愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

ほんま?なんで?と問いかけてみる

2023年06月15日 | 運営
現在ゼミ3年生の研究発表チームの一つが,同性カップルの結婚式・披露宴が広がらないのはなぜか?というテーマで調査研究を展開しています。当初読んだ関連記事では,式場が拒否するからだということでしたが,実際に名古屋市内の式場数十にインタビューしてみるとほとんどが同性婚式・披露宴開催可とのこと。したがって,何がその広がりを阻んでいるのか仮説立案のために悩んでいます。

ところで,結婚式・披露宴に関する面白い記事を見つけました。下段の記事は,ブライダルフェア(結婚式場見学会)にやってくるカップルの多くがフレンチのコース料理を食べたことがなく,試食会で初めて経験したことを報告しています。デフレが続き賃金が上昇しない経済情勢の日本では,結婚式を挙げることができる比較的余裕のある中流層でも,コース料理を食べたことがない人が多くなっている。経済格差は経験格差をもたらす一例ではないかという指摘です。

この記事では,以前ならば,安価な料理と比較的高価な料理を食べ比べてもらうと,ほとんどの見学者は高価な料理をおいしいと評価し,そちらを披露宴メニューに選択した。しかし,今では料理の味の違いが分からないので安い方でよいと答えるカップルばかりになっていると報告しています。そして,それは文化の衰退につながるのではないかという危惧を表明しています。

この記事を読んだときに,本当にカップルの多くがフレンチのコース料理を食べたことがないのか? 印象論ではなく,それを示すデータがあるのか? また,それが仮に本当だとして,なぜそうなったのか? 経済格差が進行したため,フレンチコースの食事を経験することができる層が減少し,経験格差を生んだという記事の説明を支える根拠はあるのか? 結婚して式を挙げることができるカップルは余裕のある中流層であるはずだが,その人たちがフレンチコースを食べる経験がなくなったとことについて,経済環境の悪化以外に理由は存在しないのか? 

いつもゼミで諭している,なんで?ほんま?を追究せよ!に適した例のような気がしてあれこれ考えています。こういう何気ない記事の中に研究ネタが転がっていると思います。

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あなたが初めてコース料理を食べたのはいつだろうか。ウエディング研究家の安東徳子さんは、「披露宴を行うのは30代から40代前半のカップルが中心だが、コース料理を食べたことがないという人が増えている。廉価な会場だと9割のカップルが『ウエディング試食会で食べるのが初めて』というケースもある。経験の格差が広がっている」という――。

昨年、あるホテルのブライダルフェアで行われたフレンチの試食会でのことです。この日は8組のカップルが参加していました。部屋の中ほどの席に座っていたカップルの新郎が、おもむろに両手でスープ皿を持ち上げ、直接口をつけてズズっと音を立てて、スープを飲み始めたのです。周りを気にすることもなく、ゆっくりとスープを飲む干す姿はとても堂々としていました。さらにびっくりしたのは、その後でした。向かい合って座っていた新婦も同じようにスープ皿を持ち上げて、口をつけて飲み始めたのです。まるで新郎を見て「そうやって飲めばいいのね」と納得したかのような表情でした。

安東 徳子「『コース料理を初めて食べた』というカップルが9割…婚礼業界で常識化する『残酷すぎる経験格差』の実態」『プレジデントオンライン』2023/05/26 抜粋
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驚きました

2023年06月06日 | 募集
本日授業の前後,ゼミに関する相談を受けました。驚いたことに,うちのゼミが今年度人気ゼミになっているので,どうしたら入れるでしょうかという質問をいくつも受けました。

私が返答したことは,このゼミは例年不人気ゼミで,1次募集で定員を満たしたことは過去20年でほとんどない。いつも1次募集時応募者数名で,3次募集まで行い,ようやく定員を満たしているということです。したがって,人気殺到ということは信じられないということです。

現2年生の勘違いによって,うちのゼミの表面的な人気が盛り上がっているのかもしれません。このゼミへの応募を考えている学生の皆さん,よく考えてください。いままで20年間不人気であったこのゼミ。

厳しいという評判で不人気でした。大学教育として当たり前のことを行っているだけなので,私はとりわけ厳しいとは思いませんが,うちの学部のレベルからすると厳しいゼミということで,多くの学生が忌避してきたゼミです。皆さんに対するこちらの対応は今後変わりません。変えるつもりもありません。楽しくないことがたくさんあります。

研究テーマは自分たちで案出してもらいます。研究発表のテンプレはありません。何もかも自分たちで決めてもらいます。面白くないかもしれない文献調査をしつこく行ってもらいます。つらいかもしれないヒヤリングやアンケート調査もしつこく行ってもらいます。プレゼンは毎週要求します。不十分な発表に対して,「おかしい」と指摘して,次週までに修正することを求めます。「あかん」という評価が毎時下ります。「頭使った?」「なんで?」「ほんま?」しつこく詰問します。

よく考えて応募してください。このゼミは本当に不人気ゼミです。それで良いのです。そういうゼミです。人気ゼミにするつもりはありません。このゼミに応募を考えている皆さんにとっては,他のいつもの人気ゼミに応募したほうが良いかもしれません。

おそらく卒業生も驚いているでしょう。青木ゼミが人気ゼミ? ここはそういうところじゃないよ! 本気の少数の人が覚悟して応募するところだよと。
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応募にあたって

2023年06月03日 | 募集
6月6日よりゼミの応募期間に入ります。今年度は学部全体でゼミの授業模様を見学する学生が多いようです。うちのゼミでも合計20人を超える見学者がいました。まともに情報収集せずに応募する学生が例年多数に上っていましたので,今年度の2年生の動きはよい傾向です。

うちのゼミは人気ゼミではないので,1次募集時に応募する学生は少数だと思いますが,応募にあたり,留意してほしいことをここで述べます。

まずコース選択について。商学部では,履修のルール上,選択コースとその学問分野に関連するゼミを一致させなくてもよいことになっています。うちのゼミでも一致の必要はありません。ゼミの担当教員によってはコースとゼミの学習内容を一致させるように要求する場合があります。しかしながら,このゼミはマーケティング専門ゼミですが,ゼミ生の選択コースは流通マーケティングでなくてもよいのです。

過去,会計金融コースやビジネス情報コースを選択しながら,このゼミに所属していたゼミ生は何人も存在します。マーケティングを学びながら簿記の資格を取りたい,情報の高校教員免許を取得することを希望しているがマーケティングも学びたいなど,理由はそれぞれでした。

現役学生が将来どういう職業人生を歩むのか現時点では分かりません。卒業後就職してからしばらくして,所属替えや職種替えを含んだ転職を経験することでしょう。したがって,将来の転身に備えて,若いうちは色々なことを経験し,様々な知識を得ておくことが必要なのです。面白いと思ったことをあれこれ経験すればよいのです。その意味でコースとゼミ専門を違えても何ら問題ないと私は考えています。

つぎに選考について。このゼミでは,人物確認のため応募者に簡単な面接を行います。そして,小論文を書いてもらいます。この小論文によって本人の学力を推し量ります。日本語の読み書き能力,論理的思考力をみる重要な手掛かりにするのです。うちのゼミでは,日本語の読み書き能力がゼミにおいて学問に取り組むうえで最も重要な能力であると考えています。面接だけでは,教員受けの良い,明るく目立つ学生やまじめで従順そうな学生を採用しがちになります。それでは本当にゼミにおいて能力を高めてもらえる学生を取り逃がすかもしれません。

応募者は小論文や面接で,教員迎合的な応答をする必要はありません。「先生の授業の面白さにひかれて・・・」とか,「ゼミの指導風景が私の理想とするもので・・・」とか,そんな表層的な評価を述べても,それが選考上プラスに作用することはありません。こちらでは,文章における主語と述語の対応,指示語や接続語の使い方などを確認します。また表現が具体的であるかどうか,ネット情報の引き写しかどうかなどもみていきます。

最後に,友達と一緒がいいからという理由で応募しないでください。そういう応募者は,所属後友達と刺激しあって学問に取り組むことはほとんどありません。たいてい学びで手を抜こうと友達と共謀し始めます。
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