その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

6月N響C定期:日本人若手指揮者競演シリーズ、第2弾は沖澤のどかさんのフランスプログラム

2024-06-18 07:20:19 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

6月のN響、若手日本人指揮者競演シリーズ第2弾は、初めて実演に接する沖澤まどかさん。フランスもののプログラムも魅力的で、楽しみにしていました。

ステージに現れた沖澤さん、想像以上に小柄な方でしたが、姿勢よく堂々とされています。そして、指揮ぶりも自信あって迷いを一切感じさせない確信に満ちたものでした。古いですが漫画「ドカベン」の里中投手につけられた「小さな巨人」というニックネームを思い出すほど。

イベール<寄港地>は冒頭から香るようなオーケストラの優雅な響きにうっとり。ちょっと私自身が夏バテ気味の体調もあって、あまりの心地よさにかなり意識が遠のくほどでした。第2曲の吉村さんのオーボエも異国情緒満載で美しい。全曲通じて、まさに各寄港地の情景が脳裏に浮かんでくる演奏でした。

2曲目のラヴェルの<左手のためのピアノ協奏曲>は過去に2回は生で聴いていますが、未だ聴きどころ良く分かっていません。それでも、デニス・コジュヒンさんのピアノは、左手だけとは思えない力強さがあり、1音1音がとっても明瞭に聞こえてきました。オーケストラとの呼吸もぴったり。

そして、3曲目はドビュッシー〈夜想曲〉。1曲〈雲〉では、タイトルそのものですが、雲の上に横になって空中をのんびりとくつろいでいるような浮揚感。イングリッシュホルンの愁いを帯びた音色も夢の中で遠くから聞こえて来るやまびこのようでした。第2曲〈祭〉は切れよくワクワク。N響の金管、打楽器の活躍も光ります。第3曲〈シレーヌ〉は美しい女声合唱とともに、N響がキラキラと眩いような神秘的な世界を見せてくれました。

1時間ちょっとの演奏会ですが、無理無く自然体で、体に染み込むように吸収される純粋な音楽をN響と創り上げた沖澤さんの指揮ぶりは、本人の比較的淡々としているように見えた終演後の様子と併せて、返って凄みを感じるものでした。是非、もっといろんな楽曲を聴いてみたい方です。

定期公演 2023-2024シーズンCプログラム
第2014回 定期公演 Cプログラム
2024年6月15日(土) 開演 2:00pm(休憩なし) [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

イベール/寄港地
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
ドビュッシー/夜想曲*

指揮:沖澤のどか
ピアノ:デニス・コジュヒン
女声合唱:東京混声合唱団*

Subscription Concerts 2023-2024Program C
No. 2014 Subscription (Program C)
Saturday, June 15, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Ibert / Escales (Ports of Call)
Ravel / Piano Concerto for the Left Hand
Debussy / Nocturnes*

Conductor: Nodoka Okisawa
Piano: Denis Kozhukhin
Female chorus: The Philharmonic Chorus of Tokyo*


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