昨日,天皇誕生日に4年生の卒論発表会を開催しました。祝日ながら補講日に当っていたので,この日の開催となりました。ゼミの2年生,3年生,4年生ほとんどが参加しました。
今回は4年生からの提案で,例年のように全員が発表するのではなく,選抜されたメンバーによって発表することになりました。全員の発表では時間が超過してしまうからです。まず,卒論提出後に4年生たちが相互に卒論を読み合って,発表メンバーを選抜します。つぎに,発表会で選抜メンバーが発表し,それを聞いた全員が採点して優劣を付け,優秀卒論賞候補(学部で表彰)を選ぶことにしました。いわば2段階選抜方式です。先週,4年生による相互評価で13名中8名が選抜されました。その8名が昨日発表した訳です。
1人持ち時間20分程度で発表しました。そして,参加者全員が10点満点で各発表を採点(発表者は自分の発表以外の発表を採点)しました。教員も学生と同じ立場で採点しました。点数を合算した結果,濱瀬達也「ハーレーダビッドソンのマーケティング」がトップに選ばれました。
この卒論は,大型バイク・ブランドであるハーレーダビッドソンの日本における成功要因を文献を吟味して整理した後,女性ユーザー拡大のための方策を検討しています。人口減社会において,ハーレーが今までと同様に売上高を伸ばそうとすれば,従来顧客として取り込んでこなかった女性を主要顧客とする必要があるという理由からそのテーマに取り組んだ訳です。ハーレーの日本における女性ユーザー拡大のための取り組みを調べ,さらに既存の女性大型バイクユーザーにヒヤリング調査を行っています。そこから,パンフレットの刷新を中心としたプロモーション策を提案しています。テーマが思いつきでなくハーレーの経営にとって意義ある点,文献調査のみならず1次データの収集をきちんと行っている点が評価できます。
次点は,理論研究とアンケート調査からテーマパークUSJの集客のあり方を導き出した,柿元美幸「テーマパークにおける集客戦略」でした。発表者はA以上の成績評価がつくこととし,さらに高得点の上位4名にAAの評価がつくことにしました。
学生の採点に基づいて成績評価を行うことには批判があるでしょう。しかし,私は教育上優れた方法であると確信しています。そもそもこの方法を採用することには3つの狙いがあります。第1に,学生間に競争が巻き起こって,良い卒論を書くインセンティブが生まれることです。第2に,採点する立場になると,参加する学生たちは真剣に発表を聞き,卒論を読むため,他の学生から学ぶ姿勢が生まれることです。第3には,成績評価を透明化することで,評価に対する学生の不信感を払拭することです。私は第3の狙いを重視しています。
多くの学生は大学における成績評価に不信感を持っています。教員は実にでたらめに成績を付けていると信じているのです。かくいう私も学生時代はそうでした。しかし,教員になってみて分かるのは,きちんと理由があって成績評価が行われているということです。学生たちは「試験で落とされた。あいつがAなのに,おれがDってありえない,でたらめだ!」と試験後騒ぎますが,私たちからすると「お前たちのでたらめな答案の方がありえないぞ!」となります。全教員はきちんとした評価基準に沿ってていねいに成績を付けます。ただ,その基準や理由が明らかにされないので,学生たちは不信感を持ってしまうのです。
卒論は学生生活の(勉学面の)集大成です。その成績評価に不信感を持って卒業していくのは,学生にとっても教員にとっても良いことではないと思います。そこで,学生による目に見えるオープンな評価を行うことにしたのです。卒論提出者本人も評価に加わるので,不信感の持ちようがないだろうという訳です。
学生にきちんとした評価なんてできるのか?という疑念はあるでしょう。個々の採点では首をかしげるようなものが出てきます。しかし,多人数分を合算すると,実に妥当な評価になります。今回も私があらかじめ仮に評価しておいたのものとほぼ同じになりました。私が優れていると考えたものは高得点になり,だめだなと考えたものは発表会に残りませんでした。
もちろん,採点が適正になるように,私から評価の基準をあらかじめレクチャーします。目的の具体性,情報収集の徹底,論理性,独自性です。これらは私がレポートや論文を評価する際に用いている基準です。学会における研究評価基準ととそうずれてはいないでしょう。また,採点の際には学生に採点理由を書いてもらいます。理由が欠けないような採点ははじくことにしています。
1月最初のゼミでは3年生が研究発表を行い,それを4年生に採点してもらいます。4年生たちはもう苦労がないので,それを楽しみにしているようです。
今回は4年生からの提案で,例年のように全員が発表するのではなく,選抜されたメンバーによって発表することになりました。全員の発表では時間が超過してしまうからです。まず,卒論提出後に4年生たちが相互に卒論を読み合って,発表メンバーを選抜します。つぎに,発表会で選抜メンバーが発表し,それを聞いた全員が採点して優劣を付け,優秀卒論賞候補(学部で表彰)を選ぶことにしました。いわば2段階選抜方式です。先週,4年生による相互評価で13名中8名が選抜されました。その8名が昨日発表した訳です。
1人持ち時間20分程度で発表しました。そして,参加者全員が10点満点で各発表を採点(発表者は自分の発表以外の発表を採点)しました。教員も学生と同じ立場で採点しました。点数を合算した結果,濱瀬達也「ハーレーダビッドソンのマーケティング」がトップに選ばれました。
この卒論は,大型バイク・ブランドであるハーレーダビッドソンの日本における成功要因を文献を吟味して整理した後,女性ユーザー拡大のための方策を検討しています。人口減社会において,ハーレーが今までと同様に売上高を伸ばそうとすれば,従来顧客として取り込んでこなかった女性を主要顧客とする必要があるという理由からそのテーマに取り組んだ訳です。ハーレーの日本における女性ユーザー拡大のための取り組みを調べ,さらに既存の女性大型バイクユーザーにヒヤリング調査を行っています。そこから,パンフレットの刷新を中心としたプロモーション策を提案しています。テーマが思いつきでなくハーレーの経営にとって意義ある点,文献調査のみならず1次データの収集をきちんと行っている点が評価できます。
次点は,理論研究とアンケート調査からテーマパークUSJの集客のあり方を導き出した,柿元美幸「テーマパークにおける集客戦略」でした。発表者はA以上の成績評価がつくこととし,さらに高得点の上位4名にAAの評価がつくことにしました。
学生の採点に基づいて成績評価を行うことには批判があるでしょう。しかし,私は教育上優れた方法であると確信しています。そもそもこの方法を採用することには3つの狙いがあります。第1に,学生間に競争が巻き起こって,良い卒論を書くインセンティブが生まれることです。第2に,採点する立場になると,参加する学生たちは真剣に発表を聞き,卒論を読むため,他の学生から学ぶ姿勢が生まれることです。第3には,成績評価を透明化することで,評価に対する学生の不信感を払拭することです。私は第3の狙いを重視しています。
多くの学生は大学における成績評価に不信感を持っています。教員は実にでたらめに成績を付けていると信じているのです。かくいう私も学生時代はそうでした。しかし,教員になってみて分かるのは,きちんと理由があって成績評価が行われているということです。学生たちは「試験で落とされた。あいつがAなのに,おれがDってありえない,でたらめだ!」と試験後騒ぎますが,私たちからすると「お前たちのでたらめな答案の方がありえないぞ!」となります。全教員はきちんとした評価基準に沿ってていねいに成績を付けます。ただ,その基準や理由が明らかにされないので,学生たちは不信感を持ってしまうのです。
卒論は学生生活の(勉学面の)集大成です。その成績評価に不信感を持って卒業していくのは,学生にとっても教員にとっても良いことではないと思います。そこで,学生による目に見えるオープンな評価を行うことにしたのです。卒論提出者本人も評価に加わるので,不信感の持ちようがないだろうという訳です。
学生にきちんとした評価なんてできるのか?という疑念はあるでしょう。個々の採点では首をかしげるようなものが出てきます。しかし,多人数分を合算すると,実に妥当な評価になります。今回も私があらかじめ仮に評価しておいたのものとほぼ同じになりました。私が優れていると考えたものは高得点になり,だめだなと考えたものは発表会に残りませんでした。
もちろん,採点が適正になるように,私から評価の基準をあらかじめレクチャーします。目的の具体性,情報収集の徹底,論理性,独自性です。これらは私がレポートや論文を評価する際に用いている基準です。学会における研究評価基準ととそうずれてはいないでしょう。また,採点の際には学生に採点理由を書いてもらいます。理由が欠けないような採点ははじくことにしています。
1月最初のゼミでは3年生が研究発表を行い,それを4年生に採点してもらいます。4年生たちはもう苦労がないので,それを楽しみにしているようです。