愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

改革の方向性

2010年07月31日 | 運営
幼児教育界でいま注目を集めている手法にヨコミネ式というものがあります。横峯吉文さんが本人経営の保育園で開発した教育手法です。いまでは,YYプロジェクトとも呼ばれて全国各地の保育園・幼稚園で導入されています。そのコンセプトは,すべての子どもが天才であるという前提のもと,できることはおもしろい,おもしろいから練習する,練習すると上手になる,上手になると楽しい,そして次の段階へ行きたくなる,この繰り返しで一流に育つというものです。

このコンセプトを実現する仕掛けとしてつぎの4つのボタンを押すことが考えられえています。
1.子供は競争したがる。
2.子供は真似したがる。
3.子供はちょっとだけ難しいことをやりたがる。
4.子供は認められたがる。

以上4つのボタンを押すことによって,子供は,読み書き計算,運動,音楽などのいろいろな分野で,自学自習を進め,大きく能力を向上させるというのです。テレビや雑誌で取り上げられた様子では,かけっこや読書で幼児に優劣の明確な競争をさせて,できる子供をほめています。できない子供はくさってしまうのかと思いきや,できる子供を真似して必死で練習しています。そして,できる子供はできない子供に手本を示しながら,応援する場面もあります。

これを知った時,大学教育にも活用できるアイディアであると感じました。4つのボタンは,幼児といわず,大人でも共通して持っている性向のように思えるからです。4つの仕掛けとして案出してみれば,
1.学生に優劣の付く競争をさせる。
2.学生同士で学びあう場を設ける。
3.学生自身の能力を少し上回る課題を与える。
4.学生を表彰する機会を複数設ける。

書いてみるとやや陳腐な感じがしないでもありません。しかし,世の中で重要な事柄はたいてい凡事徹底になるのです。大学では(少なくともうちの学部では),これらの仕掛けを意識的に作り上げていません。最重要の競争すら巻き起こっていません。

自分のゼミでは意識的に以上の仕掛けを考えていきたいと思っています。競争,学生同士の学びあい,表彰については,3年次名古屋マーケティング・インカレへの参加でそれなりに実現しています。あまりレベルに差がない大学間の競争というのは実に学生を駆り立てるものです。しかも,研究発表で優劣をきちんと決めています(普通はやらない)。学生の相互評価を中心に勝ち負けを決めています。そして,優秀な研究発表は日経ビジネスの協賛によって表彰しています。発表会の終了後は必ず懇親会を開いて(参加を義務付けている),学生間の交流を図っています。ただし,学生自身の能力を少し上回る課題を与えるという点は意識的に考えられていません。

うちのゼミの場合,3年次にそれなりに仕掛けを施したとしても,問題は4年次の卒論です。競争も学びあいもありません。表彰については学部優秀卒論賞というものが存在していますが,ゼミ単位で決められるので,学部全体を巻き込んだものにはなっていません。また,1年次,2年次は考慮外です。大学における教育改革の本質は,大学の外の教育アイディアをアレンジして持ち込むことです。つまり,高等教育に中等教育や初等教育の手法をアレンジして持ち込む,あるいは企業や官庁の実践を見習うということです。しかし,誇り高い大学教員たちはそういうことをバカにします。結局教育改革というものは,抽象論で終わるか,カリキュラム(担当科目表)の書き換えに終始します。

ヨコミネ式を大学に導入するという提案を学部でしたならば,猛反対を受けるか,徹底してバカにされるのが落ちです。学部改革というものにもうかかわる気はありませんので,そんなあほなことはしません。ただし,自分のゼミだけは何とか改革したいと思っています。まずは4年生の卒論。今年も失望で終わるのかどうか・・・。
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春学期終了

2010年07月16日 | 運営
昨日春学期最終のゼミが行われました。3年生では,各チームに夏休み中行うべき課題を発表してもらいました。9月2日に臨時ゼミを行う予定なので,その日までにやらなければならないことを考えてもらったのです。

先の名古屋マーケティング・インカレ中間発表会で噴出した様々な問題点を洗い出し,それをいかに克服するかということが問われています。各チームとも,根本的な問題を等閑視している,すなわち,何のためにこの研究を進めるのか,これを進めた結果何がいえるのかということをあいまいにしてきています。皆そのことを反省することになりました。「一旦ゼロベースで考えてみる」「理論に具体例を結び付けてみる」「最初に感じた疑問点を掘り下げてみる」など様々意気込みを語ってくれました。

私は全チームにつぎのことを申し渡しました。学生の研究発表では戦略提案を目的とすることが多い。具体的な戦略を提案できれば格好がいいという思いがどこかにあるのか。ただ,具体的戦略提案はその根拠を示すことが難しく,結局実践の外側にいる学生では思いつきで終わってしまいがち。何とか根拠を示したとしても,強引さが目立ち,ロジックを崩してしまう。もし,きちんとした根拠を示した提案を行えないならば,それは回避して,なぜ研究対象としている事象が起きたのかを説明するための要因追究にとどめておくことを考えて欲しい。これでも十分研究価値があるのだから。

そもそも大学で行われている学問研究は「なぜの探究」です。なぜそんなことが起きたのかを説明することが重要なのです。企業などの実践は「いかにうまくやるかの追求」でしょう。実学を標榜すると,「いかに」が重要であるように思えてくるのですが,大学という教育研究機関は事業実践の現場とは離れているので,そもそも「いかに」を追求することは難しいのです。それよりも,大学ならではの「なぜの探究」を重んじた方が,わざわざ大学教育を受ける意味があるように思います。まずは,「なぜそんなことが起きたのか」という問いにきちんと答えられるようにして欲しいと思います。これも大変難しいことではあるのです。

4年生では,卒論の概要を各自述べてもらいました。私はいままで口酸っぱく,論文のタネになる文献を見つけてきて欲しい,そしてそれを解読して読書ノートにまとめてきて欲しいと指示しました。タネ文献の問題点を検討し,それの修正,発展,追加を考察すれば卒論のテーマは案出でき,ロジックの展開も容易になるのだと。

しかし,誰一人として読書ノートを作成してきているものはいませんでした。3年生にノートの作成を指示したら翌週は全員きちんとやってきたのとは大違い。それどころか,卒論テーマもきちんと考えてきておらず,提出締め切り直前で,苦し紛れに他の学生と共同研究にすると言い出す学生が現れる始末。結局,春学期はほとんど何もやらなかったのでした。

卒論になると,なぜこんなにもやる気がないのか,手抜きをするのか。あきれ果てています。昨年度よりもレベルが落ちています。このままでは,夏休み中にも何もやらず,秋学期に入って,やっと手がけ始め,コピペ卒論を書き上げる学生が続出することが見込まれます。もちろんそんなものはつき返しますが。
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3次募集

2010年07月06日 | 募集
ゼミ生募集活動が佳境に入っています。不人気が定着しているうちのゼミは先週2次募集を行い、その選考を行いました。例年以上に「うちのゼミは大変だよ」ということを学生に伝えているせいか、昨年度よりも応募者は少なくなっています。

2次の選考では、現役のゼミ生(3,4年生)に選考教室まで来てもらい、ゼミ活動の様子を応募者に伝えてもらいました。そこでは、「きついこと」「ハードなこと」も説明してもらいました。それでも納得して応募する人を求めているからです。説明後、応募者には応募用書類に小論文を書いて提出するよう指示しました。書類作成のため応募者だけ教室に残し、時間を与えました。そして、提出先はそこからは階が違って離れている研究室にしました。なぜそんなことをしたかというと、「大変だから辞めておこう」と考える学生に逃げるチャンスを与えたのです。

結局、選考教室にやってきた応募者は(すでに欠席者はいる)全員書類を提出しました。提出時、簡単に面接を行いました。基本的には書類の表現を確認して合否を決めます。日本語表現がめちゃくちゃな学生(うちの学部には残念ながら中学生レベルの者が全学生の2~3割存在する)を落とします。そこで学力をチェックするのです。

現状では、2次選考の書類提出者全員を合格させたとしても、学部取り決めの定員には達しないので、3次募集を実施しなければなりません。少数精鋭で行きたいのですが、やむをえないことです。

1次募集段階では、友人同士誘い合わせて応募する学生と不確かな伝聞に影響を受ける学生の存在によって、特定ゼミに応募者が偏る傾向があります。大きなミスマッチが存在します。したがって、2次募集ではミスマッチ解消が行われます。1次選考は大きなミスマッチが存在する中で行われますので、そこで選に漏れた学生は必ずしも学力・意欲が低いとは言えません。運の悪かった学生が多数含まれます。それゆえに、2次募集では意外に「できる」学生が応募してきます。

3次募集に応募する学生は、2次募集段階で選に漏れた学生たちです。私の立場でこういうことをいうと問題なのかもしれませんが、ミスマッチ解消段階で学力・意欲を評価されて落とされてきたので、ゼミの活動に耐えられると判断できる者は少数です。なお、3次募集を行う羽目になるうちのゼミは、学生の目から見れば、つまらない、ニーズに合わないゼミなのでしょう。偉そうなことはいえないかもしれません。

2次募集では、応募者は学部事務所の前に置かれているボックス(ゼミごとに分かれている)に用紙を投入して応募申し込みを行わなければなりません。申し込み締切間近、ボックスの前に陣取り、各ボックスを覗き込んで応募者数を数えて、「○○ゼミはめちゃ多いよ、やべー」「青木んとこ少ねーよ」「どうする?~~もまだ行けそうだよ」「少ねーとこ探すしかないっしょ」と携帯電話で連絡を取り合う学生が多数いました。私は事務所の中から間近で大声で話している学生たちをじっと見ていました。事務所の前で、該当教員を含んだ教職員が見ている面前で、レベルの知れる会話をしている学生たち・・・。彼らが2次募集でうちのゼミに応募したかどうかは不明です。

そんな学生のうち、2次募集で落ちてしまった者がいるかもしれませんが、3次募集ではうちのゼミには絶対に応募しないでくださいそんな学生はこんなブログなんか見てないでしょうが・・・。
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