愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

再び諭す、なんで、ほんま

2022年05月26日 | 運営
本日のゼミの時間、研究発表のテーマを模索する3年生にいつもの考えを諭しました。研究発表で大事なことは、「なんで(なぜ)?」「ほんま(本当)?」を追究すること。

ゼミ生たちがテーマを具体化できない理由の一つは、基礎的な知識がないことです。したがって、自分が知りたいことをぼんやり掲げてテーマとします。知識のない学生のそのぼんやりテーマは、たいてい、少数の文献を読めば解決するようなものです。簡単に解決するようなものは研究テーマとは言えません。

もう一つ理由を指摘すると、「なんで?」、「ほんま?」をしつこく追究しないことです。

ゼミ3年生発表チームの一つが、「ローソンがなぜ業界3位の位置にいるのか」をテーマとしています。そして、その要因として傘下のナチュラルローソンやローソンストア100が低迷していることを挙げ、いくつかのメディア情報を引用して、その原因を本日紹介していました。そのうちの一つに、ストア100は、普通のコンビニにおいても生鮮を扱う店が増え、ストア100の生鮮品販売がそれほど魅力的とは言えなくなっているというものがありました。

この先、このテーマを具体化させようというのであれば、以上の指摘に対して、「なんで」、「ほんま」を繰り返し問いかけなければなりません。例えば、普通のコンビニにおいても生鮮を扱う店が増え、ストア100の生鮮品販売がそれほど魅力的とは言えなくなっているという指摘に対して、セブンイレブンやファミリーマートなどにおいて生鮮品の扱い店が本当に増加しているのか調査し、データを提示する必要があります。そのうえで、消費者の利用動向を調査し、ストア100と生鮮品扱いセブンイレブンとが競合しているのかどうか検討する必要があります。そして、その競合の結果、ストア100の顧客が奪われたことを示すデータを提示する必要があります。まさに「ほんま?」の追究です。品揃えや価格の違いから実は競合していない可能性もあるのです。

他のコンビニ・チェーンの生鮮品扱い増加によって、ストア100の顧客が奪われたことが事実だとすれば、つぎには「なんで?」を発してほしい。ストア100の品揃えが貧弱だから奪われたのか、品質が劣悪だからか、価格競争力がないのか、店舗立地に難があるのか、顧客が奪われた原因を突きとめなければなりません。仮に、品揃えの貧弱さが原因ならば、さらに「なんで?」を発しなければなりません。生鮮品そのものが豊富でないのか、生鮮品と関連する食品が少ないのか、生鮮品とは関連のない非食品が少ないのか、品揃えが貧弱であるという意味を消費者の利用動向や意識を調査してあぶりださなくてはなりません。品揃えの貧弱さは顧客がそれをどのように捉えるのかによって意味は変わります。

「なんで?」「ほんま?」をそれぞれ最低3度は問いかけていけば、研究テーマは深堀りでき、具体化していきます。これは思考の訓練になります。社会事象を表面的な理解で終わらせない、メディア情報をうのみにしないための訓練です。これこそが大学教育を受ける意義です。そして大学のゼミで大事にしなければいけない事柄です。

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紙媒体か電子媒体か

2022年05月06日 | Weblog
紙の本、内容記憶しやすく読解力高まる…スマホと比較

スマートフォンよりも紙の本の方が、内容を記憶しやすく読解力が高まるとみられるとする研究結果を、昭和大の本間元康講師(認知科学)らの研究チームが発表した。論文が科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。チームは、作家の村上春樹さんの小説の一節を学生34人に、紙の本かスマホで読んでもらい、その後、主人公の見た風景や登場した会社名など、記憶や読解力に関する設問を10問(1問1点)出した。すると、紙で読んだ場合は平均8・9点、スマホでは同7・4点だった。

読書中、脳の前頭葉の活動はスマホの方が活発だった。脳が過剰に働き、注意力が散漫になっている可能性もあるという。読書中に深く呼吸した回数は、本で平均3・3回、スマホでは同1・8回だった。本間講師は「本ではリラックスして読書できることがうかがえる」と分析している。

(読売新聞 2022年2月27日)
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上記の読売新聞の記事は、個人的に納得のいく内容です。研究室や自宅の収容スペースが足りなくなっているため、研究費と私費どちらでの購入でも、紙の書籍を減らして電子書籍を増やしています。しかし、電子書籍のリーダーを使って読んだ本は、なぜか理解できず、記憶に残らないことが多い。読んでいる最中、第3章ぐらいまで来ると、第1章の内容を忘れてしまっています。もう一度第1章を参照しようとしてページを飛ばすのですが、紙ほどスムーズに飛ぶ印象がありません(機器の操作は簡単なのですが)。電子書籍リーダーはスマホよりは画面が大きいのですが、上記の記事のように読解や記憶については、紙媒体より劣るという印象です。

電子書籍リーダーの操作性が悪いあるいは画面が小さすぎるのかと思い、パソコンで読むようにしても、紙の書籍と比べて情報が頭に入ってきません。なぜなのか。専門の研究者に追究して欲しいと思っています。

できれば解決策を練って、電子書籍リーダー改善に反映してもらえるとありがたいです。現在研究室の本棚は100%埋まってしまって、紙の本を床に積み重ねています。したがって、今後電子書籍の購入・利用を増やさざるをえません。しかし、頭に入らないのでは、研究にならないし、授業の準備もできません。そもそも頭に残らない読書は時間の無題なりかねません。
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