愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

卒論発表会

2011年12月26日 | 卒論
今月22日の3,4,5時限に,ゼミの卒論発表会(審査会)を開催しました。2,3,4年生全員が集まり,4年生の卒論発表を聞いて,審査する会です。10名の4年生のうち,提出延期者と書き直し対象者を除いて,7名に発表してもらいました。通常授業時間中に開催したので,3,4時限では他の講義受講のため途中席を外す学生がいましたが,最終的にはほとんどの学生が出席しました。

一人20分の持ち時間で次々発表し,それに対して出席者は10点満点で採点しました。発表者も自分以外の発表に対して採点しました。採点の基準として,テーマが具体的か,調査が徹底しているか,論理的な構成になっているか,データ等の根拠を示して提案や仮説検証がなされているか,独自性があるかの5つを掲げました。

最高評価を得たのは,岸桃子「博多地区開発における阪急百貨店進出の影響」でした。これは,夏にシンクタンク九州経済調査協会で研修を受けた際に行った調査に基づいた卒論です。今年博多駅開発に伴い駅上に進出した阪急百貨店について,地元で話題を呼んでいる集客力の要因を調査・分析して,博多地区における影響を考察しています。さらに,駅上百貨店の宿命である来店客の買い上げ率の低さを指摘し,今後の課題としてその改善策について,大丸百貨店等の先行事例から考察しています。

文献調査,ヒヤリング調査,観察調査などの手間をかけた調査を行ってきたこと,明快な論旨を展開したことが高評価につながりました。岸の卒論は学部優秀卒論賞候補として学部に届けます。

例年と比べ,ほとんどの学生はプレゼンを上手に行ってくれました。数万字の卒論を縮約してわずか20分にまとめて,分かりやすく主張を展開することは実に難しいことなのですが,何とかこなしてくれました。今回はA4用紙1枚のサマリー・レジュメを作成してもらったのが良かったようですが,プレゼン能力は2年次に比べるとみな格段に向上しました。

しかし,色々課題もありました。後輩たちが寄せたコメントを紹介することで,その課題をあぶりだします。

「全体的に見て,テーマも具体的で調査もよくされていたのですが,仮説が本当にそうなのかと疑問に思うところが多く,結論もあまり明確ではなかったと思います。」

「全体的に根拠が弱い。事前の調査はみな素晴らしかった。最後につながらなかったのが残念。」

「マーケティング・インカレと比べて,内容が全体的に不足しているように感じた。多かったのが,タイトルとは異なった展開や調査が不十分な卒論。」

「発表テーマの着眼点は独自性があってよかった。しかし,仮説から結論までの説明が足りず,いまいち納得できないものが多かった。」

以上は私が感じた課題をそのまま照射しています。今回はみな以前うちのゼミでも見られた「調べて終わり型」卒論を脱却してくれています。アンケート調査やヒヤリング調査などの1次データ収集も何とか実行してくれました。しかし,独自の提案をしている場合,それを支える根拠をうまく提示できず,説得力のない発表をしてしまっています。根拠は,数的データだけでなく,定性的データでも構いません。それらの収集と整理が不十分でした。また,ビジネス系の研究発表ではケーススタディーが重んじられます。似たような状況下にある成功事例から類推して主張を導くということをもっとやってもらえればよかったと思います。

説得力のあるプレゼンテーションは社会人になってからも必須の実践項目です。4年生は卒業にあたって,以上の課題を認識して欲しいとも思います。また,以上のようなコメントを寄せた後輩たちには,そのコメントを自分の課題として,今後研究発表や卒論に取り組んで欲しいと思います。

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卒論締切日

2011年12月15日 | 卒論
本日12月15日は愛知学院大学における卒業論文の締切日です。今年度提出を希望するゼミ生の提出が何とか完了しました。11月末から昨日まで何度もダメ出しをして,最後の最後まで粘ってもらいました。昨日から徹夜しましたという学生が何人かいました。

卒論というのは学生生活の勉学面の集大成です。それを提出するにあたって,大変な思いをしないのでは,「値打ち」がありません。粘って書き上げた卒論はいい思い出になります。

卒論については,多くの大学では,提出後,口頭試問や発表会での発表で一定の評価を得ないと単位取得できないようになっています。しかし,うちの学部ではそうものはなく,各ゼミで担当教員が認めれば,単位が認定されます。そのためか,規定の字数を満たして,形式を整えさえすればよいという甘えた考えを持つ学生が多く,執筆に対するモチベーションが上がりません。何かの本や資料を写して(よく言えば引用して)完成というコピペ卒論が後を絶ちません。しかし,学部全体で発表会をやるというような雰囲気はありません。私はかつて提案したことがありますが,批判され,無視されて終わりました。

そこで,うちのゼミでは例年提出後,ゼミ内で審査会を開きます。提出した4年生相互,下級生(2,3年生)によって,卒論を採点してもらいます。その結果を受けて,成績評価を決定します。12月22日に行う予定です。

1人20分間の持ち時間で発表してもらいます。実はこれは高度なプレゼンテーションになります。数カ月かけて調べ,何万字かの文字で執筆した卒論の内容をわずか20分足らずで発表するのは難しいのです。例年,時間が超過した上に,何が言いたいのかよく分からない発表が続出します。

そこで,今回は,発表レジュメをA4用紙1枚に限定することにしました。わずか1枚に内容を縮約してもらうのです。これにより焦点を絞ってもらうのです。そのうえで,他にパワーポイントで説明補助資料を作成してもらいます。ただし,配布するのはA4のレジュメのみです。このレジュメ作成も高度な作業になるでしょう。

ゼミ生にはプレゼンテーションの能力をしっかり身に着けて卒業して欲しいと考えています。卒論提出後の1週間,今度はプレゼンテーションで悩みぬいてもらいます。
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遅ればせながら

2011年12月07日 | 名古屋マーケティング・インカレ
2010年第5回名古屋マーケティング・インカレ本大会の写真,2009年第4回名古屋マーケティング・インカレ本大会の写真をフォトアルバムにして公開します。ずいぶんと遅れての公開になってしまい,申し訳ありませんが,卒業生や経験者たちが懐かしんでくれれば幸いです。さらに昔の写真も良いものが見つかれば公開します。
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名古屋マーケティング・インカレ・ゼミ総括

2011年12月05日 | 名古屋マーケティング・インカレ
第6回の名古屋マーケティング・インカレが終了しました。ゼミの活動を総括します。本大会では2チームとも堂々とした発表はできませんでした。私の評価は「あかんかったな」の一言です。2チームとも主張を支える根拠が弱く,説得力のある論理が構築できていませんでした。この根拠はデータと理論双方を指しています。

説得力のある発表ができなかったのは,自分たちの仮説や主張を決定する時期が遅かったためです。前日になってようやく主張が固まったという状況ではすっきりした論理が構築できるはずはありません。論理が構築できなかったうえに,プレゼンテーションの練習も十分行うことはできませんでした。

なぜこういう状況に陥ったのかといえば,チームのマネジメントに問題があったからです。今回,例年以上にチームのまとまりがなく,マネジメントがへたくそなのに驚きました。

何も貢献しない(ほとんど何もしない)メンバーがいて,それに対してチームを引っ張るメンバーが怒るということは例年見られるのですが,今年は,リーダーの指示を無視する(約束をすっぽかす),連絡すら取らないというメンバーが複数現れたことに驚きました。そういうことをしておきながら,正規のゼミの時限には平然と出席している。さすがに,ゼミ生だけでなく私もあきれました。結局,何名かには私から勧告してチームから外れてもらいましたが,チームには介入しないことをゼミの方針にしていたので,これは異例の展開といえます。

努力を傾けるメンバー間にも問題がありました。自分の思いつきの考えを言い合うばかりで,意見集約をうまく図ることができず,時間を浪費する場面が多々ありました。

意見集約のためには,集約の方向性を示す概念を提示することが必要です。そして,その方向性の下,個人の意見を修正すること,複数の意見を踏まえて別の考えを導出することが必要です。その過程では,せっかく苦労して個人が導出したいくつかの意見は捨てられることになります。その際,リーダーを中心に取捨選択を進めますが,リーダーが強引に自分の意見を押し付けるのでなく,より説得力のある論理の構築という観点で,メンバーの同意が得られるようにそれを進めなければなりません。そして,いったんチームの方針が定まれば,個人としては本意でなくとも,メンバーはそれにしたがってつぎの作業を始めなければなりません。

これらは,チームリーダーのリーダーシップと他のメンバーのフォロワーシップがうまくかみ合ってこそ実現するのですが,ゼミ生たちはそもそもリーダーシップやフォロワーシップをきちんと考えてことに当っていませんでした。

何も貢献しないメンバーが例年以上に多くいたためか,ゼミ全体で研究発表にかける意気込みが例年よりも下回ったことも,堂々とした発表ができなかった理由かもしれません。秋学期に入ってからのゼミの雰囲気はいいものではありませんでした。

ちなみに,今回最優秀賞を得たチームを輩出したのは名古屋学院大の濱ゼミでしたが,そこはゼミ全体で意気込みが強く,各チームのかけた努力は他大学のゼミを上回っていました。最優秀賞以外の発表も優れていました。各チームは,名古屋マーケティング・インカレに加え,大阪で開催される日経ビジネス協賛の西日本インカレにも参加していました。そして昨年度経験者の4年生がつきっきりで今年度参加の3年生を連日指導していたそうです。うちには見られなかった光景です。

私の方からチームのマネジメントに早い段階で介入すべきだった,そして研究発表への努力をもっとけしかける工夫をすべきだったかもしれないと反省しています。名古屋マーケティング・インカレ自体は大成功だったためか,かえって,うちのゼミの低調さを無念に思います。

今年の結果には,ゼミ生,教員双方とも大いに反省しなければなりません。そして,それを今後のゼミの運営やゼミ生の能力向上に活かせるような方策をあれこれ考えなくてはなりません。
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名古屋マーケティング・インカレ本大会

2011年12月04日 | 名古屋マーケティング・インカレ
12月3日午前9時から午後6時に,第6回名古屋マーケティング・インカレの本大会(日経ビジネス協賛)が名城大学において開催されました。今回は,愛知大学,愛知工業大学,愛知淑徳大学,名城大学,名古屋学院大学,愛知学院大学から25チーム120名の学生が参加しました。また,日経BPより日経新聞社の田中陽氏はじめ2名の特別審査員をお招きしました。

午前中に5つの発表グループに分かれて全チーム発表の予選が行われ,学生による相互評価(採点)によって各グループにおいて優秀賞を決定しました。午後は各グループから勝ち上がったチーム(優秀賞)による決勝の研究発表が行われました。

優秀賞は以下の通り。

名城大学 仙石MASANA
名古屋学院大学 2MAN
愛知大学 ダンデライオン
名城大学 しえいく
愛知淑徳大学 bear★bear
名古屋学院大学 オラクル,前以上にすぐ来る

同一発表グループからbear★bearとオラクル,前以上にすぐ来る2チームが選ばれましたが,得点差で,bear★bearが決勝で発表を行うことになりました。昼食をはさみ,午後はまず日経新聞社田中陽氏による講演が行われました。その後決勝が行われました。全チームによる採点に,特別審査員の採点を加え最優秀賞を決定しました。

最優秀賞に選ばれたのは名古屋学院大学 2MANでした。このチームは,今なお広告の中心的存在であるテレビCMにおいて,企業の多額の支出にもかかわらず消費者側がCMに注目しないというギャップ,CM内容について企業の意図と消費者の受け取り方とのが食い違うというギャップが存在することを指摘しました。そのうえで,消費者の属性によって,CM露出を選択する仕組みを,インターネット等とのメディア・クロスによって実現する提案を行いました。消費者である学生に対するアンケート調査,広告代理店等へのヒヤリング調査などから得たデータをもとにギャップを指摘し,それを埋めるための仕組みを既存研究に基づきながら論理的に提案することを試みていました。調査,論理性,プレゼンテーションにおいて減点の少ない,バランスの良い発表をしたことが高評価につながったと思います。

全体を総括すると,参加チームの平均レベルがこれまでの大会の中で最も高かったということがいえます。我々教員の目では,予選では,優秀賞に実際には選ばれなかったチームでも,決勝に残ることができたのではないかと思うものがいくつもありました。ひどいなと感じる発表はありませんでした。最終的な採点上はチーム間の差が出るようになっていますが,実際には大きな差はないという印象を持ちました。どれも調査をきちんとやり,明快な主張を展開できるよう努力してきた跡が見えました。

ただ,とびぬけたレベルのものはありませんでした。例年注目する,第2回の「長浜商店街の二極化」を超える発表があったかといえば,残念ながらありませんでした。最優秀賞の発表も含め,オリジナリティーが今一つという印象です。また,戦略提案をしているチームが多かったのですが,その実現可能性の検討,その導出の根拠が弱いという印象も持ちました。

なお,特別審査員がそれぞれ今回はプレゼンテーションのレベルが高いと述べられました。日経ビジネスが協賛している同様のビジネス系の学生研究発表会と比較して,名古屋マーケティング・インカレでは学生のプレゼンテーションが巧みだと評価されました。パワーポイントのシートは見やすく,弁舌は明るく堂々としている。笑いを取って注目を集める,質問を投げかけて聴衆を集中させるなどの手法も上手に織り込んでいる。いいプレゼンテーションを見ることができたというコメントを頂きました。我々教員も同様の感想を持っています。

今回参加学生は120名を超え,過去最高となりました。過去の経験者,下級生,企業人など発表参加者以外の聴衆も例年より多く,決勝では150名を超える聴衆の前で優秀賞受賞チームは発表することができました。今までで最も盛り上がった大会になりました。ただ,大会運営上はこれで限界だと思います。今後は,量的拡大ではなく,質的向上で,この盛り上がりを維持することに努めなければなりません。


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