南無煩悩大菩薩

今日是好日也

破礼。

2009-11-21 | 有屋無屋の遍路。

古典落語の中にはバレバナシと呼ばれるものがある。

ちょいと艶のある噺で、近頃は放送倫理というやつのおかげで、電波には乗らないものだ。

落語は高座に行くのが一番。

今日は天気もいいし、あさっては勤労感謝の日だし、紅葉もええ感じになったし、礼を破って、小生のお気に入りのさわりをひとつ。




徒然草の中にこんな詠があります。

 ふたつ文字 牛の角文字 すぐな文字 ゆがみ文字とぞ 君は覚ゆる

ふたつの文字で「こ」、牛の角のような文字で「い」、直な文字で「し」、歪んだ文字で「く」。「こいしく君を想う」つまり恋文でございます。

昔はこのように風流なやりとりで、奥ゆかしくお付き合いをしたんでしょう。

先日なくなった大御所の役者さんは、女と見れば「一晩どう?」と声をかけてたようですが、若さの秘訣はエロスでもあるようですなぁ。


さて、噺にもどって、

好きあった二人が逢引の約束をします。

何処で会うかは掛け詠みで交わすことになります。

女性の方が、

 君がため 春の野に出て若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ -百人一首-

と送れば、男の方は、「花野で会おう」と理解して返歌を送ります。

 花さそう 嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり -藤原今経-

女は、じっと考えて、

「あーら。フリチンで来るのかしら。」


ふりゆくものはわが身なりけり、降りと振りがかかっております。 

あ。失礼ついでに歌詠みのバレバナシにこんな落ちもあります。


初夜の二人。

娘「今宵ぞ千代のはじめでございます。わたくしが上の句をいたしますから、あなたは下の句をお告げ下さいまし。」

婿「心得ました。さぁ。どうぞ・・・」

娘「では参ります。マミムメモ今宵はじめてサシスセソ」

婿「・・・ラリルレロこそタチツテトかな」

-参照文献「艶笑小噺傑作選」ちくま文庫-




今宵はゆっくり呑って、柔らか頭で、もみじがりにでもいこうとおもうのですが、

雨は堪忍で。

ハレバナシ。

佳い休日を。

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