役者さんによって理解が違っており、別に共通の認識をもってやって演じているわけではないということも知る。串田さんの演出も相当自由度が高いようで、舞台を思振り返って思い当たるところもあった。

公演       フライングシアター自由劇場第二回公演
「あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た」
原作       ウィリアム・シェイクスピア 「夏の夜の夢」
翻訳       松岡和子
脚色・演出・美術             串田和美
出演       大空ゆうひ 川上友里 皆本麻帆 小日向星一
串田十二夜 谷山知宏 島地保武 串田和美

日程       2024年6月6日(木)-6月12日(水)
会場       新宿村 LIVE

スタッフ
照明:齋藤茂男
音響:市來邦比古
映像:栗山聡之
衣装:原田夏おる
演出助手:荒井遼
舞台監督:福澤諭志
制作:梶原千晶 長谷川きなり ・ 串田明緖
宣伝絵画:平松麻
宣伝写真:串田明緖
宣伝デザイン:GRiD CO.,LTD.  
企画・製作:フライングシアター自由劇場
主催:(有)自由劇場


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6月N響定期は日本人「若手」指揮者競演 ~原田慶太楼のオール・スクリャービン・プログラム~

2024-06-11 07:46:09 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

今月のN響定期は「若手」日本人指揮者による3本立て。どれも魅力ある共演者と組み合わせた楽しみな演奏会が続きます。

先頭バッターは原田慶太楼さんで、プログラムはスクリャービンの初期の作品から3本。最初の「夢想」を除いては、過去にN響定期で聴いたことがありますが、残念ながらあまり記憶に残っていません(ピアノ協奏曲は指揮がヴェデルニコフさん、ピアノがコロベイニコフさん。交響曲2番がパーヴォさん)。ピアノ独奏の反田さん効果か、このマニアックなプログラムなのにNHKホールは完売です!

反田恭平さんは、ご自身でオーケストラ立ち上げたり、ラジオのパーソナリティ等も行い、幅広く活躍されてます。今回のスクリャービンのピアノ協奏曲は初めての演奏とのことですが、微塵も感じさせない堂々たるものでした。楽曲もスクリャービンでも初期の作品と言うことで、耳になじみやすいものです。ショパンの影響を強く受けているということが、プログラムノートに書かれていましたが、ショパンの優美さに、さらにロシア的な雄大さを感じる音楽でした。反田さんのピアノは打鍵が強いのか、優しい弱音も含めて3階席迄はっきりと音が届きます。不覚にも第2楽章はオーケストラとピアノの絶妙なアンサンブルの美しさにちょっとウトウトしてしまったほど。第3楽章はロシア的なスケール感一杯の聴きごたえ満点の演奏でした。

後半の交響曲第2番は、5楽章構成ですが、第1と第2楽章、第4と第5楽章は続けて演奏されるので、3部構成とも言えます。第2楽章の美しさはとびきりで、うっとり。第4、5楽章は畳みかけるスケール感一杯の音楽。楽曲としてはやや冗長に聞こえてしまうところはありましたが、原田さん指揮のN響は、集中力途切れることなく充実した演奏です。フルート、クラリネットのソロにも耳をそばだてます。

原田さんとN響のコンビに接するのは3度目ですが、相互に信頼感が確立して安定した関係になっている印象を持ちました(最初に見た時は原田さんが随分と緊張されていたのが、よくわかったぐらい)。続く、沖澤さん、鈴木さんとの聴き比べも楽しみです。

定期公演 2023-2024シーズンAプログラム
第2013回 定期公演 Aプログラム
2024年6月9日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

曲目
スクリャービン/夢想 作品24
スクリャービン/ピアノ協奏曲 嬰ヘ短調 作品20
スクリャービン/交響曲 第2番 ハ短調 作品29

[アンコール曲]

6/9:ショパン/マズルカ 第34番 ハ長調 作品56-2
ピアノ:反田恭平

指揮:原田慶太楼
ピアノ:反田恭平

 

Subscription Concerts 2023-2024Program A
No. 2013 Subscription (Program A)
Sunday, June 9, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Scriabin / Rêverie, Op. 24
Scriabin / Piano Concerto F-sharp Minor Op. 20
Scriabin / Symphony No. 2 C Minor Op. 29
[Encore]
June 9: Chopin / Mazurka No. 34 C Major Op. 56-2
Piano: Kyohei Sorita

Artists 
Conductor: Keitaro Harada
Piano: Kyohei Sorita


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ミッキー最後の都響定期:都響定期A/井上道義/ ショスタコーヴィッチ交響曲第6番ほか

2024-06-09 07:59:21 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

かつて都響の「作曲家の肖像」シリーズなるものの会員になっていたことはありますが、今シーズンから初の定期演奏会(Aシリーズ)のメンバーになりました。今季最初の演奏会が、今回で都響との共演は最後となる井上さん(ミッキー)の指揮によるベートーヴェンとショスタコーヴィッチの共に6番という鉄板の記念碑的演奏会となりました。

前半のベートーヴェンの〈田園〉。とっても小編成で、ステージ上にティンパニやピッコロやトランペット・トロンボーンが不在。これで雷鳴るのだろうか??と心配しましたが、しっかり第3楽章で登場しました。

演奏はコンパクト編成ながらとってもダイナミック。前半はペースもゆっくり目でしたが、中盤以降は畳みかける迫力。室内楽的という印象というよりも、骨太でありながら細部にわたり美しい響きも味える、一粒で2度おいしい的な「田園」でした。

ミッキーの希望で聴衆席の照明は普段より落とした中で演奏されました。一聴衆としては、より集中して聴けたような気もしますが、あまり大きな変化は感じなかったというのが正直なところ。

後半はショスタコーヴィチ交響曲6番。3楽章構成で、私はお初でちょっと難易度高いところはありました。第1楽章は、前半はヘビーで重苦しいですが、中盤以降神秘的で美しい独特の旋律です。第2楽章はまるでハリウッドのアドベンチャーファンタジーの映画音楽に合いそうな躍動的なリズムやメロディーが印象的でした。第3楽章は快速かつ豪快に一気にたたみかけます。

細かい点は分かりせんが、音楽と一体化したミッキーの指揮に都響が献身的に応える熱演でした。豪快でありながら、決して雑にはならず美しいハーモニーをホールに響かせ、まさに都響の実力発揮という感じです。聴き応えがありました。

終演後は温かく大きい拍手がミッキーを包みます。終始、エネルギッシュに情熱的に音楽や楽団に向き合うミッキー。まだまだ続けて欲しい気持ちで一杯ですが、しっかりと目に焼き付けておきました。

余談ですが、初の定期会員。周りの人たちはどんな方々かと期待半分、怖さ半分でしたが、両隣どころか周囲は(私もですが)みなさんおひとり様で、かなりガチな雰囲気。まあ、たまたまなのかもしれませんが、密度濃い東京文化会館の席配置もあり、かなり緊迫感漂っています。ゆるゆるの新参者として、いつも以上に小さくなって、雑音を一切立てないことに気を遣い、結構疲れました。これから、仲良くなれれば、嬉しいです。

 

5/30(木)19:00     東京文化会館      
【完売御礼】第999回定期演奏会Aシリーズ

[出演]指揮/井上道義 (Michiyoshi Inoue)

[曲目]
ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 op.68《田園》
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番 ロ短調 op.54

Beethoven / Symphony No. 6 F Major Op. 68, Pastoral
Dmitri Shostakovich / Symphony No. 6 in B minor, Op. 54

 


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N響5月B定期 ファビオ・ルイージ指揮/ ニールセン交響曲第2番ほか

2024-06-08 07:39:32 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

(時間たってしまったので簡単にメモのみ)

ルイージ月間の最終プログラム。プログラムノートによると、2作品とも作曲家が若き日に書いた作品という共通項があるとのこと。

ブラームスのピアノ協奏曲 第1番は実演に接したのは数少ない。ピアノソロのブフビンダー氏は私は初めて聴く方だが、随分と有名な方のようだ。今年78歳とは思えない瑞々しさに溢れた音色が印象的だった。とりわけ、第2楽章の優しく甘美な音楽にうっとり。

後半のニルセン交響曲2番はパーヴォさん指揮で2019年に聴いて以来。曲についてコメントできるほど聴きこんでないが、重層的な音とスケール感が印象的な音楽。4つの人間の気質を描いたとされる作品は、各章ごとの表情の変化も楽しい。この日のN響はルイージと川崎コンマスに引っ張られて、前のめりで荒々しい程の演奏。従来からのN響の強みとも言える繊細さやバランスの良さに加えて、最近、迫力ある凄みが増したと感じられるのは、確実にルイージさんがポストについてからの変化と思う。

定期演奏会ならではの、珍しいプログラムを堪能した一晩だった。








(ソロカーテンコールあり)

 

定期公演 2023-2024シーズンBプログラム
第2012回 定期公演 Bプログラム
2024年5月23日(木) 開演 7:00pm [ 開場 6:20pm ]

サントリーホール

ブラームス/ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品15
ニルセン/交響曲 第2番 ロ短調 作品16「4つの気質」

指揮:ファビオ・ルイージ
ピアノ:ルドルフ・ブフビンダー

Subscription Concerts 2023-2024Program B
No. 2012 Subscription (Program B)
Thursday, May 23, 2024 7:00pm [ Doors Open 6:20pm ]
Suntory Hall

Brahms / Piano Concerto No. 1 D Minor Op. 15
Nielsen / Symphony No. 2 B Minor Op. 16, The 4 Temperaments

Conductor: Fabio Luisi
Piano: Rudolf Buchbinder


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吉田羊さんのハムレット:PARCO STAGE「ハムレットQ1」(演出:森新太郎)

2024-06-04 07:33:19 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

(時系列ぐちゃぐちゃの投稿続きますが、先月見たお芝居の感想です。)

吉田羊さんがハムレットを演じるということで、慌ててチケットを購入した。Q1のテキストも安西徹雄  訳で一読済。

想定通り、非常にサクサクとテンポよく進む展開で、鑑賞者の集中力が途切れることがない。吉田羊さん、吉田栄作さんを始め、テレビ等のメディアで目にする俳優さんも多く出演し、熱籠ったプロの演技を楽しんだ。

吉田羊さんのハムレットは、女性が演じていることを感じさせない若き貴公子ハムレットだった。凛々しい。台詞廻しも歯切れ良く、所作もスマートで美しい。復讐のための欺きとして、気が触れたふりをする阿呆ぶりも、声の変化が豊かで楽しめる。流石、ここ数年引っ張りだこの女優さんという感じだ。悩める青年ぶりは少し弱いと感じたが、これはむしろQ1の台本に拠るものだと思われる。

もう一方の吉田栄作さんは、先のデンマーク王(亡霊)と現王クローディアスの2役を演じた。興味深かったのはクローディアスの演じ方で、この物語の契機となる先王を殺した諸悪の源の悪人としてはあまりにも格好良すぎて、立派だった。クローディアスは、人間的に醜悪で、権力欲にまみれ、ギトギトしたエロオヤジの理解なのだが、そうは見えない人物に見えたのは、そういう人物設定としての解釈なのか、それとも吉田栄作さん自身のかっこいいオーラが強すぎたせいなのかは、ちょっと私には判別つがず。いずれにしても、この王であれば、王妃ガートルードが、先夫が無くなって2ヵ月もしないうちに、その弟である現王と再婚するのも致し方ないか。逆に、ガートルードこそ色狂いではないかとも思ってしまう。

このドラマ、ポローニアスが隠れ主役とも言えると思うが、佐藤哲さんがしっかりと安定して、俗物ぶりを演じていて良かった。途中、台詞忘れ?にも見えなくもないところもあったが、その凌ぎ方も流石(私の誤認であればゴメンナサイです)。

オフィーリア役の飯豊まりえさんも頑張って、ひたむきな演技。驚いたのは、フォーティンブラス役も担当。このノルウエイの若王子ぶりが凛々しくて、惚れ惚れ。最初誰だかわからず、「これは誰?」と動揺した。

舞台は、岩山を背景にしたような基本セットを照明や幕等を上手く使って、セット変更は無く様々な場面を作っていた。音楽が時折挿入されたり、劇中劇は歌で台詞を語るところもあり、こんな見せ方もあるのねと楽しめた。

丁度、彩の国の劇場で『ハムレット』を上演中で、そちらも興味があったのだが、日とチケットの空きが合わず観劇ならず残念。比較出来たらなお、楽しめただろう。

それにしても、シェイクスピア劇は特にそうだが、外国の芝居は本当に言葉の洪水だ。よくもまあ、あれだけの言葉を発することができるものだと感心する。そもそも比較が適切かという問題はあるが、前回見た平田オリザさんの『S高原から』の沈黙や間の長さとのあまりにも違いに戸惑うほどだ。良い悪いではないが、外国劇は疲れるわ~。

(2024年5月14日)

 

作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子
演出:森新太郎

出演
吉田 羊 飯豊まりえ 牧島 輝 大鶴佐助 広岡由里子
佐藤 誓 駒木根隆介 永島敬三
青山達三 佐川和正 鈴木崇乃 高間智子 友部柚里 西岡未央 西本竜樹
吉田栄作

STAFF
美術=堀尾幸男 照明=佐藤 啓 音響=高橋 巌 音楽=落合崇史 衣裳=西原梨恵 ヘアメイク=河村陽子 アクション指導=渥美 博 演出助手=石田恭子 舞台監督=林 和宏

宣伝=DIPPS PLANET 宣伝美術=東 學(一八八) 宣伝写真=渞 忠之 宣伝衣裳=宮本真由美 宣伝ヘアメイク=河村陽子

制作=麻場優美・大友 泉 ラインプロデューサー=冨士田 卓 プロデューサー=尾形真由美 製作=小林大介


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週末奈良・京都弾丸旅行(最終回):東寺

2024-06-03 07:30:42 | 旅行 日本

時系列が逆転しますが、前日は東京から京都で途中下車し、2.5時間の東寺観光一本勝負。「空海展」を訪れる前のウオーミングアップです。東寺には15:15到着。訪問は2018年以来。

(南大門)

まずは、東寺の本丸とも言える講堂の立体曼荼羅や金堂の薬師如来と脇侍の日光菩薩・月光菩薩達とゆっくり対話。オーバーツーリズム影響を心配しましたが、思いのほか参拝者は少なく、落ち着いて対話できました。




今回、ラッキーだったのは、春の特別公開ということで、五重塔の初層(1階)に入室できたこと。入ってみると、55メートルもある塔の1階部分としては、意外に狭い。その密空間は、色落ちこそしているものの壁には彩色の跡が残り、中央には高さ60センチ程の大日如来を正面に四体の如来、八体の菩薩が囲んでいます。密教世界の特別な「気」に溢れています。




閉門時間まで1時間を切り、慌てて宝物館を訪問。こちらも年間通じて開館しているわけではなく、今回は春の特別公開期間と言うことで私は初めて。「南北朝時代の東寺」というテーマで展示がありました。南北朝時代の東寺は、天皇の御座所や足利氏の陣所として使われたことから、争乱の舞台になった」(パンフレット)とか。

南北朝争乱期に足利尊氏が本拠とした食堂(じきどう)の本尊であったという千手観音立像(重要文化財)を鑑賞。5メートル84.6センチの立派で威厳あるお姿です。興味深かったのは、光厳上皇の院宣の展示。高校時代に「太平記」を結構一生懸命読んだので、当時の世相に思いを馳せます。

最後の残り時間20分は観智院を訪問。「鎌倉時代、後宇多法皇によって東寺の寺僧の住房が計画され、南北朝時代の延文4年、1359年頃に杲宝が創建しました。杲宝の弟子、賢宝は、本尊の五大虚空蔵菩薩を安置しました。」(東寺HP)という場所です。落ち着いた家屋は駆け足で訪問するにはちょっと勿体ないぐらい。国宝の客殿内部には、宮本武蔵筆の「竹林の図」が描かれている上段の間があります。



16:30を過ぎると順番に東寺の周囲の門が次々と閉まっていくので、名残惜しいですが境内から退去。無数の名所がある京都ですが、意外と当時は灯台下暗しかもしれません。お見逃しなく。

(5月24日)


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