愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

先行研究

2013年01月13日 | 運営
毎年,しつこいぐらいに指導しているにもかかわらず,きちんとゼミ生たちがやってこない事柄に,先行研究のレビューがあります。研究発表や卒論のテーマを考え出す前に,必ずやるべきこととして諭すのですが,ゼミ生たちはまじめにやりません。

彼らにしてみれば,難しげな論文やら専門書なんて読んでいられない。それより生活上の身近な問題からテーマを見つけ出し,身近な事例にならって結論を導き出す方が,簡単で,理解しやすいというのでしょう。

さらに,学生は,マーケティングというと,何か戦略を導出しなければならないと思い込んでいます。

したがって,たいてい,自分の良く知っている企業やアルバイト先を例にとって,それにまつわる戦略導出をテーマに掲げます。「~~企業(あるいは店やブランド)の売上高向上の戦略」というたぐいです。

しかし,学生たちは,そのアプローチで,すぐに壁にぶち当たります。仮説の検証や主張の根拠づけに窮するのです。そもそも,どうすれば主張を根拠づけられるのか思い至らずに,いたずらに時間を浪費します。そして,思いつきの主張にとどまった発表や卒論を完成させて終わりになります。つまり,彼らの考え出した戦略で本当に売上高が向上するのかどうか,説得力を持った主張にはならないのです。

先行研究を調べておくと,その状況は打破できます。なぜならば,先行研究としてのまともな論文や専門書は,結論を導き出すための根拠づけが行われているからです。根拠づけは,理論を応用すること,数量的データを示すこと,事例や歴史を記述することなど様々ありますが,学生たちは,その根拠づけのやり方を真似ればいいのです。

当初は,身近な問題からテーマを見つけ出したとしても,きちんと先行研究を調べ,それにならって,根拠づける方法を考慮し,初期のテーマを修正していけば,論理的・説得的な発表になるでしょう。

今年度ゼミ3年生たちには,ちょうど1年前に,先行研究例として論文を配布し,それを読んでもらった後,自ら関心のある領域の先行研究を調べてからテーマを考え出すように指導しました。しかし,それを十分行わないまま,4月にテーマ決定とチーム分けを行いました。その後,春学期,私がいない間,根拠づけのあり方を理解していた卒業生が,先行研究をきちんと読むようにと3年生に指導していましたが,みなそれにはしたがいませんでした。

結局どうなったかといえば,11月の半ばまでずっと堂々巡りの議論を繰り返し,12月の名古屋マーケティング・インカレ本大会では,まともな発表ができずに終わりました。その後,発表のやり直しを指示していますが,本大会後1か月経っても改善しません。春学期にきちんと先行研究をレビューしていれば,結果は違っていたでしょう。

3年生には来年度の卒論に向けて同じく先行研究レビューを指示しましたが,どうなることでしょうか。なお,2年生にも同じ指示を出しました。これまたどうなることでしょうか。失敗から学んで欲しいと思っています。
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Fade Out

2013年01月11日 | 運営
次年度はゼミの活動を大転換せざるをえないでしょう。

過去6年間,3年生は名古屋マーケティング・インカレに参加していましたが,次年度はこれを取りやめるかもしれません。今年度の結果やゼミ生の募集状況等からするとそう考えざるをえません。

今年度うちのゼミ3年生の名古屋マーケティング・インカレに対する取り組みは,過去最低レベルだったと感じています。今年度全参加ゼミの中でも最低だったでしょう。私が半期いなかったことが影響しているとは思います。しかし,その間は上級生たちが指導をしていました。卒業総代だった卒業生までもが手助けをしていたのでした。にもかかわらず,低調だったのは,このゼミのあり方そのものがもう限界にきているということでしょう。

今年度3年生は低調でしたが,4年生も昨年度3年次に一部学生がひどく足を引っ張りました。結局3年次に4名も脱落しました。

そもそも,名古屋マーケティング・インカレにきちんと取り組みたいと考える学生は一部しか所属していない。募集時には,ゼミに所属したいがばかりに,「一生懸命取り組みます」と宣言しますが,その後様子を見ていると,本気ではなかったことが露呈します。たいてい人気ゼミに入れない学生がうちのゼミを応募するので,ここを落ちたら他はないという気持ちで安易に頑張りますというのでしょう。

今は同じマーケティング分野の秋本ゼミがともに名古屋マーケティング・インカレに加盟していて,あちらの方が愛知学院代表という形になっています。おそらく,名古屋マーケティング・インカレ参加希望の学生は秋本ゼミを志望するので,うちのゼミには参加希望学生はなかなか流れてこないのでしょう。うちの学部における,うちのゼミの名古屋マーケティング・インカレ参加の意義はもうないのかもしれません。

今2年生はわずか6名です。大学の定めるゼミの最低人数に迫っています。5名を下回ることは認められていません。6名全員が3年次名古屋マーケティング・インカレに取り組む意欲と能力を持っているとは思えないので,今後脱落者が出るかもしれません。

今週,2年生にはレポートを提出してもらったのですが,よろしくないものが多かったので,全員書き直しを指示しました。その再提出を待ってから,名古屋マーケティング・インカレ参加を取りやめるか,一部希望者のみ参加にするか,現行通りとするか,次年度の方針を決める予定です。

参加取りやめとした場合,何を3年次ゼミ活動の柱にすべきか決定しなくてはなりません。以前は大学教育らしくないと考えて,取り組んでこなかった資格取得も視野に入れざるをえないでしょう。ただ,それをやっても,他大学生と直接競うというタガが外れるため,ゼミの雰囲気が停滞することは間違いないでしょう。

もともと,学部内でのうちのゼミの位置づけは,3次募集でやっと定員が埋まる,あぶれ者の集まる「でもしか」ゼミでした。他のいいゼミには行けないけど,マーケティング専門なら楽そうだ思ったのでこちらに来たという本音を堂々と語る学生が集っていました。飲み会や合宿も学生たちが自発的に企画することはなく,ゼミ内の討論はただの雑談。他の学生の発表を聞かずにべちゃべちゃ私語をする。そんな雰囲気が何年も続きました。何とか,きちんと勉強をするゼミにしようともがいてきました。元に戻るということかもしれません。敗戦処理投手がいるように,学部にもそういう役回りが必要だといわれれば,そうなるしかないでしょうか。ひょっとしたら,表面的には,楽だからと,志望者多数の人気ゼミになるかもしれませんが・・・。
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知識の定着

2013年01月09日 | 運営
ベネッセが行った「大学生が振り返る大学受験調査」において,入試の方式による高校時代の過ごし方の違いが明らかになったそうです。高校3年の9月時点の1日の学習時間は,一般入試での入学者平均は「3.8時間」。これに対して,推薦・AO入学者は「1時間未満」の比率が「45.0%」で,約半数の生徒が「受験生」にも関わらずほとんど勉強していないといいます。また,入試難易度(進研模試の偏差値基準)別にみると,偏差値が低いほど「1時間未満」の比率が高まり,偏差値49以下では「64.8%」と高くなっています。ちなみに,推薦・AO入学者の5人に1人が「受験対策をしなかった」と回答しているそうです。

現場教員として,以前から実感として把握していたことなので,いまさら驚きはありませんが,数字が示されると,事の重大性を再認識します。中堅以下の私立大学生の多くは,大学入学までにまともに勉強した経験がないのです。

推薦・AO入学者の学力上の問題は,高校の定期試験対策しかしてこなかったことです。定期試験の場合,あらかじめ狭い勉強範囲が言い渡されますので,たいていの場合薄い教科内容を一夜漬けすれば,試験にのぞむことができます。つまり,知識を体系立てて定着させる工夫を自発的に行わないのです。逆にいえば,一般入試入学者は,地道に知識を体系立てて定着させる努力を行ってきています。

難関とは言えないうちの学部においてでも,一般入試(センター試験含む)を経た入学者は比較して学力が高く,地道に物事に取り組む傾向にあります。推薦・AO入学者は総じて学力が低い。

ただし,推薦・AO入学者の中で,商業高校(総合学科含む)出身の学生は特別です。商業高校出身者は総じてうちの学部では成績が良いのです。その理由の1つとして,高校時代の勉学内容と学部の教育内容との間の親和性が高いことがあげられます。彼らは簿記やマーケティングの基礎は高校時代すでに学習しています。大学の簿記の学習内容などは,高校時代よりもレベルが低いと指摘する学生さえいます。もう1つの理由としては,商業高校出身者は,高校時代,資格取得の勉強を経験してくるので,知識を体系立てて定着させる工夫を身に付けているのです。本学のAOや推薦入試の一つでは,特定の資格取得を受験要件にしています。

ゼミで,知識を体系立てて定着させるための仕掛けを講じる必要があると感じています。しかし,どうすればいいのか思案中です。資格取得のための勉強を強制するのも1つの方法だと思います。ただ,大学らしさがない気がして,今まで行ってきませんでした。

今年度,ゼミ2年生に,1年次の必修科目である流通論の授業内容を再現して,プレゼンしてもらう課題を与えました。教員になったとして,講義してもらうのです。プレゼンの練習のためにやってもらいました。

今思い起こしてみると,知識を体系立てて定着させるための仕掛けの1つになっていたかもしれないと感じています。講義するとなれば,体系だてて科目の内容を理解しなければなりません。しかも,その準備段階で,自発的にあれこれ調べ,発表原稿を書くので,知識の定着につながったはずなのです(実際不明ですが)。

4月からのゼミの運営では,資格取得と疑似講義を本格的に取り入れるかもしれません。
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