愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

卒論発表会

2010年12月24日 | 卒論
昨日,恒例の卒論発表会を行いました。2,3,4年ゼミ生が集まるなか,4年ゼミ生の予備選考で選ばれた6名が発表しました。今回は卒業生数人が駆けつけてくれました。今までで最もギャラリーが多い発表会になりました。

一人20分程度の時間制限で発表してもらいました。例年なかなかそれに収まりきらずに時間延長してしまう発表が多いのですが,今年は質疑応答で時間延長してしまうことがあったものの,ほぼ予定通り進行しました。

全発表終了後,ゼミ生全員が10点満点で採点を行い,それを集計して優秀卒論賞候補を決めました。採点の基準は,テーマの具体性,独自性,調査の徹底性,主張に対する根拠の存在,論理性です。集計の結果,野々山智昭「ファッションに地域性はあるか?」が得点トップとなって優秀卒論賞候補になりました。

この卒論は,男性の服装に地域性があるのか,あるとすれば地域によって何が違うのか,そしてその違いはなぜ生じるのかを考察しています。そして,地域性を明らかにするために,夏休み中,仙台市,東京都武蔵野市,名古屋市,福岡市に出向いて,考現学の手法を参考にして,観察調査を行っています。実際には,各都市の商業施設(ファッション・ビル)の前で,数取機(カウンター)によって,通行する10代20代の男性が着用している上半身着衣について種類別に頻度を数えています。また,定性的に服装の印象を記録しています。面白いことに,仙台は東京をまねをしがちであること,福岡と東京は意外によく似ていること,名古屋は4都市の中では異質であることを報告しています。印象論のみで語られがちな地域性ですが,手間をかけたフィールドリサーチによって,根拠をもって地域性を説明しようとする姿勢を多くのゼミ生は評価しました。

得点で2番目になったのが,加藤龍生「プロ野球のマーケティング戦略」でした。これもロッテ,西武,中日各球団の集客プロモーションを調査すべく,各地の野球場に出向いてフィールドリサーチを行っています。6つの発表のうち5つまでが,観察調査,インタビュー調査,アンケート調査など1次データ収集をきちんと行っています。卒論発表会で発表しなかった卒論の中にも,インタビュー調査,アンケート調査を行っているものが複数存在します。今年度は,卒論全体として,データ収集に努力してくれたという印象です。

ただし,問題点もあります。全体的に理論的分析が弱いのです。得点1番目,2番目の卒論においても,理論的分析は不十分です。したがって,ロジックに難がありました。1番目卒論では,なぜ地域差が生じているのか,2番目の卒論では,集客プロモーションに対して消費者はどのように反応するのかという分析をきちんと行っていれば,説得力は増したでしょう。徐々にですが,年々レベルは上がってきています。今の3年生は,来年度,データ収集に努力することに加えて,理論的分析を強化することで,今年度の卒論を超えて欲しいと思います。

発表会後,恒例の懇親会が2年生ゼミ長,副ゼミ長の努力によって開かれました。卒業生も加わり,大騒ぎになりました。酔いつぶれるゼミ生が現れたのも恒例です。ご愛嬌です。ともかく楽しい忘年会になりました。

今回うれしかったのは,卒業生がかけつけてくれたことです。しんどいことも多かったゼミの活動でしたが,かえってそれ故に愛着を持ってくれたことは良かったと思います。4年ゼミ生はもうすぐ卒業してしまいますが,来年度何らかの形でゼミに顔を出して欲しいと思っています。もちろん,今回顔を出してくれた卒業生も来年度以降こりずに顔を出して欲しいと思います。
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学内研究発表会

2010年12月20日 | 運営
昨日,名古屋学院大学商学部の学内研究発表会(プレゼンテーション大会)を見学しました。学部内有志のゼミのチームが複数集まる研究発表コンテストです。名古屋マーケティング・インカレに参加していた濱ゼミのチームが発表するので,それを中心にあれこれ研究発表を覗いてみたのです。都合により午前中の予選しか見られませんでしたが(インカレと同じく,午後に予選を勝ち抜いたチームによる決勝がある),雰囲気はつかめました。

今回見学したのは,愛知学院大学商学部のゼミ有志で研究発表会のようなことをやろうという話が出ているので,その参考にしようと考えたからです。大学間の,マーケティングをテーマにした学生研究発表会については,名古屋マーケティング・インカレをはじめいくつか事例を知っています。運営の方法についてそれなりのノウハウを持っています。しかし,学内の学生研究発表会(有志による)の運営については今一つよく分からないでいます。

私が接した発表において,率直にいうと,概して,濱ゼミ・チームとその他のチームとの間に格差がありました。濱ゼミ・チームは研究目的をきちんと設定し,それに向けてロジックを組んでいました。また,結論を導くために,ヒヤリング,アンケートなど1次データの収集をかなりの労力を割いて行っていました。理論的考察もそれなりに見られました。その他のチームは,残念ながら,それらは不十分なまま,何とか発表にこぎつけたという感じでした。

濱ゼミ・チームは名古屋マーケティング・インカレでもまれてきたせいか,質疑応答では,他チームのロジックのおかしさをつく質問をじゃんじゃんしていました。厳しすぎたのか,他のチームはとまどいを見せていました。コーディネーター役の教員がフォローする場面もありました。

結局,決勝に残り最優秀になったのは濱ゼミの食品における訳あり商品販売の在り方を探究していたチームであったと聞きました。名古屋マーケティング・インカレでは惜しくも決勝に残れず特別賞を受賞していたチームです。

レベルの格差は,時間の格差に起因するようでした。濱ゼミ・チームは4月からずっと研究発表に取り組んでいたのでしたが,他のチームは秋学期に入ってから手掛けてきたとのことでした。5か月間ほどのかけた時間の差があります。

あらかじめ,学内研究発表会運営上次のような問題が存在すると想定して,見学しました。学内の発表会では必ずしも同じ専門のゼミが集まるとは限りません。専門の違うゼミのチームが発表をする場合,どのように競争してもらうのかが難しいところです。また,高いモチベーションを持って参加してもらえるという保証がありません。学内では甘えが出てしまいがちなのです。

今回の見学では,学生は一生懸命取り組んでいるという印象でしたが,それらの問題がクリアーされているかどうかは分かりませんでした。ただし,先述のように時間の格差の問題があることを知りました。全てのゼミが同じ程度じっくり時間をかけて準備してくることによって,発表会全体として一定のレベルが保たれます。うちの学内で研究発表会を実施する場合,準備にかける時間を一定以上とるという合意を形成しなければならないでしょう。

今回,濱ゼミチームのメンバーは発表が終わるや否や,見学していた私のところにやってきて,感想やコメントを求めました。私は,良かった部分に加え,一部ロジックのおかしい点や説明の不十分な点を指摘しました。彼らはなるほどと聞いていました。名古屋マーケティング・インカレではごく普通の光景です。ゼミの担当教員以外の教員に指導してもらうのです。「何が言いたいのかさっぱり分からない」「無意味な調査だ」などときには厳しい指摘もします。名古屋マーケティング・インカレにかかわっている教員間で,積極的に(ときに厳しく)他大学学生を指導する旨合意しています。われわれは,専門や経歴の違う様々な教員から指摘されて学生は色々な気づきを覚え,深い思考に至るのだと信じているのです。うちの学内で発表会を開催する場合,このような合意が学内で形成できるのかどうか不明です。自分の担当学生が他の教員から指導されることを嫌う教員がいるかもしれません。親切に指導したら「何を偉そうに」という反発を受けてしまうかもしれません。接触の多い学内では,感情のもつれはいたずらに複雑で険悪な人間関係を作り上げてしまいがちです。この点も問題になるだろうと考えた次第です。

学内研究発表会は大学間研究発表会(インカレ)以上に運営が難しそうだという印象を持ちました。ともあれ,名古屋学院大学商学部プレゼンテーション大会にかかわった学生,先生方,見学させていただきありがとうございました。勉強になりました。部外者が好き勝手な感想を書き散らして,ご気分を害されているかもしれませんが,ご容赦のほどを。
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卒論提出

2010年12月16日 | 卒論
昨日,卒論提出が終わりました。提出期限日締切時刻5分前に提出するゼミ生が現れて焦りましたが,1名の脱落者を除き,4年ゼミ生は卒論を提出しました。

本日は,4年ゼミ生が卒論を読み合って,相互に評価しました。昨年度から実施しています。10点満点で他のゼミ生の卒論を採点してもらうのです。先ほど,その評価を基にして,卒論発表会発表者を選出しました。一定以上の評価を得たゼミ生には,今月23日に開催する卒論発表会において,2,3年ゼミ生を前に卒論の概要を発表してもらうのです。そしてそこでは,参加ゼミ生全員によって発表を評価してもらいます。その評価を基に,優秀卒論賞候補を選出します。また,その評価を参考にして成績評価を決定します。

なお,卒論発表会で発表しないゼミ生は書き直し対象者になります。冬休みの期間に不十分な卒論を書き直してもらいます。そしてその書き直した内容を,1月に下級生の前で発表してもらいます。もちろんそこでも参加ゼミ生による評価が行われます。

ゼミ内部での発表会や評価は緊張感を欠きがちですが,それでも体裁を整えさえすればそれでいいという甘い考えはある程度払しょくできます。実際,今年度は,数少ない資料を調べて,それを書き写して(良くいえば引用して)完成という安易な卒論はわずかでした。いわゆる調べて終わり型卒論はわずかなのです。大半の卒論においては,アンケート調査,ヒヤリング調査など1次データ収集を実施し,自分なりの主張を展開する努力が見られます。主張において拙い点や,ロジックや仮説検証の在り方において色々雑な点は見受けられますが,その努力は評価してあげていいと思います。

12月23日は祝日で,本学では補講日ですが,卒論発表会を行います。一部卒業生も馳せ参じてくれます。どうなるでしょうか。学生生活の総決算になるような,面白い,冴えた発表が展開されることを望んでいます。そして,その後の懇親会が楽しいものになることを期待しています。
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第5回名古屋マーケティング・インカレの総括(ゼミ編)

2010年12月06日 | 名古屋マーケティング・インカレ
昨日に引き続き第5回名古屋マーケティング・インカレの総括です。今度はうちのゼミについて述べていきます。

今回,放課後ファミレスタイム(電子書籍チーム)が最優秀賞を受賞しました。第2回に受賞制度ができて以来,中京大,愛知大,名城大とトロフィーがめぐっていきました。そして今回は愛知学院大にやってきました。図ったような結果でしたが,喜ばしいことです。しかし,うれしさは中くらいです。

ゼミ生には常日頃からマーケティング・インカレでは勝ち負けにこだわるなと諭してきました。勝ち負けは時の運によります。それよりも,堂々とした発表ができることが大事だと述べてきました。堂々とした発表とは,多大な努力を傾けてきた結果,自分たちなりの明快な主張とそれを支える根拠を提出し,一貫した論理が構築できているものです。堂々とした発表ができれば,例え負けたとしても周囲は「よくやったな」と評価してくれます。そして自分たちは達成感を得ることができます。堂々とした発表ができなければ,例え勝ったとしても達成感は得られません。

今回最優秀チームは堂々とした発表ができていました。しかし,残念ながら,決勝に残ったチームも含めて,残りの3チームは堂々とした発表ができませんでした。そのためうれしさも中くらいなのです。懇親会時,最優秀チームのメンバーが「先生,なぜもっと喜んでくれないのですか?あっさりしてますね」と言い寄ってきました。負けて悔し涙を流している学生がいる前で,喜ぶのははしたない振る舞いだという気持ちがありました。そして何より,ゼミ全体として成功でなかったという気持ちがありました。だから喜ぶ気が起きなかったのです。

今回うちのゼミの問題点が現れました。春先からしつこくノートをとれ,メモを残せと指示してきたにもかかわらず,本大会で特別審査員のコメントをメモしているゼミ生は少数でした。予選,決勝で,他チームの研究発表を聴いている際にも,きちんとメモをしていなかった。メモは直接的に質問力に影響を与えます。うちのゼミの質問は他大学生に比べてレベルが低かったといえるでしょう。また,他大学と積極的に交流する姿勢に欠けていました。中間発表の時から本大会まで,懇親会ではずっとゼミ生同士で固まっていました。他大学の教員にアドバイスを求めることもしませんでした。ただ,最優秀賞チームのメンバーは比較的交流を図ることに積極的だったし,メモもそれなりにとっていたようでした。それが堂々とした発表と受賞につながったといえるでしょう。

名古屋マーケティング・インカレは3年次で終了してしまいます。4年次は卒論を書いてもらうのですが,例年ゼミ生は3年次ほど力を入れてくれません。今年度もあきれるほどいい加減な4年生が続出しています。半数が書き直しになる見込みです。今の3年生は来年度どうなることでしょうか。最優秀チームのメンバーは4年次に手抜きの卒論を書いたならば,受賞の意義がないということを心得て欲しい。そして,インカレでは評価が得られなかったゼミ生は,卒論で挽回するという心意気を持って欲しい。名古屋マーケティング・インカレはただのお祭り騒ぎではないのだから。
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第5回名古屋マーケティング・インカレ本大会

2010年12月05日 | 名古屋マーケティング・インカレ
12月4日午前9時から午後6時に第5回名古屋マーケティング・インカレ本大会(日経ビジネス協賛)が名古屋学院大学において開催されました。今回,愛知大,名城大,名古屋学院大,愛知学院大から20チーム90名を超える学生が参加しました。また,日経新聞社の田中陽氏はじめ3名の特別審査員をお招きしました。

午前中に5つの発表グループに分かれて全チームが発表の予選の研究発表が行われ,学生による相互評価(採点)によって各グループにおいて優秀賞を決定しました。午後は各グループから勝ち上がったチーム(優秀賞)による決勝の研究発表が行われました。

優秀賞はつぎのチームです。

愛知学院大学牡丹と薔薇
名城大学コーンポタージュ
愛知大学ボン・マルシェ
愛知学院大学放課後ファミレスタイム
名城大学ケッチャピー
名城大学Tsuzzy zoo

コーンポタージュとボン・マルシェは第2グループにおいて同点のため双方優秀賞となりましたが,じゃんけんの結果ボン・マルシェが決勝で発表することになりました。

昼食をはさみ,午後はまず日経新聞社田中陽氏による講演が行われました。その後決勝が行われました。全チームによる採点に,特別審査員の採点を加え最優秀賞が決定されました。今回最優秀賞に選ばれたのは放課後ファミレスタイムでした。このチームは,電子書籍の売上高を上げるためのマーケティングを展開することに向けて,消費者の受容に対して障害となっている要因と促進する要因をあぶりだすことを研究目的としていました。そして,文献調査,アンケート調査,インタビュー調査から,障害要因として購入手続きが分かりづらいこと,促進要因として収納性という電子書籍の利点を利用した新市場開拓を見出しました。彼らが評価されたのはプレゼンテーションの分かりやすさでした。障害要因と促進要因(の希薄さ)を「壁」と表現し,2つの壁を打ち破ることが売上高を向上させるというストーリーが組まれていました。また要因をあぶりだすために消費者に対するインタビューを行うなどデータ収集に尽力していた点も評価されました。

決勝で放課後ファミレスタイムと激しく争ったのがケッチャピーでした。若者の献血を増加させるためのプロモーション策を考察しています。両者の得点差はほんのわずかでした。得点確認を何度もやり直したほどです。そのため,ケッチャピーには実行委員会特別賞が授与されました。また,予選で放課後ファミレスタイムと激しく争った名古屋学院大学HITSにも特別賞が与えられました。

インカレを総括すると,研究発表内容については,特段にレベルの高いものがなかった一方,レベルの低いものはなく,全チームの力は拮抗していたという印象を持ちました。少々残念だったのが,全般的にオリジナリティーが弱かった点です。最優秀チームをはじめ,決勝に残ったチームの発表を聴いても,「ほう」「へえ」と思わせてくれる独自性の高い着想やロジックは見られませんでした。例年教員は第2回の「長浜商店街の二極化」を超える研究発表があるか?と注目するのですが,今回はありませんでした。

しかし,今回優れていたのが,質疑応答とプレゼンテーションでした。予選段階から,研究目的,概念,論理展開などのおかしさをつくするどい質問が続出しました。それに対する応答も丁寧でした。この点は教員一同感心しました。プレゼンテーションについては,どのチームも聴衆に分からせようという姿勢が徹底していました。この点は特別審査員の方々が感心していました。

発表会後,懇親会の席で,悔し涙を流す学生が何人もいました。慰めるのに苦慮しましたが,正直いって良かったと思いました。涙を恥じることなく悔しがるほど真剣に取り組んでくれた姿勢を感じたからです。学生の涙を見て,「今年もやってよかった」としみじみ思いました。

チーム間に大きな差はありませんでした。勝敗を決めたのは少しの差と運でした。負けたからといって卑屈になる必要はありません。また勝ったからといっても反省する必要があります。「長浜商店街の二極化」を超える研究発表はなかったのですから。全大学の学生には「勝っておごらず,負けてくさらず」という言葉を認識して欲しいと思います。
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