愛知学院大学青木ゼミのブログ

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2021年12月09日 | 名古屋マーケティング・インカレ
先週土曜日に名古屋マーケティング・インカレ本大会が2年ぶりに開催され、うちの3年ゼミ生が発表しました。3チーム参加しましたが、まともな発表ができたのは1つのみ。残り2つは研究発表の体を成していませんでした。事前にダメなことは分かっていました。しかしながら、ダメな内容でも、発表すること自体には教育的意義があるので、直前に細かな指摘をせずにそのまま送り出しました。

本日反省会で自ら改善策を考えてもらうことにしました。その参考のため、今大会で最優秀になった愛知大学のシンメトリーの発表「企業は広告型CMと非広告型CMをどのように選択しているのか」を取り上げ、その長所と改善点を皆で議論しました。

この発表は企業がどのように広告型CMと非広告型CMを使い分けしているのかその要因を明らかにすることを目指しています。ここでいう広告型CMは製品の品質や便益を訴求するCMであり、非広告型CMは物語性、芸術性、伝播性を含んで、驚きや癒しを与えるような感覚的なCMです。広告然とせず、口コミ等の発生によって企業と消費者との関係構築を図ります。

清涼飲料水を対象とし、48ブランドのCMを調べ、それらを広告型と非広告型に分類しました。引き続いて、その創出に影響与える要因として、製品ライフサイクル(導入期、成長期、成熟期)、ターゲット(30歳以下、それ以外)、製品コンセプト(機能的価値、感覚的価値)を取り上げ、各要因によってCM発現の差があるかどうか、調査しました。カイ二乗検定によって、発現の差が統計的に有意であるかどうか確かめたところ、製品コンセプトにおいて有意差が認められました。その結果、製品コンセプト(機能的価値、感覚的価値)の違いが、広告型CMと非広告型CMの選択に対する重要な要因であると結論付けています。

明快な研究目的を設定して、CMを数十も収集し、それらを分析し、さらに複数の要因との関連をしつこく調査した点は最優秀にふさわしい発表だと評価できます。研究上の問いに自分たちなりの答えをきちんと出しました。素直なロジックは、分かりやすく説得力のある内容に結びつきました。この発表の問題点をあえて挙げれば、結論がある意味当たり前であることです。製品コンセプトとプロモーション手段であるCMの選択が一貫するのは当然です。まっとうな企業はマーケティング戦略を立案するときに、戦略の一貫性を考慮します。機能的価値には広告型、感覚的価値には非広告型という一貫性は当然なのです。私個人としては、製品コンセプトと一貫しないプロモーションに着目して、なぜそうなったのか掘り下げると面白いと思いました。

ゼミ生たちは、製品ライフサイクルとターゲットの区分基準を操作して再考察すると違った結果になるのではないか?製品カテゴリーを要因として取り上げることは可能か?などの意見を出しました。また、プレゼンが上手、構成の組み立てが巧み、質疑応答が誠実などとほめていました。ゼミ生は自分たちの発表振りかえるための模範にしてほしいと思います。

さて、今回うちの2チームが酷い発表をすることになったのは、チーム・ワークが機能していなかったからです。1チーム5、6名のうち、2名程度が懸命に発表準備に関わるが、その他はノータッチか受け身の姿勢で傍観するのみになっていました。フリーライダーの登場です。フリーライダーがいると、その者に対する対応や不満で積極的メンバーが疲弊してしまいます。こうなると作業は滞るし、アイディアは貧弱になります。結局、11月の末まで堂々巡りの議論を繰り返していました。

全員が積極的に発表に関わると、路線対立でもめごとが起きることがあります。それでチームが瓦解することがありますが、その場合、チームを分割してしまえば、研究発表は継続します。この場合発表が成功するかどうかはさておいて、教育上知的成長は望めます。その一方、フリーライダーがいる不活発なチームをそのままにしておいた場合、フリーライダーは何もしないので知的成長は望めませんし、積極的メンバーは努力を発揮しきれないので、不十分な知的成長に留まります。

今日、1月末の学内の研究発表会までに改善を施してほしい、できれば抜本的な見直しをしてほしいとゼミ生に指示しました。さらに取り組み方に問題があり、チーム・ワークが働いていない。中学生相手ではないので細かな指示はしないが、この点も自分たちで見直すようにと要望しました。ゼミたちがきちんと見直し、改善の努力を図るかどうか不明です。自分の知的成長のために研究発表に本気で取り組んでほしいと願っています。

追伸
学生の研究発表チームの最適人数は3名であることを経験上割り出しています。5名以上になると何もしないメンバーが必ず出現します。5名以上になるとコミュニケーションが密にならず、疎外されるメンバーが出てきます。フリーライダーにも言い分はあるでしょう。しかし、その言い分を隠したままフリーライダー化するのはコミュニケーションに問題があったいうことです。なお、3名が最適なのは、人数が少ないため、密なコミュニケーションが保たれ、誰かが「さぼる」余地がなくなるからです。そして、路線対立が生じた際、奇数であるため、議決すると一つに意見が集約されるからです。

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