アカマイという世界最大規模のインターネットCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)会社の事業やサービスを紹介しながら、併せてインターネットの仕組みや業界構造についても解説する一冊。
一般読者向けなので、非常に平易で読みやすく書かれているが、内容は重要ポイントを抑えつつ、筆者なりの視点も示されていて、一般読者で無くても興味深く読める。世間的な知名度は高いとは言えないが、「世界の最大30%のインターネットのトラヒックを運んでいる」という会社なのである。インターネットといえば、グーグル、フェイスブック、アマゾンと言ったコンテンツを持つ会社がスポットライトを浴びがちだが、インターネットを裏で支えているこうした会社もある。インターネットの生態系(エコシステム)を象徴する会社と言ってもいいだろう。
私自身は、インターネットの変化とともに、同社が従来のコンテンツデリバリーネットワーク事業からセキュリティ、高速化、モバイル網や企業網に多角化を進めている戦略が興味深かった。日々刻刻と変わるインターネットの技術、サービスの波の中では、圧倒的No1CDNプレイヤーであっても、変わっていかなくてはならない。
一般向きとは言え、同書がどれだけ一般の人に読まれるかは正直、良くわからないが、インターネットビジネスに関わる人にはお勧めできる一冊。
【目次】
第1章 何をする会社なのか
第2章 それはMITから始まった
第3章 インターネットはどう動くか
第4章 アカマイの技術とインターネット
第5章 インターネットのカネと力
第6章 インターネットとアカマイのこれから