その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

新国オペラ、チャイコフスキー「エウゲニ・オネーギン」(指揮:ヴァレンティン・ウリューピン)

2024-01-29 07:28:17 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

今年のオペラ初め。主要歌手陣をロシア、ウクライナ出身で固めた充実のキャスト加え、ウリューピン指揮による東響のロマンティックな演奏、品ある演出で、チャイコフスキーの傑作オペラを堪能しました。

個人的に歌手陣で最も印象深かったのは、タチヤーナ役のエカテリーナ・シウリーナ。2009年(15年前!)にロイヤルオペラで〈リゴレット〉のジルダ役で聴いて以来(リゴレットはレオ・ヌッチ)。伸びのあるソプラノは、とっても丁寧で潤いあって美しい。一途な若き日のタチヤーナから大人の女性としての、成長と葛藤の演技も、感情移入を誘うものでした。

男性陣は、レンスキー役のヴィクトル・アンティペンコのテノールが声量大きく、伸びやかで聴きごたえたっぷり。華のあるテナーです。最終幕だけの出番ですが、グレーミン公爵のアレクサンドル・ツィムバリュクの低音もド迫力かつ陰影の深いもので、聴衆を唸らせました。題名役のユーリ・ユルチュクは1,2幕では歌唱、演技ともキャラ立ち無く、目立たたない感じでしたが、最終幕では本領発揮。長身イケメンで、厭世インテリっぽい雰囲気が漂ってますので、はまり役としてドラマのクライマックスを盛り上げました。

合唱はいつも通り素晴らしいし、合唱陣のパーティの場面等ストップモーションなど、演技でも盛り上げます。今回、ロシア語上演なのですが、ロシア語できる日本人って、そうはいないと思うのですが、ロシア語の歌ってどうやって習得するんですかね。音として体で覚えるのかしら?

指揮のヴァレンティン・ウリューピンさんは私にはお初の方ですが、メリハリあって、よくコントロールされた音楽を東響から引き出してました。チャイコフスキーのロマンティックなメロディの歌いっぷりや、合唱を交えた動の場面でのダイナミックな躍動感が素晴らしい。東響の木管らの個々の音色も、耳が引き付けられ、音楽の美しさを満喫しました。

演出も特に奇をてらったところは無く、中心に設置された神殿風の門を活用して場面場面を上手く表現していました。衣装や照明の色彩も美しく、舞台効果を高めます。

というわけで、とっても大満足の公演で、会場の皆さんも同様のようで、終演後は大きな拍手と歓声に包まれました。

余談ですが、今回目を引いたのは、外国人歌手陣がロシアとウクライナ出身の方々で固めていたこと。部外者ながら、公演にあたって彼らの気持ちはどんなものか、ドキドキしてしまいます。戦争状態にある母国同士といえども、プロとしては無関係なのか、それとももっとポジティブな意味合いが出てくるのか、逆に戦争関係者も近い人に居る可能性も十分あるわけで、個人的な心境がどこかでネガティブに働くのか。美しく言えば、芸術がとりなした協働の公演なのですが、綺麗ごとでは済まない複雑な今の世の中を映し出してもいた公演でありました。

(1月24日鑑賞)

ピョートル・チャイコフスキー
エウゲニ・オネーギン
Eugene Onegin / Pyotr Tchaikovsky

全3幕〈ロシア語上演/日本語及び英語字幕付〉
公演期間:2024年1月24日[水]~2月3日[土]
予定上演時間:約3時間5分(第1幕・第2幕1場100分 休憩30分 第2幕2場・第3幕55分)

スタッフ
【指 揮】ヴァレンティン・ウリューピン
【演 出】ドミトリー・ベルトマン
【美 術】イゴール・ネジニー
【衣 裳】タチアーナ・トゥルビエワ
【照 明】デニス・エニュコフ
【振 付】エドワルド・スミルノフ
【舞台監督】髙橋尚史

キャスト
【タチヤーナ】エカテリーナ・シウリーナ
【オネーギン】ユーリ・ユルチュク
【レンスキー】ヴィクトル・アンティペンコ
【オリガ】アンナ・ゴリャチョーワ
【グレーミン公爵】アレクサンドル・ツィムバリュク
【ラーリナ】郷家暁子
【フィリッピエヴナ】橋爪ゆか
【ザレツキー】ヴィタリ・ユシュマノフ
【トリケ】升島唯博
【隊 長】成田眞

【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

2023/2024 SEASON
Music by Pyotr Tchaikovsky
Opera in 3 Acts
Sung in Russian with English and Japanese surtitles

OPERA PALACE
24 Jan - 3 Feb, 2024 ( 4 Performances )

CREATIVE TEAM
Conductor: Valentin URYUPIN
Production: Dmitry BERTMAN
Set Design: Igor NEZHNY
Costume Design: Tatiana TULUBIEVA
Lighting Design: Denis ENYUKOV
Choreographer: Edvald SMIRNOV

CAST
Tatyana: Ekaterina SIURINA
Eugene (Yevgeny) Onegin: Yuriy YURCHUK
Vladimir Lensky: Viktor ANTIPENKO
Olga: Anna GORYACHOVA
Prince Gremin: Alexander TSYMBALYUK
Madama Larina: GOKE Akiko
Filipyevna: HASHIZUME Yuka
Zaretsky: Vitaly YUSHMANOV
Monsieur Triquet: MASUJIMA Tadahiro

Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Symphony Orchestra


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N響・ソヒエフ祭り 最終日 :ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」ほか

2024-01-27 10:46:36 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

1月ソヒエフ祭りの最終回。フランス、ロシアに続いて、最後は鉄板のドイツ・オーストリアプログラムです。ソヒエフさんがどんなベートーヴェンの「英雄」を聴かせてくれるのか、ワクワクでサントリーホールへ。

「そう来るか~」と唸らせられた「英雄」でした。ソヒエフさんの音楽作りは、とっても丁寧で繊細。細かいニュアンスが音の強弱やテンポの変化で表現され、兎にも角にも、そこから生まれる音がピュアで美しく、流麗。いわゆる力強さ、逞しさ、劇性と言ったところではなく、純粋に音楽として美しい。好きな第2楽章も胸に迫る感情が巻き起こるというよりも、メロディに身を委ね、音楽に浸るような感覚でした。こんな「英雄」があるのだと、いつもとは一味違った新しい世界を見せてくれました。

N響もソヒエフに前のめりで応えていました。吉村さんのオーボエをはじめソロも美しい。オケ全体からソヒエフさんへの信頼と敬意の「気」が立ち籠っています。今回の演奏、私の好みだった迷いなく突き進み、感情入った逞しい「英雄」演奏とはずいぶん違ってはいたものの、素晴らしい音楽に立ち会えた感動は一塩でした。

前半はモーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」。実演に接したのは初めてかも。いかにもモーツァルトらしい快活さと悲しさを合わせた楽曲です。N響の顔とも言える2人のソロの溌溂とした演奏が印象的でした。音楽や演奏をふんだんに楽しんでいる雰囲気が伝わり、楽曲の良さが倍増するようでした。音楽も透明感あふれ美しい。このお二人を見ているとN響も随分と変わってきたなあと思います。こういう若さ、伸び伸びさって、以前のN響にはありませんでしたよね~。ホント。

N響が変わったという意味では、今日のコンサートマスターは藤江扶紀さん。このポジションに女性が座るのは初めて拝見しました。現在はトゥールーズ・キャピトル劇場管弦楽団のコンサートマスターということなので、ソヒエフさんとのご縁でのご招待でしょうか。舞台映えもしますし、音も良く聞こえてきました。演奏が性別によって変わるということがあるのかどうかはようわかりません(職場なら性差別と言われますし・・・)が、この日の雰囲気が変わったというのは事実だと思います。

今日ほどP席のマイシートに感謝したくなった日はないかも。ソヒエフさんの指揮ぶりが見え、視覚で音楽を楽しむことができました。また、来年1月にも来日が予定されているようです。大いに期待したいと思います。

第2003回 定期公演 Bプログラム

2024年1月25日 (木) 開演 7:00pm
サントリーホール

曲目
モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K. 364
ベートーヴェン/交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

1/25アンコール:モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 第2番 変ロ長調 K.424 ― 第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」
ヴァイオリン:郷古廉、ヴィオラ:村上淳一郎

指揮 : トゥガン・ソヒエフ

ヴァイオリン : 郷古 廉(N響ゲスト・コンサートマスター)※
ヴィオラ : 村上淳一郎(N響首席ヴィオラ奏者)

 

Subscription Concerts 2023-2024Program B
No. 2003 Subscription (Program B)
Thursday, January 25, 2024 7:00pm [ Doors Open 6:20pm ]

Suntory Hall

Program
Mozart / Sinfonia Concertante for Violin and Viola E-flat Major K. 364
Beethoven / Symphony No. 3 E-flat Major Op. 55, Eroica (Heroic Symphony)

[Encore]
Jan 25: Mozart / Duo for Violin and Viola No.2 B-flat Major K.424 - 2 mvt. Andante cantabile

Conductor: Tugan Sokhiev

Violin: Sunao Goko (Guest Concertmaster, NHKSO)
Viola: Junichiro Murakami (Principal Viola, NHKSO)


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デイヴィッド・ライク著、日向 やよい訳『交雑する人類 古代DNAが解き明かす新サピエンス史』(NHK出版、2018)

2024-01-25 07:30:45 | 

ゲノム解析によって人類が歩んできた10万年の道程を明らかにされる。読み通すのも、内容を理解するのもかなり努力が求められたが、その価値がある一冊だった。

本書の結論部分を引用すると、

「ゲノム革命は、だれも想定しなかったほど、ヒトの集団がお互いにつながりあっていることを明らかにしている。・・・多様な集団の大規模な混じり合いと、広範囲の集団置換と拡散に満ちた驚きの物語だ。」(p58)

本書はその「驚きの物語」を筆者ら遺伝学者たちの研究成果をもとに人類の歩みを紹介する。アフリカ発のホモ・サピエンスは、欧州のネアンデルタール人とも交雑したし、デニソワ人とも交雑し、地球上に散っていった。人類はこの交雑と拡散のプロセスを経て、現在に至っている。人類の歴史の壮大な時間・空間のスケールに圧倒させられるとともに、ゲノム解析でここまでのことが分かるということに衝撃を隠せない。

最終章ではゲノム革命との向かい合い方について、筆者の持論を展開される。ゲノム革命が進めば、行動や認知上の特性が遺伝的多用性の影響を受け、そうした特性に集団間で平均して差があり、しかも集団内での変動幅についても差があるという結論に行きつく可能性が高い。その際、人間はその差とどう向き合うべきなのかというテーマだ。筆者は言う。

「差異があっても私たちは自身の振る舞いはそれに左右されるべきでないと悟ること。(中略)人間に存在する差に関係なく、誰にでも同じ権利を与えなくてはならない。」(pp..271‐272)

「人間の特性の多様性を心に留めておくことも忘れてはならない。(中略)成功するためのあらゆるチャンスを与えることだろう。(中略)生物学的な差異の存在を認めつつも、あらゆる人に同じ自由と機会を与えるようにすべきだ。」(pp..272‐273)

生物学や遺伝学的な発見・事実とそれに対して人類がどう向き合うべきか、理念・価値観を形成することの重要性を示唆している。人間の本質を考えさせられる意義ある一冊となった。

 

目次
第1部 人類の遠い過去の歴史
 第1章 ゲノムが明かすわたしたちの過去
 第2章 ネアンデルタール人との遭遇
 第3章 古代DNAが水門を開く

第2部 祖先のたどった道
 第4章 ゴースト集団
 第5章 現代ヨーロッパの形成
 第6章 インドをつくった衝突
 第7章 アメリカ先住民の祖先を探して
 第8章 ゲノムから見た東アジア人の起源
 第9章 アフリカを人類の歴史に復帰させる

第3部 破壊的なゲノム
 第10章 ゲノムに現れた不平等
 第11章 ゲノムと人種とアイデンティティ
 第12章 古代DNAの将来


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ソヒエフ/N響のロシアプログラム:プロコフィエフ「ロミオとジュリエット」ほか

2024-01-21 09:43:57 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

1月のソヒエフ祭り第2弾のCプログラム。今回はロシアプログラムです。振替で金曜夜の初日に。

もういろんな方のポストで触れられているので今更ですが、メインのプロコフィエフの〈ロミオとジュリエット〉が抜群に素晴らしかった。ソヒエフ自身が組曲版から抜粋し、組み立て直しての演奏です。

なので、曲自体は既知のものですが、ソヒエフの濃淡、強弱のメリハリがついて、切れ味が抜群。加えて、色つやまでを感じる音に魅惑されます。ロシアっぽいって言うのかどうかはわかりませんが、とっても奥行きと深さがあって、噛みしめて聴きたい演奏です。

N響の弦や管の個人技と合奏の絶妙なバランスも見事です。技術的な素晴らしさはもちろんなのですが、音楽が生きているとでも言うのでしょうか。うねって、切れて、跳ねる。生演奏の醍醐味を味わいました。何度も聴いてみたい。地上波での放送が楽しみです。

冒頭はリャードフの交響詩「キキモラ」。初めて聴く曲です。冒頭のイングリッシュホルンの柔らかな調べにうっとり。ただ、個人的に鬼門の金曜夜の演奏会とあって、その後は自分との闘い。集中しきれなかった自分が残念でした。

都響等とのバッティングのせいか、こんな素晴らしい演奏会なのに会場はそれなりに空席もあったのは残念でしたが、会場からは暖かく大きな拍手とブラボーの声が飛んでいました。ソヒエフさんは、オーケストラのメンバーからも大きなリスペクトを受けているのが良く分かって、良い雰囲気ですね。いよいよ残すは、来週のドイツ・オーストリアプロ。大詰めです。

 

第2002回 定期公演 Cプログラム
2024年1月19日(金)NHKホール

指揮 : トゥガン・ソヒエフ

リャードフ/交響詩「キキモラ」作品63
プロコフィエフ(ソヒエフ編)/バレエ組曲「ロメオとジュリエット」

 

Subscription Concerts 2023-2024Program C
No. 2002 Subscription (Program C)

Friday, January 19, 2024 7:30pm [ Doors Open 6:30pm ]

NHK Hall

Liadov / Kikimora, légende Op. 63
Prokofiev / Sokhiev / Romeo and Juliet, ballet suite

Conductor Tugan Sokhiev


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宮川剛『「こころ」は遺伝子でどこまで決まるのか? パーソナルゲノム時代の脳科学』(NHK出版新書、2011)

2024-01-19 07:43:39 | 

ゲノム脳科学をもとに脳にある「こころ」について解明する本。前回読んだ『「こころ」はいかにして生まれるのか』はこころの遺伝子要素までは踏み込んでなかったのに対し、本書はゲノム脳科学の研究成果を引きつつ、そこに切り込んでいる。

ゲノムとは「生き物」が持つ、それぞれの遺伝情報の総体のことであり、そこに個人の「設計図」が30億の暗号(塩基配列)で書かれている。ヒトの体を構成する60兆個と言われる細胞のひとつひとつに、ゲノム情報は埋め込まれているという。

筆者は、姿かたちや体質だけでなく、知能や感情といった「こころ」を生み出す脳の作り方も書き込まれていると考えるのが自然だという。ゲノム解析は種としてのヒトの分析から、個人を対象にして「自分とは何か」という問いに新しい視点を与える状況を紹介してくれる。

表題の答えを、私なりに本書から要約すると、「知能や性格といったこころの性質は「量的形質」であり、「量的形質」のほとんどは、一つの遺伝子だけで決まるものではなく、複数の遺伝子に加え環境や経験が影響して決まってくる。よって、どこまでとは言えないが、(複数の)遺伝子によりある程度は決まってくる」ということになる。

本書にはこころの疾患や性質に影響するスニップ(ヒトの塩基配列において1塩基だけ置き換わっている「一塩基多型」のこと)が紹介されている(p.188)。「失読症・読書のスキル」「うつ病」「生活リズム・睡眠」「記憶」「間違いからの学習」「アルコール依存・同調性」「甘いものの消費、うつ、倫理観、秩序」といった疾患や性質に影響を与える遺伝子が示される。

もちろん遺伝子だけではないというのが筆者の確固たる立場だが、怖い話である。身体特徴や知能だけでなく、こころまでも遺伝子の影響を受けるのだ。今の親ガチャ風潮を裏付けると言えなくもない。本書が書かれたのは2011年だから10年以上前だ。今はもっと進歩しているに違いない(友人が勤務する会社では人間ドックのオプションメニューにゲノム解析でなりやすい病気や自分の祖先のレポートがあるらしい)。

そんなパーソナルゲノムの時代をどう生きて行けばいいのか?筆者は、個人のゲノム情報を究極の個人情報である一方で、親兄弟のものでもあるという視点や優生学につながっていく危険性も指摘する。最後の指摘はその通りと強く首肯した。

「個人のゲノム解析が普及することにより、個人差がゲノムの違いという目に見える形になって表れるようになります。個人差や個性のネガティブ面には前向きで建設的な対策を考えること。それでも変えることができそうもない面についてはあるがままに受け入れる気持ちを持つこと。そして、個人のポジティブな面を最大限に尊重して伸ばしていくということ。そういった姿勢が大切であるという雰囲気を社会の中に形成することも、ますます大事になってくるのではないでしょうか。」(pp..236‐237)

文体は読みやすいが、章ごとに切り口が変わるところもあり、底流に流れる考えをしっかりつかむのは意外と難しい。じっくり読みたい本である。

 

目次

第1章 こころはどこにある?
第2章 遺伝子ターゲティングが拓いたこころの研究
第3章 こころの病に挑む
第4章 パーソナルゲノム時代の到来
第5章 ゲノムで性格や相性がわかるのか
第6章 ゲノム脳科学と近未来

 


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櫻井武 『「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」』講談社ブルーバックス、2018

2024-01-17 07:30:26 | 

我ながら自分の読書が偏っているなあと思うのは、自然科学系の本が殆ど無いことだ。本ブログで読書カテゴリーで450近くのエントリーをしているけど、「ブルーブックス」は今回が初めて。

本書は神経科学からみた「こころ」の働き方、生体の機能としての「こころ」の働き方を解説している。「こころ」の源泉は脳で生成され、脳は全身の器官に影響を及ぼして「こころ」を表現する。全身の器官もまた、脳に情報をフィードバックして感情や気持ちを就職し、「こころ」を変化させる。そのメカニズムが説明される。

筆者自身のまとめを引用すると、

「「こころ」は脳深部のシステムの活動、いくつかの脳内物質のバランス、そして大脳辺縁系がもととなる自律神経系と内分泌系の動きがもたらす全身の変化が核となってつくられている。また、他者の精神状態は表情を含むコミュニケーションによって共感され、自らの内的状態に影響する。そして最終的には、前頭前野を含む大脳皮質がそれらを認知することによって、主観的な「こころ」というものが生まれるのである。」(p.214)

慣れない用語が頻発し、日本語は平易だが中身の理解にはかなり骨が折れた。1番の収穫は、人間の「こころ」は、脳を中心にヒトの全身で成り立っている複雑でデリケートで奇跡的な仕組みであることを理解できたことだ。昨今、AIが世のトレンドであり、その能力にも驚嘆すること多々だが、「こころ」は明確に人とAIが線引きされる要素だろう。

一方で、「AIはこころを持てるのか」はよく目にするテーマである。複雑系のかたまりの「こころ」の仕組みを知る限り、それをエンジニアリングするというのはさすがに無理だろうと感じたが、様々な論考がされているようなので、この辺りは別に考えてみたいテーマだ。

「おわりに」で気になる記述があった。「性格の個人差」という論点である。本書ではエビデンス無いため記述しなかったと書いてあるが、こんな指摘をしている。

「「こころ」は学習可能なシステムであるがゆえに、生活環境といった環境要因に加え、「遺伝的要因」が色濃く反映される。それは、神経経路の構造の微細な差異や、第7章で述べたような脳内物質の受容体のほんの少しの差、それらの無限の組み合わせによって生まれると想像される。実際にモノアミン系の受容体には、いくつもの遺伝的多型が知られている。これらもまた、「こころ」の個性を作っていると考えられる。」(p.220)

身体や能力だけでなくて、「こころ」も遺伝要素があるというのだ。是非、筆者には、続編としてこのテーマについて掘り下げてほしい。

 

《目次》

第1章 脳の情報処理システム
第2章 「こころ」と情動
第3章 情動をあやつり、表現する脳
第4章 情動を見る・測る
第5章 海馬と扁桃体
第6章 おそるべき報酬系
第7章 「こころ」を動かす物質とホルモン
終 章 「こころ」とは何か


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今年も期待!ソヒエフ/N響:フランスの「バレエ上演された」管弦楽曲プログラム

2024-01-15 07:34:35 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

2024年のN響初めは素晴らしい幕開けでした。ソヒエフによるフランスのバレエ音楽で固めたプログラムはとっても楽しみでしたが、公演は期待を更に上回るものでした。

特に感銘を受けたのは、後半1曲目のラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」。前半は出番が無かった管、とりわけ木管陣の美音に震え。全体のアンサンブルも、繊細で、優しい。香り立つような演奏に痺れます。お正月に、明るい新春の陽の光が差し込む暖かい部屋で、お屠蘇でほろ酔い気分に浸っているような気分になって聴きました。

後半2曲目のラヴェルの「ラ・ヴァルス」もお見事。ステージ一杯に広がった大編成のオケが、有機的に反応、呼応します。力任せに爆音を響かせるのとは全く異なる洗練された響きを聴かせてくれたのは、ソヒエフのリードあってのことなのでしょう。

前半のシチェドリン編というカルメン組曲は初体験でした。管無しで弦楽と打楽器だけという編成でしたが、弦の整った美音と打楽器陣の活躍が印象的です。弦楽器中心のためか、とっても柔らかく優しいカルメンに聴こえました。オペラの「カルメン」久しく観劇していないので、また観たいなあ。

9割は埋まっていたと思われる観客席からも万雷の拍手。ソロカーテンコール付きです。ソヒエフさん、来週、再来週もCプロ、Bプロで聴けるので、当分楽しみが続きます。

第2001回 定期公演 Aプログラム
2024年1月14日 (日) 開演 2:00pm
NHKホール

曲目
ビゼー(シチェドリン編)/バレエ音楽「カルメン組曲」
ラヴェル/組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル/バレエ音楽「ラ・ヴァルス」

指揮 : トゥガン・ソヒエフ

 

Subscription Concerts 2023-2024Program A
No. 2001 Subscription (Program A)
Sunday, January 14, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Bizet / Shchedrin / Carmen Suite, ballet
Ravel / Ma mère l’Oye, suite (Mother Goose)
Ravel / La valse, ballet

Conductor:Tugan Sokhiev


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箱根駅伝の5区、6区の一部をランニング

2024-01-13 08:05:45 | 日記 (2012.8~)

想定を覆す青山学院の圧勝で幕を閉じたお正月の箱根駅伝。

正月明けの3連休を使って、1泊2日で箱根を訪れたので、箱根駅伝5区、6区の一部にチャレンジ(今回は6年ぶり2回目)。

コースは前回と同じ小涌谷駅(標高523m)スタートして、芦ノ湖に向かって国道1号線を走り、芦之湯の先、国道1号線最高標高地点(874m)までを往復。距離にして往復で約10キロ。

当日は日中は雲一つない晴天でしたが、スタートした3時45分ごろは山間の小涌谷はもうすでに陽が陰っています。この日は箱根ロープウエイが全区間運休になるぐらい風が強く、走り始めては見たものの、上りの山道に風を正面から受けると、前に進むどころか、後退しかねないぐらいで閉口しました。

久しぶりの箱根山登りですが、2回目となるとどのくらいしんどいかは覚悟ができているので、もう淡々と脚を動かすしかないと半ば諦めモード。カーブ続きでカーブ後の視界が見えず、ストレスなのですが、1回目のような「まだ先が見えないのかよ~」という悲鳴はなく、芦之湯に出るまでは我慢我慢と言い聞かせ、上りました。

やっと、芦之湯まで登り切り、折り返し地点の国道1号最高地点到着。

復路は、これまた、落ちるという表現がふさわしく、上りとはうって変わって、重力で足が意思に関係なく動いていきます。全体重が脚に乗る下りのほうが、上りよりが脚への負担は間違いなく大きい。走るというより、スキーみたいに落ちる感覚だから、これ箱根ランナーのスピードで走った時の恐怖感はちょっと想像がつかないくらいですね。

1時間ちょっとで無事、到着。今回ランニングウオッチを忘れたのは痛恨だったのですが5kで351mを上りきるというのは、なかなか無い。これでも5区の20.8kから四分の一程度の区間を往復したに過ぎず、これを1時間10分で上る5区の選手達ってホント神だわ。

2024年1月7日


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脇園彩&小堀勇介 ニューイヤー・デュオリサイタルwith 園田隆 @浜離宮朝日ホール

2024-01-11 09:26:16 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

新国立劇場の「セビリアの理髪師」でのロジーナ役で、その歌声や溌溂とした演技に魅了させられた脇園彩さん。その後も、チェネレントラでの題名役ははまり役で2回見に行ったし、昨年の「ファルスタッフ」のページ夫人役は、出番こそ多くは無かったが存在感たっぷりだった。今回、彼女とテノールの小堀勇介さんと組んでのデュオ・リサイタルが開催されるということで、浜離宮朝日ホールに出かけた。このホールを訪れるのは初めて。

ベルカント曲を集めたプログラムは、聴いたことのあるのは《マリア・ストゥアルダ》ぐらいだが、公演は、脇園・小堀両氏の本領が十二分に発揮され、素晴らしい歌声に包まれる極上の時間を堪能した。

脇園さんは、相変わらずその声量がパワフル。今回は前から4列目のセンターというめちゃ良い席を取れたので、その歌声を全身で受け止めることができた。声量だけでなく、声の美しさ、表現の多様さなどもうっとりさせられる。加えて、彼女の魅力は歌声だけでなく、その演技やしぐさにも現れる。ステージ上で簡単な演技が入るのだが、ちょっとした視線や表情で、その場面や気持ちが表現され、ピアノだけのシンプルなステージが、視覚と想像力でオペラの一場面に変換されてしまう。なんと強いオーラを持ち合わせた歌い手さんなのか。

失礼ながら脇園さん目当てででかけたリサイタルだったが、相方の小堀さんも素晴らしかった。(演奏後に記録を追ったら、昨年7月に日フィル、広上さんの「道化師」に出演されていて、日本人歌手の中では一番印象深かった人だった。)声にとっても張りがあって、透明感がある。やや硬めの印象もあるが、表現もとっても深遠。そして、細身の方な外見とはかけ離れた、その声量の大きさ、伸びやかさがサプライズ。

この2人によるソロ曲、重唱曲がうまくちりばめられたプログラムで2人の魅力が良く引き出されていた。個人的には、《エルミオーネ》の脇園さんの血気迫る歌唱と小堀さんの《オテッロ》のロゴリードには特に感銘を受けた。そして、最後のアンコールは《ラ・チェネレントラ》からの一場面を二人でやって頂いたのには狂喜。

加えて、てっきり指揮の方だと思っていた園田さんのピアノは、初めて聴く曲もイメージが明確に湧く表現豊かな演奏だった。終始笑顔で、二人を立てる様子も暖かい。

ほぼ満席の会場はブラボー、ブラバー、ブラビーのコールが舞いまくり、大いに盛り上がった。こういう小ホールでのリサイタルは、聴くほうの個人的な応援の気持ちが場の雰囲気を作りだして、とっても暖かな空気が流れる。

このお二方、今後も応援していきたい。

2024年1月9日

脇園彩&小堀勇介 ニューイヤー・デュオリサイタル with 園田隆一郎

出演
脇園彩(メゾ・ソプラノ)、小堀勇介(テノール)、園田隆一郎(ピアノ)

◆ Program 

・ロッシーニ:
 《アルミーダ》より「甘美な鎖よ」★◆
 《湖上の美人》より「おお、胸を熱くする優しい炎よ」◆

・ドニゼッティ:
 《マリア・ストゥアルダ》より「空を軽やかに流れる雲よ」★ 、「全てから見放され翻弄されて」★◆

・ロッシーニ:
 《ランスへの旅》より 「私にいったい何の罪が?~卑怯な疑いを持ったことです」★◆

 ******

・ロッシーニ:
 《湖上の美人》より「たくさんの想いが今この胸に溢れ」★
 《オテッロ》より「ああ、なぜ私の苦しみを憐れんでくれないのですか?」◆

・ドニゼッティ:
 《ロベルト・デヴリュー》より 「苦しむ者にとって涙は甘美なもの」★
 《ラ・ファヴォリート》より 「王の妾だと?~夢の中の清らかな天使」◆

・ロッシーニ:
 《エルミオーネ》より「何をしてしまったの? 私はどこに?~復讐は果たされました」★◆

(アンコール)
・ロッシーニ:《ラ・チェネレントラ》より「すべてが静かだ~えも言わぬ甘美なものが」★◆

★=脇園彩、◆=小堀勇介


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栗山英樹『栗山ノート』(光文社、2019)

2024-01-10 16:58:39 | 

サムライJapanを率いてワールドベースボールクラシック(WBC)優勝に導いた栗山英樹さんの本です。2019年発刊ですから、日本ハムファイターズ監督時の著作です。WBC優勝直後に地元図書館で予約したら、似たような人がたくさんいたのか30名を超える待ち行列で、廻って来るのに半年かかりました。今年5月には、WBC優勝を受け、『栗山ノート2』も発刊されています。

栗山さんは小学生の頃から野球ノートを書いていたそうです。監督になってからは、「監督として、仲間として、人間として、チーム内でどのようにふるまえばいいのか。野球ノートをつけることと、読書の旅を並行していくと、野球を野球の常識だけで読み解くべきではない、という思いに辿り着きました。」ということで、野球ノートでのアウトプットと読書によるインプットの相互作用で自分自身を高めっていったようです。

栗山さん自身が相当の読書家です。「私の野球ノートは、「『四書五経』などの古典や経営者の著作から抜きだした言葉で埋め尽くされているいます。・・・もはや野球ノートというよりも、人生ノートと言ったほうがいいかもしれません。」

本書は、その野球ノートにある(であろう)古典の名言を引きながら、栗山さんの生き様、考え、経験が記されています。

栗山さんの誠実で謙虚な人間性や前向きな行動力に触れることができたのが最大の収穫でした。言葉にすると、謙虚、自省的、信頼、無私、・・・といったところですが、知行合一を地で行く素晴らしい方ですね。本のコンテンツそのものよりも、栗山氏の人格に触れる感覚です。

書籍の内容自体は道徳の教科書っぽい所もあり、人により好き嫌いは分かれるかと思います。私はどちらかというと苦手なスタイルでした。あまりにも立派できちんとしているので、読み物としては毒が無くて物足りなく感じるところもあります。

まあ、読者というのは、際限なくわがままで勝手なものですね。

 

目次
序章 ノートの言葉たちが勇気と希望をくれる
第1章 泰然と
第2章 逆境に
第3章 ためらわず
第4章 信じ抜く
第5章 ともに


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ナショナル・シアター・ライブ/デヴィッド・ヘアー作「スカイライト」

2024-01-09 07:49:22 | 映画

5、6年前、新国立劇場の演劇で蒼井優さんらが演じるデヴィッド・ヘア作『スカイライト』を観て、大いに感銘受けた。過去に不倫関係にあったと男女のその後から現在に至るまでの時間軸と英国特有の社会階級に関連する価値観軸の2軸が交差する中で交わされる緊張感あふれる会話劇が圧倒的だった。

今回、ナショナル・シアター・ライヴのリバイバル企画として、2014年にロンドンでスティーヴン・ダルドリー演出で上演されたものが上映されるというので迷わず観に行った。さすが、本場モン。ビル・ナイとキャリー・マリガンの会話の中身の濃さと熱演に圧倒される。社会観、人生観のすれ違いと相互の愛が織りなす感情の複雑さ。改めて味わい深い作品だと再認識した。

このリバイバル企画、シェイクスピア作品を初め、観たい作品ばかりなのだが、年末年始の非常に限定された時間に各作品2回ほどしか上映されない。もっと、頻繁に開催して頂けないものか。

 

上映時間:2時間42分(休憩あり)
演出:スティーヴン・ダルドリー
作:デヴィッド・ヘアー
出演:キャリー・マリガン、ビル・ナイ、マシュー・ビアード

 

 


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誰もが楽しめるファンタジー映画:「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」

2024-01-06 07:30:43 | 映画

久しぶりに映画館に足を運んだ。ジョニー・ディップ主演の「チャーリーとチョコレート工場」の前日談(ウォンカがチョコレート工場を立ち上げるまでの話)を描いた映画が公開されたと聞き及び、これは行かねばと思った次第。

「チャーリーとチョコレート工場」は秘密帝国のような怪しげなチョコレート工場内部を舞台に、謎めいた主人公のウオンカ社の経営者ウォンカと人間の欲丸出しの工場見学招待客が織りなす模様が実にシュールで、そのブラックな笑いが私のツボにはまった。今回もそうしたテイストかと勝手に想像していたら、勇気と知恵と愛をテーマにした直球ど真ん中のファンタジー映画だった。

私の想定とはずいぶん違った作風だったが、映画としてはとっても楽しめた。ディズニーランドに居るような夢の世界がスクリーンに広がる。よだれが湧き出すようなチョコレートが溜まらない。ヒューグラントが演じる小人ウンパルンパも最高におかしい。話の展開はシンプルな勧善懲悪と夢の実現。全編にわたって、歌がちりばめられた半ミュージカル映画で楽しい。年末年始にファミリーで楽しむのにはぴったりだ。

やっぱり映画館で観る映画は良いね。久しく映画館から遠ざかっていたので、今年はちょくちょく足を運んでみよう。

 

【監督】ポール・キング
【脚本】サイモン・ファーナビー、 ポール・キング
【撮影】チョン・ジョンフン
【音楽】ジョビー・タルボット

【出演】ティモシー・シャラメ/ヒュー・グラント/オリヴィア・コールマン/サリー・ホーキンス/ローワン・アトキンソン ほか


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2024東京マラソン コース試走(スタート~30k地点)

2024-01-03 08:00:43 | 日記 (2012.8~)

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

大晦日、午前中で大掃除もひと段落したので、午後は3月に出走予定の東京マラソンの試走にでかけました。まだ脚が全然できてないので、この日はゆっくりのんびりと、走り納めも兼ねて30k地点までをゴール設定。

東京マラソン出走は2015年以来の9年ぶり。前回参加時からはコースが一部変更になってますので、その辺りが要チェックポイントです。14時40分スタート。

【新宿都庁前~上野】
スタート地点は変わらずで東京都庁前。大晦日ということで周辺は人出はまばら。ただ青梅街道に出て新宿駅周辺に出ると凄い人出でした。靖国通りを市ヶ谷に向かって走ります。途中、防衛省前を通って、市ヶ谷に出て、今度は外堀通りに入って水道橋へ。


<スタート地点>


<新宿西口高層ビル街>


<靖国通りを市ヶ谷へ。正面は自衛隊の通信塔か?>

〈ポイント1〉緩やかな下りが続くので走りやすいが、ここはスピード出し過ぎると後半ばてること間違いなし。抑えて走ろう。

水道橋の交差点を左折し、神保町へ。神保町の交差点を左折し、靖国通りへ。小川町を通過し須田町の交差点を左折。途中、50m以上の行列に遭遇し、何かと思ったら、神田薮蕎麦の年越しそばに並ぶ人たちでした。秋葉原を通過し(ここも若い人、外国人観光客で一杯)、上野へ向かいます。この辺りでやっと10k。


<年越しそばに並ぶ人たち>

【上野~浅草】

上野の松屋百貨店で折り返し、中央通りを南下。再び秋葉原を通過し、神田駅横をとおり、日本橋へ。日本橋から兜町経由して、浜町中ノ橋を左折して、浅草に向かって北上。

<ポイント2>水分を補給しつつ走ったためか、寒さもあって早々に上野松屋のトイレを借用。レースの3月上旬もきっと寒いだろうから、トイレマネジメントはよく考えねば。

浅草の雷門や仲見世は既に観光客でどったがえしてました。浅草で折り返し、江戸通りを蔵前1丁目まで南下し、蔵前1丁目の交差点を左折して、隅田川を渡ります。(ここで20k)


<雷門 凄い人です>

<ポイント3>20kまでで上野、日本橋、浅草と相当の応援が期待できそうなエリアを続けざまに通るので、ランナーにとってハイになること必至。応援嬉しいが、これでペース乱れると、後半くるので、10~20kは如何に冷静にマイペースで走れるかが大切だろうなあ。

【両国~門前仲町(折り返し)~明治座(浜町)】

隅田川を渡ると石原1丁目の交差点を右折し、門前仲町に向かって南下。途中、両国の大江戸博物館、清澄公園横を通ります。この辺りは、新コースで追加になったところ。東京都民になって何十年も経つけど、全く土地勘も無いエリアなので、キョロキョロしながら走る。いかにも下町って感じのところ。


<隅田川とスカイツリー>

門前仲町の交差点を左折。ここに深川不動尊、富岡八幡宮と名前は知っている東京でも寺社があり、その門前を走る。既に除夜の鐘、初詣の準備で多くの出店が出店しており、お正月に向けたカウントダウンの雰囲気が満載。私も、名前こそ知れど、全くの初めてのところだったので、ここはちょっと休憩も兼ねて、八幡様と不動尊に参拝させて頂きました。とっても立派なところで、ここはまた別に時間を取って訪れたいところです。



<富岡八幡宮>




<深川不動堂>

門前仲町を出ると、あとは淡々と25~30k地点を走ります。ここ3カ月20k以上のランをしてこなかったので、25k過ぎると脚が棒状態。再び蔵前1丁目に戻って浜町を目指して、明治座の前でゴール!


<明治座前 丁度マチネが終わったところのようでした>

<ポイント4> 靖国通りの下り以外は、基本平坦なコースだけど、隅田川を初め川に架かる橋の前後は坂になっているので、ここを上手に走り抜けたい。

ラン時間は2時間50分ですが、途中、トイレや参拝休憩もあったので、明治座についたのは6時半チョイ前。いや~、東京名所めぐりのこのコース、相当楽しいです。この30k地点を過ぎたあとは銀座を通って、日比谷通りに出て、増上寺、東京タワー横を走り、三田で折り返して、東京駅をバックにゴール。人の途切れるところが殆ど無いのではと予想されます。気持ちの高揚をいかに抑えて走るかが、一番のポイントのようです。

あと2か月の練習モチベーションが相当上がりました。

2023年12月31日試走


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