愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

今年度のゼミの募集活動

2012年05月28日 | 募集
商学部において,今年度2年生に対するゼミ生募集活動が始まりました。青木ゼミを志望する学生はこのブログを必ず閲覧して応募すべきであると,募集パンフレットに記載しています。ゼミの活動状況と担当教員の教育方針をきちんと把握したうえで,応募して欲しいからです。

今年度は,私は春学期大学には不在のため,募集のための説明会や面接をゼミの3年生に担当してもらいます。私は,その報告を受け,さらに応募者から提出される書類を審査して,合否を決定します。

商学部2年生で青木ゼミを志望する学生は(ごく少数でしょうが),つぎの事柄を理解してください。

1.学生の自主運営
 研究発表や合宿など様々な活動はゼミ生が自分たちで企画し,運営します。教員は細かな指示は出しません。自主運営に積極的にかかわる意思と能力のある学生を求めます。

2.徹底した調査研究
 いくつかの資料をコピペしたようなレポートや研究発表は認めません。文献調査ならば,何十という文献を読んでもらいます。そのうえで,観察,ヒヤリング,アンケートなどの調査を行ってもらいます。きちんと調査研究に取り組んでもらいます。

3.他大学との交流
 他大学のマーケティング専門ゼミと交流します。仲良く交遊するだけでなく,研究発表で競い合います。積極的に他大学生と交流する意欲のある学生を求めます。 

4.上下関係の構築
 上級生と下級生,卒業生とゼミ生との間の交流促進を重要視しています。少数の同級生たちとのみ群合い,それら以外とは積極的にかかわらない学生には所属して欲しくありません。

5.明るい雰囲気
 生産性の高い組織には,明るい雰囲気でハードな仕事をやり遂げるものが多いように思われます。このゼミでもそういう雰囲気を作り上げたいと思っています。

6.ほどほどの妥協はしない
 商学部で目立つのが,目標や要求水準が低く,「こんなんでいいっしょ」といって,低いレベルで妥協してしまう学生です。このゼミでは,そういう態度は認めません。教員や上級生は何度もダメ出しをします。

7.徹夜は当たり前
 研究発表前やレポート締切前には,徹夜するのは当たり前という態度で臨んでもらいます。ほどほどの妥協はせず,締め切りまで徹底的に粘って努力を惜しまない学生を求めます。


以上を読み,さらに募集パンフレットの案内文を確認して,「自分はついていけるだろうか」と不安に思った学生がいるでしょう。そんな学生に対して,普通ならば,教員や上級生は「心配ないです」「フォローがしっかりしています」と声をかけるでしょう。

しかし,このゼミでは,不安に駆られた学生に対しては,「こんな程度で不安がるようならば,応募は辞めた方がいい」とアドバイスします。「意欲が低い」とみなします。なぜならば,うちのゼミで実現しようとしている教育は,中堅以上の私立大学文系学部ならば当たり前のことだからです。並みの大学では当たり前のことを,うちでも実現したいだけです。

大学らしいに学びにきちんと取り組みたいという学生に集まって欲しいのです。楽に単位を取りたいという学生にはこのゼミに応募して欲しくありません。友人と一緒がいいという学生にも応募して欲しくありません。友人と一緒ではなく,独りで,能力向上をきちんと考えたうえで,応募してきてください。

もし不明な点があるならば,ゼミの3,4年生に質問するか,私あてに直接メールをしてきてください。アドレスは学部のHPに掲載されています。
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Quality

2012年05月27日 | Weblog
1980年代日本製品の優れた品質が賞賛され,日本企業がアメリカやヨーロッパをはじめ多くの市場を席捲し,日本脅威論が流布しました。ところが,現在私たちは,日本製品や日本企業が多くの市場で優位性を築くことができないでいる状況を聞かなければならなくなりました。

その理由の一つとして,日本製品の過剰品質が指摘されています。過剰に高い品質を維持するため,企業は高コスト体質になり,製品価格も高くなりがちです。価格面で優位性を獲得できなくなっています。しかも,過剰な品質は多くの市場では無駄と受け取られ,その点でも優位性を確保できなくなっているというのです。ガラパゴス化というのはこの状況の一面を示しています。世界市場で戦うことができなくなった,日本の消費者に過剰に適合した高品質日本仕様の製品のことです。

アメリカに滞在して,小売業経営においても同様,日本小売業者の過剰品質(サービス)を振り返ることができます。こちらの小売店では,日本の消費者や小売業経営者の感覚では,とても売り物にならないような商品を売っている例に出会います。食品,とくに生鮮食品が典型的です。野菜類はたいてい傷んでいます。野菜を買ってくると,まず行うことが,傷んだ部分を削って捨てることです。果物類も同様です。肉類は豊富ではあるものの,鮮度はよくありません。ちなみに,生の魚はほとんど売られていません。

また,店員の対応も日本と比べれば親切とは言えないでしょう。そもそも,店員の数が非常に少ない印象を受けます。百貨店でも,フロア中探さないと店員を見つけることができないことがままあります。

滞在当初は驚き,困惑しましたが,今は納得しています。なぜならば,安いからです。円高の影響がありますが,世界で最も豊かな国アメリカの食品や日用品の価格は,日本の50~70%程度という感じです。高級品に属する衣類や装飾品でもアメリカの方が安いでしょう。逆に言えば,日本の小売価格はずいぶん高いという印象です。日本の小売店では,きれいな設備内に鮮度の高い食品や品質の高い日用品が豊富にあり,知識あふれる親切な店員が多く居並んでいるが,価格は高い。

日本の小売価格の相対的な高さを引き起こす要因は様々存在するでしょう。ただ,主要な要因の一つが高い品質の維持であることは間違いないでしょう。それは過剰なのかもしれません。アメリカ程度に,ほどほどのところで消費者と経営者が納得すれば,もっと安い価格が実現するのかもしれません。

アメリカにおいて,日本よりも相対的に価格が高い分野を一つ見つけました。ほかならぬ大学教育です。ビジネス系の学部でも日本の2~4倍近い学費を学生は負担しなければなりません。その代り,日本でよく見られる大教室授業は非常に少なく,総じてどの教科でも教員の学生対応はきめ細やかです。大学卒の価値は日本よりは高いように感じますが,それはアメリカの大学では卒業するのが難しいのと,教育効果が高いと一般的に認められているからです。

日本の大学は国際競争力を持たないと指摘されて久しいのですが,それは過剰品質のためではなく,過小教育のためです。現在の私の暫定的な見解は,日本は流通において過剰品質の抑制を図り,大学教育においては逆に品質を高めることが肝要だということです。大幅な学費の上昇を招かない程度,学生にとっては「うざい」と思える程度の望ましい大学教育を模索する必要があるようです。
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Bookstore

2012年05月16日 | Weblog
先日,滞在先アーカンソー州フォートスミスの書店で買い物をしました。その時,書店の品揃えを観察しました。小売店の品揃えは,その顧客の暮らしぶりを映し出します。書店の品揃えは,その顧客の生活上の関心を映し出します。

その書店で最も品揃えが多かった本のジャンルは小説です。これは日本と変わりありません。そのつぎに多かったのは,聖書を中心とした宗教関連です。ビジネス書の2倍程度扱いスペースが割り当てられていました。これは日本とはずいぶん違っています。アーカンソーは信仰心の厚い人が多く,バイブルベルトと呼ばれる地域に含まれると滞在前に聞いていました。やはりそのことを反映しているのでしょう。ちなみに,日曜日の午前中こちらの住民の大半は教会に出向いているようで,道路にはほとんど車は走っていません。

日本に対する関心はどの程度なのだろうか知りたくなり,旅行書のコーナーを見てみました。旅行先の選択は国に対する関心と必ずしも一致しないかもしれませんが,相関関係はあるだろうと思います。

こちらで最も扱いの多い海外旅行先ガイドブックはイギリスです。今年はロンドン・オリンピックが開催されることもあってか,ロンドンのガイドブックが最も目につきました。つぎに多いのが,イタリアとフランスです。それ以外のヨーロッパの国については,スペインとドイツが少しありました。なお,カナダとメキシコは国内旅行扱いになっていました。

アジアについて見てみると,中国ガイドブックの扱いがアジアのなかでは最も多いことを確認しました。こちらの海外ニュースのトップがしばしば中国関連であることを思えば当然でしょうか。そのつぎに多いのが意外にもトルコです。そして,日本についてはわずか(2冊)のガイドブックを確認したのみです。韓国,ベトナムなどと同じく,その他大勢の扱いです。旅行先としての日本にはほとんど関心がない様子です。なお,アジア自体にあまり関心がないようで,中国でもフランスの半分程度の扱いです。

残念な気持ちで,書店内を徘徊してみると,うれしい光景を目にしました。Mangaコーナーがあったのでした。MangaはCartoon(マンガのこと)とは別にコーナーが作られ,そこには日本のマンガの英訳本が並べられていました。ビジネス書と同程度のスペースがありました。Mangaの世界的人気についてはずいぶん前から報じられてきましたが,それはニューヨークやパリのような大都会における現象なのだろうと考えていました。しかし,アメリカ・アーカンソーの地方都市にもMangaは浸透していたのでした。日本という国自体には関心がなくとも,日本の文化の一部については関心が高いことを知って少し残念さが軽減されました。ちなみに,こちらで,Mangaの中で最も人気があるのはNARUTOです。

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Presence

2012年05月02日 | Weblog
海外に目を向ける多くの日本人がここ20年感じてきたのが,日本の国際社会におけるプレゼンスの低下です。日本にいると日本がアジアのリーダーで,世界の大国の一角を占めていると感じてしまいがちですが,それはもう神話のようなものなのかもしれません。

先日日本では野田首相の訪米とオバマ大統領との会見がトップニュースになったようですが,アメリカでは,管見の限り,その事実を報じた新聞記事を目にしませんでした。TPPは日本の国論を二分する議題になっていますが,アメリカでそれを報じた新聞記事は,日本から配信されたものを除けば,管見の限り皆無です。TPPについては,アメリカ政府と企業が日本市場を支配する謀略を練っているというような言説が日本にありますが,ほとんどのアメリカ人には「???」でしょう。推察するに,ほとんどのアメリカ人はTPPのことを知りません。アメリカ人の大多数は日本には関心がありません。知識も関心もないのに謀略も何もあったもんじゃないというところではないでしょうか。

野田首相訪米時,アメリカにおいてトップニュースになったのは中国における人権活動家のアメリカ大使館保護事件です。アメリカは中国には大いなる関心を持っているようです。経済問題でも優先順位が高いのは中国でしょう。残念ながら,日本については優先順位は低いという印象です。アメリカにおいて日本のプレゼンスはずいぶん低下しているようです。

言うまでもないことですが,国際的なプレゼンスを高めるためには,海外に日本人が出向くことが肝要です。滞在中のアーカンソー大学フォートスミス校では日本人留学生に出会います。20人はいるでしょうか。大きな大学ではないので,留学生の中では目立っています。正規学生だけでなく,交換留学生,語学研修生など立場は様々ですが,みなアメリカ人学生に交じって勉強しています。

うちの学生にも短期でもいいのでこちらに留学して欲しいと思います。アーカンソー大学フォートスミス校は愛知学院大学の提携校です。受け入れ態勢が整っています。その縁で私もこちらに滞在しています。

うちの学部の学生では,英語を高校時代きちんと勉強した経験のあるものはわずか2割ぐらいで,その2割の中でも英語が得意なものはほとんどいないことを把握しています。英語に対する苦手意識が先行して,とても留学を考えることができないのは理解します。しかし,フォートスミス校は留学生にそれほど高いレベルを要求していません。しかも,ELSと呼ばれる英語研修センターが併設されていて,基準に達しない学生はそちらで基礎から学ぶことができます。苦手な英語をこちらで学ぶという態度で学習に望めば,日本での不得意を挽回できるのではないでしょうか。こちらの学生や教員はとても親切です。人々のマナーはよく,治安は守られています。日本(すくなくとも名古屋)よりもそれらはいいと思えるほどです。生活上心配はないと思います。


なお,こちらでは,日本メーカーの車をたくさん見ることができます。FordやGMに並んで,Toyota,Nissan,Hondaが走っています。私が借りているレンタカーもNissanです。日本メーカーの車は日本車というよりも,アメリカで生産された現地の車として定着しているのでしょう。先達企業人の努力のたまものです。この産業ではまだ日本は踏みとどまっているようです。
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