愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

卒業に当たり

2020年03月19日 | 運営
今年度,本来は3月13日に卒業式が行われる予定でした。しかし,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,中止になりました。卒業生にとっては,節目がないので,本当に卒業したのか実感がわかず,不安な気持ちかもしれません。

卒業式のみならず,学部学科ごとの学位伝達式,卒業記念パーティー等多数集まる催しはすべて中止になりました。ゼミの懇親会も中止。卒業式前後,ゼミの卒業生や在学生が集まって,名残を惜しむ機会がなくなり残念至極です。

そんなさなか,先日ゼミの卒業生有志が三々五々私を訪ねて,卒業のあいさつをしに来てくれました。皆プレゼントをわざわざ用意してくれ,さらに一言思い出や今後の抱負を述べてくれました。本当にありがたい,うれしい時間になりました。

私からは何もプレゼントするものがなく,申し訳なく思っていますが,せめてここで彼らに言葉を贈ります。卒業生に望むことです。

卒業生に忘れないでおいてほしい言葉は,「戦略思考」です。戦略とは,目的に向かって,何をなすべきかを決めた活動方針のことです。したがって,戦略思考は,かかげた目的を達成するために,戦略を考えて,常にそれに基づいて日々の行動を捉え直し,変化を求める思考のことだとここでは考えます。

戦略思考は,目的に向かうことを考えるので,未来志向なのです。その未来志向には,目的のために何をやるべきかをきちんと考える計画性と,目的のために現状を変えることを求める挑戦性が含まれます。また,何をやるべきかを決める戦略は,何をやらないかも決めます。つまり,集中性も含まれます。

この戦略思考をもって,今後社会で立ち回ってほしいと思います。まずは,何を成し遂げたいのか,どのような人物になりたいのか,人生の目的をおぼろげながらでも掲げてほしいと思います。そして,その目的のために,何をなすべきか考えてください。その時に,現状の延長線上に将来の生活があるのではなく,現状を変化させ,向上させることで将来の望ましい生活があると理解してください。さらには,そのためには毎日の自ら行動の改善を積み重ねなくてはならないとかみしめてください。

戦略思考が身についていれば,軸がぶれることなく,日々を送ることができます。理不尽な扱いや,意にそわない仕事も,自分なりに妥協できるかもしれません。少なくとも,流されるままに日々をやり過ごすことはなくなるでしょう。

この話どこかで聞いたなあと思ってくれれば,大学教育を受けてもらった甲斐があります。マーケティング論や小売経営論などの授業で聞いたはずです。小難しい大学の授業内容がそのまま社会で通用することはありませんが,そこで得た発想が自分の生活に活かせるかもしれません。

追伸
添付の写真は卒業生からいただいたありがたい記念品です。研究室において,皆さんの再訪を待ちながら,大切に使います。

卒業生に,ゼミの回顧と今後の抱負を語るよう突然要請した時,皆臨機応変に,理路整然と話をしてくれました。2年次,こういう状況では皆しどろもどろで,まともに話せなかったのに。卒業生の知的発達を実感しました。
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出版

2020年03月09日 | Weblog
最近単著で本を出版しました。『小売営業形態成立の理論と歴史――日本におけるスーパーマーケットの展開――』(同文舘出版)です。日本のスーパーマーケットを例に,捉えどころのない小売営業形態(いわゆる業態)について,どのようにすれば把握して,その発展過程をたどることができるのか模索しています。

満を持して出版したというよりは,暗中模索に区切りを打つために,これまでの迷いの産物をいったんまとめて出版しました。どこかで区切りを打たないと,次の段階の検討に移行できないので,そうしました。不十分であることを重々承知の上での出版ですので,出版後,自らその本のページをめくるのが怖くて,まだきちんと振り返っていません。

ゼミ生に,少しは大学教員らしい姿を見せることができるかなと考えています。いつも偉そうにゼミ生を叱っている私も,研究らしきことをしていると。

研究発表や論文の執筆に完成形はありません。それらは模索の経過を無理やりに区切って,その跡を露出させたものに過ぎません。少なくとも私の場合は全くその通りです。

ゼミ生たちは,昨年度あるいは今年度,研究発表や卒論を手掛ける過程で,やればやるほど訳が分からなくなって,迷い込んで投げ出したくなったと思います。実は,指導する立場の私もそうなのです。ただ,ゼミ生と違って,教員の私が指導的立場にいられるのは,やればやるほど訳が分からなくなることをあらかじめ知っているからです。訳が分からなくなることをいかに軽減するのかいつも考えながら,本を書いています。

ゼミ生たちが卒業し,ある程度経験を積んでルーチンワークではない仕事を任されるようになると,私のこの思考を理解できるようになるかもしれません。そうであるならば,手本を示せたのかもしれません。
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