愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

単純に

2018年10月18日 | 名古屋マーケティング・インカレ
10月13日に今年度名古屋マーケティングインカレ第2回中間発表会が開催されました。計29の発表が展開されました。各発表チームに15分の口頭発表と10分の質疑応答の持ち時間が与えられました。

今回,意外なことに口頭発表で15分フルに使わないチームがいくつも出ました。この半年間,あれこれ調査してきて話すべきことがたくさんあるはずなのに,なぜか短く終わってしまったのです。また,質疑応答が低調なケースを多く見ることになりました。論理の矛盾を突くような質問は少なく,ピントのずれたアドバイスをするか,データの不備のような重箱の隅をつつくような質問が多く出ました。第1回よりも発表内容や思考力が深化してていいはずなのに,今回はそうはならず,かえってダメになってしまった印象です。

発表が終わった後,学生たちが大学の垣根を越えて教員にアドバイスを求めにやってきました。私のところにも何人もやってきました。その時に,あれこれこちらが調査の状況を質問してみると,発表内容には盛り込まなかったものの,色々と知識を得ていることが分かりました。皆文献をいくつも読んでいることが分かりましたし,フィールド調査もしていることが分かりました。しかし,それらを発表には盛り込まなかったのでした。

なぜ盛り込まなかったかといえば,私の推察ですが,学生たちはそれら知識をうまく処理できなかったからでしょう。学生たちは,1回目は獲得した知識がまだ少なかったため,それらを処理して,大胆かつ単純に発表内容をまとめることができた。しかし,その後,あれこれ勉強し,調査を重ね,知識が蓄積されると,知識間で矛盾や衝突が生じることや,知識と知識を結びつける根拠が希薄であることなどが分かり,混乱が生じたということなのでしょう。

その結果,不十分な発表をしてしまったチームが続出したのでしょう。聴衆として発表を聞いていた学生たちは,質疑応答場面で,きちんと論理のおかしさを問いただすべきだったのですが,自分たちも混乱していて自信がないため,質問ができなかったのかもしれません。

この先調査を重ねれば,もっともっと混乱することでしょう。そうなったとき,大胆に,得た多くの知識を切り捨てる勇気を持って欲しいと思います。100のうちせいぜい10か20を使って論理を構築するように割り切って欲しいのです。多くを捨てることによって,論理が浮き上がり,主張が明確になります。結果として,混乱は解消される方向に向かいます。残り80を捨てることは惜しい,それを得るために費やした時間・努力が無駄になってしまうと思うかもしれません。しかし,捨ててしまう知識を得たからこそ,知識間の矛盾やそれによって生じる混乱を身をもって知ることができ,単純な論理や明快な主張の重要性を理解することができるのです。そして,自信をもって,主張を展開することができるのです。

発表会のある教室で,私はコメントを求められたとき,「論理は単純にすべき。複雑な発表が素晴らしいということはない。せっかく勉強したのだからと,あの概念この理論といろいろと発表内容に盛り込むと,主張に対する根拠を提示したり,その論理を検証したりすることが難しくなる。単純なほうが主張は明確になり,検証も容易になる」と述べました。同じことをもう一度ここで述べます。
コメント
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