愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

90分

2013年04月19日 | Weblog
新年度が始まり,はや2週間が経ちました。新入生たちもようやく大学生になったという実感を持つに至っているようです。しかし,授業にまだ慣れていないようです。

大学の授業は,内容が抽象的・難解,板書がきちんとなされない,教科書を使わない場合がある,受講者が多い,各科目は週に1度しか開講されないなど,高校の授業とは違っていて,それらに慣れることができないようです。学生に聞いてみると,何に一番慣れないかといえば,90分という長い授業時間なのだそうです。

私は現在1時限開講の新入生向けの必修科目を担当していますが,授業が始まって40分ほど経過すると,眠るあるいは机につっぷす学生が出始めます。60分を超えると,寝ている学生に加え,起きてはいるがぼんやりする学生をあちらこちらで見ることになります。

高校の授業時間は50分程度ですので,学生たちはそれまでは耐えられるが,それ以上の時間硬い椅子に座り,黙って授業を聞くことはできないようです。

昨年アメリカの大学に滞在した時,その大学の学生は同一科目で40分の授業を週に2もしくは3回受講するというスケジュールになっていると聞きました。こちらの方が,教育効果が上がるのではないかと思っています。アメリカの大学ではどの科目も宿題が必ず出されるので,それを授業の合間に仕上げるとすると,ほぼ毎日当該科目に関する知識に触れる機会が生まれます。日本の90分授業では学生は集中力を維持することはできず,また週に1度の受講では知識が十分定着しません。

大学設置基準やスケジューリングの効率性等を勘案して,現行の開講スタイルになっているのでしょうが,学力低下への対応や学士力確保に向けた教育改革を唱えるならば,科目配当だけでなく,その開講スタイルも検討しなおす必要があると思います。

といっても,私の力ではどうなるわけではなく,教育改革論議には関心を失っているので,個人的にできる範囲で授業のわずかな改善を図るつもりです。90分授業を45分連続2回というスタイルできないか検討し,実験してみるつもりです。時間を区切るだけでなく,授業後半学生に集中力を維持してもらうよう,内容にも区切りを設ける工夫をしたいと思っています。

問題は,新入生が50分という時間に順応しているように,教員の私は90分に順応していることです。意外に難しそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

思い出す授業

2013年04月02日 | Weblog
私は学部時代,教育学部に所属し,教育心理学を専攻していました。大学院に入学してから商学を専攻するようになりました。学部では,心理学や教育学に関する専門科目をいくつも履修しましたが,自分に教育心理学を学修する適性がなかったこともあって,それらのうち心に残っている科目はほとんどありません。

しかし,教養教育科目については,いまだにその情景を思い出すことができるものがあります。その一つが,人類学です。1年次に履修しました。これは学部の専門にも,大学院の専門にも該当しないにもかかわらず心に残っています。

人類学の中でも文化人類学を中心とした内容でした。イヌイット(いわゆるエスキモー)に関する研究をメインに,文化人類学の考え方や研究成果を講じながら,著名な学者の論評(めった切りしたこともあった),お薦めの書籍,大学批判まで様々な話が展開されました。失礼ながら,首をかしげるような内容もあったのでしたが,大教室において,学術的内容を,面白おかしく,しかも堂々たる声で,快活に話される担当教授の姿に魅了されました。「これが大学の講義というものか」と感じ入ったのでした。この講義で聞いた文化人類学上の概念,例えば,文化相対主義やエスノセントリズムなどは,今でも折に触れ思い出します。

人類学の講義内容は,今の仕事や生活に直接的には役立っていません。ただ,異文化に注目する姿勢を知ったことは収穫だったと思います。海外の大学との交流,留学生の指導などが現在の仕事に含まれていますが,それらの業務中,ふと人類学の講義の思い出が心をよぎるのです。

商学部新入生のみなさんは,1年次に教養教育科目を中心に学ぶことになります。大学業界では,専門教育を重視するあまり教養教育を軽んじる風潮があります。うちの学部にもないではありません。しかし,専門教育は大学以外でも受けることができますが,教養教育は大学ならではの教育なのです。教養教育は,学生の知識の幅を広げ,思考力を鍛えることに貢献します。


私たちには何が将来役に立つのか今現在分かりません。一見役に立たないような事柄でも,自分の血肉になるかもしれません。新入生の皆さんは,現在1年次の履修計画を立てなければなりません。その際,役に立つかどうかという価値判断から離れて,興味の赴くままに,教養教育を堪能しようと考えてみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする