愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

Difference

2012年04月21日 | Weblog
現在University of Arkansas Fort Smithに滞在中です。

先日日本に出向いてホームステイする予定のこちらの学生のために開講されている,事前準備を兼ねたトレーニング・プログラムを見学しました。この科目を担当されているExecutive Director of International RelationsのTakeo Suzuki氏はアメリカと日本の文化を知悉された国際交流の達人です。

日本語と英語の違いとして,語順の違いが説明されました。「英語は主語,動詞,目的語という語順になるが,日本語は主語,目的語,動詞という語順になる。否定語が最後に来るので,最後まできちんと話を聞いていないと,根本的に相手の意図を誤って理解してしまう」。

このことは,日本でも中学生が初めて英語を習う時に教えられます。そして根本的な違いであるため,これに悩まされ続けます。現在私もこれにうまく対応できず四苦八苦しています。

また数字の表現の違いも説明されました。「いち,じゅう,ひゃく,せん」を受講生たちが復唱していましたが,いまひとつ納得していない様子でした。私も現在アメリカで即座に理解できずに悩んでいるのが,この数字表現です。hundred thousandといわれると,いったいいくらなのかよく分かりません。しかも,これが金額表示の場合(dollarsで表示),いったいどのくらいの価値があるのか即座には判断できません。

日本人もアメリカ人も相手の言語を学ぶ際,同様の事柄で引っかかるようです。

さらに,あれこれ日常場面での日米の違いが説明されました。例えば,カレンダー上週はアメリカでは月曜日から始まることが多いが日本では日曜日から始まることが多い。Foot Ballはアメリカではアメフトのことであるが,日本ではサッカーのことであるなど。講義をきっかけに受講生には様々な課題が言い渡されているようでした。

国際交流,異文化理解などとというと大げさな課題のように思えますが,こういう些細な違いを実感することからそれは始まるのでしょう。そして,その些細な違いの理由を捉えていくと,異文化間に横たわる根本的な問題を考えることにつながるのでしょう。

5月に日本に滞在するFort Smithの学生たちが充実した時を過ごすことを願っています。そして,うちの学生たちには是非卑近なことから国際交流,異文化理解を図って欲しいと思います。
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Wealth or Waste?

2012年04月12日 | 運営
Wealth or Waste? Rethinking the Value of a Business Major.
経営学,専攻の価値あるか―米企業が学生の問題解決能力を疑問視

Wall Street Journal, April 5,2012 (日本版2012年4月6日)に以上の見出しの記事が掲載されました。その記事の骨子はつぎのとおりです。

「アメリカにおいては学部レベルで経営学を専攻する学生は非常に多い(大学生の20%以上)が,その価値に企業が疑問を投げかけている。その主たる理由は,金融や会計の基本に焦点を置くあまり,リベラルアーツ系学部(職業に直結せず実務的でない,文学,哲学,数学などの分野の学部)の特徴である長いエッセイやクラス内討論を通じて批判的思考法や問題解決能力が培われることがないことだ。」

多くの大学の経営学系専攻において,教養教育(リベラルアーツ)が軽んじられていることが問題のようです。企業側は,経営学以外の様々な分野(歴史学や数学など)で学位をとった(卒業した)学生を採用することで,多様な人材を確保しようとしているそうです。

日本の大学でも同様のことが指摘できるしょう。1990年代初頭の大学設置基準大綱化以降,日本の大学においては教養教育が軽んじられてきました。中堅以下の私立大学では,実学志向が強まっています。多くのビジネス系学部では,学生の学力低下の影響で多く発生している学術的な授業についていけない学生に対応するために,実学と称して,会計やコンピュータ系の資格取得に関する授業を展開する例が見られます。それを「売り」にして学生を引き付けようというのです。わが商学部においても教養教育は重んじられているとはいい難く,教養教育を不要視する風潮すらあります。

しかし,学生が多面的なものの見方を身につけ,批判的な思考法を培うためには教養教育が重要であることはかねてより指摘されてきました。また,資格取得指向の授業では批判的思考法を養うことはできないと危惧する声は根強くあります。私もこれらには賛成です。

ただし,日本の大学の教養教育には問題がありました。多くの大学では各分野の専門科目を薄めたような内容の授業を大教室で展開する教養科目の開講をもって,教養教育としてきたのでした。これでは批判的思考法の形成はおぼつかないでしょう。学生はせいぜい細切れの雑学を身に付けるだけです。

現状の教育システムを改めるのは困難でしょう。私自身そんな改革に関わるのは徒労だと思っています。学生にはつぎのことを諭して,わずかな改善につなげたいと思っています。

○ビジネス系学部で身に付けた知識そのものに対して企業は評価をしない。
○資格取得が就職活動で有利になることはあまりない。
○企業は社会人の基盤ともいうべき批判的思考法や問題解決能力を獲得している人材を求めている。
○経済やビジネスに直接結びつく知識だけでなく,人文科学から自然科学まで幅広い分野の知識を獲得するよう心がけるべき。
○獲得する知識をうのみにはせず,常に批判的に吟味することで批判的思考法を身に付ける必要がある。
○討論,プレゼンテーション,レポート執筆などの知識アウトプットの機会を多く得て,その際に知識の妥当性を検討することが求められる。

せめてゼミは以上の事柄を意識して運営していきます。
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start

2012年04月05日 | 運営
本学では本日より新年度の授業が始まりました。本日今年度1回目のゼミを行いました。これは正規の授業ではなくインフォーマルな集まりで,しかも春学期最初で最後の集まりになりました。

実は担当教員の青木は今年度春学期に在外研究でアメリカに滞在することになっています。春学期ゼミは閉講になります。9月の秋学期開始までには帰国する予定ですので,秋学期に集中開講(週2回開講)することが決まっています。しかし,春学期中全く何の活動もしないというのでは,ゼミ生の能力向上を阻害します。そこで,ゼミ生に自主的活動を進めてもらうことにし,渡米前に集まりを設けて,そのための簡単なガイダンスを行うことになったのでした。

3年生には名古屋マーケティング・インカレにおける研究発表テーマを考えてもらい,チーム分けをしてもらいました。3年生は商店街関係の研究を進めるチーム(5名)と,プロ野球の集客を考察するチーム(5名)にとりあえず分かれました。具体的なテーマを今後考察する過程で,5月後半の大会エントリーまでに,チーム分けを一度見直すよう指示しました。

4年生から経験談を聞くと,テーマは調査が進むうちにぶれてくること,その過程でチーム内でもめ事が起きること。さらに,5名で構成されたチームは,役割が不明確になりがちで,何もしないフリーライダーを生む可能性があり,それがもめ事を引き起こすかもしれないという意見が出ました。

その経験談を踏まえて,真剣に取り組めばチーム内で衝突が起きるのは当然で,それを前提にチーム運営をして欲しいと3年生には要請しました。ただし,衝突回避のために,へたな妥協をするのはよくない,きちんと話し合って打開策を導く努力を惜しまないで欲しいと付け加えました。

つぎに,4年生には,卒論テーマ提出予定について説明しました。7月半ばにテーマ提出を行うので,6月の末までに,卒論の構成案を作成し,執筆の見通しが立つようにして欲しいと指導しました。ただし,就職状況の厳しさを鑑み,春学期の前半は就職活動に全力投球して欲しいとも述べました。就職活動が一段落した後から取り掛かっても,昨年度の名古屋マーケティング・インカレの経験を活かせば,きちんと進めることができるはずだと述べておきましたがどうなることでしょう。なお,4年生には3年生のメンター役を果たして欲しいと要請しました。4年生は昨年度の経験をうまく伝えることができるでしょうか。

ゼミ生と教員の私との接触はSkypeとSNSを活用することにしました。対面接触なしで,どれほど細やかな対応ができるのか不明です。放り出してしまって,無責任だといわれるかもしれませんが,案外放任がゼミ生の自立を促し,考える力を高めてくれるのではないかと勝手に考えています。
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