「愛する人のすべてを知っていますか」
一昨年の初冬、松本清張生誕100年を記念して作られた映画「0の焦点」が全国一斉に封切られた。その上映期間中に映画館で見る機会を失って、1年数ヶ月が過ぎ去っていた。
今回、テレビ朝日系列の日曜映画劇場で放映され、録画しておいて翌日ゆっくりと観ることができた。
社会派推理小説として、「点と線」、「砂の器」など数多くの小説を世に送り出した松本清張シリーズを読み漁っていた頃がある。
勿論、今回の「0の焦点」もそのひとつで、読み始めるとついつい夜更かしをしてしまうほど夢中になった・・・・・。
松本清張シリーズは、野村芳太郎監督と橋本忍脚本などによる映画が有名であり、その最たるものは「砂の器」である・・・・・・社会の暗部を鋭く切り取った不朽の名作で、その人間ドラマに感動を覚えたものである。
奇しくも12日・13日の21:00からテレビ朝日系列で、何度もテレビドラマ化もされた「砂の器」が、リメイクされて放映とのこと・・・・・こちらも楽しみである。
東北弁と出雲弁がキーワードとなっている・・・・・「カメダ・・・とは」
「0の焦点」では、昭和30年代前半が舞台設定となっており、終戦から10数年なのでその匂いがまだ残る敗戦国日本の社会の闇が映し出される。
主人公・板根禎子が見合い結婚で鵜原憲一と一緒になったが、夫・憲一が新婚間もなく引き継ぎに出向いた前勤務地・金沢で行方不明となる。
禎子は、心配になり広告代理店の金沢出張所に出向いて、夫の後任の本多と色々と調べて行くうちに・・・・・夫の不可思議な行動、そして知らなかった夫の過去を徐々に知ることとなる。
(出典:2009「 0の焦点」製作委員会 公式HP)
終戦直後の日本、無条件降伏し米国の占領下にあった頃、米兵を相手に売春行為をしていた女性たち(パンパンと呼ばれていた)の存在があり、これがドラマの重要な位置を占めていることが分かってくる・・・・触れられたくない最も忌まわしい記憶がよみがえる。
終戦直後の日本の恥部が描かれており、戦後も65年以上経ってしまった現代の若者たちには、理解できない話であるが、松本清張は常に日本の社会の暗部にメスを入れた悲しい物語に仕立て上げている。
戦争という国と国の戦いに翻弄された人々、戦争によって生き方を変えられた人々、暗い忌まわしい過去を消し去るために犯行を重ねざるを得なくなった犯人も戦争の犠牲者かも知れない。
その犯行に同情するわけにはいかないが、戦争によってすべてを失って、戦後の混乱期を生きるためにあのような行為に及ばざるを得なかったことには、心が動かされるところもある。
鉛色の暗雲と能登半島の荒れ狂う海の色、このシーンを観るだけで人間の物悲しい性(さが)がうまく表現されている・・・・・過去の消し去りたい記憶、消し去ることのできない悲しさ、儚(はかな)さ。
三人のアカデミー賞女優陣・広末涼子、中谷美紀、木村多江のそれぞれの個性がうまく表現されており、観る人を唸らせてくれた。
昔の役者さんたちでないとこのような社会派のドラマは無理かなと思っていたが、思わず大丈夫、うまく表現しうまく演じていると思い引き込まれた。
映画の方は、どのくらいの観客を動員したものか分からないが、団塊の世代の我々にとってはいい映画であった(夫)
[追 記]~あらすじ~
板根禎子は26歳。広告代理店に勤める鵜原憲一と見合い結婚した。紅葉が盛りを迎えている信州から木曾を巡る新婚旅行を終えた10日後、憲一は、仕事の引継ぎをしてくると言って金沢へ旅立つ。しかし、予定を過ぎても帰京しない憲一。禎子のもとにもたらされたのは、憲一が北陸で行方不明になったという、勤務先からの知らせであった。急遽金沢へ向かう禎子。憲一の後任である本多の協力を得つつ、憲一の行方を追うが、その過程で彼女は、夫の隠された生活を知ることになる。
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一昨年の初冬、松本清張生誕100年を記念して作られた映画「0の焦点」が全国一斉に封切られた。その上映期間中に映画館で見る機会を失って、1年数ヶ月が過ぎ去っていた。
今回、テレビ朝日系列の日曜映画劇場で放映され、録画しておいて翌日ゆっくりと観ることができた。
社会派推理小説として、「点と線」、「砂の器」など数多くの小説を世に送り出した松本清張シリーズを読み漁っていた頃がある。
勿論、今回の「0の焦点」もそのひとつで、読み始めるとついつい夜更かしをしてしまうほど夢中になった・・・・・。
松本清張シリーズは、野村芳太郎監督と橋本忍脚本などによる映画が有名であり、その最たるものは「砂の器」である・・・・・・社会の暗部を鋭く切り取った不朽の名作で、その人間ドラマに感動を覚えたものである。
奇しくも12日・13日の21:00からテレビ朝日系列で、何度もテレビドラマ化もされた「砂の器」が、リメイクされて放映とのこと・・・・・こちらも楽しみである。
東北弁と出雲弁がキーワードとなっている・・・・・「カメダ・・・とは」
「0の焦点」では、昭和30年代前半が舞台設定となっており、終戦から10数年なのでその匂いがまだ残る敗戦国日本の社会の闇が映し出される。
主人公・板根禎子が見合い結婚で鵜原憲一と一緒になったが、夫・憲一が新婚間もなく引き継ぎに出向いた前勤務地・金沢で行方不明となる。
禎子は、心配になり広告代理店の金沢出張所に出向いて、夫の後任の本多と色々と調べて行くうちに・・・・・夫の不可思議な行動、そして知らなかった夫の過去を徐々に知ることとなる。
(出典:2009「 0の焦点」製作委員会 公式HP)
終戦直後の日本、無条件降伏し米国の占領下にあった頃、米兵を相手に売春行為をしていた女性たち(パンパンと呼ばれていた)の存在があり、これがドラマの重要な位置を占めていることが分かってくる・・・・触れられたくない最も忌まわしい記憶がよみがえる。
終戦直後の日本の恥部が描かれており、戦後も65年以上経ってしまった現代の若者たちには、理解できない話であるが、松本清張は常に日本の社会の暗部にメスを入れた悲しい物語に仕立て上げている。
戦争という国と国の戦いに翻弄された人々、戦争によって生き方を変えられた人々、暗い忌まわしい過去を消し去るために犯行を重ねざるを得なくなった犯人も戦争の犠牲者かも知れない。
その犯行に同情するわけにはいかないが、戦争によってすべてを失って、戦後の混乱期を生きるためにあのような行為に及ばざるを得なかったことには、心が動かされるところもある。
鉛色の暗雲と能登半島の荒れ狂う海の色、このシーンを観るだけで人間の物悲しい性(さが)がうまく表現されている・・・・・過去の消し去りたい記憶、消し去ることのできない悲しさ、儚(はかな)さ。
三人のアカデミー賞女優陣・広末涼子、中谷美紀、木村多江のそれぞれの個性がうまく表現されており、観る人を唸らせてくれた。
昔の役者さんたちでないとこのような社会派のドラマは無理かなと思っていたが、思わず大丈夫、うまく表現しうまく演じていると思い引き込まれた。
映画の方は、どのくらいの観客を動員したものか分からないが、団塊の世代の我々にとってはいい映画であった(夫)
[追 記]~あらすじ~
板根禎子は26歳。広告代理店に勤める鵜原憲一と見合い結婚した。紅葉が盛りを迎えている信州から木曾を巡る新婚旅行を終えた10日後、憲一は、仕事の引継ぎをしてくると言って金沢へ旅立つ。しかし、予定を過ぎても帰京しない憲一。禎子のもとにもたらされたのは、憲一が北陸で行方不明になったという、勤務先からの知らせであった。急遽金沢へ向かう禎子。憲一の後任である本多の協力を得つつ、憲一の行方を追うが、その過程で彼女は、夫の隠された生活を知ることになる。
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