愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

2年ぶり開催

2021年07月04日 | 名古屋マーケティング・インカレ
昨日2年ぶりに名古屋マーケティング・インカレの第1回中間発表会が愛知大学で開催されました。うちのゼミの3年生は3チームに分かれて参加しました。1年間無開催のブランクがあったため、発表会の運営ノウハウが継承されないのではないか、学生の参加意識が低下するのではないかなど当初懸念していましたが、実際にはそんなことはありませんでした。発表会は例年とほぼ同じ進行でした。円滑に進みました。学生の発表内容や水準も例年通り。

全チームの第1回の発表は、いつも、大まかなテーマ説明と、最終発表に向けた決意表明を中心に、これまで調べたことを取り上げます。たいていはテーマに関する現況の説明で大半の時間を費やします。そして最後に今後の課題を述べます。その後質疑応答に移ります。今回も同様でした。今回は質疑応答の前に、大学間の垣根を越えて、グループで発表に関する問題点や改善点を簡単に話し合うディスカッションの場が設けられました。そのディスカッションを受けて、質疑応答が行われました。

いくつかの質疑応答場面で、つぎのような質問・指摘が参加者から出ました。「課題がぼんやりしているので、具体的に何をするのか説明してほしい」「具体例の羅列では現状がよく理解できないので、いったん整理したほうがよいのではないか」。これは具体化と抽象化両方を要求しています。

かねてより私は抽象化と具体化両方を意識的に進めることが「頭の良い人の思考」につながると考えてきました。例えば、抽象化された理論を扱う場合には、それが具体的な社会現象の説明になっているのか常に考える。逆に具体的な社会現象を調査した場合には、それらをいったん分類し、現象間の関係性を考察する。このような思考のことです。「頭の良い人の思考」は自分がよく社会現象を理解することにとどまらず、他人によく理解してもらう「分かりやすい」説明にもつながります。

抽象化思考がないと、複雑な社会現象を複雑なままにしておくので、現象を整理し、現象間の関係やその背後の要因を見つけ出すことが難しくなります。また、社会科学はあくまで社会現象のメカニズムの解明が焦点なので、抽象理論を具体的な社会現象の関係に結び付けることができなければ、理論の存在意義はありません。具体化思考は社会科学には必須です。

昨日第1回の中間発表会を経験した学生は、具体化と抽象化ということを念頭において、次回の中間発表会の準備を進めてほしいと思います。きっとより明快な議論ができると思います。

なお、抽象化思考が苦手な学生が多いと思います。大学生の学力低下論争でも指摘されてきました。抽象化の第1歩は分類です。複数の社会現象を収集出来たら、まず分類してみてください。つぎにやるべきはキーワード化です。複雑な現象を表すいくつかのキーワードを考え出してみるのです。分類とキーワード化は情報の縮約になりますので、複雑な現象を複雑なまま扱うことがなくなります。この2つが抽象化思考の基本です。
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