愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

一人

2015年02月13日 | Weblog
――蛭子さんは漫画家でいらっしゃいますが、一人で何かに向き合う時間は大事なんですかね。

 「そうですね。漫画を描く時は、周りに人がいたとしても、べちゃべちゃしゃべりながらでは絶対に描けません。やはり作業する時間は一生懸命一人になります」

 ――孤独が好きなだけでなくて、必要な時があるのですね。

 「ものを作る時は孤独な方がいい作品ができると思います。しゃべりながらだといいかげんなものしかできない気がします」

 ――何ででしょうね?

 「脳が分散しないんじゃないでしょうか? しゃべっていると、脳がそちらに分散して集中できない。しゃべらないと、それだけを見て考えるから、作品もいいものができる。俺はべちゃべちゃしゃべりながらだと絶対にいいものは描けません。まあしゃべりながらも描けるんだけど、しゃべらずに描きたい」

 ――やはり、作品とか仕事とか、集中する時は一人で自分と向き合うことが大事なんですかね? それこそ今はそばにスマホがあって、仕事しながらちょこちょこチェックしている人もいます。

 「途中で気が散る人は、絵自体、本当は描きたくないんじゃないかと思いますけれども。本当に描きたい人は、スマホなんか途中でいじらないですよ。一人になる時間は仕事には大事です。携帯とか途中でいじっている人は、結局本当に作りたいものがないんじゃないですか? 何もしたいことがないのかもしれませんね」

 ――なるほど。

 「それで結局、話し相手を見つけて、時間をつぶしているのかも。だから、やりたいものを持っている人は、そういう人に捕まったら大変ですよね。そういう人に捕まって、暇つぶしの道具にされないように、うまい逃げ言葉を見つけておいた方がいい」

――最後に、一人を楽しむコツを読者に伝授してください。

 「とにかく、自分で考えたことを自由に実行に移せるって楽しいですよと伝えたい。その時に、あまり他人に頼らないで。友達と思ってちょっと協力してくれよというのは、相手の負担になるし、自由を奪うからよくないと思うんですよね。手が足りない時は業者に頼む。お金を払ってでも。友達に頼むと、今度は友達に頼まれることになるから」

 「それに、一人でいると言っても、自分が何をしたいということがないと始まらない。まずは、自分が何に興味があって、何をしたいかをちゃんと知ることですよね。そうしないと、ただ、だらだら生きているだけの人になってしまう。いやまあ、それでもいいんですけれども。だらだら生きているだけであってもね(笑)」

 ―― 一人でいる人は、自分が何をしたいかわかっている人なんですね。目からウロコです。

 「そう、それがわからないと、ただボーッとしているだけになっちゃう。だから自分のしたことを考えないと。それを何も持っていない人はやはりちょっとおかしいですよね。一人でいられないから、人に流されて、人に使われるようになっちゃう。一生人に使われて終わるんじゃないかと思いますよ」


 ――厳しいですね。

 「そう?(笑)やっぱりちょっと自分で何をしたいかぐらい考えないと。せっかく生きた意味がないというかね」


(2015年1月24日 読売新聞)

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何の分野であれ,プロの仕事をしている人は,孤独ときちんと向き合っていると常々感じてきました。上記の漫画家の蛭子さんに対するインタビュー記事を読んで,その思いを強くしました。

いくつかの教育・学習に関する調査で,携帯電話をいじっている時間が長いほど,生徒・学生の学力は低下する傾向にあることが明らかにされています。携帯電話をいじるのは,たいてい暇つぶしのためですが,その背景には,孤独に耐えられず,他者とのつながりを手繰り寄せようとしているからでしょう。学力の低い生徒・学生は他者への依頼心が強い傾向にあることも調査で指摘されています。

一人で,あれこれ思索し,作業をこなすことができなければ,仕事はできるようにならないわけですが,勉学も同じだということです。勉学と仕事はつながっています。

孤独をうまく扱うことができるかどうか,ゼミ生には是非自分に問いかけて欲しいと思います。とくに,今就職活動を行わなければならない3年生には,自己分析において振り返って欲しいと思います。
コメント
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