愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

卒論テーマ吟味

2016年05月21日 | 卒論
今月,ゼミ4年生には卒論テーマを順番に発表してもらっています。就職活動が佳境に入っていますが,卒論のテーマを春学期中にきちんと考察しておかないと,12月の締め切りに間に合わなくなるので,今頑張ってもらっています。

教務課に7月初旬に卒論テーマを提出することになっています。その時には,卒論のタイトルを入力すればよいので,そのことのみに備えるのならば,今はタイトル考案で済ませればよいということになります。しかし,12月までにきちんと書ける見通しを立てたうえで,タイトルを提出しなければなりません。もし提出後うまく書けないということになれば,秋学期にタイトルの変更が必要になりますが,それは学部では原則認められていないのです。

ゼミで今4年生に求めているのは,タイトルに加えて,仮結論,目次,調査方法,研究意義の概略です。これらがきちんと説明できれば,執筆見通しを立てることができます。

仮結論は重要ですが,これは調査の進展によってどんどん変わってきます。それでよいのです。簡単に結論が出るのならば,わざわざ半年以上かけて卒論に取り掛かる意味はありません。しかしながら,変わるからといって,仮結論がなければ,進むべき方向が定まらないことになります。

まず,関係する文献をきちんと読むことが大事です。本を1冊2冊読む程度では全く不十分。本を何冊も,論文や雑誌の記事を何十本も読み進めます。そうすると,自分が取り上げようとしている研究領域において,どんなことが既に明らかになっているのか,今どのような社会現象が起きているのかが分かってきます。さらに,それら文献の内容をうのみにするのではなく,それらが明らかにしていない点や不十分な検討に終わっている点を見つけ出します。いわば穴を見つけるのです。そうすると,その穴が追い究めるべき課題になるのです。それをどのように解決するのか考察すると,結論の見通しが立ちます。そして,その解決策を考える際,情報の収集方法を悩んでみると調査方法が浮かび上がります。文献調査を進めるのならば,どの文献を探すのか。文献調査では解決が図られないのならば,アンケートやヒヤリングなど一次情報の収集を企図することになります。

つぎに重要なのが目次です。本と同じように,卒論にも目次が存在します。目次は構成案です。なぜ重要なのかといえば,目次は設計図になるからです。設計図がないまま家を建てることはありえないように,目次がないまま卒論を執筆することもありえません。

設計図としての目次をきちんと定めておくことは,執筆の効率化につながります。目次があって,全体像が決まっていれば,卒論は1ページ目から書き始める必要がないのです。第3章を先に書いて,つぎに第2章の第2節途中まで仕上げ,第4章に取り掛かりながら,第1章を書くということができます。設計図があるので,順序を外して書いても,きちんと後に内容をつなぎ合わせることができます。卒論が書けないと騒いでいるダメな学生の振る舞いを見ていると,たいてい1ページ目から書き始めています。最初の部分はテーマや問題の設定を説明しますが,それがうまく書けないので,先に進まないのです。目次が定まっていれば,書きやすい部分から書いていけばいいのです。ただ,理解しておいて欲しいのは,執筆の初期段階に決めた目次は,思考が深まるにつれ修正することになるということです。後に修正するのなら,目次は不必要かといえば,そうではありません。仮のものでも設計図があれば,それが方向性を示してくれるのです。そして,執筆途中で,論理に矛盾がないか,無駄がないか,不足部分がないかを振り返る指針になります。もし,目次そのものが論理上無理があると気づけばそれを修正します。目次がなければその気づきすらないでしょう。

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輪読再び

2016年05月16日 | 運営
ゼミ3年生には,現在,昼休みを利用してマーケティングの専門教科書の輪読を行ってもらっています。輪読というのは,特定の書物について(主に理論書),ゼミ生が順番に,担当箇所を読んで,解釈をした内容を発表し,その発表を受けて,全員で問題点について論じ合うという課題です。人文・社会科学系大学のゼミでは定番の課題です。理論や専門用語の理解のためにやることが多いでしょう。私も,学部時代と大学院時代にそれをこなしました。

しかし,うまくいきません。例年通りうまくいかないのです。自分なりの内容の解釈がなく,専門用語と理論を理解しないまま,ただ教科書の文章を不完全に縮約して,内容を細切れにして話をしているだけです。しかも,論じ合うということはなく,まともな質疑応答すらもできていません。思考の訓練にすらなっていないのです。

どうすればいいのかというと,専門用語や理論を具体例に結び付けて説明するよう心掛ける。具体例に結びつければ,その専門用語や理論が現実の動き説明することに役立つのか,あるいは役立たないのか考察することができます。その時に,自分なりの解釈を加える余地が生まれます。また,特定理論で説明がつかない現実の動きがあった場合,別の理論を当てはめることができるのか考察してみると,理論間の関係を理解することができます。

マーケティング論や経営学のような実学の専門用語と理論は,具体例に結び付けやすいといえるでしょう。したがって,それらを具体例と結び付けて説明できないのは,理解のための努力を欠いているといえるでしょう。使用している教科書はマーケティング論の中級レベルの教科書です。しかも,その教科書を使った授業をゼミ生たちは既に履修しています。

ゼミ生には,教科書の理論に接したらすぐ,「具体的にはどんな例が当てはまるのか?」と問いかけて欲しいと思います。
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